特定地域サービスとは?2027年4月創設・対象地域・人員配置基準と報酬のしくみ

特定地域サービスは、2026年6月に成立した社会福祉法等の一部を改正する法律で創設された、中山間・人口減少地域向けの新しい仕組みです。地域の実情に応じた配置基準や包括的な評価の仕組みを導入できる特例介護サービスの類型として新設され、施行日は令和9年4月1日とされています。
あわせて、市町村が事業として居宅介護サービス等を実施できる「特定地域居宅サービス等事業」も創設されます。この記事では2つの仕組みの違いを整理し、すでに示されている対象地域の素案と、今後の検討に委ねられていることを分けて解説します。
本記事は厚生労働省の改正法の広報資料と、介護保険部会(第135回 令和8年6月29日)資料3「特定地域(中山間・人口減少地域)の考え方について」、および改正法の公布通知をもとにしています(2026年10月時点)。対象地域については数値を含む素案が公表済みですが、確定した適用基準ではありません。人員配置基準の具体的な人数・要件や報酬の単価は、今後の検討と省令等で定まります。
特定地域サービスとは
特定地域サービスについて、改正法の概要資料では、次のように説明されています。
中山間・人口減少地域において、地域の実情に応じた配置基準や包括的な評価の仕組みを導入できる特例介護サービスの類型(特定地域サービス)を新設します。また、地域のサービス提供主体が少ない場合に、市町村が事業として居宅介護サービス等を実施できる「特定地域居宅サービス等事業」を創設します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 根拠法 | 社会福祉法等の一部を改正する法律(令和8年法律第51号) |
| 公布日 | 令和8年6月25日 |
| 施行日 | 令和9年4月1日(この改正事項は例外規定に含まれていない) |
| 位置づけ | 介護保険法上の「特例介護サービス」の新しい類型 |
| 特定地域の定義 | 人口の減少その他の厚生労働省令で定める基準に該当する地域として都道府県が定めるもの(改正後の介護保険法第42条第1項第3号) |
| 障害福祉分野 | 同様の見直しを行うとされている |
押さえておきたいのは、特定地域を定めるのは都道府県だということです。国は省令で基準を定め、それに該当する地域を都道府県が定めます。介護保険部会の資料では、市町村が指定の要否を検討し、その意向を踏まえて都道府県が対象地域を定める、という流れが示されています。
「特例介護サービス」の3つの類型
介護保険には、全国一律の基準で指定を受けたサービス以外にも、保険給付の対象とする仕組みがあります。特定地域サービスは、その3つめの類型として加わります。
| 基準該当サービス | 特定地域サービス(新類型) | 離島等相当サービス | |
|---|---|---|---|
| 対象地域 | 全国 | 中山間・人口減少地域 | 離島等 |
| 都道府県の役割 | 配置基準等に係る条例策定 | 対象地域の設定+配置基準等に係る条例策定 | (なし) |
| 市町村の役割 | 実施要綱の策定(登録手続き、報酬設定等) | 実施要綱の策定。包括的な評価の仕組みも設定可 | 実施要綱の策定(登録手続き、報酬設定等) |
| 対象事業所の手続き | 事業所が市町村に登録 | 事業所が市町村に登録 | 事業所が市町村に登録 |
| 配置基準等 | 厳格 | 中間 | 緩和 |
3類型とも手続きは「事業所が市町村に登録」で共通です。特定地域サービスだけに固有なのは、都道府県が対象地域を設定することと、市町村が包括的な評価の仕組みを設定できることの2点です。
なお離島等相当サービスは、人員基準・設備運営基準を定めずに一定の質を持つ居宅サービス相当のサービスを提供できる仕組みです。第135回資料3で紹介された実施状況では、実施保険者は17都道県・27保険者(全保険者の1.7%)にとどまっています。
なぜ「特定地域サービス」が創設されたのか
中山間・人口減少地域で「高齢者人口の減少」と「生産年齢人口の減少による介護人材の確保の困難」が進んでおり、必要なサービスを維持するために柔軟なサービス提供を可能とする仕組みが必要になっているという考えをベースに、特定地域サービスの創設が説明されています。
そのうえで、訪問介護について3つの要因を挙げています。
| 要因 | 資料の整理 |
|---|---|
| 利用者の事情による突然のキャンセル | 予定していた介護報酬を算定できず、稼働や収入が不安定になる場合がある |
| 利用者宅間の移動に係る負担 | 移動に要する時間と経費が、提供できるサービス量に影響する |
| 季節による繁閑 | 季節による利用状況の変動が、安定的な経営に影響する |
資料はこれらに高齢者人口の減少に伴うサービス需要の縮小を加えて、年間を通じた安定的な経営が難しく、サービス基盤の維持に当たっての課題となっていると整理しています。訪問介護の安定的な経営を難しくする要因として、この4つが挙げられているという理解になります。
創設される2つの仕組みの違い
資料は「中山間・人口減少地域の事業所の実情を踏まえて、選択可能な新たな給付や事業を創設します」としています。現行の指定サービスと並べて比較します。
| 項目 | 現行 (指定サービス) | ① 特定地域サービス (介護(予防)給付) | ② 特定地域居宅サービス等事業 (地域支援事業) |
|---|---|---|---|
| 地域 | 全国 | 中山間・人口減少地域 | 中山間・人口減少地域 |
| 人員配置基準 | 国の基準に従い、都道府県等が条例で規定 | 国の基準に従い、都道府県等が条例で規定 (国の基準は省令等に規定する予定) | 国の基準をもとに市町村が決定 |
| 報酬等 | 全国一律の介護報酬 | 中山間・人口減少地域の事業所の実情を踏まえた介護報酬 | 事業費(市町村が委託) |
| 報酬のイメージ | 出来高 | 出来高と包括的な評価を選択可能 | 特定地域サービスにおける報酬分に加えて、通常の圏域を超える移動経費等を含めて事業費として支払い |
| 類型 | 居宅・施設サービス等 | 居宅・施設サービス等 | 居宅サービス等 |
| 対象事業所の手続き | 指定 | 市町村に登録 | 市町村から委託等 |
① 特定地域サービスの対象範囲
公布通知によると、特例居宅介護サービス費に新たな類型を設けるのに加えて、居宅介護支援、施設サービス、介護予防サービス及び介護予防支援についても準じた改正が行われます。特例居宅介護サービス計画費、特例施設介護サービス費、特例介護予防サービス費、特例介護予防サービス計画費の類型が新設されます。
給付額は、厚生労働大臣が定める算定基準など、各サービス類型に適用される規定に基づいて市町村が定めます。具体的な報酬単価や算定方法は、今後示される基準を確認する必要があります。
特定地域では、介護老人保健施設と介護医療院の開設許可についても特例が設けられます。ただし、条例で定める施設・人員だけで許可が決まるわけではなく、国の省令による基準や設備・運営に関する基準など、所定の要件を満たす必要があります。
② 特定地域居宅サービス等事業の対象サービスは限定されている
②は居宅サービス全般を事業に移せるものではありません。公布通知には、対象となるサービスが具体的に列挙されています。
| 対象となる被保険者 | 列挙されているサービス |
|---|---|
| 特定地域に住所を有し、要介護認定を受けた被保険者のうち、居宅において介護を受けるもの | 訪問介護、訪問入浴介護、通所介護、短期入所生活介護 |
| 特定地域に住所を有し、要支援認定を受けた被保険者のうち、居宅において支援を受けるもの | 介護予防訪問入浴介護、介護予防短期入所生活介護 |
訪問看護や訪問リハビリテーションは、②の対象として列挙されていません。①での取扱いは、今後示される対象サービスと適用基準を確認する必要があります。
②は市町村が地域支援事業として実施するもので、適切に実施できるものとして省令で定める基準に適合する者に委託することができるとされています。委託を受けた者は、省令で定めるところにより利用者に利用料を請求できます。費用負担は介護予防・日常生活支援総合事業と同様です。
資料には、②の活用が考えられるケースとして「通常の訪問エリアを超えて訪問する場合」「他のサービス事業所から訪問する場合」「通所介護等に訪問機能を加える場合」の3つが図示されています。
対象地域には数値を含む素案が示されている
2026年6月の介護保険部会に、対象地域の考え方の素案が提示されています。確定した適用基準ではありませんが、具体的な数値が出ています。
既存の対象地域以外へ範囲を広げる数値条件の素案
「75歳以上人口密度=5人/㎢未満」または「75歳以上人口=1,000人未満 かつ 減少」
素案は3段階で組み立てられています。
| 段階 | 内容 |
|---|---|
| ① | 特別地域加算・離島等相当サービスの対象地域(市町村の全部指定・一部指定いずれも含む)は、国が示す基準に含める |
| ② | ①に該当しない場合、75歳以上人口密度・75歳以上人口・75歳以上人口変化率の組合せによる市町村単位の基準を満たす市町村(全域単位)を指定可能とする |
| ③ | ①②に該当しない場合、市町村内の一部地域で②の基準に該当する地域/特定のサービス類型の事業所が存在しない、僅少かつ廃止を検討しているなど、現にサービス基盤の維持が困難である地域を指定することも可能とする |
③の一部地域の範囲は、旧市町村単位、行政区単位、日常生活圏域単位が考えられるとされています。
素案で示された該当市町村数
資料には参考値として、該当する市町村数も示されています。
| 区分 | 市町村数 |
|---|---|
| 特別地域加算の対象市町村(全域指定) | 299市町村 |
| 「75歳以上人口密度=5人/㎢未満」で新たに該当 | 40市町村 |
| 「75歳以上人口=1,000人未満 かつ 減少」で新たに該当 | 17町村 |
| 合計 | 356市町村(20.5%) |
数値の根拠も示されています。特別地域加算の対象市町村(全域指定)299市町村の75歳以上人口密度は中央値3.8人/㎢、平均値7.2人/㎢で、62%が5人/㎢未満。75歳以上人口は中央値725人、平均値1,146人。これらの分布を捉える水準として5人/㎢と1,000人が置かれています。
75歳以上に着目する理由も説明されています。要介護認定率が30.8%と65歳以上全体(19.5%)を大きく上回りサービス利用の中心となる層であること、「75〜84歳の人口>85歳以上人口」であり75歳以上人口の動態が地域の介護サービスに与える影響が大きいことが挙げられています。
これは検討のための素案であり、確定した適用基準ではありません。素案の数値だけで自事業所の該当性を確定することはできません。正式な基準と、都道府県が定める対象地域を確認する必要があります。
国会の附帯決議で釘が刺されている
衆参両院の厚生労働委員会の附帯決議に、対象地域と夜勤要件についての記述があります。これは制度の運用方向を読むうえで重要です。
とくに夜勤要件については、テクノロジーが職員の代替にはならないと明記されています。緩和の議論はこの前提のうえで進みます。
既存の中山間地域向けの加算との関係
中山間地域等については、すでに3つの加算があります。
| 加算 | 単位数 | 算定要件 |
|---|---|---|
| 特別地域加算 | 所定単位数の15/100 | 別に厚生労働大臣が定める地域に所在する事業所がサービス提供を行った場合 |
| 中山間地域等における小規模事業所加算 | 所定単位数の10/100 | 別に厚生労働大臣が定める地域に所在する小規模事業所がサービス提供を行った場合 |
| 中山間地域等に居住する者へのサービス提供加算 | 所定単位数の5/100 | 別に厚生労働大臣が定める地域に居住する利用者に対し、通常の事業の実施地域を越えてサービス提供を行った場合 |
対象サービスは加算ごとに異なります。訪問系・多機能系(訪問介護、訪問入浴、訪問看護、訪問リハ、定期巡回、夜間訪問、福祉用具、居宅介護支援、居宅療養管理指導、小多機、看多機)は3つとも対象ですが、通所系(通所介護、通所リハ、認知症対応型通所介護)は5%のサービス提供加算のみが対象です。
対象サービス・算定要件・対象地域は、国の告示・通知等で定められています。自事業所の該当性や届出方法は、指定権者等の最新の案内で確認してください。
ここで押さえておきたいのは、加算と特定地域サービスは性格が違うということです。
| 既存の3つの加算 | 特定地域サービス | |
|---|---|---|
| 何をするもの | 各サービスの現行の算定方式を維持し、所定単位数に加算する | 人員配置基準と報酬体系そのものに特例を設ける |
| 人員配置基準 | 通常どおり | 弾力化の対象 |
| 報酬の形 | 現行の算定方式のまま | 包括的な評価を選択可能 |
加算は収入を上乗せする仕組みですが、人員を確保できなければ事業そのものが続きません。特定地域サービスは、基準と報酬の形を変えることで事業の継続可能性に手を入れる仕組みだと整理できます。
なお、第268回介護給付費分科会の基本的な視点(案)では、特定地域サービスとあわせて「中山間地域の加算のあり方の見直し」も挙げられています。既存の加算と新しい仕組みの両方が、令和9年度改定の議論の対象になっています。
包括払いは義務ではなく、選択できる
「特定地域サービスになると月額定額になる」と読まれやすいところですが、資料の書き方は違います。
見直し内容の見出しは「選択可能な新たな給付や事業を創設します」です。報酬等のイメージ図でも、「出来高」と「包括的な評価」が並べて示され、「包括的な評価を選択可能」と書かれています。介護保険部会の意見書でも、訪問介護について「現行のサービス提供回数に応じた出来高報酬と別途、包括的な評価(月単位の定額払い)を選択可能とすることが適当」とされています。
| 誤解されやすい読み方 | 資料の書き方 |
|---|---|
| 対象地域の事業所は包括払いに移行させられる | 包括的な評価は選択可能とされている |
| 現行の指定サービスを続けられなくなる | 選択可能な新たな給付や事業を創設するという位置づけ |
| 月額いくらかはもう決まっている | 具体的な単価や算定方法は示されていない |
意見書が挙げている、メリットと留意点
介護保険部会の意見書は、包括的な評価について期待されるメリットと、留意が必要な点を並べて示しています。判断材料になるので両方を挙げます。
| 期待されるメリット | 留意が必要な点 |
|---|---|
| 利用者数に応じて収入の見込みが立つため、季節による繁閑が大きい地域や小規模な事業所で経営の安定につながる | 利用者ごとの利用回数・時間の差にも配慮しながら、利用者間の不公平感を抑制する必要がある |
| 移動時間など地域の実情を考慮した報酬設定が可能となり、突然のキャンセル等による機会損失を抑制できる | 利用者の費用負担が急激に増えることや、区分支給限度基準額との関係でサービス利用に過度な制約がかからないよう配慮が必要 |
| 利用回数や時間の少ない利用者を受け入れた場合でも収益が確保できる | 保険料水準の過度な上昇の抑制や対象地域内外での報酬水準の均衡を踏まえ、サービス提供量と比べて過大な報酬とならないようにする必要がある |
| 安定的かつ予見性のある経営により、常勤化が促進されるなど継続的な人材確保につながる | 一律の報酬となることで、利用者が必要以上に利用する、事業者が必要なサービス提供を控えるといったモラルハザードを抑制する必要がある |
| 利用者の状態変化で利用回数や時間が増えた場合でも負担が変わらず、安心感がある | ― |
そのうえで意見書は、具体的な報酬設計について、利用者像ごとに複数段階の報酬区分を設定することや、区分支給限度基準額との関係性にも配慮しつつ包括化の対象範囲を設定することを挙げています。利用者像などに応じた、きめ細かな報酬体系が検討課題とされています。
また、希望する自治体においては第10期介護保険事業計画期間中の実施を可能とすることを目指すとされています。令和9年度からの3年間が対象期間です。
人員配置基準の弾力化|方向性と、具体的な要件を分けて読む
示されているのは方向性で、具体的な人数や要件はまだ示されていません。
| 示されていること | 示されていないこと |
|---|---|
| 人員配置基準の弾力化を行う | 弾力化後の具体的な人数 |
| 緩和の例として管理者・専門職の常勤・専従要件、夜勤要件が挙げられている | どの職種・どの要件がどこまで緩和されるか |
| 国の基準は省令等に規定する予定 | 省令の内容と公布時期 |
| ①は国の基準に従い都道府県等が条例で規定、②は国の基準をもとに市町村が決定 | 条例や市町村の判断でどこまで幅が出るか |
| 職員の負担や質の確保への配慮を前提とすること | 配慮をどう担保するかの具体策 |
意見書は、緩和の前提として職員の賃金の改善に向けた取組、ICT機器の活用、サービス・事業所間での連携等を挙げています。質の確保の観点からは市町村の適切な関与・確認と、配置職員の専門性への配慮を前提とするとしています。
弾力化は、必要な支援や安全性を確認せずに人員を減らしてよいという意味ではありません。自治体が人材確保や生産性向上の方策など必要な施策を講じたうえで、それでもなおやむを得ない場合の特例的な枠組みとして位置づけられています。
第268回介護給付費分科会の基本的な視点(案)でも、第2の視点として「新たに創設された『特定地域サービス』等の仕組みが確実に機能するよう、地域の実情を踏まえたサービス提供のあり方、人員配置基準、報酬について検討し、必要なサービス基盤の維持・確保を図っていくことが必要」とされています。
何が、どの会議で、どこで決まるのか
この制度は検討の場が分かれています。介護保険部会の資料に、議論の進め方が整理されています。
| 検討事項 | 議論の場 |
|---|---|
| 特定地域(中山間・人口減少地域)の基準 | 介護保険部会 |
| 特定地域サービスの対象サービス、人員配置基準、包括的な評価の仕組み | 介護給付費分科会 |
| 特定地域居宅サービス等事業の制度設計、事業費・上限の考え方等 | 分科会の議論の状況を踏まえ、介護保険部会 |
| 介護事業者の連携強化(中心的な役割を果たす法人・事業所の仕組みとインセンティブ) | 介護保険部会等 |
介護給付費分科会だけを追っていると、対象地域の基準や②の事業費の話を取りこぼします。介護保険部会の資料もあわせて確認する必要があります。
そのうえで、実際に制度が動く場面は3層に分かれます。
| 層 | 決まること |
|---|---|
| 国 | 対象地域の基準(省令)/人員配置基準の国の基準(省令等)/費用の額の算定基準(告示) |
| 都道府県 | 国の基準に該当する対象地域を定める/①の人員配置基準等を条例で規定 |
| 市町村 | 特定地域としての指定の要否を検討し都道府県に意向を示す/①の登録の受付と実施要綱の策定、費用の額の決定/②を実施するかどうかの判断と、実施する場合の人員配置基準の決定・委託 |
対象地域の特定は、介護保険事業(支援)計画の策定プロセスにおいて市町村の意向を確認し、都道府県が決定するとされています。令和9年度は第10期介護保険事業計画期間の初年度なので、自治体の検討は計画の策定作業のなかで進みます。
障害福祉分野でも同様の見直しが行われる
公布通知では、障害者総合支援法について、特例介護給付費及び特例訓練等給付費並びに特例計画相談支援給付費の対象となるサービス類型の新設が、介護保険法の特定地域サービスに準じた改正として行われるとされています。児童福祉法でも、特例障害児通所給付費及び特例障害児相談支援給付費について同様の改正が行われます。
一方、生産性向上等の取組の促進を図る協議会の設置については、介護分野が令和9年4月1日施行、障害福祉分野は法律の公布後3年以内に政令で定める日からの施行と、時期が分けられています。
介護と障害の両方を運営している法人は、同じ内容でも施行時期が違う場合があることに注意してください。
事業所が今から確認しておくこと
| やること | 目的 |
|---|---|
| 既存の中山間地域向け加算の算定状況を確認する | 素案では特別地域加算・離島等相当サービスの対象地域が基準に含まれるとされている。該当性を判断する手がかりになる |
| 所在市町村の75歳以上人口と人口密度を調べる | 素案の指標に照らして、候補に入りうるかの目安がつく |
| サービス提供圏域と、圏域を超えた訪問の実績を整理する | ②の委託の検討材料になる |
| 利用者数、必要なサービスの内容・頻度、提供時間、キャンセル、移動時間、人件費等を整理する | 具体的な単価と算定条件が示された段階で、必要な支援を確保できる体制と収支を併せて検討できる |
| 現在の人員配置と、満たすのが厳しい要件を洗い出す | 必要な支援と職員の負担を踏まえ、配置・連携体制を検討する |
| 市町村の担当課と情報交換する | ②は市町村が実施するかどうかから決まる。介護保険事業計画の検討状況を早く知る必要がある |
包括的な評価が選べるようになったとき、自事業所にとって有利かどうかは単価だけでは決まりません。意見書が留意点に挙げているとおり、区分支給限度基準額との関係や利用者の費用負担にも影響します。収支と、必要な支援を確保できるかを両方見て判断することになります。
特定地域サービスについてよくある質問
対象地域については、2026年6月の介護保険部会で、既存の特別地域加算等の対象地域を基本とし、75歳以上人口の密度や人口減少に着目して範囲を広げる素案が示されています。ただし、素案の数値だけで自事業所の該当性を確定することはできません。正式な基準と、都道府県が定める対象地域を確認する必要があります。対象地域は、介護保険事業(支援)計画の策定プロセスで市町村の意向を確認し、都道府県が定めるとされています。
資料では「選択可能な新たな給付や事業を創設します」とされ、報酬のイメージ図にも「包括的な評価を選択可能」と書かれています。介護保険部会の意見書でも、出来高報酬と別途、包括的な評価を選択可能とすることが適当とされています。一律に義務化されるという記載はありません。
示されていません。弾力化の方向性として管理者・専門職の常勤・専従要件や夜勤要件の緩和等が挙げられているだけで、具体的な人数や要件は省令等に規定する予定とされています。職員の負担や質の確保への配慮が前提とされ、国会の附帯決議でも夜勤要件の緩和については慎重な対応が求められています。
公布通知で②の対象として列挙されているのは、要介護認定を受けた方について訪問介護・訪問入浴介護・通所介護・短期入所生活介護、要支援認定を受けた方について介護予防訪問入浴介護・介護予防短期入所生活介護です。訪問看護と訪問リハビリテーションは含まれていません。①での取扱いは、今後示される対象サービスと適用基準を確認する必要があります。なお①については、居宅サービスのほか居宅介護支援、施設サービス、介護予防サービス、介護予防支援についても類型が新設されます。
性格が違います。①の特定地域サービスは介護(予防)給付で、事業所が市町村に登録して行います。②の特定地域居宅サービス等事業は地域支援事業で、市町村が給付に代えて介護保険財源を活用し、事業費で委託するものです。意見書では、①の仕組みを活用してもなおサービス提供体制を維持することが困難なケースに備えた選択肢の一つと位置づけられています。
廃止されるという記載は確認できません。ただし第268回の基本的な視点(案)では「中山間地域の加算のあり方の見直し」も挙げられており、既存の加算も令和9年度改定の議論の対象です。
①の特定地域サービスは施設サービスについても類型が新設されます。特定地域では、介護老人保健施設と介護医療院の開設許可についても特例が設けられます。ただし、条例で定める施設・人員だけで許可が決まるわけではなく、国の省令による基準や設備・運営に関する基準など、所定の要件を満たす必要があります。一方、②の特定地域居宅サービス等事業の対象は居宅サービス等に限られます。
まとめ
特定地域サービスは、中山間・人口減少地域において地域の実情に応じた配置基準や包括的な評価の仕組みを導入できる特例介護サービスの類型です。あわせて、市町村が事業として居宅介護サービス等を実施できる特定地域居宅サービス等事業も創設されます。施行日は令和9年4月1日です。
対象地域の素案は、既存の特別地域加算等の対象地域を基本に、75歳以上人口の密度や減少に着目して範囲を広げる考え方です。市町村全域を対象とする参考試算では、既存の299市町村に新たな57市町村を加えた356市町村が示されています。一部地域の指定なども想定されており、356市町村が対象地域全体の総数を示すわけではありません。実際の対象地域は、市町村の意向を踏まえて都道府県が定めます。
読み違えやすい点を2つ繰り返します。ひとつは、包括的な評価は選択可能な仕組みとして示されていることです。もうひとつは、人員配置基準の弾力化について示されているのは方向性だけだということです。弾力化は、必要な支援や安全性を確認せずに人員を減らしてよいという意味ではありません。
中身は、介護保険部会と介護給付費分科会に分かれて具体化されます。対象地域の基準は介護保険部会、人員配置基準と包括的な評価は介護給付費分科会、②の事業費は分科会の議論を踏まえて介護保険部会です。分科会だけを追っていると取りこぼします。
いまのうちにできるのは、所在市町村の75歳以上人口と人口密度を調べること、利用者数・サービス量・提供時間・キャンセル・移動時間・人件費を整理しておくこと、そして市町村の介護保険事業計画の検討状況を把握しておくことです。この記事は、議論の進展や省令の内容が示された段階で更新します。
参考資料




