「WHO-5(精神的健康状態表)」とは?評価表・評価項目・採点方法

 

「WHO-5(精神的健康状態表)」は、世界保健機関が推奨する、個人の精神的ウェルビーイングを測定するためのシンプルながら強力なツールです。この記事では、WHO-5がどのようにして介護分野での生活の質(QOL)評価に役立てられているのかを探ります。高齢者や要介護者の精神的健康を支え、改善するための取り組みとして、WHO-5の利用がどのように進んでいるのか、その実践例とともに紹介します。

WHO-5(精神的健康状態表)とは

WHO-5とは、世界保健機関(World Health Organization)が推奨する精神的健康の測定指標である「WHO Five Well-being Index」の略称です。この指標は、個人の精神的なウェルビーイング、つまり心の健康状態を簡単に評価するために設計されています。

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世界保健機構(以下:WHO)の憲章では「健康とは、完全な 肉体的、精神的及び社会的福祉の状態であり、単に疾病又は病弱の存在しないことではない。 到達しうる最高基準の健康を享有することは、人種、宗教、政治的信念又は経済的若しくは社会的条件の差別なしに万人の有する基本的権利の一つである」と定義しており、精神的な健康状態も世界的に重要視されています。

WHO-5は、広範な研究でその有効性が確認されており、世界中で多くの言語に翻訳されて使用されています。

WHO-5は、その簡潔さと高い感度のために、精神的健康状態の迅速な評価に広く利用されています。しかし、WHO-5は診断ツールではなく、あくまでスクリーニングや健康状態のモニタリングのためのものであることに注意が必要です。

WHO-Five Well-being Index (WHO-5) は、デンマークのヒレロッドにあるノース ジーランド精神保健センター精神医学研究ユニットで開発されました。

WHO-5(精神的健康状態表)の評価項目

WHO-5は、以下の5つの質問から構成されています。これらの質問は、過去2週間にわたる個人の気分や日常活動におけるポジティブな感情の経験を評価することを目的としています。

  1. 気分が良い - あなたは気分が良かったですか?
  2. 活動的で元気 - あなたは活動的で元気を感じましたか?
  3. リラックスして落ち着いている - あなたはリラックスして落ち着いていましたか?
  4. 新鮮で目覚めている - あなたは朝、新鮮で目覚めていると感じましたか?
  5. 日常生活に興味がある - あなたは日常生活に興味を持っていましたか?

WHO-5(精神的健康状態表)の評価表

以下の5 つの各項目について、最近2 週間のあなたの状態に最も近いものに印をつけてください。数値が高いほど精神的健康状態が高いことを示していますのでご注意ください。

例:最近 2 週間のうち、その半分以上の期間を、明るく、楽しい気分で過ごした場合には、 3をチェックする。

最近 2 週間、私は・・ いつも ほとんどいつも 半分以上の期間を 半分以下の期間を ほんのたまに まったくない
1 明るく、楽しい気分で過ごした。 5 4 3 2 1 0
2 落ち着いた、リラックスした気分で過ごした。 5 4 3 2 1 0
3 意欲的で、活動的に過ごした。 5 4 3 2 1 0
4 ぐっすりと休め、気持ちよくめざめた。 5 4 3 2 1 0
5 日常生活の中に、興味のあることがたくさんあった。 5 4 3 2 1 0

WHO-5の採点方法

WHO-5の点数は、5つの質問に対する回答の合計で算出され、範囲は0から25点です。

0点はQOLが最も悪い状態、25点はQOLが最も良い状態を示します。

25点満点の評価なので、4を掛けることで、0から100点の範囲で百分率スコアが求められます。このスコアも、0点はQOLが最も悪い状態、100点は最も良い状態を示します。

WHO-5の解釈

点数が13点未満、または5つの質問項目のうちいずれかに0または1の回答がある場合、大うつ病(ICD-10に基づく)の調査表を実施することが推奨されます。これは、精神的健康状態が低いことを示し、うつ病の可能性があるためです。

WHO-5の変化のモニタリング

精神的健康状態の変化を評価するためには、百分率スコアを用います。このスコアに10%以上の変化がある場合、それは有意な健康状態の変化があったことを示します。この基準はJohn Wareによる1995年の研究に基づいています。

WHO-5のまとめ

WHO-5は、個人のQOLを定量的に評価し、特に精神的健康状態に焦点を当てた評価方法です。時間の経過とともに健康状態の変化を追跡し、有意な変化があった場合にはそれを検出するためのツールとしても機能するため、日本でも高齢者や障がい者などのQOLの把握・変化のモニタリングなどに用いられています。

WHO-5を利用した調査研究事例

WHO-5を利用した介護保険分野の加算

2024年の介護報酬改定では、生産性向上推進体制加算での業務改善の取組による効果を示すデータとして、WHO-5の変化が手法の一つとして示されました。

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