排せつ支援加算とは?(Ⅰ)(Ⅱ)(Ⅲ)の算定要件・アウトカム評価とLIFE提出【令和6年度改定で評価は3月に1回】

排せつ支援加算とは?(Ⅰ)(Ⅱ)(Ⅲ)の算定要件・アウトカム評価とLIFE提出【令和6年度改定で評価は3月に1回】
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排せつ支援加算とは、入所者ごとの排せつ状態の評価とLIFEへのデータ提出を土台に、排せつの自立に向けた支援計画の作成・実施を評価する加算です。プロセス要件を満たす(Ⅰ)10単位/月に加え、「排尿・排便の状態の改善」「おむつからの離脱」「尿道カテーテルの抜去」というアウトカム(成果)に応じて(Ⅱ)15単位/月・(Ⅲ)20単位/月が設定された、成果評価型の代表的な加算です。

令和6年度改定では、医師等による評価の頻度が「少なくとも6月に1回」から「少なくとも3月に1回」に変更されました。この記事では、対象サービスと単位数、(Ⅰ)〜(Ⅲ)それぞれの算定要件、LIFEへの提出、現場で運用する際のポイントを解説します。

排せつ支援加算の対象サービスと単位数

区分単位数評価の性格
排せつ支援加算(Ⅰ)10単位/月プロセス評価(評価・計画・支援・LIFE提出)
排せつ支援加算(Ⅱ)15単位/月(Ⅰ)+アウトカム(改善・おむつ離脱・カテーテル抜去のいずれか)
排せつ支援加算(Ⅲ)20単位/月(Ⅰ)+アウトカム〔排尿・排便状態の改善または尿道カテーテルの抜去〕かつ、おむつ離脱

対象サービスは、介護老人福祉施設(特養)・地域密着型介護老人福祉施設・介護老人保健施設(老健)・介護医療院・看護小規模多機能型居宅介護です。排せつ支援加算(Ⅰ)は事業所単位の取組を評価する加算であり、全員の排せつ状態の評価・LIFE提出等の要件を満たせば、排せつが自立している方や改善が期待できない方を含め、入所者・利用者全員に算定できます。(Ⅱ)(Ⅲ)は、要介護状態の軽減が見込まれる方のうち、所定のアウトカムを達成した方について算定します。(Ⅰ)〜(Ⅲ)は同一人・同一月に併算定できません。

各施設の単位数全体は以下の一覧をご参照ください。

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排せつ支援加算(Ⅰ)の算定要件【プロセス評価】

  • ①全員の排せつ状態の評価とLIFE提出

    入所者・利用者全員について、排尿・排便の状態、おむつ使用の有無、尿道カテーテル留置の有無等を評価し、所定の情報をLIFEへ提出するとともに、フィードバックその他の情報を排せつ支援に活用する
  • ②改善見込みの評価と対象者の選定

    排せつに介護を要する入所者・利用者について、要介護状態の軽減の見込みを、医師または医師と連携した看護師が施設入所時(利用開始時)および少なくとも3月に1回評価する(令和6年度改定で6月に1回から変更)。その結果、身体機能の向上や環境の調整等により要介護状態の軽減が見込まれる人を、支援計画の対象とする
  • ③多職種での支援計画の作成と実施

    ②の対象者ごとに、多職種が共同して、排せつに介護を要する原因を分析し、それに基づいた支援計画を作成して支援を実施する。実施した支援の内容や入所者の状態は記録に残す
  • ④支援計画の見直し

    支援計画は少なくとも3月に1回見直す

構造は褥瘡マネジメント加算と似ています。「排せつ状態のスクリーニングとLIFE提出は全員、医師等による改善見込みの評価は排せつに介護を要する人、支援計画はそのうち改善が見込まれる人」という3段階の切り分けで、対象者の見きわめに医師(または医師と連携した看護師)の判断が入る点が本加算の特徴です。改善が見込まれない方(終末期の方など)がいても、その方の評価・提出を行っていれば(Ⅰ)の算定は可能です。

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排せつ支援加算(Ⅱ)(Ⅲ)の算定要件【アウトカム評価】

排せつ支援加算(Ⅱ)(Ⅲ)は、(Ⅰ)の要件をすべて満たしたうえで、施設入所時(利用開始時)等と比較したアウトカムを入所者ごとに判定します。

排せつ支援加算(Ⅱ)/15単位/月

次のいずれかに該当する場合に算定できます。

  • 排尿・排便の状態の少なくとも一方が改善し、いずれにも悪化がないこと
  • おむつ使用ありから使用なしに改善したこと
  • 施設入所時等に尿道カテーテルが留置されていたが、抜去されたこと

排せつ支援加算(Ⅲ)/20単位/月

次の①または②のいずれかを満たしたうえで、③も満たす場合に算定できます。

  • ①排尿・排便の状態の少なくとも一方が改善し、いずれにも悪化がないこと
  • ②施設入所時・利用開始時に留置されていた尿道カテーテルが抜去されたこと
  • ③おむつ使用ありから使用なしに改善したこと(①または②+③の組み合わせ)

「排尿・排便状態の改善」または「尿道カテーテルの抜去」のいずれかと、「おむつ離脱」の両方を満たす構造です。尿道カテーテルの抜去をアウトカムとして評価する仕組みは、令和6年度改定で位置づけられたものです。

尿道カテーテル留置中の方のケアや観察のポイントは、以下の記事もあわせてご覧ください。カテーテルの抜去はアウトカム評価の対象であると同時に、尿路感染症リスクの軽減や本人の自由度の向上に直結する支援です。

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支援計画に盛り込む内容【原因分析がスタート】

排せつ支援加算の肝は「排せつに介護を要する原因の分析」です。トイレで排せつできない原因は一つではなく、身体機能(立ち上がり・移乗・下衣操作)、認知機能(尿意・便意の認識、トイレの場所の見当識)、環境(トイレまでの距離、手すり、ポータブルトイレの位置)、排尿・排便機能そのもの(頻尿・便秘・薬剤の影響)に分解して考えます。

そのうえで、原因に対応した支援(排せつリズムに合わせた誘導、移乗・下衣操作の練習、環境調整、水分・食事・下剤の調整など)を多職種で分担します。理学療法士・作業療法士は動作面、看護師は排尿・排便機能と医師連携、介護職は日々の誘導と記録、というイメージです。トイレ動作・移乗の介助量の考え方は以下の記事が参考になります。

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排せつ支援加算のLIFEへのデータ提出【様式と期限】

  • 提出する様式

    LIFEの「排せつの状態に関するスクリーニング・支援計画書」様式。入所者・利用者全員について、「基本情報」「排せつの状態」「排せつ支援に係る取組」「排せつに関する支援の必要性」の所定項目を提出します。
  • 提出頻度・期限

    算定開始時から入所・利用している方は算定開始月、算定開始後に新たに入所・利用を開始した方は利用開始月、その後は少なくとも3月に1回行う評価月の情報を、それぞれ原則として翌月10日までにLIFEへ提出します。月末から利用を開始し情報収集の時間を十分確保できないなど、やむを得ない場合は翌々月10日まで提出できますが、その場合、その利用者について利用開始月分の加算は算定できません。
  • 未提出時の影響

    提出すべき情報を期限までに提出できなかった場合は、直ちに所定の届出を行う必要があります。原則として、提出できない事実が生じた月のサービス提供分から、情報を提出した月の前月まで、利用者等全員について本加算を算定できません。ただし、急激な状態悪化など、やむを得ない理由で一部情報を提出できない場合には例外が認められることがあります。その理由は介護記録等に明記しておく必要があります。
  • 提出先

    2026年5月11日から国保中央会によるLIFEの運用が開始されています。移行手続きや現在利用すべきシステムを確認し、提出期限に遅れないよう対応してください。
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よくある質問

Q
排せつが自立している入所者にも算定できますか?
A

できます。排せつ支援加算(Ⅰ)は事業所単位の取組を評価する加算のため、全員の評価・LIFE提出等の要件を満たしていれば、排せつが自立している方も含めて入所者・利用者ごとに毎月算定します。なお(Ⅱ)(Ⅲ)は、所定のアウトカムを達成した方について算定するものです。

Q
(Ⅰ)(Ⅱ)(Ⅲ)は併算定できますか?
A

同一人について同一月に併算定はできません。(Ⅲ)→(Ⅱ)→(Ⅰ)の順にアウトカム要件を判定し、該当する最も高い区分を入所者ごとに算定します。アウトカム要件を満たさない場合でも、(Ⅰ)の要件を満たしていればその入所者について(Ⅰ)を算定できます。

Q
夜間だけおむつを使用している場合も「おむつ離脱」になりますか?
A

なりません。終日使用から夜間のみの使用に減った場合でも、「使用ありから使用なし」の要件は満たしません。また、リハビリパンツや尿失禁パッドを使用した排せつを前提としている場合は、おむつに含まれます(令和3年度介護報酬改定Q&A vol.3 問102・103)。

Q
改善が見込めない終末期の入所者がいる場合、算定できなくなりますか?
A

算定できなくなるわけではありません。支援計画の対象は「改善が見込まれると医師等が判断した方」であり、改善が見込めない方についても評価とLIFE提出を行っていれば(Ⅰ)の算定に問題はありません。判断の経過は記録に残しておきましょう。

Q
デイサービスやショートステイでも算定できますか?
A

どちらも算定できません。対象は特養・地域密着型特養・老健・介護医療院・看護小規模多機能型居宅介護です。通所介護(デイサービス)や短期入所(ショートステイ)に排せつ支援加算はありません。

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まとめ

排せつ支援加算は、全入所者・利用者の排せつ状態を評価してLIFEへ提出し、排せつに介護を要する方については医師または医師と連携した看護師が要介護状態の軽減の見込みを少なくとも3月に1回評価したうえで、改善が見込まれる方について多職種で原因分析に基づく支援計画を作成・実施することで(Ⅰ)10単位/月を、さらに「排尿・排便の改善」「おむつ離脱」「カテーテル抜去」というアウトカムに応じて(Ⅱ)15単位・(Ⅲ)20単位/月を入所者ごとに算定する加算です。

トイレでの排せつは尊厳と生活意欲に直結し、おむつ・カテーテルからの離脱は皮膚トラブルや感染リスクの軽減にもつながります。褥瘡マネジメント加算(皮膚湿潤・失禁)や栄養マネジメント強化加算(水分・食事)と情報が重なる領域なので、委員会やカンファレンスを連動させて、算定とケアの質を両立させていきましょう。

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参考資料

厚生労働省「令和6年度介護報酬改定における改定事項について」

厚生労働省「LIFE関連加算に関する基本的な考え方並びに事務処理手順及び様式例」

厚生労働省「令和3年度介護報酬改定に関するQ&A(vol.3)」問101〜103

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2024年・2025年・2026年
介護保険・介護報酬改定の情報

令和8年度(2026年)障害福祉サービス等報酬改定の概要と変更点まとめ

2026年(令和8年)介護報酬改定の全体像についてはこちらの記事で詳しく解説しています。

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令和6年~8年 地域区分(介護)区市町村の等級一覧(2024年4月~)

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      利用者負担軽減の仕組みの改定

      補足給付(負担限度額認定)に関わる見直しは、以下のとおりです。

      令和6年8月1日施行 基準費用額の見直し

      令和7年8月1日施行 多床室の室料負担
      令和8年8月1日施行 食費基準費用額の1,445円→1,545円、低所得者の食費負担限度額の段階別変更

       

      科学的介護情報システム(LIFE)の情報

        科学的介護推進体制加算のLIFE提出

        個別機能訓練加算(Ⅱ)のLIFE提出

        LIFEの活用が条件のその他の加算

        LIFEとうまく付き合うために

         

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