嚥下調整食分類2021 早見表|コード一覧・とろみ3段階とLIFEの食事の形態

嚥下調整食の段階を示す全国共通の基準が「日本摂食嚥下リハビリテーション学会嚥下調整食分類2021」(学会分類2021)です。2013年版(学会分類2013)を8年ぶりに改訂したもので、2021年に公表されました。コード0jからコード4までの食事の分類と、薄い・中間・濃いの3段階のとろみの分類から成ります。
この記事では、コードごとの段階・とろみの3段階・2013から2021で変わったところを整理し、そのうえで科学的介護情報システム(LIFE)に「食事の形態」「とろみ」を提出するときの考え方までをまとめます。
嚥下そのもののしくみ(5期モデル)と誤嚥の種類は、こちらで整理しています。
学会分類2021(食事)のコード一覧

学会分類2021(食事)は、コード0j、コード0t、コード1j、コード2-1、コード2-2、コード3、コード4から成ります。コード0・1・2・3・4の大きく5段階という構造です。
細分類の入り方は段階によって違います。コード0は0jと0tに分かれ、コード1は1jのみです。コード2は2-1と2-2に分かれます。jはゼリー状、tはとろみ状の略で、1tは設けられていません。
コード0は食事場面での利用ではなく訓練場面での導入を想定しているため、名称が「嚥下訓練食品」になっています。コード1j以降が「嚥下調整食」です。
| コード | 名称 | 形態の要点 | 主食の例 | 必要な咀嚼能力 |
|---|---|---|---|---|
| 0j | 嚥下訓練食品 0j | 均質なゼリー。付着性・凝集性・かたさに配慮し、離水が少なく、スライス状にすくえるもの | (記載なし) | (若干の送り込み能力) |
| 0t | 嚥下訓練食品 0t | 均質なとろみ水。付着性・凝集性・かたさに配慮したもの。原則として中間のとろみか濃いとろみが対応 | (記載なし) | (若干の送り込み能力) |
| 1j | 嚥下調整食 1j | 均質なゼリー・プリン・ムース状。付着性・凝集性・かたさ・離水に配慮したもの | おもゆゼリー、ミキサー粥のゼリー など | (若干の食塊保持と送り込み能力) |
| 2-1 | 嚥下調整食 2-1 | ピューレ・ペースト・ミキサー食など。均質でなめらかで、べたつかず、まとまりやすい。スプーンですくって食べられるもの | 粒がなく、付着性の低いペースト状のおもゆや粥 | (下顎と舌の運動による食塊形成能力および食塊保持能力) |
| 2-2 | 嚥下調整食 2-2 | 2-1と同様だが、やわらかい粒などを含む不均質なものも含む | やや不均質(粒がある)でもやわらかく、離水もなく付着性も低い粥類 | (下顎と舌の運動による食塊形成能力および食塊保持能力) |
| 3 | 嚥下調整食 3 | 形はあるが押しつぶしが容易。食塊形成や移送が容易で、咽頭でばらけない。多量の離水がないもの | 離水に配慮した粥 など | 舌と口蓋間の押しつぶし能力以上 |
| 4 | 嚥下調整食 4 | かたさ・ばらけやすさ・貼りつきやすさがなく、箸やスプーンで切れるやわらかさ | 軟飯・全粥 など | 上下の歯槽堤間の押しつぶし能力以上 |
上の表は学会分類2021(食事)の段階を要約したものです。各コードの目的・特色、他の分類との対応を含む早見表そのものと、判断の根拠になる解説文は、学会のマニュアル本文でご確認ください。
出典:日本摂食嚥下リハビリテーション学会 嚥下調整食委員会「日本摂食嚥下リハビリテーション学会嚥下調整食分類2021」(日摂食嚥下リハ会誌25(2):135–149, 2021)/嚥下調整食分類2021(本文・早見表・追加Q&A) 2013との比較には嚥下調整食分類2013(本文)もあわせてご確認ください。
学会は「簡便のため早見表をつくったが、解説文を熟読したうえで活用していただくことを目的としている」と明記しています。早見表の形態の欄の用語だけで判断せず、必ず解説文を読んでください。
常食は学会分類2021に含まれない
学会分類2021(食事)はコード0jからコード4までで、常食(特別な配慮をしていない通常の食事)は分類に含まれていません。これは「嚥下調整食の分類であり、食種の分類ではない」という考え方によるものです。
そのため、嚥下調整食が不要な方をどう記録するかは、提出先の様式や施設の記録ルールの選択肢に従ってください。
0jと0tは、どちらが上でも下でもない
コード0に0jと0tが置かれているのは、ゼリー状が適した症例と、とろみ状が適した症例の両方に対応するためです。この考え方は2013から変わっていません。
学会は、ゼリー状のコード番号を低くとろみ状を高く設定すると「すべての症例にゼリー状のほうが適している」との誤解を招きやすいため、治療者が選択できる形にしたと説明しています。0jと0tは「どちらが軽い・重い」ではなく、どちらが合うかを選ぶものです。
進む先も分かれます。0jの次の段階はゼリー・プリン状の1j、0tの次の段階はペースト状の2-1です。1tが設けられていないのは、とろみ水の次にペースト状のなめらかな食品を置くと、1jの次の段階である食品群と重なるためと説明されています。
他の分類との対応(嚥下食ピラミッド・えん下困難者用食品・UDF)
学会分類2021では、既存の分類との対応も示されています。ただし学会自身が「学会分類2021との整合性や相互の対応が完全に一致するわけではない」と注記しています。開発の経緯が異なる分類どうしの対応であるため、互換性の目安として使うものという位置づけです。
UDF(ユニバーサルデザインフード)やスマイルケア食の選び方は、こちらで整理しています。
学会分類2021(とろみ)の3段階
とろみ付き液体は段階1 薄いとろみ・段階2 中間のとろみ・段階3 濃いとろみの3段階です。これに該当しない薄すぎるとろみや濃すぎるとろみは推奨されていません。
| 項目 | 段階1 薄いとろみ | 段階2 中間のとろみ | 段階3 濃いとろみ |
|---|---|---|---|
| 英語表記 | Mildly thick | Moderately thick | Extremely thick |
| 摂取の表現 | 「drink」 | 「drink」 | スプーンで「eat」 |
| ストロー | 細いストローでも十分吸える | 吸うには抵抗があり、太いものが必要 | 使用は適していない |
| 粘度(mPa・s) | 50–150 | 150–300 | 300–500 |
| LST値(mm) | 36–43 | 32–36 | 30–32 |
| シリンジ法による残留量(mL) | 2.2–7.0 | 7.0–9.5 | 9.5–10.0 |
粘度とLST値の範囲の表記は「以上・未満」です。たとえば粘度「50–150」は50mPa・s以上150mPa・s未満、LST値「36–43」は36mm以上43mm未満を指します。
これらの数値は決められた測定条件のもとで得られた値です。数値だけを切り出して使わないよう、条件もあわせて確認してください。
「とろみを外していく視点」も示されている
学会分類2021は、水分にとろみを使用している方について「とろみを外していく視点も重要である」と記載しています。段階的に評価するツールとしてLIP(Liquid Intake Protocol)が、また食間に水だけは自由に飲むことを許可するFree Water Protocolが紹介されています。
また、食事の際の汁物のとろみは比較的あとの段階まで必要なことが多い一方、食間の飲水についてはより早期にとろみなしを許可できる可能性もあるとされています。
いずれも多職種で連携し、十分な観察のもとで段階的に評価することが前提です。自己判断でとろみを外す手順ではありません。
とくにFree Water Protocolは、対象者の選定と口腔衛生管理を含む実施条件が定められているプロトコルです。学会分類2021は参考文献として紹介しているにとどまります。導入を検討する場合は、原典と施設の体制を確認したうえで、担当の医師・歯科医師や言語聴覚士と相談してください。「水なら自由に飲んでよい」という意味ではありません。
学会分類2013から2021で変わった変更点
学会分類2021は「基本的な分類構造は2013を踏襲している」と明記されています。コードの番号と名称、段階数、とろみの3段階は変わっていません。実務で押さえておきたい変更点は次の5つです。
他の分類との対応(互換性)の一部が、文献に基づいて修正されました。
なおQ&Aは2013にも「Ⅳ.Q&A」として6項目が置かれており、2021で新設されたものではありません。ミキサー粥の付着性、離水のない粥、刻み食のあんかけ、とろみの濃さ、ドリンクゼリー、服薬の6項目は2013の時点からあり、2021で10項目が加わって16項目になりました。
同様に、コード0のjとtを設けた理由や、1tを設けなかった理由も2013の本文に記載があります。2021で新しく加わった考え方ではありません。
このほか表記上の変更として、学会名が「日本摂食・嚥下リハビリテーション学会」から「日本摂食嚥下リハビリテーション学会」に変わりました(中黒がなくなっています)。資料を検索するときに引っかかりやすい違いですが、食形態の判断に関わるものではありません。
他の分類との対応で、具体的に変わった箇所
2013の早見表と2021の早見表を並べると、「他の分類との対応」の欄に次の違いがあります。手元の対応表が2013準拠のままの場合、ここだけは読み替えが必要です。
| コード | 学会分類2013 | 学会分類2021(現行) |
|---|---|---|
| 1j | UDF区分4(ゼリー状) | UDF区分かまなくてもよい(ゼリー状) ※区分4の名称表記に変更 |
| 2-1 / 2-2 | えん下困難者用食品許可基準Ⅱ・Ⅲ UDF区分4 | えん下困難者用食品許可基準Ⅲ UDF区分かまなくてもよい |
| 3 | 嚥下食ピラミッドL4 高齢者ソフト食 UDF区分3 | 嚥下食ピラミッドL4 UDF区分舌でつぶせる ※区分3の名称表記。高齢者ソフト食の記載なし |
| 4 | 嚥下食ピラミッドL4 高齢者ソフト食 UDF区分2およびUDF区分1の一部 | 嚥下食ピラミッドL4 UDF区分舌でつぶせるおよび歯ぐきでつぶせるおよび容易にかめるの一部 ※「舌でつぶせる」が加わっています |
UDFについては、区分の番号表記からUDF自身の表現(かまなくてもよい・舌でつぶせる・歯ぐきでつぶせる・容易にかめる)に書き換えられた箇所が多く、この部分は実質的な区分の移動ではありません。
一方でコード4は、2013では「UDF区分2および区分1の一部」だったのに対し、2021では「舌でつぶせる(区分3)」も含む形になりました。コード2-1・2-2のえん下困難者用食品許可基準から「Ⅱ」が外れたのも実質的な変更です。この修正は、官能評価によるUDF区分との対応を検証した文献(山縣誉志江ほか、日摂食嚥下リハ会誌25:81–89, 2021)に基づくものとされています。
嚥下調整食分類2021で解説が加わった箇所
早見表には表れませんが、2013の本文になく2021で加わった記述があります。現場で使えるものを挙げます。
| 箇所 | 2021で加わった記述 |
|---|---|
| コード0jの一口量 | 薄く平たいスプーンで、ゼリーを長さ2cm×幅2cm×厚さ5mm程度(2〜3g程度)のスライス状食塊に切り出す |
| コード1jの一口量 | 一口量は咀嚼を必要としない5g以下を目安とする |
| 食上げの考え方 | 段階的な食上げは基本的な手法だが症例によっては適していない。全例、0や1から始める必要はない |
| コードと食種の関係 | 一食すべてを1つのコードに統一する必要はない。連携時はどのコードの食品から形成されているかを明記する |
| 栄養量 | 極端にエネルギー密度の低いものは好ましくない。調整過程で栄養を薄めがちなため、使用材料を工夫する。不足時は間食などでの補食も |
| とろみを外す視点 | LIP(Liquid Intake Protocol)とFree Water Protocolの紹介 |
| とろみの評価 | 牛乳や濃厚流動食、経腸栄養剤のとろみの評価方法。飲料の影響を受けにくい方法としてシリンジ法を推奨 |
| コード3の主食の例 | 2013の「三分粥、五分粥、全粥」から「五分粥、全粥」に(三分粥が外れた) |
一口量の目安(0jは2〜3g程度、1jは5g以下)は、介助方法を検討する際の参考になります。ただし、すべての方に一律に適用する量ではありません。嚥下機能、食品の性状、姿勢、疲労などを踏まえ、担当の専門職と個別に調整してください。
学会分類2021はコード0jについて、一口量とあわせて体幹や頸部の姿勢、すくい方や口への入れ方にも配慮が必要としています。数値だけを取り出して運用するものではありません。
早見表だけで運用しないために|学会が注意している6つのこと
学会分類2021の本文には、早見表を見ただけでは伝わらない注意点がまとまっています。現場の運用に直接関わるものを6つ挙げます。
1. コード番号=重症度ではない
学会は「コード番号=改善過程(ないし重症度)に対応した食事」と考えず、個々の症例で適切な食形態を選んだうえで、連携の共通言語として本分類を利用することができるとしています。
器質的な通過障害が主で誤嚥のリスクが少ない場合(口腔外傷、口腔外科・耳鼻咽喉科・頭頸部外科術後、食道狭窄など)には、液状に近いものや液体が最も適切であることが多いと明記されています。コードの数字が小さいほど重症、という読み方は成り立ちません。
2. 量や栄養成分は規定していない
学会分類2021は原則的に段階を形態のみで示し、量や栄養成分については設定していません。栄養素による分類(治療食)が縦軸なら、嚥下機能に合わせた形態の調整は横軸にあたる、という考え方です。
ただしコード1jからコード4は嚥下調整食であり栄養摂取も目的のひとつであるため、極端にエネルギー密度の低いものは好ましくないとされています。調整の過程で栄養が薄まりやすいため、使用材料を工夫して分量あたりの栄養量を確保する配慮が求められます。足りない場合は間食などでの補食や経管栄養法による補給が重要とされています。
3. 物性測定値は分類規定に表記されていない
食事の分類には物性測定値が表記されていません。理由として、物性測定を行える機関が多くないこと、不均質な食品の物性測定方法がまだ確立されておらず医学的効果との研究の蓄積が少ないことが挙げられています。
そのかわりに、対応する既存の分類(えん下困難者用食品許可基準など)の中には物性測定値で基準を示しているものがあるため、それらを参考にできるとされています。
4. 一食をすべて1つのコードに統一する必要はない
コード3やコード4を摂取できる場合、一食の中に他のコードの食品があることは一般的とされています。嚥下機能改善の途上では、交互嚥下や負荷の軽減のために「容易に摂取できる」0tや0j、1jの食品があったほうが良い場合もあると書かれています。
そのうえで、退院時や施設間の連携では「主食はコード3のかゆ、副食はコード2〜4」のように、その食種がどんなコードの食品から形成されているかを明記すると混乱しないと示されています。施設の食種名が「やわらか食」などであっても、情報提供の際にコードを添えるのが実務上の要点です。
5. 食上げは0や1から始める必要はない
「あるコードとして提供されている食事を十分に摂取できた場合に次の段階に上がる」という段階的な食上げは基本的な手法ですが、症例によっては適していないとされています。低いコードの食事が食刺激として不十分で食意欲を起こさない場合や、意図したコードを想定して調理したものが不適切な付着性や粘性でかえって嚥下しにくくなっている場合です。
さらに「誤嚥のリスクや、たくさん食べられない状況が、食上げしても変化しないのであれば、食上げしたほうが、リスクは同じでQOLは高くなる可能性がある」という記載もあります。
そして「どこからスタートするかは個々に評価するべきであり、全例、0や1から始める必要はない」と明記されています。ただしこれは、評価をせずに段階を上げてよいという意味ではありません。食形態の変更はその方の嚥下機能の評価にもとづいて決めるものです。
6. 水分へのとろみ付けは原則あり、評価によって解除できる
学会分類2021(食事)の早見表には、「本表に該当する食事において、汁物を含む水分には原則とろみを付ける」という注記があります。そして「ただし、個別に水分の嚥下評価を行ってとろみ付けが不要と判断された場合には、その原則は解除できる」と続きます。
本文では、コードごとの想定も示されています。
とろみの有無と程度は、嚥下障害のある方ごとに評価して決定されるべきものとされています。上の目安は、個別の評価を置き換えるものではありません。
現場で迷いやすい論点|学会分類2021のQ&Aから
学会分類には、会員からの質問に答えるQ&Aが置かれています。2013の6項目から2021で16項目に増補され、介護現場で実際に迷う内容が含まれているので、要点を紹介します。
「刻み」「ミキサー」は調理手技に過ぎない
学会は「本来、『刻み』や『ミキサー』という呼称は、調理手技に過ぎません。あくまでも、できあがったものの物性で判断すべきであると考えています」と答えています。
そのため、「刻み食だからコード2-2」「ミキサー食だからコード2-1」という対応づけは成り立ちません。本文でも「単に調整過程からミキサー食、ピューレ食、ペースト食と呼ばれているものの中でも、本コードに該当しないものもあるので、名称にとらわれず、物性・性状で判断されたい」とされています。
刻み食にあんかけしたものは、コード3か4
十分にやわらかいものを小さく刻んだりほぐしたりしたものに、中間のとろみあるいは濃いとろみ程度のあんをかけたものは、コード3あるいは4に該当します。コード2-2には該当しません。
本文でも「かたい食材を刻んであんをかけただけではコード3には該当しないことがある」として、刻む前のもとの食材も十分やわらかいことが条件に挙げられています。
ミキサー粥は、そのままでは適切でないことがある
粥をミキサーにかけただけでは糊状となり、時間とともに付着性が増します。送り込みづらく咽頭に残留しやすいため、学会は「このようなミキサー粥は、嚥下調整食としては適切ではありません」としています。
この付着性は粥のでんぷんによるものなので、でんぷん分解酵素(αアミラーゼ)を作用させてからミキサーにかけると付着性が高くなりません。ただし酵素を作用させるだけではサラサラの液状になってしまうため、ゲル化剤などで適切な状態に調整する必要があると説明されています。添加量などの使用方法は各製品の説明書に従ってください。
食べ始めに離水がない粥でも、食事中に離水してくる
これは唾液に含まれるαアミラーゼが、スプーンなどの食具を介して粥に作用するためです。学会は「摂食に時間がかかる場合には、この離水が進み、コード2からコード4まで変化します」としています。
提供時はコード2のつもりでも、食べ終わる頃にはコード4相当になりうるということです。対応として、粥を少しずつ取り分けて唾液が混じらないようにする工夫、粥にとろみ調整食品を添加しておく方法、あらかじめでんぷんを分解してゲル化剤で調整しておく方法が挙げられています。
コード3を食卓でつぶしても、コード2にはならない
「マッシュするだけでコード2になるものは、コード3にはほとんどありません」とされています。コード2にはなめらかさが必要で、つぶしてできた小片が十分に小さくやわらかく、そのまま飲み込めなければコード2に該当しません。
学会は「コード3を食卓でマッシュすることによりコード2に調整することは、現実的ではありません」と結論づけています。食形態を下げる必要があるなら、調理段階で対応するという考え方です。
FOISやFILSと対応づけることは難しい
嚥下調整食と、摂食嚥下障害の重症度を示すFOIS(Functional Oral Intake Scale)やFILS(Food Intake Level Scale)について、学会は「現時点では、明確に対応づけることは難しいと考えています」としています。
理由として、体幹角度、介助の有無、使用するリハビリテーション手技など、どのように食べさせるかによって、どのくらい経口摂取できるかは変化することが挙げられています。食形態のコードと重症度スケールは別のものを見ているということです。
窒息はどの食事形態でも生じうる
「窒息を回避する摂食嚥下障害の基準を定めてほしい」という質問に対し、学会は「窒息を回避する摂食嚥下障害の基準を明確に定めることは難しいと考えます」と答えています。
そして、認知症・精神疾患・高次脳機能障害などで摂食行動の異常(ペーシング、溜め込み、詰め込み、咀嚼を必要とする食品の丸のみなど)を認める場合は、いかなる食事形態であっても窒息のリスクは生じうるとしています。
食形態を下げれば窒息が防げる、という考え方は学会の記載と一致しません。学会は、口腔機能や咽頭機能を評価して適切な食事形態を選んだうえで、覚醒度の変動や認知機能にも配慮し、摂食場面の観察を十分に行うことが重要だとしています。
コード0でたんぱく質が少ないことに、明確なエビデンス論文はない
コード0が「たんぱく質含有量が少ないものであることが望ましい」とされているのは、誤嚥した際の組織反応や感染を考慮した臨床経験上の判断です。学会はQ&Aで「その他の有機物を誤嚥した場合も含めて明確なエビデンスを示した論文はありません」と率直に記載しています。
あわせてバクテリア繁殖などが起こらないよう、作成や保存時には注意することが求められています。
LIFEへの「食事の形態」「とろみ」の提出
科学的介護情報システム(LIFE)には、「食事の形態」と「とろみ」という提出項目があります。厚生労働省の「ケアの質の向上に向けた科学的介護情報システム(LIFE)利活用の手引き」では、科学的介護推進体制加算の評価方法として次のように示されています。
| 項目 | 手引きの記載 |
|---|---|
| 食事形態 | 利用者の嚥下状態等を確認し、該当する項目を選択します。嚥下調整食の食形態については「主な項目に関する評価方法(9)嚥下調整食の食形態」を参照 |
| とろみ | 利用者の嚥下状態等を確認し、該当する項目を選択します |
LIFEへのデータ提出が要件に含まれる加算のうち、栄養・口腔に関わるものは以下です。LIFE提出の対象となるのは、加算のすべての区分ではありません。
食形態ととろみは、上記すべての様式で同じ項目が求められるわけではありません。加算ごとに様式が異なり、提出が必須となる項目も、評価方法も異なります。実際に入力する項目は、算定する加算の最新の様式でご確認ください。
改訂だけを理由に、コードを一律に変更する必要はない
学会分類2013と2021で、コードの番号と名称は変わっていません(0j・0t・1j・2-1・2-2・3・4)。そのため、改訂だけを理由にコードを一律に変更する必要はありません。
ただし、コードの名称が同じであることと、個々の利用者に入力する値が必ず同じであることは別です。施設の食種名や他の分類との対応表を見直した結果、選択するコードが変わる場合があります。
LIFEへの入力は、実際に提供している食品の性状と、利用する様式の選択肢・評価方法を確認して行ってください。
見直しておきたいのは、施設の対応表のほう
読み替えが生じやすいのは、UDFやえん下困難者用食品許可基準など、他の分類から対応づけている場面です。手元の対応表が2013準拠のままなら、前述の「他の分類との対応で、具体的に変わった箇所」を確認してください。
また、施設の食種名(やわらか食、ソフト食、極きざみ など)とコードを結びつけた対応表がある場合は、コード3とコード4の線引きを確認しておくと安全です。コード3は舌と口蓋間での押しつぶし、コード4は上下の歯槽堤間での押しつぶしが必要という区別で、この境界自体は2013から変わっていません。
食形態は誰が決めるのか
学会分類2021は食形態の段階を示す共通言語であり、誰がどう決めるかを定めた基準ではありません。
実際の食形態の決定は、嚥下機能の医学的評価や指示を踏まえて多職種で検討するものになります。食事場面の観察は介護職員を含む多職種が行い、嚥下造影検査(VF)や嚥下内視鏡検査(VE)、嚥下障害の診断と治療方針の決定は医師・歯科医師が担います。
介護職員が日々の食事場面で気づいたことを専門職に渡せる形にしておくことが、実務の中心になります。学会分類2021のコードは、そのときに「何を食べているか」を職種や施設をまたいで正確に伝えるための道具として役立ちます。
食事場面で何を見ればよいかは、こちらで整理しています。

咀嚼や嚥下が難しいときの在宅での食事
介護施設に入所している場合であれば、その方の状態に合わせて施設側で食形態を調整してくれますが、家で生活している時には柔らかい食事に調整したりするのがなかなか大変なことがあります。そんな時には電子レンジで温めるだけですでに調理された柔らか食が食べられる冷凍タイプの弁当などもあります。
ただし市販品の表示区分(UDFなど)と学会分類2021のコードは完全に一致するわけではありません。前述のとおり学会自身が注記しています。嚥下調整食が必要な方の食事を選ぶときは、対応表だけで決めず、担当の医師・歯科医師や管理栄養士、言語聴覚士に相談してください。
よくある質問
現行は学会分類2021です。2013を改訂したもので、学会のホームページで公開されています。ただしコードの番号と名称(0j・0t・1j・2-1・2-2・3・4)、段階数、とろみの3段階は2013から変わっていません。コードの番号と名称は共通ですが、食品の評価や対応表の見直しにより、記録するコードが変わる場合があります。とくにUDFやえん下困難者用食品許可基準など他の分類から対応づけている場合は、2021で修正された箇所を確認してください。なお、「嚥下調整食分類2024」という分類は存在しません。
「すべての食種を用意するか」と「提供している食品をどちらのコードとして記録するか」は、別の問題です。
学会はQ&Aで、分けている理由をこう説明しています。とろみ水(0t)が飲めた方が次の段階に上がるとき、不均質なコード2-2ではリスクが高いと考えられるため、その前に均質なコード2-1を1段階入れているという趣旨です。均質か不均質かという区別には、嚥下のリスクに関わる意味があります。
そのため、自施設で2-1と2-2を作り分けているかどうかにかかわらず、記録や情報提供では、実際に提供している食品の性状に合うコードを用いてください。作り分けていないことは、均質・不均質の区別を省略してよい理由にはなりません。
あたりません。十分にやわらかいものを小さく刻んだりほぐしたりしたものに中間のとろみあるいは濃いとろみ程度のあんをかけたものは、コード3あるいはコード4です。刻んだものが舌と口蓋で押しつぶせればコード3、上下の歯槽堤間で押しつぶせればコード4になります。上下の歯槽堤間でも押しつぶせないほどかたい場合、またはあんのとろみが薄すぎる場合は、嚥下調整食としては適切ではありません。学会は「『刻み』や『ミキサー』という呼称は、調理手技に過ぎません」として、できあがったものの物性で判断すべきだとしています。
そうとは言えません。学会は「とろみの程度が強いと、味が劣化して嫌がられたり、全体の摂取量は少なくなったりします。また、使用したとろみ調整食品の種類によっては、べたつきが強くなり、飲み込みにくくなることもあります」としています。薄いとろみ・中間のとろみ・濃いとろみの3段階に該当しない、薄すぎるとろみや濃すぎるとろみは推奨されていません。また、とろみを付けると水分摂取量が少なくなることがあるため、脱水予防のために摂取量の把握が必要とされています。その方に適したとろみの程度を選ぶことが前提で、濃くすることが安全側の選択ではありません。
学会は「混ぜながらとろみの加減をみるのではなく、所定の量を、よく溶けるように十分混ぜながら加え、時間がたってから、とろみの程度を評価して、適切かどうか判断する必要がある」としています。とろみ調整食品はとろみが付くまでに数十秒を要する場合が多いためです。液体の温度やとろみ調整食品の種類によっても、粘度の付き方が異なる場合があります。有機物の含有量が多い液体(牛乳や濃厚流動食など)では、多量に必要になる場合や時間を要する場合があるため、素材にあったとろみ調整食品を選ぶ必要があります。
学会は、水分補給用のゼリー飲料について「おおむね薄いとろみに近いものとして扱う」としつつ、「臨床適用にあたっては個別の検討が必要」と注記しています。市販のゼリー飲料には離水量が多いもの、離水した液体の粘性が低くサラサラしすぎるものが含まれているためです。一方、要介護高齢者等を対象にエネルギーやたんぱく質を補給するドリンクゼリーには、物性がコード2や3に近いものもあるとされています。商品名や「ゼリー」という表示だけで段階を決めることはできません。
学会は、水で薬を飲む動作がサラサラの水と小さい錠剤という異なる物性のものを同時に操作する難しい課題であり、顎を上げて飲もうとするなど誤嚥しやすい条件がそろっていると説明しています。基本的な注意点としてあらかじめ口腔内を湿潤させる、顎を上げない、複数の薬を同時に飲まないが挙げられています。飲み込みやすいものにくるむ方法や、嚥下補助ゼリー、水にとろみを付ける方法もありますが、OD錠をとろみ水や嚥下補助ゼリーで飲むと崩壊せずに薬が吸収されにくくなる場合があることが報告されています。剤形の変更(液剤、ゼリー型製剤、貼付剤、坐薬など)や簡易懸濁法という選択肢もあります。服薬方法の変更は医師・歯科医師・薬剤師に相談してください。
そうではありません。学会は「コード番号=改善過程(ないし重症度)に対応した食事」と考えず、個々の症例で適切な食形態を選んだうえで、連携の共通言語として利用するよう求めています。たとえば口腔や食道の器質的な通過障害が主で誤嚥のリスクが少ない場合には、液状に近いもの(コード4の一部)あるいは液体が最も適切であることが多いとされています。また「コード番号は必ずしも、すべての症例で難易度と一致するものではない」とも明記されています。
学会分類2013と2021で、コードの番号と名称は変わっていません。そのため、改訂だけを理由にコードを一律に変更する必要はありません。ただし、施設の食種名や他の分類との対応表を見直した結果、選択するコードが変わる場合があります。2021では他の分類との対応の一部が修正されているため、2013準拠の対応表を使っている場合は見直してください。LIFEへの入力は、実際に提供している食品の性状と、利用する様式の選択肢・評価方法を確認して行ってください。加算ごとに様式と必須項目が異なるため、実際の入力項目は算定する加算の最新の様式でご確認ください。
まとめ
嚥下調整食分類の現行版は学会分類2021です。コード0j・0t・1j・2-1・2-2・3・4という構成と、とろみの3段階は2013から変わっていません。変わったのは、他の分類との対応の一部の修正、とろみへのシリンジ残存量テストの追加、Q&Aの増補、食上げの考え方や一口量の目安などの解説の追加です。
コードの番号と名称が変わっていないため、改訂だけを理由にコードを一律に変更する必要はありません。ただし、施設の食種名やUDFとコードを結びつけている対応表を見直した結果、選択するコードが変わる場合はあります。LIFEへの入力は、実際に提供している食品の性状と、利用する様式の選択肢・評価方法を確認して行ってください。
そして学会がくり返し述べているのは、早見表だけで運用しないことです。コード番号は重症度ではなく、量や栄養成分は規定されておらず、「刻み」や「ミキサー」という呼称は調理手技に過ぎません。食形態は、嚥下機能の評価にもとづいて多職種で検討するもので、分類はそれを正確に伝えるための共通言語です。
この記事は、日本摂食嚥下リハビリテーション学会 嚥下調整食委員会「日本摂食嚥下リハビリテーション学会嚥下調整食分類2021」(日摂食嚥下リハ会誌25(2):135–149, 2021)の内容を要約したものです。早見表そのものと、判断の根拠になる解説文は学会の嚥下調整食分類2021のページをお読みください。本文・早見表に加えて、追加のQ&Aも公開されています。実際の食形態の決定は、担当の医師・歯科医師等の評価と指示、および所属する施設・事業所の取り決めに従ってください。
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