個別機能訓練加算の算定要件(通所介護)/2021年介護報酬改定後

 

2021年の介護報酬改定で通所介護の個別機能訓練加算の変更点があります。2021年1月18日に公表された介護給付費分科会の資料で、通所介護の個別機能訓練加算の内容の具体的な変更点の基本要件が明らかになりました。2021年2月19日に厚生労働省から各都道府県に発出される形で、新しい個別機能訓練加算(Ⅱ)で必要な厚生労働省へのデータ提出項目について明らかになりました。

2021年介護報酬改定の個別機能訓練加算単位数の変化

従来の個別機能訓練加算(Ⅰ)と個別機能訓練加算(Ⅱ)を統合し、人員配置基準等算定要件の見直しが行われ、単位数は以下のように変更となります。

2021年3月までの個別機能訓練加算
個別機能訓練加算(Ⅰ) 46単位/日
個別機能訓練加算(Ⅱ) 56単位/日
2021年4月からの個別機能訓練加算
個別機能訓練加算(Ⅰ)イ 56単位/日
個別機能訓練加算(Ⅰ)ロ 85単位/日  ※イとロは併算定不可
個別機能訓練加算(Ⅱ) 20単位/月(新設) ※加算(Ⅰ)に上乗せして算定

個別機能訓練加算(Ⅰ)の算定要件のポイント 2021年4月以降

個別機能訓練加算(Ⅰ)の算定要件の確認表

加算名 個別機能訓練加算(Ⅰ)イ 個別機能訓練加算(Ⅰ)ロ
単位数 56単位/日 85単位/日
機能訓練指導員の配置 専従1名以上配置(配置時間の定めなし) 専従1名以上配置(サービス提供時間帯通じて配置)
※人員欠如減算・定員超過減算を算定している場合は、個別機能訓練加算を算定しない。
※イは運営基準上配置を求めている機能訓練指導員により満たすこととして差し支えない。ロはイに加えて専従で1名以上配置する。
ニーズ把握・情報収集 通所介護・地域密着型通所介護事業所の機能訓練指導員等が、利用者の居宅を訪問し、ニーズを把握するとともに、居宅での生活状況を確認。
計画作成 居宅訪問で把握したニーズと居宅での生活状況を参考に、多職種共同でアセスメントを行い、個別機能訓練計画を作成。
機能訓練項目 利用者の心身の状況に応じて、身体機能及び生活機能の向上を目的とする機能訓練項目を柔軟に設定。訓練項目は複数種類準備し、その選択に当たっては利用者の生活意欲が増進されるよう利用者を援助する。
訓練の対象者 5人程度以下の小集団又は個別
訓練の実施者 機能訓練指導員が直接実施(介護職員等が訓練の補助を行うことは妨げない)
進捗状況の評価 3か月に1回以上実施し、利用者の居宅を訪問した上で、居宅での生活状況を確認するとともに、当該利用者又はその家族に対して個別機能訓練計画の進捗状況等を説明し、必要に応じて個別機能訓練計画の見直し等を行う。

個別機能訓練加算(Ⅰ)の居宅訪問チェックやニーズ把握

通所介護の個別機能訓練加算(Ⅰ)では、2021年3月以前の個別機能訓練加算と同様に、3か月に1回以上個別機能訓練計画の進捗状況の評価や説明、利用者の居宅訪問を行った上で生活状況を把握するなどが引き続き必要となっています。なお、居宅訪問の際に使用する様式は「居宅訪問チェックシート」から「生活機能チェックシート」に改められ、評価項目にはバーセルインデックスを用いてADLを評価することなどの変更があります。

生活機能チェックシート

生活機能チェックシート 旧居宅訪問チェックシートにあたる項目

興味・関心チェックシート

興味・関心チェックシート(任意)

個別機能訓練計画書の作成方法と様式

個別機能訓練計画書についても2021年4月から新様式が採用されています。
新しい個別機能訓練加算(Ⅰ)イ・ロでは、利用者の生活上のニーズを多角的に把握した上で、利用者が住み慣れた地域で居宅において可能な限り自立して暮らし続けることができるように機能訓練の長期目標は生活機能の構成要素である「心身機能」「活動」「参加」をバランスよく取り入れて組み立てることが求められます。算定要件として明記はされていませんが、心身機能・活動・参加というとらえ方は、ICF(国際生活機能分類)の概念を採用したものと考えられます。今までの個別機能訓練加算と比べると、より高度で多角的な観点から利用者の生活を捉えて、自立した暮らしに働きかけることが望まれています。目標を達成するために必要な行為ごとに細分化し短期目標を設定し、短期目標を達成するための機能訓練項目を設定するという構造で一人一人の利用者ごとに個別機能訓練計画を立てます。
別紙様式3:個別機能訓練計画書(2021年4月から)

2021年4月からの個別機能訓練計画書様式のエクセルファイル

2021年4月からの個別機能訓練計画書様式のエクセルファイルは、こちらの厚生労働省「令和3年度介護報酬改定について」のページにある「別紙様式3-3(個別機能訓練計画書) [121KB]」が最新の計画書様式となっています。なお、個別機能訓練計画書の内容は、LIFEに情報提出することで算定できる個別機能訓練加算(Ⅱ)の情報提出項目と対応しています。

個別機能訓練の実務については、以下をご確認ください

個別機能訓練計画書の作成方法や目標例、実施方法などの実務面については、外部サイトのこちらがわかりやすくまとまっています。

個別機能訓練加算<個別機能訓練計画書の作成方法>2021年報酬改定対応版
個別機能訓練加算<実施方法・訓練時間・評価内容>2021年報酬改定対応版

 

個別機能訓練加算(Ⅱ) 単位数:20単位/月 (LIFE/CHASEへのデータ提出)

2021年4月以降の個別機能訓練加算(Ⅱ)は、LIFEへのデータ提出が算定要件となっています。

LIFEへのデータ提出と厚生労働省からのフィードバックの活用によるPDCA サイクルの推進・ケアの向上を図ることを評価する加算となっています。

個別機能訓練加算(Ⅱ)のLIFEへのデータ提出項目

個別機能訓練加算(Ⅱ)で必要な科学的介護情報システム「LIFE」へのデータ提出項目については、2021年2月19日厚生労働省から「科学的介護情報システム(LIFE/CHASE/VISIT)」の活用等についてデータ提出等が要件となる加算・LIFEの活用の方法等に関する基本通知が発出され、具体的な項目と様式例が示されました。

個別機能訓練加算(Ⅱ)を算定する場合には、3月に一度以上の頻度で、生活機能チェックシートにある「ADL評価」、「IADL」、「起居動作」、個別機能訓練計画書にある「評価日」、「職種」、「作成日」、「前回作成日」、「初回作成日」、「障害高齢者の日常生活自立度及び認知症高齢者の日常生活自立度」、「健康状態・経過(病名及び合併疾患・コントロール状態に限る。)」、「個別機能訓練の目標」及び「個別機能訓練項目(プログラム内容、留意点、頻度及び時間に限る。)」の各項目に係る情報をLIFEに提出することとされています。

「個別機能訓練の目標」はICFコードで提出します。長期目標・短期目標をLIFEに提出する際のICFコードはこちら。

「個別機能訓練項目」は支援コードで提出します。訓練項目をLIFEに提出する際の支援コードはこちら。

LIFEに情報提出する際の計画書や評価表などの様式例について詳しくはこちら。

生活機能向上連携加算との違いや同時算定

個別機能訓練加算と生活機能向上加算は似ている部分もありますが異なる加算です。

個別機能訓練加算は事業所に所属する機能訓練指導員が利用者に対して直接機能訓練を提供することで算定する加算ですが、生活機能向上加算は事業所の機能訓練指導員が計画的に機能訓練を提供できない場合にも算定できます。

生活機能向上加算は、外部のリハビリテーション専門職等との連携による自立支援・重度化防止に資する介護の推進を図るもので、外部のリハビリテーション専門職等が定期的に利用者の状態を適切に把握し、個別機能訓練計画や助言した場合について評価する加算です。

個別機能訓練加算の要件緩和とデータ提出の課題

通所介護での新しい個別機能訓練加算では、従来の個別機能訓練加算と比較して算定の障壁を下げて規模の小さい通所介護施設などでも判定できるように人員基準などを配慮することが起動されてきました。また、従来の個別機能訓練加算で判断が難しかった訓練の目標や訓練の内容についても柔軟な設定が可能という緩和する方向で改定がなされました。

実態としては、通常の個別機能訓練加算を提供するだけであれば確かに要件的には緩和されているという印象を受けますが、今回の報酬改定で特に力を入れている厚生労働省へのデータ提出を意識して取り組むとすると、データ提出する項目の構造がかなり複雑であるため介護事業者の事務的な面の太陽はなかなか難しいという印象です。

通所介護以外の授業形態でも同様ですが、厚生労働省へのデータ提出項目をしっかりと収集したり、データを提出できる形に成形したりする作業はなかなか難しいと思います。この辺りは利用する介護ソフトがどこまで厚生労働省の法人や指定に合わせて対応していくか、2025年の報酬改定を見据えてかなり手間は増えますが厚生労働省が指定した科学的介護に役立つといわれる項目を書いた提出しているか、事業者の判断が問われる状況です。

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