健康寿命とは?平均寿命との違いと最新データ【男72.57年・女75.45年】

健康寿命とは、健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間のことです。
最新の公表値は男性72.57年、女性75.45年(令和4年)で、同じ年の平均寿命(男81.05年・女87.09年)との差は男性で約8.5年、女性で約11.6年あります。
この差は「平均寿命の後に続く期間」ではなく、平均寿命に至るまでの人生の最後の期間です。ここをどう短くしていくかが、国の健康づくり政策でも介護予防の現場でも中心的な課題になっています。
この記事では、健康寿命の定義と算出方法、平均寿命との違い、最新の推移と都道府県別データ、そして理学療法士・介護支援専門員の視点から健康寿命を延ばすために何が必要かを解説します。
健康寿命とは【定義】
健康寿命は、2000年にWHO(世界保健機関)が提唱した考え方で、「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」と定義されています。単に寿命を延ばすのではなく、自立して過ごせる期間をどれだけ延ばせるかに注目した指標です。
日本で公表されている健康寿命は、正式には「日常生活に制限のない期間の平均」と呼びます。国民生活基礎調査の結果をもとに算出されるため、3年に1度の公表となり、毎年7月に公表される平均寿命よりも遅れて発表されます。
健康寿命は英語で「HALE」
健康寿命は英語でHealthy life expectancy(HALE)といい、WHOの統計でもこの表記が使われています。なお、厚生労働省の生活習慣病予防のための健康情報サイト「e-ヘルスネット」では「healthy longevity」という表現も使われています。
健康寿命の最新データ【男72.57年・女75.45年】
2024年(令和6年)12月24日、厚生労働省の健康日本21(第三次)推進専門委員会で、令和4年(2022年)の健康寿命が公表されました。
| 令和4年(2022年) | 男性 | 女性 |
|---|---|---|
| 健康寿命 (日常生活に制限のない期間の平均) | 72.57年 | 75.45年 |
| 平均寿命 | 81.05年 | 87.09年 |
| 差 (日常生活に制限のある期間の平均) | 8.49年 | 11.63年 |
差である「日常生活に制限のある期間」は、男女とも調査開始以降で最も短くなりました。それでも男性で約8年半、女性で約11年半という期間が残っています。
令和4年値を前回(令和元年値)と比べると、男性は72.68年→72.57年と短縮、女性は75.38年→75.45年と延伸しています。ただし厚生労働省の資料では、いずれも統計的に有意な差は見られなかったとされています。健康寿命の算出には誤差が含まれるため、わずかな増減を「延びた」「縮んだ」と断定するのは適切ではありません。
平均寿命と健康寿命の違い【比較表】
2つの指標は、測っているものも、データの出どころも異なります。
| 平均寿命 | 健康寿命 | |
|---|---|---|
| 何を表すか | 0歳の平均余命(あと何年生きられるか) | 日常生活に制限のない期間の平均 |
| もとになるデータ | 人口動態統計・簡易生命表 | 国民生活基礎調査(本人の回答)+簡易生命表・人口動態統計 |
| 公表の頻度 | 毎年(7月ごろ) | 3年に1度 |
| 算出者 | 厚生労働省 | 厚生労働科学研究班 |
| 性質 | 死亡の統計にもとづく客観的な指標 | 本人の自覚にもとづく主観的な回答を含む |
公表の周期が違うため、最新の平均寿命から最新の健康寿命を引くと差が実際より大きく出てしまいます。差を見るときは、必ず同じ年次どうしで比べてください。
差は「平均寿命の後」ではなく「手前」にある
よくある誤解が、この差の位置です。8〜12年の差は、平均寿命を過ぎてから始まる期間ではありません。男性なら72.57歳から81.05歳まで、女性なら75.45歳から87.09歳までという、平均寿命に至るまでの最後の期間を指します。時間軸に置くと次のようになります。
平均寿命と健康寿命の差は、平均寿命の後ではなく手前にある(令和4年の値より作成)
ただし健康寿命は集団全体の平均を表す指標です。「72歳になったら支援が必要になる」という個人の予測ではない点にはご注意ください。
健康寿命の推移【平成22年〜令和4年】
過去の推移を見ると、健康寿命は平均寿命とともに延びてきました。同時に、差である「日常生活に制限のある期間」は着実に短くなっています。
男性の推移
| 年 | 健康寿命 | 平均寿命 | 差 |
|---|---|---|---|
| 平成22年(2010年) | 70.42 | 79.64 | 9.22 |
| 平成25年(2013年) | 71.19 | 80.21 | 9.01 |
| 平成28年(2016年) | 72.14 | 80.98 | 8.84 |
| 令和元年(2019年) | 72.68 | 81.41 | 8.73 |
| 令和4年(2022年) | 72.57 | 81.05 | 8.49 |
女性の推移
| 年 | 健康寿命 | 平均寿命 | 差 |
|---|---|---|---|
| 平成22年(2010年) | 73.62 | 86.39 | 12.77 |
| 平成25年(2013年) | 74.21 | 86.61 | 12.40 |
| 平成28年(2016年) | 74.79 | 87.14 | 12.34 |
| 令和元年(2019年) | 75.38 | 87.45 | 12.06 |
| 令和4年(2022年) | 75.45 | 87.09 | 11.63 |
12年間で、差は男性で0.73年、女性で1.14年短くなりました。健康寿命が平均寿命より速いペースで延びてきたことを示しています。なお令和4年の平均寿命が前回より短いのは、新型コロナウイルス感染症の影響によるものです。
都道府県別の健康寿命【令和4年】
健康寿命には地域差があります。令和4年値では、男女ともに静岡県が最も長く、岩手県が最も短い結果でした。
男性の上位・下位5県
| 上位 | 健康寿命 | 下位 | 健康寿命 |
|---|---|---|---|
| 静岡 | 73.75年 | 岩手 | 70.93年 |
| 石川 | 73.60年 | 高知 | 71.19年 |
| 山梨 | 73.47年 | 沖縄 | 71.62年 |
| 群馬 | 73.37年 | 大阪 | 71.77年 |
| 神奈川 | 73.28年 | 愛媛 | 71.82年 |
女性の上位・下位5県
| 上位 | 健康寿命 | 下位 | 健康寿命 |
|---|---|---|---|
| 静岡 | 76.68年 | 岩手 | 74.28年 |
| 山口 | 76.43年 | 沖縄 | 74.33年 |
| 岐阜 | 76.20年 | 神奈川 | 74.71年 |
| 山梨 | 76.16年 | 福島 | 74.74年 |
| 宮崎 | 76.13年 | 宮城 | 74.74年 |
最長と最短の差は、男性で2.82年、女性で2.40年です。ただし健康寿命の算出には誤差(95%信頼区間)が含まれるため、順位が近い県どうしの比較にはあまり意味がありません。厚生労働省の資料でも、数値の比較には信頼区間を考慮する必要があるとされています。
また、平均寿命の長い県が健康寿命でも上位とは限りません。女性では神奈川県のように、平均寿命が長い一方で健康寿命が下位に入る県もあります。
健康日本21(第三次)の目標
健康寿命は、国の健康づくり運動「健康日本21(第三次)」(令和6〜17年度)の中心的な目標に位置づけられています。目標は次の2つです。
ポイントは、単に健康寿命を延ばすだけでなく、平均寿命の伸びを上回るペースで延ばすことが目標になっている点です。つまり「差を縮める」ことが求められています。
健康格差のベースライン値(令和4年)は次のとおりです。
| 男性 | 女性 | |
|---|---|---|
| 上位4分の1の都道府県の平均 | 73.27年 | 76.12年 |
| 下位4分の1の都道府県の平均 | 71.75年 | 74.77年 |
| 両者の差 | 1.51年 | 1.35年 |
これらの目標は、令和10年値で中間評価、令和13年値で最終評価が行われる予定です。
健康寿命の算出方法と注意点
健康寿命は、生存期間を「健康な期間」と「不健康な期間」に分けて平均を求めるものですが、これを実際に測るには長期間の追跡が必要になります。そこで実際には、次の3つの統計を組み合わせて推計しています。
算出は、厚生労働科学研究「次期健康づくり運動プラン作成と推進に向けた研究」(研究代表者:辻一郎氏)において行われています。
「日常生活に制限がある」は本人の回答による
ここは押さえておきたい点です。健康寿命のもとになる「日常生活に制限があるかどうか」は、国民生活基礎調査で本人が回答した内容にもとづきます。要介護認定の有無や医師の診断ではありません。
そのため、同じ身体状況でも本人の受け止め方によって回答が変わりますし、健康意識の高まりや調査時期の社会状況(感染症の流行など)にも左右されます。健康寿命は有用な指標ですが、「介護が必要な期間」とイコールではないことを理解しておくと、数字の読み違いを防げます。
WHOが公表する健康寿命(HALE)との違い
WHOも各国の健康寿命(HALE)を推計していますが、こちらは病気やけがによって「完全な健康ではない状態で過ごした年数」を、疾患ごとの重症度で調整して算出するものです。日本国内で公表される健康寿命(本人の回答にもとづく「日常生活に制限のない期間」)とは算出方法が異なるため、両者の数値を直接比べることはできません。
WHOの推計でも日本は世界有数の水準にありますが、国際比較の順位を見るときは、どちらの定義による数値なのかを確認することが大切です。
健康寿命を延ばすために【介護予防の視点】
ここからは、リハビリテーションと介護予防の現場から見た「差を縮めるために何ができるか」です。
フレイルの段階で気づく
要介護状態になる手前には、心身の活力が低下したフレイル(虚弱)の段階があります。この段階は可逆的で、適切な運動と栄養、社会参加によって元の状態に戻せる可能性があります。逆に、加齢に伴う運動不足・食欲の低下・低栄養が重なったまま生活を続けると、要介護状態に進みやすくなります。
厚生労働省も、老年症候群に加えて不適切な運動と食事、社会的孤立が重なると要介護状態になりやすいという研究結果をふまえ、フレイルに気づいて適切に対応することを健康寿命の延伸につながる方針として各種の政策を進めています。

運動は「有酸素運動」と「筋力トレーニング」を組み合わせる
高齢期に運動が必要な理由は主に2つあります。ひとつは生活習慣病のリスクを下げること、もうひとつは活動性や意欲の低下を招く転倒・骨折を防ぐことです。
どちらも、続けられる負荷から始めることが何より大切です。持病がある方や関節に痛みのある方は、かかりつけ医やリハビリ専門職に相談してから始めてください。
高齢期に問題になるのは「食べすぎ」より「低栄養」
食事の課題には、摂りすぎ(肥満)と少なすぎ(低栄養)の両方があります。摂りすぎは関節への負担や脳血管障害・心疾患のリスクにつながりますが、高齢期に特に問題となっているのは低栄養です。
閉じこもりやひとりでの食事で食が進まない、口の機能が落ちて食べられない、といった背景が重なります。噛む・飲み込む機能の低下は誤嚥性肺炎にも直結するため、口腔ケアと嚥下機能への配慮も欠かせません。
社会とのつながりを切らさない
外出の機会や役割の減少は、身体機能の低下より先に現れることがあります。「通いの場」など地域の資源を早めに使っておくと、体調を崩したあとの復帰も早くなります。核家族化や地域のつながりの希薄化が進むなかで、社会参加の維持は運動・栄養と並ぶ柱です。

よくある質問
健康寿命は国民生活基礎調査の結果をもとに算出されており、この調査で健康に関する詳細な項目を尋ねる大規模調査が3年に1度実施されるためです。そのため公表も3年に1度となり、毎年7月に公表される平均寿命より遅れます。令和4年値は令和6年12月に公表されました。
同じではありません。健康寿命のもとになる「日常生活に制限があるかどうか」は、国民生活基礎調査で本人が回答した内容にもとづくもので、要介護認定の有無とは別のものです。要介護認定を受けていなくても制限があると回答する人もいれば、その逆もあります。
「日本は不健康な期間が特別に長い」と語られることがありますが、国際比較には注意が必要です。WHOが公表する健康寿命(HALE)は日本国内の公表値と算出方法が異なり、そのまま差を比べることはできません。また、平均寿命が長い国ほど高齢期が長くなるため、差が大きく出やすいという面もあります。
3年に1度の公表であるため、令和4年値の次は令和7年値になります。健康日本21(第三次)では、令和10年値で中間評価、令和13年値で最終評価を行う予定とされています。
健康寿命に関連する記事
WHO憲章では、健康を「完全な肉体的、精神的及び社会的福祉の状態であり、単に疾病又は病弱の存在しないことではない」と定義しています。健康寿命の背景にある「健康」の考え方は以下の記事で解説しています。
健康寿命の延伸が医療費の抑制につながるという主張は、しばしば語られるほど単純ではありません。この論点は以下の記事で検討しています。
日本の高齢化の進み方と将来推計については以下の記事をご覧ください。
まとめ
健康寿命は「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」で、最新の令和4年値は男性72.57年、女性75.45年です。同じ年の平均寿命との差は男性8.49年、女性11.63年で、いずれも調査開始以降で最も短くなりました。
ただしこの差は、平均寿命の後に続く期間ではなく、平均寿命に至るまでの人生の最後の期間です。国の目標も「平均寿命の増加分を上回る健康寿命の増加」、つまり差を縮めることに置かれています。
個人のレベルでこの差を縮める鍵は、要介護状態の手前にあるフレイルの段階で気づくことです。運動・栄養・社会参加の3つを、まだ元気なうちから続けておく。統計から読み取れる結論は、意外なほど当たり前のことに行き着きます。
参考資料
2024年・2025年・2026年
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利用者負担軽減の仕組みの改定
補足給付(負担限度額認定)に関わる見直しは、以下のとおりです。
令和6年8月1日施行 基準費用額の見直し
令和7年8月1日施行 多床室の室料負担
令和8年8月1日施行 食費基準費用額の1,445円→1,545円、低所得者の食費負担限度額の段階別変更












