義足・義手の費用はいくら?3つの公的制度と自己負担、耐用年数、対象外となる場面

義足や義手は、数十万円から百万円を超えるものまであります。ただし公的制度で支給額を算定するときの価格は、製作所が自由に決めるのではなく、国の告示で定められた基準額をもとに計算されます。 そして、状況に応じて医療保険・補装具費支給制度・労災保険などが利用でき、補装具費支給制度では所得区分に応じた自己負担の上限が設けられています。
この記事では、義足・義手の費用の算定のしかた、使える3つの制度とその選び方、自己負担額、耐用年数の正しい意味、そして公的制度の対象外となる場面までを整理します。
なお、申請の手順や修理・再支給の流れ全体については、こちらで整理しています。
この記事は「いくらかかるのか」に絞った内容です。
義足・義手の値段はどう決まるのか

まず、義足・義手の値段の決まり方から押さえておくと、その後の話が分かりやすくなります。
公的制度の支給額は、国の基準額をもとに算定される
意外に知られていませんが、公的制度で支給額を算定するときの価格は、製作所が自由に決めているわけではありません。
厚生労働省(現在はこども家庭庁との共同告示)の「補装具の種目、購入等に要する費用の額の算定等に関する基準」によって、種目ごとの基本価格、製作要素の単価、完成用部品の価格が定められています。補装具費支給制度でも、医療保険の治療用装具でも、この基準をもとに支給額が計算されます。
この告示が定めているのは「支給額を算定するときの基準」であって、市場の販売価格そのものを国が一律に決めているわけではありません。
厚生労働省の通知にも、購入基準は「支給額を算定する場合の基準であって、支給対象となる治療用装具の範囲までも示したものではない。最終的には、保険者判断により支給する」と明記されています。全額自費で購入する場合の価格は、この基準に縛られるものではありません。
この告示は繰り返し改正されており、令和7年3月31日にも改正が行われました。部品の価格改定や新しい部品の追加が、随時反映されているということです。前回の記事で触れた筋電義手の制御システムが「補装具等完成用部品」に登録されたというのも、この仕組みの話です。その後も改正が行われているため、金額を確認する際は必ず最新版をご覧ください。 完成用部品の指定や価格は、告示本体の改正がない年度でも更新されることがあります。
「基本価格+製作要素+完成用部品」の積み上げ
義肢の価格は、おおまかに次の3つを足し合わせて算定されます。
| 要素 | 内容 |
|---|---|
| 基本価格 | 採型区分に応じた価格。切断のレベルや採型の難易度で決まります |
| 製作要素価格 | ソケットの種類、支持部、足部など、構造ごとの価格 |
| 完成用部品 | 膝継手、足部、ライナー、電動ハンドなど、既製部品の価格 |
つまり「同じ下腿義足」でも、どの部品を選ぶかで金額が大きく変わります。 一般に、下腿義足ではライナーと足部の選択、大腿義足ではライナー・膝継手・足部の選択が、価格を左右する主な要素になります。
何によって金額が変わるのか
「義足はいくら」と一言で答えにくいのは、部品の選択で大きく変わるからです。同じ切断レベルでも、選ぶ部品によって金額は何倍にもなります。
| 種類 | 金額を左右する主な要素 |
|---|---|
| 下腿義足 | ライナー、足部の選択で大きく変動 |
| 大腿義足 | ライナー、膝継手、足部の選択で大きく変動。とくに膝継手の影響が大きい |
| 装飾用義手 | 外観の仕上げ。駆動部がないぶん構成はシンプル |
| 能動義手 | 手先具、ハーネス |
| 筋電義手 | 電動ハンド、電極、制御システム |
具体的な金額として公的資料で確認できるのは、小児筋電義手一式で150万円程度という数字です(国立障害者リハビリテーションセンターが2023年に公表した解説による)。
そのほかの義肢については、ネット上に「下腿義足で○○万円」といった相場が出回っていますが、部品構成しだいで幅が大きく、一律の目安を示すことにあまり意味がありません。 実際の金額は、製作をお願いする義肢装具製作所に見積もりを確認するのが確実です。
金額だけ見ると気が遠くなりますが、ここからが制度の話です。

義足・義手の製作・購入に使える制度は3つ
義足・義手の費用をカバーする公的な仕組みは、大きく3つです。どれが使えるかは「なぜ切断に至ったか」と「いつの段階か」で決まります。
| 制度 | 使う場面 | 窓口 | 支払い方 |
|---|---|---|---|
| ① 医療保険 (治療用装具の療養費) | 切断直後〜リハビリ段階の訓練用仮義肢 | 加入している健康保険 | いったん全額払って、後から払い戻し |
| ② 補装具費支給制度 (障害者総合支援法) | 身体障害者手帳を取得した後の日常生活用の義肢 | 市町村 | 償還払いまたは代理受領 (市町村の取扱いによる) |
| ③ 労災保険 | 仕事中・通勤中の事故による切断 | 労働基準監督署 | 支給要件を満たせば支給 |
① 医療保険 症状固定前の練習用仮義足などは「治療用装具」
切断した直後、まだ身体障害者手帳を持っていない段階でも、リハビリのために義足が必要になります。この時期に作るのが練習用仮義足(訓練用仮義肢)です。
医師が治療上必要と認めたものは治療用装具として、医療保険の療養費の対象になります。厚生労働省の通知では、療養費の支給対象となる治療用装具を「症状が固定する前に、医師の指示のもと装具療法として用いられる疾病又は負傷の治療遂行上必要な範囲のもの」と定義しています。
ここでいう症状固定とは、治療を続けても大きな改善が見込みにくい状態として判断される時点のことです。この前か後かで、使える制度が変わってきます。
つまり「最初だから必ず医療保険」というルールではなく、「症状固定前の治療のため」という位置づけがポイントです。また、療養費の支給対象は1回の処方で1部位に対して1装具とされています。なお、症状固定前の練習用仮義足については、一回に限り療養費の支給対象とされています。
療養費は償還払いです。窓口で3割だけ払えばよい通常の診療とは違い、製作費を全額いったん自分で支払い、後から保険者に申請して払い戻しを受けるという流れになります。
義肢は製作内容によって高額になることがあります。「一時的にまとまったお金が必要になる」ことを、事前にご本人・ご家族へ伝えておくべき場面です。ここを知らずに驚かれるケースは、現場でもよくあります。
申請には医師の意見書(装具装着証明書等)と領収書が必要です。高額療養費制度の対象にもなり得ますので、あわせて確認しておくと負担が軽くなる場合があります。
② 補装具費支給制度 手帳を取ってからの本義足
身体障害者手帳を取得した後、日常生活で継続して使う義肢は、障害者総合支援法の補装具費支給制度の対象になります。いわゆる本義足・更生用義肢です。
この制度が、義足・義手の費用を考えるうえでいちばん中心になる仕組みです。
償還払い方式 いったん全額を支払い、後から市町村に請求して9割相当額の支給を受けます。
代理受領方式 利用者は自己負担分だけを事業者に支払い、残りは事業者が市町村へ請求します。
代理受領を採用している自治体は多いのですが、「補装具費支給制度なら立て替え不要」と言い切ることはできません。 代理受領を利用できるかどうかは、事前に市町村に確認してください。
③ 労災保険 仕事中・通勤中の事故なら
仕事中や通勤中の事故による切断では、一定の要件を満たす場合、労災保険の社会復帰促進等事業による義肢等補装具費支給の対象となります。
労災の場合、タイミングが重要です。 国立障害者リハビリテーションセンターは、筋電義手の訓練について「労災保険の適用となる新規切断者の方で練習を希望する方は、症状固定をする前にご相談ください」と案内しています。症状固定の後では手続きが複雑になります。
交通事故の場合は、また別のルート
交通事故による切断では、自賠責保険や任意保険からの賠償が重要になります。また、重度の後遺障害が残った場合にはNASVA(独立行政法人 自動車事故対策機構)の介護料支給制度などが関わることもあります。
なお、交通事故でも健康保険を利用できる場合があります。 ただし第三者行為による傷病届の提出が必要になるなど手続きが異なりますので、加入している保険者や保険会社にご確認ください。過失割合や示談の内容によって扱いが変わる領域です。
加害者側との示談の内容によって扱いが変わるため、示談を急がず、義肢の将来の作り替え費用まで含めて検討することが重要です。義肢は一度作れば終わりではないからです。
どれが使えるかの判断
実際には、①で仮義足をつくって訓練し、手帳を取得して②で本義足に移行するという流れをたどる方が多くなります。制度が切り替わるタイミングがあることを、支援する側は知っておきたいところです。
自己負担はいくらになるか
補装具費支給制度で支給決定を受けた場合、利用者の負担は原則1割です。そのうえで、世帯の所得区分に応じた月額の上限があります。
| 区分 | 世帯の状況 | 負担上限月額 |
|---|---|---|
| 生活保護 | 生活保護世帯 | 0円 |
| 低所得 | 市町村民税非課税世帯 | 0円 |
| 一般 | 市町村民税課税世帯 | 37,200円 |
ただし、これは「基準額の範囲内で支給決定された場合」の話です。 本人が希望するデザインや素材などについて、差額を自己負担したうえで支給が認められる場合もありますが、高機能な部品であれば差額を払うだけで自由に選べるという仕組みではありません。どの部品が支給の対象になるかは必要性の判断を経て決まります。ここは事前に義肢装具士とよく相談してください。
障害児は2024年4月に所得制限が撤廃された
ここは比較的新しい変更で、まだ知られていない部分です。
| 従前 | 令和6年4月1日以降 | |
|---|---|---|
| 障害児 | 市町村民税所得割の最多納税者が46万円以上の場合、支給対象外・全額自己負担 | 所得制限を撤廃。所得を理由に対象外となることはなくなった |
| 18歳以上 | 本人または配偶者のうち市町村民税所得割の最多納税者が46万円以上の場合、支給対象外 | 変更なし(所得制限は現在も継続) |
こども家庭庁は、この変更を「年収約1,200万円以上の障害児の世帯を支給対象とする」と説明しています(父母子1人のケース)。
ただし、所得制限がなくなったことと、申請すれば必ず支給されることは別です。 個々の補装具については、従来どおり必要性の判定と支給決定の手続きが必要になります。
何年で作り替えられるのか 耐用年数
費用の話でもうひとつ重要なのが耐用年数です。
ここは誤解が多いところなので、定義から正確に押さえてください。
耐用年数とは、通常の使用状態において、その補装具が修理不能となるまでの予想年数として国が定めた目安です。
「この年数が過ぎれば必ず新しいものが支給される」「この年数が経つまでは絶対に再支給されない」という意味ではありません。
厚生労働省の通知にも、患者の病態や治療経過等によって実耐用年数は異なるため、再支給や修理の際には「耐用年数を一律に適用することなく、個々の実情に沿った対応が行われるよう配慮すること」と明記されています。
そのうえで、告示に定められた年数は次のとおりです。実務上の目安として使ってください。
義足の耐用年数
| 名称 | 型式 | 耐用年数 |
|---|---|---|
| 股義足 | — | 4年 |
| 大腿義足 | 差込式 | 3年 |
| 大腿義足 | ライナー式 | 3年 |
| 大腿義足 | 吸着式 | 5年 |
| 膝義足 | 差込式 | 3年 |
| 膝義足 | ライナー式 | 3年 |
| 膝義足 | 吸着式 | 5年 |
| 下腿義足 | — | 2年 |
| サイム義足 | — | 2年 |
| 足根中足義足 | 下腿部支持式 | 2年 |
| 足根中足義足 | 足袋式 | 1年 |
| 足趾義足 | — | 1年 |
注目したいのは同じ大腿義足でも、差込式・ライナー式は3年、吸着式は5年という差です。そして下腿義足は2年と短く設定されています。
義手の耐用年数
| 名称 | 型式 | 耐用年数 |
|---|---|---|
| 上腕義手 | 能動式 | 3年 |
| 上腕義手 | 電動式 | 3年 |
| 上腕義手 | その他(装飾用以外) | 3年 |
| 上腕義手 | その他(装飾用) | 4年 |
| 肘義手 | — | 3年 |
| 前腕義手 | — | 3年 |
| 手義手 | — | 3年 |
| 手部義手 | 能動式 | 3年 |
| 手部義手 | 電動式 | 3年 |
| 手部義手 | その他(装飾用以外) | 2年 |
| 手部義手 | その他(装飾用) | 1年 |
| 手指義手 | 能動式 | 2年 |
| 手指義手 | その他(装飾用以外) | 2年 |
| 手指義手 | その他(装飾用) | 1年 |
電動式義手(筋電義手を含む)の告示上の耐用年数は3年です。ただし、3年ごとに自動的に新品へ作り替えられるという意味ではありません。実際の再支給は、身体状況、使用状況、修理で対応できるかどうかを踏まえて個別に判断されます。
それでも、義肢は長い年月のあいだに修理や再製作が必要になるものです。100万円を超えるものを自費で維持し続けるのが現実的でないことは、ここからも分かります。
耐用年数のあいだに壊れたら
原則として、耐用年数内の破損・故障は「修理」で対応します。告示でも、耐用年数以内の故障に際しては原則として小部品の取替えにより修理または調整を行うこととされています。
修理も補装具費支給制度の対象です。「壊れたから買い替え」ではなく、まず修理で対応できないかを相談するのが基本の流れになります。
耐用年数が過ぎたら自動的に作り替えられるわけではなく、まだ使えるなら使い続けることになります。 逆に、耐用年数内であっても、身体の状況が大きく変わって修理では対応できない場合には、再支給が認められることがあります。
とくに成長期のお子さんは、身体の成長でソケットが合わなくなるため、耐用年数にかかわらず作り替えが必要になります。こうした例外的な取扱いについては、市町村や身体障害者更生相談所にご相談ください。
公的制度の対象外となる場面
ここが、あまり整理されていない部分だと思います。義足・義手のすべてが制度でカバーされるわけではありません。
趣味・競技専用の義足は原則対象外。ただし例外がある
パラリンピックなどで見る、板バネ状の競技用義足。趣味や競技だけに使用する競技専用義足は、原則として補装具費支給制度の対象外です。
理由は制度の目的にあります。補装具費支給制度は「日常生活を送るうえで必要な移動等の確保」「就労場面における効率の向上」を目的とした仕組みだからです。
ここは見落とされやすいところです。厚生労働省の補装具費支給に係るQ&A(令和4年3月31日事務連絡)には、作業用義肢について次のように示されています。
「作業用に関しては、幹部や鉄脚を含まない構成であっても、使用場面により作業用義肢として判断できる場合がある(例として、小児の体育用義手や運動を職業とする者に対してのスポーツ用義足等)」
つまり学校教育で使う体育用義肢や、スポーツを職業とする方の義足など、教育上・就労上の必要性が認められる場合には、作業用義肢等として支給対象になることがあります。 令和4年度の告示改正で、義手用・義足用の型式に「作業用」が設定されたのも、こうした実態を踏まえたものです。
「競技用だから絶対に無理」と決めつけないこと。 用途が趣味・競技だけなのか、教育や職業に関わるのかで、判断が変わり得ます。迷う場合は市町村や身体障害者更生相談所に相談してください。
なお、医療保険の治療用装具については、厚生労働省の通知で「スポーツなどの一時的使用を目的としたものは療養費の支給対象とならない」と明記されています。こちらは補装具費支給制度とは別の判断になります。
ただし、自治体独自の助成がある場合も
国の制度の対象外でも、自治体が独自に助成を行っている場合があります。
たとえば名古屋市には「障害者スポーツ競技用補装具等購入費補助事業」があります。こうした制度は全国一律ではなく、実施している自治体とそうでない自治体があります。
「国の制度で無理だった」で終わらせず、お住まいの自治体のスポーツ振興担当や障害福祉担当に確認する価値があります。 支援する立場の方も、この選択肢を持っておくと提案の幅が広がります。
動物用の義足には、そもそも制度がない
ここまで見てきた制度は、すべて人を対象としたものです。
犬や猫の義足・装具も実際に存在します。日本では東洋装具医療器具製作所が2007年から動物専用の義肢装具を手がけており、犬や猫だけでなく、うさぎ、鳥、ヤギ、馬にまで対応してきました。創業者は人の義肢装具士の国家資格を持つ方です。
ただし、動物用の義肢装具に公的な支給制度はありません。 ペット保険で補償されるかどうかは保険商品によって異なるため、契約内容の確認が必要です。基本的には飼い主の自費と考えておくべき領域です。
なお、動物用の義肢装具をつくるのに、義肢装具士の国家資格は必須ではありません。 国家資格が規定しているのは人に対する業務だからです。それでも国家資格を持つ方がこの分野を切り開いてきたというのは、技術がそのまま応用できる領域だということでもあります。
そのほか、対象外になりやすいもの
こうした制度の内側と外側を扱っているのが義肢装具士です。仕事の実態や待遇については、こちらで整理しています。

よくある質問
部品構成で大きく変わるため、一律の目安を示すことにあまり意味がありません。公的資料で確認できるのは小児筋電義手一式で150万円程度という数字です(国立障害者リハビリテーションセンターの2023年の解説による)。公的制度で支給額を算定するときの価格は、厚生労働省(こども家庭庁との共同)の告示「補装具の種目、購入等に要する費用の額の算定等に関する基準」にもとづき、基本価格+製作要素価格+完成用部品価格を積み上げて計算されます。ただしこの告示は支給額を算定するための基準であって、市場の販売価格そのものを国が決めているわけではありません。金額を左右するのは、下腿義足ではライナーと足部、大腿義足ではライナー・膝継手・足部の選択です。実際の金額は製作をお願いする義肢装具製作所に見積もりを確認してください。
補装具費支給制度で基準内の支給決定を受けた場合、原則1割負担で、月額の上限は市町村民税課税世帯37,200円、非課税世帯および生活保護世帯は0円です。ただしこれは基準額の範囲内で支給決定された場合の話で、希望するデザインや素材について差額を自己負担したうえで支給が認められる場合はあるものの、差額さえ払えば高機能な部品を自由に選べるという仕組みではありません。なお支払い方には償還払い(いったん全額支払い、後から請求)と代理受領(自己負担分のみ支払い)の2つがあります。代理受領を利用できるかは市町村にご確認ください。また18歳以上の方には、本人または配偶者の市町村民税所得割額による所得制限(最多納税者が46万円以上で対象外)が残っています。障害児については2024年4月に所得制限が撤廃されました。
通常は別の制度になります。リハビリのために作る練習用仮義足は、医師が治療上必要と認めた治療用装具として医療保険の療養費の対象になります。厚生労働省の通知では、療養費の対象となる治療用装具を「症状が固定する前に、医師の指示のもと装具療法として用いられる…治療遂行上必要な範囲のもの」と定義しています。注意したいのは支払い方で、療養費は償還払いです。製作費をいったん全額自分で支払い、後から保険者に申請して払い戻しを受ける流れになります。一時的にまとまった支出が必要になることを、事前にご家族へ伝えておくことが大切です。手帳取得後の日常生活用の義肢は、補装具費支給制度に移行します。
告示で種目ごとに耐用年数が定められています。義足では下腿義足2年、大腿義足は差込式・ライナー式が3年、吸着式が5年、股義足4年などとなっています。義手では上腕義手・前腕義手が3年、装飾用の上腕義手は4年、手指義手は2年などです。ただし耐用年数とは「通常の使用状態において、その補装具が修理不能となるまでの予想年数」であって、「その年数で必ず作り替える」「その年数までは絶対に再支給されない」という意味ではありません。厚生労働省の通知でも、再支給や修理の際には耐用年数を一律に適用することなく個々の実情に沿った対応を行うよう配慮することとされています。まだ使えるなら使い続けますし、逆に身体状況が大きく変わって修理で対応できない場合は、耐用年数内でも再支給が認められることがあります。成長期のお子さんは、耐用年数にかかわらず作り替えが必要になります。
いいえ。修理も補装具費支給制度の対象です。告示でも、耐用年数以内の故障については原則として小部品の取替えにより修理または調整を行うこととされています。「壊れたから買い替え」ではなく、まず修理で対応できないかを相談するのが基本の流れです。修理の申請も市町村の窓口になります。
趣味や競技だけに使用する競技専用義足は、原則として補装具費支給制度の対象外です。この制度は「日常生活を送るうえで必要な移動等の確保」「就労場面における効率の向上」を目的としているためです。
ただし例外があります。 厚生労働省の補装具費支給に係るQ&A(令和4年3月31日事務連絡)では、作業用義肢について「使用場面により作業用義肢として判断できる場合がある(例として、小児の体育用義手や運動を職業とする者に対してのスポーツ用義足等)」と示されています。学校教育で使う体育用義肢や、スポーツを職業とする方の義足など、教育上・就労上の必要性が認められる場合には支給対象になることがあります。
また、自治体が独自の助成制度を設けている場合もあります。たとえば名古屋市には「障害者スポーツ競技用補装具等購入費補助事業」があります。全国一律ではありませんので、お住まいの自治体の障害福祉担当やスポーツ振興担当にも確認してみてください。
公的な支給制度はありません。 この記事で紹介した制度は、すべて人を対象としたものです。ペット保険で補償されるかどうかは保険商品によって異なりますので、契約内容をご確認ください。基本的には飼い主の自費と考えておくべき領域です。なお日本では東洋装具医療器具製作所が2007年から動物専用の義肢装具を手がけており、犬や猫のほか、うさぎ、鳥、ヤギ、馬にも対応してきたとされています。
自賠責保険や任意保険からの賠償が基本になります。重度の後遺障害が残った場合には、NASVA(独立行政法人 自動車事故対策機構)の制度が関わることもあります。注意したいのは示談のタイミングです。義肢は一度作れば終わりではなく、将来、修理や再製作が必要になる可能性があります。将来の費用まで含めて検討することが重要ですので、示談を急がず、必要に応じて弁護士等にご相談ください。なお交通事故でも健康保険を利用できる場合がありますが、第三者行為による傷病届の提出など手続きが異なります。
まとめ
義足・義手の費用は、金額だけを見ると重く感じられます。ただし公的制度の支給額は国の基準額をもとに算定され、制度を使えば自己負担には上限がかかります。
支援する立場で最も気をつけたいのは、訓練用仮義肢の償還払いだと思います。制度が使えること自体は伝わっていても、「いったん全額払う」という部分が抜け落ちていると、請求書を見た段階でご家族が困ることになります。
もうひとつは耐用年数の感覚です。義肢は一度つくれば終わりではありません。下腿義足は2年、電動式義手は3年など、告示上の耐用年数が設定されています。ただし実際の再支給は、身体状況、使用状況、修理で対応できるかどうかを踏まえて個別に判断されます。 とくに交通事故の示談では、将来の作り替え費用が見落とされやすいところです。
なお、この記事は一般的な情報の整理です。個別の支給可否、負担額、耐用年数の取扱いは状況によって異なりますので、お住まいの市町村、身体障害者更生相談所、または労働基準監督署にご確認ください。
参考資料
2024年・2025年・2026年
介護保険・介護報酬改定の情報
令和8年度(2026年)障害福祉サービス等報酬改定の概要と変更点まとめ
2026年(令和8年)介護報酬改定の全体像についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
介護報酬改定2026年(令和8年度)まとめ|いつから・変更点・対象サービスをわかりやすく解説
令和6年~8年 地域区分(介護)区市町村の等級一覧(2024年4月~)
介護保険区分支給限度基準額一覧(要支援・要介護)
New! 令和8年(2026年)介護報酬改定
- 令和8年度介護報酬改定 介護職員の給与を最大月1.9万円賃上げの内容
- 令和8年度版「介護職員等処遇改善加算」算定要件・配分ルール・計算方法
- 国保中央会運用「LIFE」2026年5月11日〜7月31日に移行作業しないと加算の継続算定できない
- 介護情報基盤とは?事業所がやるべき準備と期限・助成金・電子証明書【2026年】
New!令和8年(2026年)介護報酬改定介護報酬改定後の介護保険サービスごとの介護報酬・単位数
介護保険の居宅サービス介護給付費単位数(対象:要介護)
- 居宅介護支援費 2026年6月からの介護報酬・単位数一覧
- 訪問介護費 2026年6月からの介護報酬・単位数一覧
- 訪問看護費 2026年6月からの介護報酬・単位数一覧
- 訪問リハビリテーション費 2026年6月からの介護報酬・単位数一覧
- 通所介護費(デイサービス) 2026年6月からの介護報酬・単位数一覧
- 通所リハビリテーション費(デイケア) 2026年6月からの介護報酬・単位数一覧
- 短期入所生活介護費(ショートステイ) 2026年6月からからの介護報酬・単位数一覧
- 居宅療養管理指導費 2026年6月からの介護報酬・単位数一覧
- 福祉用具貸与費 2026年6月からの介護報酬・単位数一覧
地域密着型サービスの単位数改定内容
- 地域密着型通所介護費(小規模デイサービス) 2026年6月からの介護報酬・単位数一覧
- 認知症対応型共同生活介護費(認知症グループホーム) 2026年6月からの介護報酬・単位数一覧
- 小規模多機能型居宅介護費(認知症グループホーム) 2026年6月からの介護報酬・単位数一覧
介護予防サービス(対象・要支援)
- 介護予防支援費 2026年6月からの介護報酬・単位数一覧
- 介護予防訪問看護費 2026年6月からの介護報酬・単位数一覧
- 介護予防居宅療養管理指導費 2026年6月からの介護報酬・単位数一覧
- 介護予防短期入所生活介護費(要支援のショートステイ) 2026年6月からの介護報酬・単位数一覧
- 介護予防訪問リハビリテーション費 2024年6月からの介護報酬・単位数一覧
- 介護予防通所リハビリテーション費 2024年6月からの介護報酬・単位数一覧
介護予防・日常生活支援総合事業費(要支援・事業対象者)の改定内容
施設サービス等介護給付費単位数の改定内容
- 介護福祉施設サービス費(特別養護老人ホーム) 2026年6月からの介護報酬・単位数一覧
- 介護保健施設サービス費(介護老人保健施設:老健) 2026年6月からの介護報酬・単位数一覧
- 介護医療院費 2026年6月からの介護報酬・単位数一覧
- 特定施設入居者生活介護費(介護付き有料老人ホームなど) 2026年6月からの介護報酬・単位数一覧
2026年(令和8年度)・2024年 介護報酬改定で特徴的な加算・制度
- 介護事業所の「人員基準欠如減算」とは?介護給付費原則3割減算の内容・届出・猶予期間
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- 高齢者虐待防止措置未実施減算の算定要件・対象・単位・厚労省Q&A
- 居宅介護支援の「特定事業所加算」算定要件
- 生産性向上推進体制加算の算定要件
- 見守り機器等のテクノロジーとは?生産性向上推進体制加算
- 【2026年版】科学的介護情報システム「LIFE」とは データ提出・利用方法を解説!
- 科学的介護情報システム(LIFE)2024年-2026年厚生労働省Q&Aまとめ
- 個別機能訓練加算(Ⅰ)サービス種別ごとの単位数・算定要件【2024/2025年】
- 認知症チームケア推進加算の算定要件 必要資格や研修を解説!
- 2024年(令和6年)6月からの「介護職員処遇改善加算」
- 2024年~ 居宅ケアマネのオンラインモニタリングの条件・要件
- 認知症介護基礎研修 eラーニングの内容・2024年義務化の対象者などを解説!
- 2025年から経営情報報告義務「介護事業財務情報データベースシステム」とは?
利用者負担軽減の仕組みの改定
補足給付(負担限度額認定)に関わる見直しは、以下のとおりです。
令和6年8月1日施行 基準費用額の見直し
令和7年8月1日施行 多床室の室料負担
令和8年8月1日施行 食費基準費用額の1,445円→1,545円、低所得者の食費負担限度額の段階別変更

