介護情報基盤とは?事業所がやるべき準備と期限・助成金・電子証明書【2026年】

介護情報基盤とは、介護保険被保険者証・要介護認定・主治医意見書・ケアプラン・LIFEなどの介護情報を、利用者本人・介護事業所・医療機関・市町村(保険者)の間でデジタル共有する全国的な仕組みです。2026年(令和8年)4月に稼働を開始しました。
「また新しいシステムか」と感じる方も多いと思いますが、介護情報基盤は単独のシステムではなく、LIFEの国保中央会移管、介護保険被保険者証の電子化、マイナンバーカードでの資格確認といった、この1年の変化すべての土台にあたる仕組みです。つまり、これを理解すると個々の変化がつながって見えるようになります。
この記事では、国保中央会の公式資料(2026年6月版)をもとに、介護情報基盤で何が共有されるのか、事業所がいつまでに何を準備すべきか、助成金の対象、電子証明書の扱いまで、介護事業所の目線で整理します。
介護情報基盤とは【全体像】

これまで介護の情報は、紙・郵送・電話・FAXでバラバラにやりとりされてきました。要介護認定の情報は市町村に問い合わせ、主治医意見書は紙で取り寄せ、被保険者証は利用者・家族に探してもらう、この分散していた情報を1か所に集約し、関係者がそれぞれの窓口から確認できるようにするのが介護情報基盤です。
介護情報基盤で共有される情報
公式資料で示されている介護情報基盤の共有対象の情報は以下のとおりです。
| 共有される情報 | 主な登録元 |
|---|---|
| 介護保険証等情報(資格情報) | 市町村(保険者) |
| 要介護認定情報 | 市町村(保険者) |
| 住宅改修費利用等情報 | 市町村(保険者) |
| 主治医意見書 | 医療機関 |
| ケアプラン情報 | 介護事業所 |
| LIFE情報(の一部) | 介護事業所(LIFE経由) |
| 介護レセプト | 請求情報から |
それぞれの立場からのアクセス窓口は、利用者・家族はマイナポータル、介護事業所は介護保険資格確認等WEBサービス(後述)、市町村は介護保険事務システム、という整理です。LIFEの運営主体が国保中央会に移管され、データが顕名(氏名・被保険者番号と紐づく形)で管理されるようになったのも、この基盤との接続が理由です。

介護事業所にとっての3つのメリット
いつから使える?スケジュールは「市町村しだい」
ここが最も誤解されやすいポイントです。介護情報基盤は2026年4月に稼働しましたが、すべての事業所がすぐに使えるわけではありません。情報の登録元である市町村(保険者)側の準備が終わった地域から、順次利用できるようになる段階的な立ち上がりです。
| 主体 | スケジュール |
|---|---|
| 市町村(保険者) | 介護保険システムの標準化対応を令和9年(2027年)1月1日までに完了→完了後、介護情報基盤へデータ送信→送信完了次第、その地域で情報共有が可能に |
| 介護事業所 | カードリーダー等の導入、介護保険資格確認等WEBサービスのアカウント設定などの準備を、助成金を活用して計画的に進める(令和7年度〜) |
| 医療機関 | 主治医意見書の電子的送信機能の追加など(助成金対象) |
自分の地域がいつから使えるかは、介護情報基盤ポータルの「市町村(保険者)の対応状況を知る」で確認できます。担当エリアの市町村がデータ移行を完了するまでは、準備作業を除いて介護情報基盤(介護保険資格確認等WEBサービス)は利用できません。
事業所がやるべき準備【チェックリスト】
公式の導入フローは「ユーザ登録→端末の準備・各種設定→助成金申請」の3段階です。順番が重要で、前の段階が完了するまで次に進まないよう公式資料でも注意されています。
STEP1 介護情報基盤ポータルのユーザ登録
STEP2 端末の準備と各種設定
自事業所での対応が難しい場合は、導入支援事業者への依頼が認められており、その経費も助成対象です(事業者一覧は介護情報基盤ポータルに掲載予定)。
STEP3 助成金の申請
導入準備で購入したカードリーダーや導入支援事業者への経費等は、助成金の対象です。申請は介護情報基盤ポータルから行い、領収書等の書類が必要になるため、購入時の書類は必ず保管しておいてください。
介護保険資格確認等WEBサービスとは
介護保険資格確認等WEBサービス(介護WEBサービス)は、介護事業所が介護情報基盤の情報を閲覧するための窓口となるWebサービスです。利用者の介護保険資格情報(被保険者証の内容)や要介護認定情報などを、事業所の端末から確認できるようになります。被保険者証の電子化・マイナンバーカードでの資格確認とセットの仕組みです。
なお、介護保険法の指定を受けていない医療機関・薬局が介護保険サービスの提供者と認められる「みなし介護事業所」も対象に含まれます。

似た用語の整理【比較表】
この分野は似た言葉が乱立しており、現場の混乱のもとになっています。関係を整理します。
| 用語 | 位置づけ |
|---|---|
| 介護情報基盤 | 介護情報を共有する全国的なプラットフォーム(本記事のテーマ) |
| 介護保険資格確認等WEBサービス | 介護事業所が基盤の情報を閲覧する窓口サービス |
| 介護情報基盤ポータル | ユーザ登録・助成金申請・市町村の対応状況確認などを行う事業所向けサイト |
| LIFE(国保中央会運用) | 科学的介護のデータ提出・フィードバックのシステム。LIFE情報の一部が基盤に連携される |
| ケアプランデータ連携システム | 居宅と事業所間のケアプランやり取りのシステム。電子証明書を共用 |
| 全国医療情報プラットフォーム | 医療分野を含む国全体の医療DX構想。介護情報基盤はその介護分野を担う |
実務上のポイントは、電子証明書(介護保険証明書/介護DX証明書)がこれらの共通の鍵になっていることです。LIFE・電子請求・ケアプランデータ連携・介護WEBサービスは同じ証明書で利用でき、一度整備すれば使い回せます。
現場への影響と課題【考察】
方向性としては歓迎すべき仕組みです。認定情報の照会や被保険者証の確認に費やしてきた時間は、現場にとって間違いなく無駄の多い業務でした。主治医意見書が電子的に共有されれば、ケアマネジャーの業務は具体的に楽になります。
一方で、現場目線では注意点もあります。第一に、メリットが実感できるまでの時差です。市町村の標準化対応期限は令和9年1月で、地域によっては準備だけ先行して「使えるのはまだ先」という期間が続きます。第二に、準備コストが小規模事業所に重いことです。カードリーダーは助成対象でも端末本体は対象外で、証明書・アプリ・アカウントの設定はLIFE移行と同種の作業がもう一巡やってくるイメージです。第三に、この1年でLIFE移管・被保険者証電子化・介護情報基盤と変化が集中しており、現場の学習負担が飽和気味なことです。
だからこそ、助成金が使える令和8年度内に、電子証明書とカードリーダーというハードルを越えておくことをおすすめします。LIFE移行で電子証明書を取得済みの事業所は、山場を1つ越えている状態です。
よくある質問
2026年7月時点で、事業所に対して「いつまでに対応しないと減算」といった期限付きの義務は今のところ示されていません。ただし市町村側は令和9年1月1日までに標準化対応を完了する予定で、地域の情報共有が始まれば実務上対応が前提になっていきます。助成金の申請期間(令和8年度まで設定、令和9年度以降は今のところ未定)を踏まえると、令和8年度内に準備するようにとコンサルや評論家の人たちは煽ると思いますが、自治体や利用者なども含めて、関係者たちが足並みをそろえないと意味がない仕組みなので、煽りに載って焦らずに、周りの事業者や自治体の動きを見ながらの対応が現実的だと思います。
主な費用はカードリーダーの購入費と、必要に応じた導入支援事業者への依頼費用で、これらは介護情報基盤ポータルからの申請で助成金の対象になります。スマートフォン・タブレット・パソコン本体は助成対象外です。申請には領収書等が必要なので、書類は保管しておいてください。
同じです。介護保険証明書または介護DX証明書は、LIFE・電子請求受付システム・ケアプランデータ連携システム・介護保険資格確認等WEBサービスで共通に使えます。ただし電子証明書は事業所番号ごと・端末ごとにインストールが必要です。
LIFEは科学的介護のためにデータを提出しフィードバックを受け取るシステム、介護情報基盤は認定情報・保険証情報・主治医意見書などを関係者間で共有するプラットフォームです。LIFEの情報の一部は介護情報基盤に連携され、LIFEの運営が国保中央会へ移管されたのも基盤との接続が背景にあります。
まとめ
介護情報基盤は、介護保険証・認定情報・主治医意見書・ケアプラン・LIFE情報を関係者間で共有する介護DXの土台であり、2026年4月に稼働しました。ただし実際に使えるようになる時期は市町村の対応しだいで、事業所側は「ポータルのユーザ登録→電子証明書・カードリーダー等の準備→助成金申請」の3ステップを、助成金が確実に使える令和8年度内に進めておくのが現実的です。
LIFEの移行・被保険者証の電子化と合わせて、関連記事もご参照ください。



参考資料
2024年・2025年・2026年
介護保険・介護報酬改定の情報
令和8年度(2026年)障害福祉サービス等報酬改定の概要と変更点まとめ
2026年(令和8年)介護報酬改定の全体像についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
介護報酬改定2026年(令和8年度)まとめ|いつから・変更点・対象サービスをわかりやすく解説
令和6年~8年 地域区分(介護)区市町村の等級一覧(2024年4月~)
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介護保険の居宅サービス介護給付費単位数(対象:要介護)
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施設サービス等介護給付費単位数の改定内容
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補足給付(負担限度額認定)に関わる見直しは、以下のとおりです。
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令和7年8月1日施行 多床室の室料負担
令和8年8月1日施行 食費基準費用額の1,445円→1,545円、低所得者の食費負担限度額の段階別変更






