科学的介護情報システム(LIFE)のフィードバック活用方法

 

科学的介護情報システム(LIFE)へのデータ入力と提出とともに、提出したデータをもとに作成されたフィードバックを活用し、PDCA サイクルの推進とケアの質の向上を図る取り組みを実施することが求められています。2021年介護報酬改定で新設された加算においても、算定要件としてデータ提出とフィードバックの活用が定められました。LIFE へ登録したデータを活用したフィードバック票の目的や活用方法について説明します。

このページの目次

科学的介護情報システム(LIFE)からのフィードバックとは

科学的介護情報システム(LIFE)とは

科学的介護情報システム(LIFE)とは、利用者の情報や介護サービス提供に関する内容のデータを厚生労働省へ提出することと、データ解析によるフィードバックの活用によって、科学的に裏付けられた介護の実現を目指しサービスの質の向上を図る取り組みをするためのシステムです。

LIFEからのフィードバックとは

〇事業所フィードバックは、自施設・事業所の利用者の状況と、全国の科学的介護推進体制加算を算定している同じサービスの事業所における、LIFEにデータが登録されている利用者を対象とした全国値を表示しています。
〇自施設・事業所の利用者の状況およびその推移や、全国の利用者と比較した相対的な状況等を確認することができます。

厚生労働省LIFEからのフィードバック表例①
厚生労働省LIFEからのフィードバック表例②ADL等

LIFEに入力されたデータは、厚生労働省内で全国のデータが集められて分析されます。LIFEに情報提出したデータをもとに作成されるフィードバック票は、LIFEのサイト画面上で所定のボタンをクリックすると表示することができます。自事業所・利用者のアセスメント結果に関する過去からの推移や、要介護度等が同程度の施設・利用者との比較が可能です。

フィードバック票には、LIFE にデータ提出した項目に関する様々なグラフ・表が出力されます。自事業所のケアの方針や、利用者のケアの目的・意向を踏まえて、どの項目を重視するのかを決めたうえで、フィードバック票を確認するようにしましょう。LIFE で作成されるフィードバック票は、事業所票と利用者票の 2 種類から構成されています。

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LIFEのフィードバックの時期はいつから?

2021年4月~2022年5月(2022年1月提出分)までのフィードバック

令和3年6月時点では、関連する介護報酬について、はがき送付の遅延等に係るデータ提出に係る猶予期間が令和3年8月10日まで設定されており、必ずしも全ての事業所がデータ登録を終えていないこと、また複数時点のデータが入力されていないため、過去からの推移を表示することができないことから、暫定的に全国のデータの状況を確認可能な集計表の形式によりフィードバックを行っていました。 ※ 経時的なデータを含むフィードバックについては、令和3年8月以降の実施を予定しており、今後、フィードバック内容を順次拡充していく予定とのことです。

操作説明書(初回フィードバックについて)

 

フィードバックの仕組みは現在開発中であり、令和3年4月分(5月10日までに入力)を5月にフィードバックすることから始まりますが、現時点ではフィードバックの頻度は原則1ケ月に1回が想定されています(加算によって最大6ケ月に1回程度となる可能性があります)。〔3/5修正〕

2022年6月~(2022年2月提出分)のフィードバック

今回公表するフィードバック票については、現時点では暫定的な集計となっています。事業所における入力に問題がない
場合でも、通常では考えにくい集計結果や事業所の実態と異なる集計結果になっている可能性があります。また、掲載されていない項目についても、実態と異なる集計結果になる可能性がございます。

フィードバック票の表示方法

2024年4月介護報酬改定後のLIFEからのフィードバック例

フィードバックをもとに介護の質向上に向けてPDCAサイクルを推進することが求められています。

2024年介護報酬改定LIFE利用者フィードバック例

2024年介護報酬改定LIFE事業所フィードバック例

令和6年度介護報酬改定における改定事項について、厚生労働省 老健局

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LIFEの事業所フィードバック票の内容

LIFEの事業所フィードバック票は、利用者のADLや栄養、口腔機能等に関する状態を事業所・施設単位で分析し、同様の介護保険サービスを提供する他事業所・施設との比較結果や過去からの変化を把握するための帳票です。自事業所・施設における特性や、利用者の特徴及びケアの特性を認識し、提供するケアの改善に活かすことが可能です。

LIFEからのフィードバック帳票のサンプル

フィードバック帳票はエクセルファイル形式で、初めのシートが目次、目次の青字の見出しをクリックすると各シートにリンクされているとのことです。

LIFEから公開されたフィードバック帳票のサンプルは以下です。

【サンプル】フィードバック帳票(初回フィードバック).pdf

厚生労働省 科学的介護情報システム(LIFE)について 事業所フィードバック科学的介護推進加算イメージ[PDF形式:670KB]

事業所フィードバック票の活用例

  • 自事業所・施設の利用者像の把握
  • ケアの実施状況の把握
  • ケアの結果の把握
  • ケアの在り方の見直し
  • 施設内の管理指標としての活用

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LIFEの利用者フィードバック票の内容

LIFEの利用者フィードバック票は、ADLや栄養、口腔機能等に関する状態について、自事業所・施設の利用者個別に分析し、要介護度等が同程度の他利用者との比較結果や過去からの変化を把握するための帳票です。各利用者のケアの目標や問題点、提供しているケアや状態を把握し、提供するケアによる改善状況を評価し、必要に応じて目標やケアの見直し等を行うことが可能です。

利用者フィードバック票の活用例

  • 利用者像や課題の把握
  • ケアの実施状況の把握
  • ケアの結果の把握
  • 利用者や家族への説明
  • 職員間での情報共有

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フィードバックの活用状況・活用方法について

LIFEのフィードバック活用が各種加算の要件として明記されていますが、現時点で発行されているフィードバックの内容では情報がなさすぎて有意義に活用することは難しいです。

LIFEの提出とフィードバックの活用状況については、令和3年9月10日(金)の介護給付費分科会の介護報酬改定検証・研究委員会で「令和3年度介護報酬改定の効果検証及び調査研究に係る調査(令和3年度調査)」として調査を行うとのことと述べられています。

LIFEを活用することで介護の内容や質の改善に役立っているのかを検証し、それを踏まえて、さらなるLIFEの活用に向けた改善点および課題を検討することとなっていますので、まだ実際に活用できる状態になるのはこれからの印象です。

一方で、LIFEのフィードバックの活用について自治体や厚生労働省としては、「加算を算定する場合にはLIFEのフィードバックを活用すること」と各種加算の算定要件に明記してしまっているので、問い合わせを行うとケアプランや介護計画などを作成するにあたっては「LIFEからのフィードバックを活用したことがわかるように記録」などを求めるケースもあるという現実と理想の乖離が生じています。

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「LIFEへの情報提出が必要な加算とフィードバック

2021年の介護報酬改定では、LIFEの活用が要件となっている介護報酬の加算が新設され、いろいろあります。どんな情報をLIFEに提出するのかについては、加算ごとに項目が定められているので以下記事でご確認ください。

この項目をLIFEに情報提出していくことで加算を算定できるほか、加算ごとに以下のようなフィードバックから出力されます。

科学的介護推進ページ

科学的介護推進体制加算に該当する項目をLIFEに登録している場合、科学的介護推進ページにフィードバックが出力されます。

栄養ページ

栄養アセスメント加算、栄養マネジメント強化加算に該当する項目をLIFE に登録している場合、栄養ページにフィードバックが出力されます。

個別機能訓練ページ

個別機能訓練加算、リハビリテーションマネジメント加算、リハビリテーションマネジメント計画書情報加算、または理学療法、作業療法及び言語聴覚療法に係る加算に該当する項目をLIFEに登録している場合、個別機能訓練ページにフィードバックが出力されます。

褥瘡ページ

褥瘡マネジメント加算または褥瘡対策指導管理に該当する項目をLIFEに登録している場合、褥瘡ページにフィードバックが出力されます。

自立支援ページ

自立支援促進加算に該当する項目をLIFEに登録している場合、自立支援ページにフィードバックが出力されます。

排せつページ

排せつ支援加算に該当する項目をLIFEに登録している場合、排せつページにフィードバックが出力されます。

口腔ページ

口腔衛生管理加算、口腔機能向上加算に該当する項目をLIFEに登録している場合、口腔ページにフィードバックが出力されます。

服薬ページ

かかりつけ医連携薬剤調整加算または薬剤管理指導に該当する項目をLIFEに登録している場合、服薬ページにフィードバックが出力されます。

LIFEへのデータ登録・フィードバックのマニュアル

LIFEへのデータ登録・フィードバックの活用を通じて、事業所・施設におけるケアの質向上に向けた取り組みを支援するために、データ精度の管理に資するようなガイドライン(手引き)があります。詳しくまとまっているのでこのマニュアルを一読することがオススメです。

ケアの質の向上に向けた科学的介護情報システム(LIFE)利活用の手引き
(2021年3月 株式会社 三菱総合研究所 厚生労働省)

ケアの質の向上に向けた科学的介護情報システム(LIFE)利活用の手引き

科学的介護情報システム(LIFE)の情報

    科学的介護推進体制加算のLIFE提出

    個別機能訓練加算(Ⅱ)のLIFE提出

    LIFEとうまく付き合うために

     

    2024年4月・6月介護報酬改定の情報

     令和6年(2024年)障害福祉サービス報酬改定情報はこちら

    令和6年~8年 地域区分(介護)区市町村の等級一覧(2024年4月~)

    介護保険区分支給限度基準額一覧(要支援・要介護)

    2024年介護報酬改定後の介護保険サービスごとの介護報酬・単位数

    令和6年度介護報酬改定では、4月に変更となる内容と、6月に変更になる内容があります。例えば、訪問介護費の場合、基本報酬部分は4月から、処遇改善加算等は6月から変更という2段階での変更が生じることがあります。詳細は各記事に添付している厚生労働省のサイトからご確認ください。

     介護保険の居宅サービス介護給付費単位数(対象:要介護)

    地域密着型サービスの単位数改定内容

    介護予防サービス(対象・要支援)

    介護予防・日常生活支援総合事業費(要支援・事業対象者)の改定内容

    施設サービス等介護給付費単位数の改定内容

        2024年(令和6年)介護報酬改定で特徴的な加算・制度

        利用者負担軽減の仕組みの改定

        補足給付(負担限度額認定)に関わる見直しは、以下のとおりです。

        令和6年8月1日施行 基準費用額の見直し

        令和7年8月1日施行  多床室の室料負担

         

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