スキンテアとは?発見時の処置手順・STAR分類・褥瘡との違い・予防策【記録例文つき】

スキンテア(skin tear、正式表記はスキン-テア)とは、摩擦やずれによって高齢者などの脆弱な皮膚が裂けて生じる皮膚裂傷のことです。着替えやベッド柵への接触、移乗介助で腕をつかんだ拍子など、日常のケアの中で起こります。
スキンテアは、発見直後に適切に対応できるかが重要な外傷です。皮弁(めくれた皮膚)を温存して戻せるか、どのような被覆材で保護するか——発見直後の対応で治り方が変わります。そして発生後には、記録・家族への説明・事故報告・再発予防という現場のマネジメントが続きます。
この記事では、発見時の処置手順、STAR分類による評価、褥瘡・表皮剥離との見分け方、介助技術まで含めた予防策、記録の書き方の例文までを、現場で使う順番で解説します。
スキンテアを発見したときの処置手順(発見直後の対応)
まず結論から。発見後はできるだけ早く止血・洗浄を行い、生存可能な皮弁を温存して元の位置へ戻すことが重要です。基本の流れは次のとおりです(施設の医療職・マニュアルの指示が最優先です。介護職は自己判断で処置せず、看護師へ報告のうえ指示に従ってください)。
やってはいけないこと
出血が止まらない、皮弁の色が黒ずんでいる、感染徴候(発赤・腫脹・熱感・浸出液の増加)がある、抗凝固薬・抗血小板薬を使用していて圧迫しても止血しない・血腫が拡大する——このような場合は速やかに医師・皮膚科へ相談します。
スキンテアとは?定義と起こりやすい場面
スキンテアは、主として高齢者の四肢に生じる外傷性創傷で、摩擦単独または摩擦・ずれなどの機械的外力により、表皮が真皮から分離する部分層創傷、あるいは表皮・真皮が下層構造から分離する全層創傷として生じます(日本創傷・オストミー・失禁管理学会の解説より)。皮下組織層を越える深い裂創は、通常のスキンテアとは区別して評価します。学会の正式表記は「スキン-テア」(ハイフン入り)で、厚労省のLIFE様式でもこの表記が使われています。
現場で発生しやすい場面はパターン化されています。四肢(特に前腕・下腿)に多く、次のような瞬間に起こります。
このようにスキンテアは、移乗・体位変換・更衣など、日常のケアの中でも発生しやすい外傷です。だからこそ、処置だけでなく、介助技術と環境を含めた予防、そして発生時の誠実な記録・説明が、現場の信頼を守るうえで重要になります。
STAR分類(スキンテアの評価・判定表)
スキンテアの状態評価には「STARスキンテア分類システム」を用います。判定の軸は2つだけです。

①皮弁を元の位置に戻せるか、②皮膚・皮弁の色は正常か(蒼白・薄黒い・黒ずみがないか)。
| カテゴリー | 皮弁の状態 | 皮膚・皮弁の色 |
|---|---|---|
| 1a | 皮弁を正常な位置に戻せる | 正常 |
| 1b | 蒼白・薄黒い・黒ずみあり | |
| 2a | 皮弁・創縁を、過度に伸展させず正常な解剖学的位置に完全には戻せない | 正常 |
| 2b | 蒼白・薄黒い・黒ずみあり | |
| 3 | 皮弁が完全に欠損している | |
「1aか2bか」で迷ったら、まず皮弁が戻るか(1・2・3の判定)→次に色(aかbか)の順で見ると迷いません。ただし、STAR分類は単純な重症度順ではありません。「1・2・3」は皮弁の残存状態と正常な解剖学的位置への整復の可否を、「a・b」は皮膚・皮弁の色調を示す、状態を記述するための分類です。1b・2bのように蒼白・薄黒い・黒ずみがみられる場合は、皮弁の血流状態を確認するため、24~48時間以内または最初のドレッシング材交換時に再評価します。記録に「右前腕にスキンテア、STAR分類2a」のようにSTAR分類を添えると、皮弁の状態を職種間で共有しやすくなります。
褥瘡・表皮剥離との違い【比較表】
現場の記録や報告で混同されやすい3つの言葉を整理します。ポイントは「原因となる力のかかり方」です。
| スキンテア | 褥瘡 | 表皮剥離 | |
|---|---|---|---|
| 何を表す言葉か | 摩擦・ずれで皮膚が裂ける外傷(原因と病態で定義された概念) | 一定時間持続する圧迫やずれによって血流が低下し、皮膚・皮下組織が損傷する創傷 | 表皮がむけた状態を表す記録上の一般用語(原因を問わない) |
| 力のかかり方 | 急性の摩擦・ずれ、打撲、粘着剤の剥離などの機械的外力 | 一定時間持続する圧迫、または圧迫とずれ | —(状態の表現) |
| 好発部位 | 前腕・下腿など四肢 | 仙骨部・踵部など骨突出部 | — |
| 特徴 | 皮弁(めくれた皮膚)を伴うことが多い | 持続する発赤、皮膚欠損、深部組織損傷など、損傷の深さや現れ方はさまざま | 浅い損傷の総称として使われがち |
| 評価スケール | STAR分類 | DESIGN-R2020 | — |
実務上の整理として、「表皮剥離」は見た目を表す言葉で、原因が摩擦・ずれによる裂傷であればそれはスキンテアとして評価・記録するのが適切です。「うちの記録はぜんぶ表皮剥離」という施設は、スキンテアの概念を導入するだけで、予防策の検討(なぜ裂けたのか)につながる記録に変わります。褥瘡の評価と対策は以下の記事で解説しています。

スキンテアの予防【個体要因と外力要因に分けて対策】
予防は「皮膚側の弱さ(個体要因)」と「外から加わる力(外力要因)」に分けて考えると整理できます。
個体要因への対策として、皮膚の状態を整え、脆弱性に対応する
外力要因への対策として、力のかかり方を変える
移乗・体位変換の具体的な介助方法と介助量の考え方は、以下の記事もあわせてご覧ください。

記録の書き方【例文】
スキンテアの記録は「部位・大きさ・STAR分類・皮弁の状態・処置・発生状況」をセットで残します。発生状況は再発予防の材料になるため、わかる範囲で具体的に書きます。
施設内で発生した場合は、施設のルールに沿ってヒヤリハット・事故報告の対象になることがあります。「隠さず、状況と対策を残す」ことが、ご家族への説明と職員を守ることの両方につながります。
LIFE・褥瘡マネジメント加算との関係
介護施設では、スキンテアはLIFEに提出する褥瘡の様式(別紙様式5「褥瘡対策に関するスクリーニング・ケア計画書」)の危険因子「皮膚の脆弱性(スキン-テアの保有・既往)」として全入所者に評価する項目になっています。つまりスキンテアの把握は、褥瘡マネジメント加算の算定実務の一部でもあります。スキンテアの既往がある方は皮膚全体が脆弱であるサインなので、褥瘡リスクの評価・ケア計画と一体で対策するのが効率的です。
よくある質問
おすすめできません。粘着力の強い絆創膏やテープは、剥がすときに脆弱な皮膚ごと剥がして新しいスキンテアを作るリスクがあります。創に貼りつかない非固着性のドレッシング材と、シリコーン系などの低刺激な固定を使用し、選択に迷う場合は看護師・医師に確認してください。
皮弁が生着すれば比較的早く治癒しますが、治癒期間は、創の大きさ・深さ、皮弁の欠損や血流状態、発生部位、浮腫、感染、低栄養、糖尿病や末梢循環障害の有無などによって異なります。高齢者は治癒力が低下しているうえ感染リスクもあるため、経過中に浸出液の増加・発赤・熱感があれば早めに医療職へつなぎます。
高齢者の皮膚は加齢や薬剤の影響で、軽微な接触でも紫斑やスキンテアが生じやすくなります。発生のたびに状況・処置・再発予防策を記録し、ご家族へ事実に基づいて説明することが大切です。一方、原因不明の傷が繰り返されるなど虐待が疑われる場合は、単なる事故検証にとどめず、利用者の安全を確保したうえで、施設の虐待防止手順に沿って対応し、市町村へ速やかに通報します。養介護施設従事者等が、業務中に施設従事者による虐待を受けたと思われる高齢者を発見した場合には、市町村への通報義務があります。
再発する方は「個体要因が強い」サインです。保湿の徹底とアームカバー等の常時保護に加えて、発生記録から場面のパターン(いつ・どこで・何をしていたか)を分析してください。特定の介助場面や特定の場所に偏っていれば、介助方法の統一や環境の保護で再発は大きく減らせます。
まとめ
スキンテアは、摩擦・ずれで脆弱な皮膚が裂ける外傷で、発見時は「止血→洗浄→皮弁を戻す→非固着性材で保護→矢印→記録」が基本の流れです。評価はSTAR分類(皮弁が戻るか×色調)で行い、褥瘡(DESIGN-R2020)とは原因も評価も区別します。
そして予防の主役は、保湿とともに「つかまない介助」と環境整備です。スキンテアは日常のケアの中でも起こりやすいからこそ、処置の知識と介助技術、誠実な記録がセットになったとき、利用者の皮膚と現場の信頼の両方を守ることができます。
参考資料
2024年・2025年・2026年
介護保険・介護報酬改定の情報
令和8年度(2026年)障害福祉サービス等報酬改定の概要と変更点まとめ
2026年(令和8年)介護報酬改定の全体像についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
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- 訪問看護費 2026年6月からの介護報酬・単位数一覧
- 訪問リハビリテーション費 2026年6月からの介護報酬・単位数一覧
- 通所介護費(デイサービス) 2026年6月からの介護報酬・単位数一覧
- 通所リハビリテーション費(デイケア) 2026年6月からの介護報酬・単位数一覧
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地域密着型サービスの単位数改定内容
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介護予防サービス(対象・要支援)
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- 介護予防短期入所生活介護費(要支援のショートステイ) 2026年6月からの介護報酬・単位数一覧
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利用者負担軽減の仕組みの改定
補足給付(負担限度額認定)に関わる見直しは、以下のとおりです。
令和6年8月1日施行 基準費用額の見直し
令和7年8月1日施行 多床室の室料負担
令和8年8月1日施行 食費基準費用額の1,445円→1,545円、低所得者の食費負担限度額の段階別変更


