2027年度(令和9年度)介護報酬改定はいつから?5つの視点案と決定・検討事項

令和9年度(2027年度)の介護報酬改定に向けて議論が進んでいます。厚生労働省が示したスケジュール案では、2026年12月に報酬・基準に関する基本的な考え方を取りまとめ、2027年1月頃に改定案の諮問・答申を行う予定です。サービスや改定事項ごとの施行日は、今後の正式な公表内容を確認する必要があります。
この記事では、分科会の資料をもとに5つの基本的な視点と改定の前提になっている認識を整理し、すでに法律で決まっていること、議論中のこと、まだ決まっていないことを分けて示します。
本記事は、2026年9月30日の第268回介護給付費分科会で示された「基本的な視点(案)」を中心に解説しています(2026年10月時点)。改定率や個別の単位数・算定要件はまだ決まっていないため、予測は書かず、どこで決まるか・いつわかるかを示します。審議報告・答申・告示の段階で更新します。
令和9年度介護報酬改定のスケジュール
第256回分科会(令和8年4月27日)の資料4「令和9年度介護報酬改定に向けた今後の検討の進め方について(案)」に、スケジュール案が示されています。
| 時期 | スケジュール案の内容 |
|---|---|
| 令和8年4月〜夏頃 | 主な論点について議論/事業者団体等からのヒアリング |
| 令和8年10〜12月頃 | 具体的な方向性について議論 |
| 令和8年12月中 | 報酬・基準に関する基本的な考え方の整理・とりまとめ ※地方自治体における条例の制定・改正に要する期間を踏まえて、基準に関しては先行してとりまとめを行う |
| (同時期) | 令和9年度政府予算編成 |
| 令和9年1月頃 | 介護報酬改定案の諮問・答申 |
読みどころは、基準については先行してとりまとめると明記されている点です。自治体が条例を改正する期間が必要なためで、人員配置基準や設備・運営基準に関わる部分は、報酬よりも早く見えてくる可能性があります。
改定率は分科会で決まるものではなく、政府予算編成の過程で決まります。スケジュール案でも、12月のとりまとめと並んで「令和9年度政府予算編成」が置かれています。
このスケジュールは案です。資料にも「今後議論を進める中で変更することは想定される」と記されています。また、改定事項ごとの施行日はこの資料では示されていません。
前回の定期改定では、一部サービスが6月施行だった
施行日を「4月1日」と思い込まないほうがよい理由があります。前回の定期改定である令和6年度改定では、訪問看護、訪問リハビリテーション、居宅療養管理指導、通所リハビリテーションの基本報酬が6月施行でした。診療報酬改定が6月施行となったことに合わせたものです。
医療系のサービスを運営している場合、改定内容そのものだけでなくいつから適用されるのかを確認する必要があります(令和6年度介護報酬改定に関するQ&A vol.1 問181)。今回の施行日は、今後の正式な公表内容で確認してください。
ここまでの議論の経緯
第268回の資料によると、令和9年度改定に向けて同資料が整理した時点までに、令和8年4月以降計9回にわたって分科会で議論が行われ、あわせて関係団体等との意見交換会が3回開かれました。
議論の出発点となったのは、第256回で示された4つの分野横断的なテーマです。
これが9月30日に5つの基本的な視点として整理されました。ただし示されたのは案であり、決定ではありません。委員の意見を踏まえて12月のとりまとめに反映される見込みです。
令和8年6月の改定とは何が違うのか
2026年6月に処遇改善加算の改定があったため、「また改定?」と混乱しやすいところです。期中改定と定期改定では、見直しの対象範囲が異なります。
| 項目 | 令和8年6月改定 | 令和9年度改定 |
|---|---|---|
| 改定の種類 | 期中改定 | 3年ごとの定期改定 |
| 対象 | 処遇改善加算に特化。食費の基準費用額も見直し | 基本報酬・加算・算定要件の全体 |
| 基本報酬 | 変更なし | 見直しの対象 |
| 改定率 | +2.03% | 未定(政府予算編成の過程で決定) |
| 施行 | 2026年6月1日(食費は8月1日) | 今後の正式な公表内容で確認 |
令和8年6月の期中改定は、「強い経済」を実現する総合経済対策(令和7年11月21日閣議決定)で「他職種と遜色のない処遇改善に向けて、令和8年度介護報酬改定において、必要な対応を行う」とされたことを受けたものです。令和9年度改定を待たずに実施され、あわせて食材料費の上昇を踏まえた緊急的な対応として食費の基準費用額が引き上げられました。
基本報酬には手が入っていません。対して令和9年度改定は、基本報酬から加算の要件まで全体を見直す定期改定です。確認すべき範囲が広くなります。
改定の前提になっている3つの認識
① 経済状況の変化|赤字事業者が約4割
資料に明記された数字がひとつあります。
令和7年度介護事業経営概況調査では、全サービスにおける赤字事業者の割合は約4割となっている。
そのうえで資料は、我が国の経済が「デフレではない状況」へと移行するなかで物価や賃金の上昇が続き、介護現場は厳しい状況に直面しているとしています。
ここで繰り返されているのが「介護サービスは公定価格である」という指摘です。コストが上がっても、事業者が自らサービス価格に反映することができない。だから報酬で対応する必要がある、という論理の立て方になっています。
一方で、資料は同じ節で別の話もしています。保険料・公費・利用者負担で支えられている制度として、安定性・持続可能性の確保が引き続き求められること。近年とくに現役世代を中心に保険料負担の増加への懸念が示されていること。そして給付と負担のあり方について不断の見直しを行うとともに、介護報酬でも限られた財源を有効に活用する必要があるとしています。
つまり「物価が上がったので報酬を上げる」という単線の話ではありません。資料には、物価・賃金上昇への対応と、限られた財源を有効に活用するための評価・報酬体系の見直しが併記されています。具体的な増減や算定要件への影響は、今後の検討内容を確認する必要があります。第5の視点に出てくる「評価の適正化・重点化」「報酬体系の整理・簡素化」は、ここから来ています。
② 人口構造の変化|令和9年度は第10期の初年度
見落としやすい点ですが、令和9年度から第10期介護保険事業計画期間が始まります。報酬改定と計画期間の始まりが重なる年です。
資料はこの時期を、65歳以上人口がピークを迎える一方、介護と医療の複合ニーズを抱える85歳以上人口が増加する2040年を見据えた取組を本格化させていく時期と位置づけています。
そのうえで強調されているのが地域差です。高齢化や人口減少の進み方が地域によって大きく異なるため、介護サービスの需要も増える地域とすでに減少局面に入っている地域が併存するという見通しが示されています。とくに中山間・人口減少地域では生産年齢人口の減少が全国に比して進んでおり、人材確保が深刻な課題になっているとしています。
③ 地域共生社会の実現と高齢者の安心の確保
介護だけでなく、障害・保育・生活困窮等の分野横断的で包括的な支援体制の整備が求められているという文脈から入り、介護分野の課題として医療・介護の複合ニーズ、認知症高齢者、独居高齢者の増加が挙げられています。
ここにも数字があります。認知症や軽度認知障害の高齢者が65歳以上高齢者の約3割を占めていることを踏まえ、誰もが認知症になり得ることを前提とした環境整備が重要とされています。
令和9年度改定の5つの基本的な視点(案)
引用:第268回社会保障審議会介護給付費分科会(web会議)資料、【資料2】令和9年度介護報酬改定に向けた基本的な視点(案)概要
| 視点 | 内容 |
|---|---|
| ① | 物価・賃金の上昇等への対応と処遇改善 |
| ② | 人口減少・サービス需要の変化に応じたサービス提供体制の構築 |
| ③ | 地域包括ケアシステムの深化 |
| ④ | 職場環境の改善と生産性の向上を通じたサービスの質の向上及び介護人材の確保 |
| ⑤ | 制度の安定性・持続可能性の確保 |
① 物価・賃金の上昇等への対応と処遇改善
事業者の経営状況と介護分野の賃上げの状況を適切に把握したうえで、物価や賃金の上昇等を介護報酬に反映し、経営の安定を図るとしています。処遇改善については「他職種と遜色のない処遇改善を実現し、人材の定着・離職を防止する環境を整備」という書き方です。
「他産業と同水準」ではなく「他職種と遜色のない」という表現であることに注意してください。どこまで引き上げるかの水準は示されていません。
② 人口減少・サービス需要の変化に応じたサービス提供体制の構築
今回の改定でもっとも新しい論点がここです。資料は3つのことを書いています。
特定地域サービスは、社会福祉法等の一部を改正する法律で創設された新しい仕組みです。中山間・人口減少地域において、地域の実情に応じた配置基準や包括的な評価の仕組みを導入できる特例介護サービスの類型として新設されます。
注目したいのは、人員配置基準と報酬がこれから検討されると書かれている点です。法律で枠はできたものの、中身は令和9年度改定の議論で詰める段階にあります。対象地域に事業所がある法人は、ここを追いかける価値があります。
もうひとつ、「中山間地域の加算のあり方の見直し」は既存の加算に手が入るという話です。特別地域加算や中山間地域等における小規模事業所加算などが関わると見られますが、どう見直すかは示されていません。


③ 地域包括ケアシステムの深化
もっとも項目が多い視点です。資料の整理に沿って並べます。
| 論点 | 資料の書き方 |
|---|---|
| 医療と介護の連携 | 医療ニーズが高い方への対応や看取りへの対応を含めて一層推進 |
| リハビリテーション | 生活期における自立支援に向けたリハビリテーションを一層推進 |
| 業務継続・虐待防止 | 災害や感染症発生時の業務継続、高齢者虐待防止等の取組を推進 |
| 認知症 | 認知症の高齢者が役割を果たして地域とのつながりや社会参加を継続し、地域で暮らし続けられる環境を整備 |
| 生活支援・権利擁護 | 生活支援や権利擁護、地域活動、民間サービスなど地域の多様な主体・資源と連携 |
| 有料老人ホーム | サービスの質及び運営の透明性確保の観点からの取組を進める |
| 質の高い介護 | 状態の維持・改善や生活の質の向上につながる質の高い介護を推進し、その成果を適切に評価。LIFEの一層の活用等を通じた科学的介護を推進 |
認知症について「社会参加」という言葉が入ったことが読みどころです。
資料では、質の高い介護の成果を適切に評価することと、LIFEの一層の活用が示されています。具体的な評価方法や加算への反映は、今後の検討事項です。


④ 職場環境の改善と生産性の向上
ここで注目すべきは、資料がはっきりと「施設系サービスのみならず居宅系サービスも含め」と書いていることです。
令和6年度改定で新設された生産性向上推進体制加算は、見守り機器等のテクノロジー導入を前提とした施設系中心の仕組みでした。今回はAI等の介護テクノロジーの活用を居宅系にも広げ、いわゆる介護助手等への業務のタスクシフト/シェアを進めるとしています。
資料の書き方で丁寧なのは、効率化そのものを目的にしていない点です。業務の改善や効率化で職員の負担を軽減し、それにより生み出された時間を直接的な介護ケアの業務に充てることで、サービスの質の確保・向上につなげる、という順序で書かれています。


⑤ 制度の安定性・持続可能性の確保
限られた財源を有効に活用するという視点です。具体的に挙げられているのは2つです。
令和6年度改定で加算が増え、算定要件も複雑になりました。現場では「どの加算が取れるのか把握しきれない」という声が出ていたところです。
ただし、資料は具体的にどの加算をどう扱うかまでは示していません。整理・簡素化には統合や要件の整理も含まれます。全体の改定率がプラスでも、自事業所の増収が保証されるわけではありません。基本報酬や加算、算定要件の変更内容によって影響が異なるため、個別の内容を確認する必要があります。
法律で創設・見直しが決まった制度|施行時期は制度ごとに異なる
報酬の中身はこれからですが、制度として決まっているものはすでにあります。社会福祉法等の一部を改正する法律(令和8年法律第51号、令和8年6月25日公布)によるものです。
厚生労働省の概要資料は、施行日は令和9年4月1日が原則だが改正事項によって異なるとしています。介護分野に関わる主なものを施行日つきで整理します。
| 決まったこと | 内容 | 施行日 |
|---|---|---|
| 特定地域サービス、特定地域居宅サービス等事業の創設 | 中山間・人口減少地域で、地域の実情に応じた配置基準や包括的な評価の仕組みを導入できる特例介護サービスの類型。人員配置基準と報酬の中身はこれから検討 | 令和9年4月1日 |
| 介護保険事業(支援)計画の見直し | 介護サービス量の中長期的な推計と提供体制確保の施策の記載を必須化。都道府県計画には人材確保・生産性向上・経営改善の取組と目標を明記 | 令和9年4月1日 |
| 福祉人材確保のための協議会 | 設置を都道府県の努力義務に | 令和9年4月1日 |
| 生産性向上等の取組の促進を図る協議会 | 設置を都道府県の義務に。生産性向上や経営改善支援等の取組促進は国および都道府県の責務 | 令和9年4月1日 |
| 有料老人ホーム制度の見直し(登録制の導入、基準・規制の整備、登録施設介護支援の新設など) | 中重度の要介護者等を入居させるホームに都道府県等への登録制を導入。現存するホームの大半が対象となることを想定 | 令和9年4月1日、公布後2年以内に政令で定める日、または公布後3年以内に政令で定める日(円滑な移行のための経過措置あり) |
| ケアマネジャーの更新制の廃止・研修の見直し | 研修受講を要件とした更新の仕組みを廃止。定期的な研修は継続するが柔軟に受講できるようにする | 公布後1年6月以内に政令で定める日 |
| 介護福祉士養成施設卒業者の経過措置の見直し/准介護福祉士資格の廃止 | 令和9年度〜13年度卒業者は卒業後5年間が経過措置期間。5年間従事で資格継続の仕組みは終了 | 公布日、および令和9年4月1日 |
| 成年後見制度等の利用支援 | 市町村が「地域権利擁護相談支援センター」を設置できるように | 令和9年4月1日 |
| 災害派遣福祉チーム(DWAT)の法定化 | 国がチーム員を登録。派遣元の勤務先に配慮義務 | 令和9年4月1日 |
ケアマネジャーの更新制廃止は、法律の公布後1年6月以内に政令で定める日から施行されます。改正法の原則的な施行日である2027年4月1日が、そのまま適用されると決まっているわけではありません。具体的な施行日は政令で確認する必要があります。


登録施設介護支援とは何か
「ケアプラン有料化」と呼ばれて誤解が広がっているので、資料の記述を正確に押さえておきます。
登録施設介護(予防)支援は、登録制の対象となる住宅型有料老人ホームの入居者に、ホームと対等な立場でケアプラン作成と地域生活相談(地域活動等の参加への支援)を包括的に提供する新たな相談支援類型です。介護付きホーム等との均衡の観点から、利用者負担(原則として1割)を求める仕組みが設けられます。
つまり一般の居宅介護支援がすべて有料になるという話ではありません。対象は登録制の対象となる住宅型ホームの入居者です。背景には、併設・隣接事業所の利用への限定・誘導といういわゆる「囲い込み」への対応があります。
夜間対応型訪問介護が廃止され、定期巡回と統合される
概要資料の「その他の改正事項(介護保険法関係)」に、あまり報じられていない項目が入っています。
夜間対応型訪問介護を廃止し、定期巡回・随時対応型訪問介護看護と統合する。
サービス類型そのものがなくなります。夜間対応型訪問介護を運営している事業所にとっては、報酬の改定率どころの話ではありません。
同じ「その他の改正事項」には次のものも含まれています。
このほか2027年に予定されていること
改正法とは別に、2027年に予定されているシステム移行や、令和6年度改定で設けられた経過措置の終了もあります。
| 時期 | 内容 |
|---|---|
| 2027年1月予定 | ケアプランデータ連携システムが介護保険資格確認等WEBサービスへ移行。移行後は利用料を求めない。具体的な期日は別途周知とされている(介護保険最新情報Vol.1529) |
| 2027年3月末 | 特別養護老人ホーム・地域密着型特養・介護老人保健施設・介護医療院における、所定の要件を満たす協力医療機関を確保する義務の経過措置が終了(特定施設や認知症グループホームの取扱いとは異なる。出典:令和6年度介護報酬改定における改定事項について) |


まだ決まっていないこと
検索すると「2027年の改定で○○になる」という断定を見かけますが、2026年10月の時点で決まっていないものを整理しておきます。
| 未確定のこと | いつ・どこでわかるか |
|---|---|
| 改定率 | 令和9年度政府予算編成の過程 |
| 各サービスの基本報酬の単位数 | 令和9年1月頃の諮問・答申、その後の告示 |
| 加算の新設・廃止・要件 | 同上 |
| 処遇改善加算の加算率・区分 | 同上 |
| 改定事項ごとの施行日 | 今後の正式な公表内容 |
| 特定地域サービスの人員配置基準・報酬 | 分科会での検討を経て、省令等に規定される予定 |
| 特定地域の対象地域の範囲 | 国が高齢者の人口密度や高齢者人口の減少などに着目した客観的な基準を設定する予定 |
| 中山間地域の加算の見直しの中身 | 分科会での検討 |
| 地域区分(級地)の見直し | 分科会での検討 |
| 報酬体系の整理・簡素化の対象 | 分科会での検討 |
| ケアマネジャー更新制廃止の施行日 | 公布後1年6月以内に政令で定められる |
事業所が今からできる準備
単位数が出るのは令和9年1月頃です。それまでに整理しておくと、内容が示された段階ですぐ動けます。
| やること | 目的 |
|---|---|
| サービス別の収入・費用・収支差率を整理する | 自事業所の経営状況と費用増の影響を把握する |
| 基本報酬・加算ごとの算定件数と収入額を整理する | 個別の単位数や要件が示された段階で、増減収を試算する |
| 人員配置、研修、連携体制、記録の状況を確認する | 要件変更への対応に必要な期間と費用を見積もる |
| 処遇改善加算の区分と要件の充足状況を確認する | 上位区分の要件は改定ごとに動く。いま満たしていない要件を把握しておく |
| LIFEの提出状況を点検する | 成果の評価が議論されている。データの蓄積に時間がかかる |
| 中山間・人口減少地域に該当しうるか確認する | 特定地域サービスの対象になれば、人員基準と報酬の扱いが変わる可能性がある |
看護・リハビリテーション職は、自部署に関係する加算の要件、評価・記録、多職種連携の実施状況を整理し、管理者と共有しておきましょう。前回のように医療系サービスの施行日が後ろにずれる場合もあるため、適用時期の確認も必要です。


令和9年度介護報酬改定についてよくある質問
改定率は介護給付費分科会で決まるものではなく、政府予算編成の過程で決まります。厚生労働省のスケジュール案では、令和8年12月の基本的な考え方のとりまとめと並んで「令和9年度政府予算編成」が置かれています。
現時点では決まっていません。資料には赤字事業者が約4割という数字と、公定価格ゆえにコスト増を価格に反映できないという指摘が並ぶ一方、保険料負担への懸念と評価の適正化・重点化も書かれています。なお、全体の改定率がプラスでも、自事業所の増収が保証されるわけではありません。基本報酬や加算、算定要件の変更内容によって影響が異なります。
改定事項ごとの施行日は、今後の正式な公表内容で確認する必要があります。前回の令和6年度改定では、訪問看護・訪問リハビリテーション・居宅療養管理指導・通所リハビリテーションの基本報酬が6月施行でした。なお、社会福祉法等の一部を改正する法律による制度改正は、原則が令和9年4月1日で、ケアマネジャーの更新制廃止など一部は政令で定める日からの施行です。
違います。介護報酬は3年ごと、診療報酬は2年ごとの改定なので、両方が重なるのは6年に1度です。前回の同時改定は令和6年度でした。第256回の資料でも、令和6年度改定が診療報酬との同時改定であったことを踏まえた改定だったと整理されています。
概要資料では、国が高齢者の人口密度や高齢者人口の減少などに着目した一定の客観的な基準を設定するとされています。2026年10月時点では、その基準や対象地域の範囲は示されていません。なお特定地域サービスの対象事業所の手続きは、現行の指定ではなく市町村への登録になるとされています。
違います。新設されるのは登録施設介護(予防)支援という相談支援類型で、対象は登録制の対象となる住宅型有料老人ホームの入居者です。ホームと対等な立場でケアプラン作成と地域生活相談を包括的に提供する仕組みで、介護付きホーム等との均衡の観点から利用者負担(原則として1割)を求めます。一般の居宅介護支援が有料になるという話ではありません。
令和9年度から第10期介護保険事業計画期間が始まります。報酬改定と計画期間の初年度が重なります。改正法により、計画には介護サービス量の中長期的な推計と将来のサービス提供体制の確保に関する施策を必ず記載することとされ、都道府県の支援計画には人材確保・生産性向上・経営改善の取組と目標を明記することになりました。
まとめ
令和9年度介護報酬改定は、厚生労働省のスケジュール案では令和8年12月に報酬・基準に関する基本的な考え方をとりまとめ、令和9年1月頃に諮問・答申という流れです。基準については、自治体の条例改正に要する期間を踏まえて先行してとりまとめられます。改定事項ごとの施行日は、今後の正式な公表内容を確認してください。
5つの視点のうち、今回新しいのは②の特定地域サービスです。改正法で枠組みができ、人員配置基準と報酬はこれから検討されます。中山間地域の加算の見直しも明記されました。
もうひとつ押さえておきたいのは、資料には、物価・賃金上昇への対応と、限られた財源を有効に活用するための評価・報酬体系の見直しが併記されていることです。赤字事業者が約4割という認識と、評価の適正化・重点化・報酬体系の整理・簡素化が並んでいます。具体的な増減や算定要件への影響は、今後の検討内容を確認する必要があります。全体の改定率がプラスでも、自事業所の増収が保証されるわけではありません。
そして、報酬とは別に法律で決まっていることがあります。夜間対応型訪問介護の廃止と定期巡回・随時対応型訪問介護看護への統合、有料老人ホームの登録制、ケアマネジャーの更新制廃止、介護被保険者証の電子資格確認。施行日は制度ごとに違うので、自分の事業に関わるものから順に確認してください。
個別の単位数・算定要件が示された段階で速やかに影響を試算できるよう、サービス別の収支と加算ごとの算定件数を先に整理しておくことをおすすめします。この記事は、審議報告・答申・告示の各段階で更新します。
参考資料



