介護保険被保険者証の電子化、マイナンバーカードでの資格確認・事業者と利用者はどう変わる?

介護保険被保険者証の電子化、マイナンバーカードでの資格確認・事業者と利用者はどう変わる?
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健康保険証がマイナンバーカードに統合されたように、介護保険の被保険者証もマイナンバーカードを使った電子資格確認の仕組みへと移行することが、2026年5月に衆議院を通過した「社会福祉法等の一部を改正する法律案」に盛り込まれました。

しかし「電子化される」と言われても、実際にどう変わるのかイメージが湧きにくい方も多いと思います。

すでに医療保険の分野では、マイナ保険証が始まり、今後はマイナ介護保険証機能が追加になる方向ということです。マイナンバーカードには色々な情報を紐付けることができるので、その1つとして介護保険被保険者の情報を紐付けし、事業者側としても専用の機器で紐付いた情報を確認できるということです。

ちなみに、今までは「ご利用者の介護保険被保険者証をケアマネがコピーして事業者に送付するべきだ」、いや、「介護保険サービス事業者が自分たちでをご利用者の被保険者証を確認することになっている!」、という論争があり、どっちがやるべきかみたいなことになっていましたが、それが若干緩和されるのかと思いきや、そういうわけではなく、今度はマイナンバーカードを持ってきてもらうか、訪問してマイナンバーカードを確認しないとならないので、すごく変わるという感じではないかもしれないですね。

関連記事:利用者の介護保険被保険者証はケアマネが事業所に送るの?

この記事では、介護保険被保険者証の電子化とはどういうことなのか、利用者・家族・介護事業者それぞれに何が変わるのか、メリットとデメリット、紙の証明書はどうなるのかを整理します。

この記事は2026年5月末時点の情報をもとにしています。電子化の詳細な運用ルールは今後の省令・告示・Q&Aで整備されていく予定のため、最新情報は厚生労働省の公表資料でご確認ください。

現在の介護保険被保険者証の仕組みのおさらい

現在の介護保険被保険者証は、65歳になると市区町村から自動的に郵送で交付される紙の証明書です。要介護認定を申請するときに市区町村に提出し、認定結果が記載されて戻ってくる仕組みで、介護サービスを利用するときにも事業所への提示が必要です。

また、介護保険負担割合証介護保険負担限度額認定証も別々の紙の書類として交付されており、利用者はこれらを手元に置いておく必要があります。

さらに、ケアマネジャーが要介護認定の情報をもとにケアプランを作成する際には、市区町村に問い合わせたり紙の書類を確認したりする手間が生じており、情報連携の非効率さが長年の課題とされてきました。

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電子化とは何か 何が変わるのか

介護保険被保険者証の電子化とは、大きく2つのことを指しています。

①マイナンバーカードによる電子資格確認の導入

マイナンバーカードを使って、利用者の介護保険の資格情報(要介護度・負担割合・限度額認定情報など)をオンラインで確認できる仕組みが導入されます。オンライン資格確認の義務化で医療機関でマイナ保険証を使って診察を受けるのと同様に、介護事業所でもマイナンバーカードのICチップを読み取ることで被保険者の情報を電子的に確認できるようになります。

これを可能にする仕組みが「介護保険資格確認等WEBサービス(介護WEBサービス)」です。介護事業所がインターネットに接続した端末からこのシステムにアクセスし、利用者のカード情報や番号を入力することで資格情報を確認できます。

②介護情報基盤との連携

2026年4月から順次稼働が始まった「介護情報基盤」との連携も電子化の重要な柱です。介護情報基盤とは、介護保険被保険者証等の情報・要介護認定情報・ケアプラン作成に必要な情報などをオンラインで電子的に共有・閲覧できる仕組みです。

これにより、市区町村・ケアマネジャー・介護事業所・医療機関がそれぞれの権限に応じて利用者の情報をリアルタイムで確認できるようになります。主治医意見書を医療機関から自治体へ電子的に送付することも可能になります。

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施行スケジュール

内容時期
介護情報基盤の段階的稼働開始2026年4月〜(市区町村のシステム対応が完了した自治体から順次)
2026年度中に対応予定の市区町村割合約66%(厚生労働省調査)
2027年度中に対応予定の市区町村割合約97%
全自治体での本格運用目標2028年4月
社会福祉法等改正による被保険者証の電子化に係る見直し施行公布後3年以内に政令で定める日(2027年4月より後になる可能性あり)

全国一斉での切り替えではなく、各市区町村のシステム対応完了に合わせて段階的に移行していく形です。

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介護保険被保険者証の電子化による利用者・家族への影響

変わること

  • マイナンバーカードで介護サービスの利用手続きができるようになる 紙の被保険者証を毎回持参・提示する代わりに、マイナンバーカードで資格確認ができるようになります
  • マイナポータルで自分の介護情報を確認できる 要介護度・負担割合・認定有効期間などの情報をスマートフォンやPCから確認できるようになります
  • 紙の書類の管理が減る可能性がある 被保険者証・負担割合証・負担限度額認定証などを個別に管理する手間が軽減される方向です

注意が必要な点

  • マイナンバーカードを持っていない場合は紙の資格確認書が交付される マイナンバーカードの取得は義務ではないため、持っていない利用者には「資格確認書」が交付されます。紙の被保険者証がいきなり廃止されるわけではなく、当面の間は並行して使えます
  • 認知症の方・カードの管理が難しい方への配慮が必要 マイナンバーカードは暗証番号の管理が必要で、認知症が進んだ方や認知機能に不安がある方には使いにくい側面があります。資格確認書を使う選択肢は残されますが、家族・ケアマネジャーが代わりに手続きを行う場面が増える可能性があります
  • カードの紛失・更新中の期間の対応 マイナンバーカードを紛失した場合や更新手続き中は、資格確認書での対応が必要になります
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介護事業者(ケアマネジャー・介護サービス事業所)への影響

変わること・メリット

  • 資格確認の効率化 PC・スマートフォン等でのカード読み取りや、介護WEBサービスへの番号入力によって資格確認ができるようになります。訪問系サービスでは、訪問先でスマートフォンを使って資格情報を確認できる点が特に便利になります
  • 手入力ミスの防止 介護保険資格確認等WEBサービスを使えば、被保険者証情報の手入力が不要になり、転記ミスが減ります
  • 市区町村への問い合わせが減る 要介護認定申請の進捗状況や認定情報を介護情報基盤で確認できるようになるため、市区町村への電話確認が不要になります
  • ケアプラン作成時の情報取得が容易になる 要介護認定情報をケアマネジャーがオンラインで取得できるため、ケアマネジャーが被保険者証を送る際の書類のやりとりが軽減される方向です
  • 認定有効期間の確認が容易になる 認定有効期間の確認も電子的に行えるようになります

準備が必要なこと・課題

  • 端末・システムの整備 介護WEBサービスを利用するためには、インターネットに接続できる端末と、クラウドサインイン(GビズID等)での認証設定が必要です
  • カードリーダーや読み取り環境の整備 マイナンバーカードのICチップを読み取るための端末が必要になる場面もあります
  • マイナンバーカードを持っていない利用者への対応の継続 当面は紙の資格確認書を持つ利用者も一定数いるため、電子と紙の両方に対応する体制が必要です
  • 利用者・家族への説明業務の増加 制度移行期には「なぜカードが必要なのか」「紙の保険証はどうなるのか」といった説明をケアマネジャーや施設職員が求められる場面が増えると予想されます
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電子化のメリットとデメリット 整理

視点メリットデメリット・懸念点
利用者紙の管理が減る・マイナポータルで自分の情報を確認できるカード管理の負担・認知症の方には使いにくい・紛失時の対応が必要
事業者手入力ミス減少・市区町村への問い合わせ減少・訪問先での確認が容易にシステム整備のコスト・移行期の二重対応・職員への研修が必要
市区町村書類のやりとり減少・認定情報の一元管理システム整備費用・移行期の対応業務増加
制度全体医療・介護情報の連携促進・業務効率化デジタル格差・セキュリティリスク・全自治体対応まで時間がかかる
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紙の被保険者証はいつなくなるのか

現時点(2026年5月末)では、紙の介護保険被保険者証の廃止時期は確定していません。

医療保険では2024年12月に紙の健康保険証が廃止され、マイナ保険証または資格確認書での対応に移行しました。介護保険でも同様の方向で見直しが進むとされていますが、高齢者の多い介護保険の性質上、より慎重な移行が想定されています。

当面の方針としては、マイナンバーカードを持たない利用者には「資格確認書」が交付される形で対応が見込まれています。紙の被保険者証がすぐになくなるわけではなく、段階的な移行が続く見通しです。具体的な廃止時期は今後の省令で定められます。

また、介護保険負担割合証負担限度額認定証についても、介護情報基盤での電子的な確認に移行することで、別途の紙書類の交付が不要になる方向で検討されています。

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まとめ

  • 介護保険被保険者証の電子化はマイナンバーカードでの電子資格確認と介護情報基盤の活用の2本柱で進む
  • 2026年4月から介護情報基盤が段階的に稼働開始。全自治体対応の目標は2028年4月
  • マイナンバーカードを持たない利用者には資格確認書が交付され、紙の被保険者証が即時廃止されるわけではない
  • 事業者側は手入力ミスの減少・市区町村への問い合わせ削減などの効率化メリットがある一方、システム整備と移行期の二重対応が課題
  • 認知症の方や高齢利用者のカード管理への配慮と、利用者・家族への丁寧な説明が求められる
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参照資料

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