介護職員処遇改善加算「職場環境等要件」の内容(2024年・2025年)

 

2024年(令和6年)6月からの「介護職員処遇改善加算」では、職場環境等要件で加算ごとに設定された一定の条件を満たすことが、介護職員等処遇改善加算Ⅰ、介護職員等処遇改善加算Ⅱ、介護職員等処遇改善加算Ⅲ、介護職員等処遇改善加算Ⅳ、介護職員等処遇改善加算Ⅴの算定要件となっています。

この記事では、2024年度、2025年度の「介護職員処遇改善加算」に必要な「職場環境等要件」の区分、項目内容、計画書や報告書にはどのように記入するかなどについて深堀して解説します。

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このページの目次

2024年(令和6年)「介護職員処遇改善加算」の算定要件

2024年(令和6年)「介護職員処遇改善加算」の算定要件・各サービスごとの加算割合の詳細は以下の記事で紹介しています。

介護職員等処遇改善加算「職場環境等要件」とは

介護職員等処遇改善加算で設定されている「職場環境等要件」とは、賃金を改善するという手段以外で職場の環境などを改善することです。賃金改定については事業所でどうやって賃金を改善するかを検討して計算等を踏まえ詳細に計画しなければなりませんが、職場環境等要件についてはあらかじめ「区分」と「項目」が決まっているので、その中から算定する加算に合わせて選んで取り入れていく形になります。

介護職員等処遇改善加算「職場環境等要件」の計画書および報告書の例

介護職員等処遇改善加算Ⅰまたは介護職員等処遇改善加算Ⅱを算定する場合は、職場環境等の改善に係る取組について、ホームページへの掲載等により公表することが必要です。具体的には、介護サービスの情報公表制度を活用し、新加算の算定状況を報告するとともに、職場環境等要件を満たすために実施した取組項目、その具体的な取組内容を「事業所の特色」欄に記載することと示されています。介護サービスの情報公表制度における報告の対象となっていない場合等には、各事業者のホームページを活用するなど、外部から見える形で公表することが必要です。

令和6年度中の新加算Ⅰ~Ⅳ及び新加算Ⅴ(経過措置区分)の算定要件早見表(賃金改善以外の要件)

  ①月額賃金改善要件Ⅰ ②月額賃金改善要件Ⅱ ③キャリアパス要件Ⅰ
④キャリアパス要件Ⅱ ⑤キャリアパス要件Ⅲ ⑥キャリアパス要件Ⅳ ⑦キャリアパス要件Ⅴ ⑧職場環境等要件 表2-3に掲げる旧3加算の算定状況
新加算Ⅳの1/2以上の月額賃金改善 旧ベア加算相当の 2/3以上の新規の月額賃金
改善
任用要 件・賃金体系の整備等 研修の実施等 昇給の仕組みの整備等 改善後の賃金要件
(8万円又は440万円一人
以上)
介護福祉士等の配置要件 職場環境全体で1 職場環境区分ごと 1 HP掲載等を通じた見える化
介護職員等処遇改善加算Ⅰ (○)
介護職員等処遇改善加算Ⅱ (○)
介護職員等処遇改善加算Ⅲ (○)
介護職員等処遇改善加算Ⅳ (○)
介護職員等処遇改善加算Ⅴ(1)
介護職員等処遇改善加算Ⅴ(2)
介護職員等処遇改善加算Ⅴ(3)
介護職員等処遇改善加算Ⅴ(4)
介護職員等処遇改善加算Ⅴ(5)
介護職員等処遇改善加算Ⅴ(6)
介護職員等処遇改善加算Ⅴ(7) どちらか1つを実施
介護職員等処遇改善加算Ⅴ(8)
介護職員等処遇改善加算Ⅴ(9) どちらか1つを実施
介護職員等処遇改善加算Ⅴ(10) どちらか1つを実施
介護職員等処遇改善加算Ⅴ(11)
介護職員等処遇改善加算Ⅴ(12) どちらか1つを実施
介護職員等処遇改善加算Ⅴ(13) どちらか1つを実施
介護職員等処遇改善加算Ⅴ(14) どちらか1つを実施

職場環境等要件(令和6年度中)

令和7年度以降、職場環境等要件について介護職員処遇改善加算を算定するために満たすべき取組の項目や必要な取組の数が変わります(令和6年度中は準備期間)

令和7年度以降の内容は次の章で掲載しています。

<区分>入職促進に向けた取組

  • 法人や事業所の経営理念やケア方針・人材育成方針、その実現のための施策・仕組みなどの明確化
  • 事業者の共同による採用・人事ローテーション・研修のための制度構築
  • 他産業からの転職者、主婦層、中高年齢者等、経験者・有資格者等にこだわらない幅広い採用の仕組みの構築
  • 職業体験の受入れや地域行事への参加や主催等による職業魅力度向上の取組の実施

<区分>資質の向上やキャリアアップに向けた支援

  • 働きながら介護福祉士取得を目指す者に対する実務者研修受講支援や、より専門性の高い介護技術を取得しようとする者に対する喀痰吸引、認知症ケア、サービス提供責任者研修、中堅職員に対するマネジメント研修の受講支援等
  • 研修の受講やキャリア段位制度と人事考課との連動
  • エルダー・メンター(仕事やメンタル面のサポート等をする担当者)制度等導入
  • 上位者・担当者等によるキャリア面談など、キャリアアップ等に関する定期的な相談の機会の確保

<区分>両立支援・多様な働き方の推進

  • 子育てや家族等の介護等と仕事の両立を目指す者のための休業制度等の充実、事業所内託児施設の整備
  • 職員の事情等の状況に応じた勤務シフトや短時間正規職員制度の導入、職員の希望に即した非正規職員から正規職員への転換の制度等の整備
  • 有給休暇が取得しやすい環境の整備
  • 業務や福利厚生制度、メンタルヘルス等の職員相談窓口の設置等相談体制の充実

<区分>腰痛を含む心身の健康管理

  • 介護職員の身体の負担軽減のための介護技術の修得支援、介護ロボットやリフト等の介護機器等導入及び研修等による腰痛対策の実施
  • 短時間勤務労働者等も受診可能な健康診断・ストレスチェックや、従業員のための休憩室の設置等健康管理対策の実施
  • 雇用管理改善のための管理者に対する研修等の実施
  • 事故・トラブルへの対応マニュアル等の作成等の体制の整備

<区分>生産性向上のための業務改善の取組

  • タブレット端末やインカム等のICT活用や見守り機器等の介護ロボットやセンサー等の導入による業務量の縮減
  • 高齢者の活躍(居室やフロア等の掃除、食事の配膳・下膳などのほか、経理や労務、広報なども含めた介護業務以外の業務の提供)等による役割分担の明確化
  • 5S活動(業務管理の手法の1つ。整理・整頓・清掃・清潔・躾の頭文字をとったもの)等の実践による職場環境の整備
  • 業務手順書の作成や、記録・報告様式の工夫等による情報共有や作業負担の軽減

<区分>やりがい・働きがいの醸成

  • ミーティング等による職場内コミュニケーションの円滑化による個々の介護職員の気づきを踏まえた勤務環境やケア内容の改善
  • 地域包括ケアの一員としてのモチベーション向上に資する、地域の児童・生徒や住民との交流の実施
  • 利用者本位のケア方針など介護保険や法人の理念等を定期的に学ぶ機会の提供
  • ケアの好事例や、利用者やその家族からの謝意等の情報を共有する機会の提供

職場環境等要件(令和7年度以降)

<区分>入職促進に向けた取組

①法人や事業所の経営理念やケア方針・人材育成方針、その実現のための施策・仕組みなどの明確化

②事業者の共同による採用・人事ローテーション・研修のための制度構築

③他産業からの転職者、主婦層、中高年齢者等、経験者・有資格者等にこだわらない幅広い採用の仕組みの構築(採用の実績でも可)

④職業体験の受入れや地域行事への参加や主催等による職業魅力度向上の取組の実施

<区分>資質の向上やキャリアアップに向けた支援

⑤働きながら介護福祉士取得を目指す者に対する実務者研修受講支援や、より専門性の高い介護技術を取得しようとする者に対するユニットリーダー研修、ファーストステップ研修、喀痰吸引、認知症ケア、サービス提供責任者研修、中堅職員に対するマネジメント研修の受講支援等

⑥研修の受講やキャリア段位制度と人事考課との連動

⑦エルダー・メンター(仕事やメンタル面のサポート等をする担当者)制度等導入

⑧上位者・担当者等によるキャリア面談など、キャリアアップ・働き方等に関する定期的な相談の機会の確保

<区分>両立支援・多様な働き方の推進

⑨子育てや家族等の介護等と仕事の両立を目指す者のための休業制度等の充実、事業所内託児施設の整備

⑩職員の事情等の状況に応じた勤務シフトや短時間正規職員制度の導入、職員の希望に即した非正規職員から正規職員への転換の制度等の整備

⑪有給休暇を取得しやすい雰囲気・意識作りのため、具体的な取得目標(例えば、1週間以上の休暇を年に●回取得、付与日数のうち●%以上を取得)を定めた上で、取得状況を定期的に確認し、身近な上司等からの積極的な声かけを行っている

⑫有給休暇の取得促進のため、情報共有や複数担当制等により、業務の属人化の解消、業務配分の偏りの解消を行っている

<区分>腰痛を含む心身の健康管理

⑬業務や福利厚生制度、メンタルヘルス等の職員相談窓口の設置等相談体制の充実

⑭短時間勤務労働者等も受診可能な健康診断・ストレスチェックや、従業員のための休憩室の設置等健康管理対策の実施

⑮介護職員の身体の負担軽減のための介護技術の修得支援、職員に対する腰痛対策の研修、管理者に対する雇用管理改善の研修等の実施

⑯事故・トラブルへの対応マニュアル等の作成等の体制の整備

<区分>生産性向上(業務改善及び働く環境改善)のための取組

⑰厚生労働省が示している「生産性向上ガイドライン」に基づき、業務改善活動の体制構築(委員会やプロジェクトチームの立ち上げ、外部の研修会の活用等)を行っている

⑱現場の課題の見える化(課題の抽出、課題の構造化、業務時間調査の実施等)を実施している

⑲5S活動(業務管理の手法の1つ。整理・整頓・清掃・清潔・躾の頭文字をとったもの)等の実践による職場環境の整備を行っている

⑳業務手順書の作成や、記録・報告様式の工夫等による情報共有や作業負担の軽減を行っている

㉑介護ソフト(記録、情報共有、請求業務転記が不要なもの。)、情報端末(タブレット端末、スマートフォン端末等)の導入

㉒介護ロボット(見守り支援、移乗支援、移動支援、排泄支援、入浴支援、介護業務支援等)又はインカム等の職員間の連絡調整の迅速化に資するICT機器(ビジネスチャットツール含む)の導入

㉓業務内容の明確化と役割分担を行い、介護職員がケアに集中できる環境を整備。特に、間接業務(食事等の準備や片付け、清掃、ベッドメイク、ゴミ捨て等)がある場合は、いわゆる介護助手等の活用や外注等で担うなど、役割の見直しやシフトの組み換え等を行う。

㉔各種委員会の共同設置、各種指針・計画の共同策定、物品の共同購入等の事務処理部門の集約、共同で行うICTインフラの整備、人事管理システムや福利厚生システム等の共通化等、協働化を通じた職場環境の改善に向けた取組の実施

<区分>やりがい・働きがいの醸成

㉕ミーティング等による職場内コミュニケーションの円滑化による個々の介護職員の気づきを踏まえた勤務環境やケア内容の改善

地域包括ケアの一員としてのモチベーション向上に資する、地域の児童・生徒や住民との交流の実施

㉗利用者本位のケア方針など介護保険や法人の理念等を定期的に学ぶ機会の提供

㉘ケアの好事例や、利用者やその家族からの謝意等の情報を共有する機会の提供

まとめ

介護職員等処遇改善加算の「職場環境等要件」は、賃金の改善ではない形で働く職場の環境などを改善するもので、事業所の特色や職場の魅力を引き出せるものでもあります。

自分たちの事業所でどんな職場環境改善に取り組むことができるのかを「職場環境等要件」の項目から選んで職場のルールや備品などを整えていくというものなので、賃金改善という継続的な実費を伴わないながらも、この取り組みを通じて職場の働きやすさや制度を整備できます。必ずしも経営者や管理者がすべてしなければならないというわけでもないので、役割を職員間で分散してプロジェクトのように進めるのも様でしょう。

2024年4月・6月介護報酬改定の情報

 令和6年(2024年)障害福祉サービス報酬改定情報はこちら

令和6年~8年 地域区分(介護)区市町村の等級一覧(2024年4月~)

介護保険区分支給限度基準額一覧(要支援・要介護)

2024年介護報酬改定後の介護保険サービスごとの介護報酬・単位数

令和6年度介護報酬改定では、4月に変更となる内容と、6月に変更になる内容があります。例えば、訪問介護費の場合、基本報酬部分は4月から、処遇改善加算等は6月から変更という2段階での変更が生じることがあります。詳細は各記事に添付している厚生労働省のサイトからご確認ください。

 介護保険の居宅サービス介護給付費単位数(対象:要介護)

介護予防サービス(対象・要支援)

介護予防・日常生活支援総合事業費(要支援・事業対象者)の改定内容

施設サービス等介護給付費単位数の改定内容

地域密着型サービスの単位数改定内容

    2024年(令和6年)介護報酬改定で特徴的な加算・制度

    利用者負担軽減の仕組みの改定

    補足給付(負担限度額認定)に関わる見直しは、以下のとおりです。

    令和6年8月1日施行 基準費用額の見直し

    令和7年8月1日施行  多床室の室料負担

     

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