平均寿命は男81.35歳・女87.33歳|人生の最後の8〜12年は支援が必要という現実

平均寿命は男81.35歳・女87.33歳|人生の最後の8〜12年は支援が必要という現実
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2026年(令和8年)7月24日、厚生労働省は「令和7年(2025年)簡易生命表」を公表しました。日本人の平均寿命は男81.35年、女87.33年で、前年より男は0.25年、女は0.20年延びています。女性は世界1位、男性は世界7位です。

ただ、介護の現場にいる私たちにとって本当に意味があるのは、この数字そのものではありません。平均寿命と健康寿命の間には、男性で約8.5年、女性で約11.6年の開きがあります。これは平均寿命より後に続く期間ではなく、平均寿命に至るまでの「最後の8〜12年」です。この、日常生活に何らかの制限を抱えながら過ごす期間に何が起きるのかを知っておくことが、本人にとっても家族にとっても備えになります。

この記事では、最新の平均寿命の数値を早見表で確認したうえで、年齢別の要介護認定率という具体的なデータをもとに、この「人生の最後の8〜12年」の中身を理学療法士・介護支援専門員の視点で解説します。毎年の公表にあわせて更新しています。

日本人の平均寿命【最新データ・早見表】

令和7年(2025年)の平均寿命は次のとおりです。

令和2年から令和7年までの平均寿命の推移を男女別に示したグラフ。令和3・4年に低下し令和5年から3年連続で回復
令和7年(2025年)81.35年87.33年
令和6年(2024年)81.09年87.13年
前年との差+0.25年+0.20年

男女差は5.98年で、前年より0.05年縮小しました。なお「平均寿命」とは0歳の平均余命のことで、その年に生まれた赤ちゃんが平均してあと何年生きられるかを示す期待値です。今すでに高齢の方の見通しとは異なります(この点は後述します)。

年齢別の平均余命

すでに高齢の方は、平均寿命ではなく「その年齢の平均余命」を見ます。令和7年の主な年齢の平均余命は次のとおりで、男女とも全年齢で前年を上回りました。

日本人の平均寿命の年次推移グラフ(昭和22年から令和7年)。男は50.06年から81.35年、女は53.96年から87.33年に延びた
年齢男の平均余命(到達年齢の目安)女の平均余命(到達年齢の目安)
60歳23.86年約83.9歳29.07年約89.1歳
65歳19.68年約84.7歳24.52年約89.5歳
70歳15.78年約85.8歳20.10年約90.1歳
75歳12.24年約87.2歳15.88年約90.9歳
80歳9.10年約89.1歳11.95年約92.0歳
85歳6.44年約91.4歳8.47年約93.5歳
90歳4.38年約94.4歳5.66年約95.7歳

平均寿命の年次推移

戦後からの推移を見ると、日本の平均寿命がいかに急速に延びたかがわかります。近年は新型コロナウイルス感染症の影響で令和3年・4年に低下しましたが、令和5年以降は再び延びています。

男女差
昭和22年(1947年)50.0653.963.90
昭和55年(1980年)73.3578.765.41
平成12年(2000年)77.7284.606.88
平成22年(2010年)79.5586.306.75
平成27年(2015年)80.7586.996.24
令和2年(2020年)81.5687.716.15
令和3年(2021年)81.4787.576.10
令和4年(2022年)81.0587.096.03
令和5年(2023年)81.0987.146.05
令和6年(2024年)81.0987.136.03
令和7年(2025年)81.3587.335.98

注:令和2年以前は完全生命表による数値です。

平均寿命の国際比較

厚生労働省が入手した資料の中での上位10位は次のとおりです。女性は日本が1位、男性は7位です。国によって作成方法が異なるため厳密な比較は困難とされていますが、目安になります。

順位
1スウェーデン 82.52年日本 87.33年
2スイス 82.4年韓国 86.6年
3イタリア 81.744年スペイン 86.53年
4ノルウェー 81.61年スイス/フランス 85.9年
6スペイン 81.38年キプロス 85.83年
7日本 81.35年イタリア 85.729年
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平均寿命と健康寿命の差は何年か

健康寿命とは「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」です。最新の公表値は令和4年(2022年)で男72.57年、女75.45年です(2024年12月公表)。

差を計算するときの注意

健康寿命は毎年公表されるわけではなく、平均寿命より公表が遅れます。そのため最新の平均寿命(令和7年)から健康寿命(令和4年)を引くのは正確ではありません。差を見るときは、年次をそろえて比較します。

年次をそろえた令和4年(2022年)で比較すると、次のようになります。

令和4年(2022年)
平均寿命81.05年87.09年
健康寿命72.57年75.45年
約8.5年約11.6年

この差は、調査開始以降で最も短くなりました。とはいえ、男性で約8年半、女性で約11年半という期間が残ります。

ここで間違えやすいのが、この期間の位置です。8〜12年という差は、平均寿命の後に続く期間ではありません。平均寿命に至るまでの、人生の最後の期間です。時間軸に置くと次のようなイメージになります。

平均寿命と健康寿命の差を時間軸で示した帯グラフ。男性は健康寿命72.57歳から平均寿命81.05歳までの約8.5年、女性は75.45歳から87.09歳までの約11.6年が日常生活に制限のある期間
健康上の問題で日常生活が制限されない期間日常生活に制限のある期間
0歳 〜 72.57歳72.57歳 〜 81.05歳(約8.5年)
0歳 〜 75.45歳75.45歳 〜 87.09歳(約11.6年)

帯グラフにすると位置関係がはっきりします。男性は72.57歳までが「健康上の問題で日常生活が制限されない期間」で、そこから平均寿命の81.05歳までの約8.5年が「日常生活に制限のある期間」です。女性は75.45歳から87.09歳までの約11.6年がこれにあたります。いずれも平均寿命の手前にあり、その後に続く期間ではありません。

つまり、男性ならおおよそ70代前半から、女性なら70代半ばから、平均寿命を迎えるまでの間が「支援を必要としながら過ごす期間」にあたります。ただし健康寿命は集団全体の平均を表す指標であり、「72歳になったら支援が必要になる」という個人の予測ではない点にはご注意ください。

健康寿命の定義や算出方法については以下の記事で解説しています。

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人生の最後の8〜12年に何が起きるのか【年齢別の要介護認定率】

ここからがこの記事の本題です。「人生の最後に、日常生活が制限される期間が8〜12年ある」と言われても、実感は湧きにくいと思います。そこで、実際のデータで見てみましょう。

次の表は、年齢階級別の要介護(要支援を含む)認定率です。

年齢要介護認定率1人当たり介護給付費(年)
65〜69歳2.8%3.4万円
70〜74歳5.7%6.7万円
75〜79歳11.5%13.6万円
80〜84歳25.3%31.0万円
85〜89歳47.2%68.1万円
90歳以上72.9%144.3万円

注:認定率は2023年9月末の認定者数と2023年10月1日人口から作成、要支援1・2を含みます。給付費は2023年度の実績です。

読み取ってほしいのは、認定率が急に立ち上がるのは80代前半からだという点です。65〜69歳では2.8%、つまり35人に1人ですが、85〜89歳では47.2%とほぼ2人に1人、90歳以上では72.9%と4人に3人になります。1人当たりの介護給付費も、65〜69歳の3.4万円に対して90歳以上は144.3万円と、40倍以上に膨らみます。

ここで、先ほどの平均余命の表と重ねてみてください。65歳の男性はあと19.68年、平均すると約85歳まで生きます。女性は約89.5歳です。つまり多くの人にとって、人生の最後の局面は「認定率が5割を超える年齢帯」と重なります。平均寿命が延びるということは、この年齢帯で過ごす時間が延びるということでもあります。

これは悲観的な話ではありません。「いつ頃から、どのくらいの確率で支援が必要になるのか」がわかっていれば、準備の時期を逆算できるということです。要介護認定の仕組みは以下の記事で解説しています。

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「平均寿命まで生きる」という誤解

相談の場面でよくあるのが、「父は今80歳だから、平均寿命の81歳まであと1年ですね」という受け取り方です。これは正しくありません。

平均寿命は0歳時点の平均余命であり、乳幼児期や若年期の死亡も含めて計算されています。すでに80歳まで生きた方は、そこまでの死亡リスクをくぐり抜けているため、そこからの余命はもっと長くなります。実際、80歳男性の平均余命は9.10年(約89歳まで)、80歳女性は11.95年(約92歳まで)です。

この誤解は、住まいの選択やお金の計画を「あと数年」の前提で立ててしまう原因になります。ケアプランや生活設計を考えるときは、平均寿命ではなくその年齢の平均余命を使ってください。

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差を縮めるためにできること

平均寿命と健康寿命の差は、令和4年時点で調査開始以降最も短くなりました。個人のレベルでこの差を縮めるうえで、リハビリテーションの立場から重要だと考えるのは次の3点です。

  • フレイル・サルコペニアを早く見つける 要介護状態の手前には、心身の活力が低下した「フレイル」の段階があります。ここは可逆的で、適切な運動と栄養で戻せる可能性があります。80代前半で認定率が跳ね上がることを考えると、70代のうちに気づけるかどうかが分かれ目です
  • 筋力と低栄養に同時に手を打つ 運動だけ、食事だけでは不十分です。特に高齢期は、たんぱく質の摂取と運動をセットで考えます
  • 社会とのつながりを切らさない 外出や役割の減少は、身体機能の低下より先に現れることがあります。「通いの場」など地域の資源を早めに使っておくと、体調を崩したあとの復帰も早くなります

それぞれの詳細は以下の記事で解説しています。

なお、「健康寿命を延ばせば医療費が抑えられる」という主張は、しばしば語られるほど単純ではありません。この論点は以下の記事で検討しています。

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今回の平均寿命はなぜ延びたのか【死因別の寄与】

平均寿命の前年との差を死因別に分解すると、何が寿命を延ばし、何が縮めたのかがわかります。

死因
悪性新生物(腫瘍)+0.10年+0.05年
新型コロナウイルス感染症+0.08年+0.06年
心疾患(高血圧性を除く)+0.05年+0.06年
脳血管疾患+0.02年+0.01年
肺炎△0.02年△0.01年
老衰△0.01年△0.01年
計(前年との差)+0.25年+0.20年

がん、心疾患、新型コロナウイルス感染症の死亡率が下がったことが寿命を延ばす方向に働き、一方で肺炎と老衰は寿命を縮める方向に働いています。介護現場から見ると、肺炎(特に誤嚥性肺炎)が寿命を押し下げる要因として残っている点は見過ごせません。口腔ケアや食事姿勢、嚥下機能の評価といった日々のケアが、統計に表れる部分だからです。

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死因ランキング【死因別死亡確率】

「生まれた人が将来どの死因で亡くなるか」を確率で表したものが死因別死亡確率です。令和7年の0歳時点では次のようになっています。

順位
1悪性新生物 25.41%老衰 21.74%
2心疾患 13.60%悪性新生物 18.95%
3老衰 9.02%心疾患 14.42%
4肺炎 6.26%脳血管疾患 6.33%
5脳血管疾患 6.03%肺炎 4.58%

注目したいのは、女性では老衰が1位になっていることです。また年齢が上がるほど老衰の割合は高まり、90歳では男20.69%、女33.53%に達します。「病気で亡くなる」から「老いて亡くなる」への移行が、統計にはっきり表れています。これは、看取りやターミナルケアが介護現場の日常業務になっていることの裏づけでもあります。

なお、がん・心疾患・脳血管疾患の3つを完全になくせたと仮定した場合でも、0歳の平均余命の延びは男5.84年、女4.77年にとどまります。3大死因を克服しても、寿命が劇的に延びるわけではないという点は、健康寿命を考えるうえで重要な視点です。

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よくある質問

Q
平均寿命と平均余命はどう違いますか?
A

平均余命は「ある年齢の人が平均してあと何年生きられるか」という期待値で、平均寿命はそのうち0歳の平均余命を指す言葉です。すでに高齢の方の見通しを考えるときは、その年齢の平均余命を使ってください。たとえば80歳男性の平均余命は9.10年で、平均寿命81.35年から単純に引き算した年数とは大きく異なります。

Q
健康寿命はなぜ最新年の数字がないのですか?
A

健康寿命は国民生活基礎調査の結果などをもとに算出されるため、毎年ではなく3年に1度の周期で公表され、平均寿命より公表が遅れます。そのため、最新の平均寿命と最新の健康寿命は年次がずれます。差を計算するときは年次をそろえてください。

Q
簡易生命表と完全生命表は何が違いますか?
A

簡易生命表は、人口推計による人口と人口動態統計月報年計(概数)をもとに毎年作成されます。完全生命表は、国勢調査の確定人口と人口動態統計の確定数をもとに5年ごとに作成されます。毎年7月に話題になる平均寿命は簡易生命表の値です。

Q
介護が必要になる時期は予測できますか?
A

個人単位で予測することはできませんが、統計からは傾向が読み取れます。要介護認定率は65〜69歳で2.8%、75〜79歳で11.5%と緩やかに上がり、80〜84歳で25.3%、85〜89歳で47.2%と急に立ち上がります。そのため、住まいや資金の準備、家族での話し合いは、認定率が跳ね上がる前の70代のうちに始めておくと選択肢が広く残ります。

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まとめ

令和7年(2025年)の日本人の平均寿命は男81.35年、女87.33年で、前年より男0.25年、女0.20年延びました。女性は世界1位、男性は7位です。がんや心疾患による死亡率の低下が寿命を押し上げる一方、肺炎と老衰は押し下げる方向に働いています。

そして、平均寿命と健康寿命の差は男性で約8.5年、女性で約11.6年です。これは平均寿命の後に続く期間ではなく、平均寿命に至るまでの最後の期間です。そしてこの期間は、要介護認定率が80代前半から急に立ち上がり、85〜89歳ではほぼ2人に1人、90歳以上では4人に3人が認定を受けるという現実と重なります。

平均寿命のニュースは毎年流れますが、大事なのは数字そのものではなく、延びた年数をどう生きるかです。認定率が跳ね上がる前の70代のうちに、フレイルへの対策と、住まい・お金・家族での話し合いを始めておく。それが、この統計から読み取れる最も実務的な結論だと思います。

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参考資料

厚生労働省「令和7年(2025)年簡易生命表の概況」

厚生労働省「介護保険制度をめぐる状況について」(社会保障審議会介護保険部会 令和6年12月23日)

厚生労働省「平均寿命と健康寿命」(健康日本21アクション支援システム)

2024年・2025年・2026年
介護保険・介護報酬改定の情報

令和8年度(2026年)障害福祉サービス等報酬改定の概要と変更点まとめ

2026年(令和8年)介護報酬改定の全体像についてはこちらの記事で詳しく解説しています。

介護報酬改定2026年(令和8年度)まとめ|いつから・変更点・対象サービスをわかりやすく解説

令和6年~8年 地域区分(介護)区市町村の等級一覧(2024年4月~)

介護保険区分支給限度基準額一覧(要支援・要介護)

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介護予防サービス(対象・要支援)

介護予防・日常生活支援総合事業費(要支援・事業対象者)の改定内容

施設サービス等介護給付費単位数の改定内容

      2026年(令和8年度)・2024年 介護報酬改定で特徴的な加算・制度

      利用者負担軽減の仕組みの改定

      補足給付(負担限度額認定)に関わる見直しは、以下のとおりです。

      令和6年8月1日施行 基準費用額の見直し

      令和7年8月1日施行 多床室の室料負担
      令和8年8月1日施行 食費基準費用額の1,445円→1,545円、低所得者の食費負担限度額の段階別変更

       

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