通所介護事業所の多機能化とは?訪問機能導入支援アドバイザーの役割と補助内容

通所介護事業所の多機能化とは?訪問機能導入支援アドバイザーの役割と補助内容

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令和7年度補正予算「医療・介護等支援パッケージ」に盛り込まれた「通所介護事業所等の多機能化(訪問機能の追加)の推進支援」について、制度の背景・目的・補助の具体的な内容・対象事業所などをまとめて紹介します。

通所介護事業所等の多機能化(訪問機能の追加)の推進支援制度が生まれた背景

訪問介護をめぐる人材不足は、介護サービス全体のなかでも特に深刻な問題です。有効求人倍率は長年にわたって高い水準で推移しており、事業所の廃業・休業も相次いでいます。

こうした状況が続くなか、特に中山間地域や離島などの過疎地域では、訪問介護事業所そのものが存在しない地域が増えており、在宅で生活する高齢者が必要な訪問介護を受けられないという深刻な事態が生じています。

一方で、同じ地域にデイサービス(通所介護事業所)は存在しているという地域も少なくありません。通所介護事業所はすでに地域に根づいた介護インフラとして機能しており、利用者との関係性や地域の実情に関する知識も持っています。

こうした背景から厚生労働省は、訪問介護事業所が存在しない地域の通所介護事業所が、新たに訪問機能を追加する(多機能化する)ことを国として支援する方針を打ち出しました。

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制度の正式名称と資料

この制度の正式名称は以下のとおりです。

通所介護事業所等の多機能化(訪問機能の追加)の推進支援

根拠となる資料は、令和7年(2025年)12月1日に開催された社会保障審議会 介護保険部会(第130回)に提出された参考資料「令和7年度厚生労働省補正予算案の概要(老健局関係)」です。

また同日付の介護保険最新情報 Vol.1444(令和7年11月28日付)でも関連する「医療・介護等支援パッケージ」の概要が周知されています。

この施策は「訪問介護等サービス提供体制確保支援事業」(令和7年度補正予算案 56億円)のなかの「地域の体制づくり支援事業」の一つとして位置づけられています。

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対象となる事業所

補助の対象となるのは、以下の条件を満たす地域に所在する通所介護事業所です。

訪問介護事業所が1か所もない地域に所在する通所介護事業所
または、訪問介護事業所が存在していても必要なサービス提供が困難な状況(訪問の提供回数や移動距離などを勘案)にある地域に所在する通所介護事業所

対象となるサービス種別は以下のとおりです。

対象サービス
通所介護事業所
地域密着型通所介護事業所

なお、この支援は中山間地域・過疎地域における訪問介護の空白地帯の解消を主な目的としています。都市部の通所介護事業所は原則として対象外となります。

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支援の3段階構成(導入前・導入時・導入後)

この制度の特徴は、通所介護事業所が訪問機能を追加するにあたって必要な準備から運営安定までの一連の流れを3段階で支援していることです。

導入前支援(アドバイザーによる伴走支援)

訪問機能の追加を検討している通所介護事業所に対して、訪問機能導入支援アドバイザーが伴走支援を行うことを打ち出しています。
具体的には、訪問介護事業所としての指定取得の手続き支援や、人材育成のサポートなどが含まれます。

導入時支援(初期費用の助成)

訪問機能の追加に伴って必要となる初期費用に対して、補助金が交付されます。補助の対象となる経費の例は以下のとおりです。

  • 電動自転車の購入費用
  • 事業所ホームページの改修費用
  • 地域住民等への広告・周知費用(チラシ・リーフレットの作成・印刷など)
  • ヘルパーのユニフォームの購入費用
  • その他、訪問機能の追加に必要な初期費用

導入後支援(一定期間の定額補助)

訪問機能を追加したあとも、経営が安定するまでの一定期間、訪問1回につき定額補助が受けられます。
補助の対象期間は以下のどちらか早い方に達するまでです。

  • 訪問機能の導入から6か月間
  • 訪問回数が月300回に達するまで
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訪問機能導入支援アドバイザーとは

「訪問機能導入支援アドバイザー」とは、都道府県または市区町村に配置され、管内の通所介護事業所の訪問機能導入を支援する専門家のことです。

厚生労働省の補正予算資料では、アドバイザーとして訪問介護事業所の管理者経験者等が想定されています。訪問介護の現場を知る実務経験者が、通所介護事業所の側に立って伴走支援を行う仕組みです。

アドバイザーの主な役割は以下のとおりです。

  • 訪問介護事業所としての指定申請の手続きサポート
  • 人材育成に関するアドバイス(ヘルパーの育成・研修計画など)
  • 地域の実情を踏まえたサービス提供体制の設計支援
  • その他、訪問機能導入に向けた全般的な伴走支援

なお、アドバイザーの配置にかかる費用(人件費等)も補助対象経費に含まれています。

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補助率・予算規模

予算規模

この施策の令和7年度補正予算案での計上額は11億円です。
これは「訪問介護等サービス提供体制確保支援事業」全体(56億円)の内数として位置づけられています。

補助率

補助主体補助率国3/4(75%)都道府県・市区町村1/4(25%)
通常の中山間地域・離島等の取組については、国の補助率が4分の3に設定されています。事業者側の自己負担は発生しない仕組みとなっています。

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実施主体と申請の流れ

実施主体

この補助事業の実施主体は都道府県・市区町村です。事業者(通所介護事業所)が直接国に申請するのではなく、都道府県や市区町村が補助金を受け、管内の対象事業所に対して補助を行う間接補助の仕組みです。

申請にあたっての注意点

補助の詳細な要件や申請手続き、受付期間・提出様式などは、各都道府県・市区町村から示される案内を確認する必要があります。厚生労働省の補正予算成立後、各自治体から順次通知が発出される見込みです。
自事業所が対象地域に該当するかどうかも含め、まずは都道府県の介護保険担当課や市区町村の介護保険担当窓口に確認することをお勧めします。

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通所介護事業所の多機能化をめぐる議論の経緯と今後の展望

「通所+訪問」複合型サービス創設は2024年改定で見送りに

通所介護事業所が訪問機能を持つという方向性は、今回の補正予算による支援策ではじめて生まれたものではありません。その議論の原点は、2022年(令和4年)12月に開催された社会保障審議会 介護保険部会にあります。
この場で「複数の在宅サービス(訪問や通所系サービスなど)を組み合わせて提供する複合型サービスの類型などを設けることも検討することが適当」との方向性が示され、2024年(令和6年)介護報酬改定に向けて具体的な検討が始まりました。

想定されていたのは、通所介護と訪問介護を一体的に提供する「複合型新サービス」です。デイサービスのスタッフが必要に応じて利用者宅への訪問も担う仕組みで、介護保険制度に新サービスが誕生するのは2012年以来12年ぶりとなる注目の動きでした。

しかし、2023年(令和5年)12月4日の第234回社会保障審議会 介護給付費分科会において、2024年改定での通所介護と訪問介護を一体的に提供する「複合型新サービス」新設は見送られました。見送りの主な理由は以下のとおりです。

  • 「制度がさらに複雑になるだけで、利用者のメリットはそれほど大きくない」といった現場からの慎重論
  • 「人材不足への根本的な対策にはならない」という批判的な意見
  • サービスの質の低下や事業所の撤退等への懸念

この見送りを受け、厚生労働省は複合型サービスの実証事業や効果分析を実施したうえで、引き続き検討を深める方針を示しました。

2027年制度改正が次の焦点

2024年度施行の介護保険法改正で見送りになった事項は、次回の2027年度の介護保険法改正で結論が出される予定とされており、「訪問と通所の複合型サービス創設」は2027年改正に向けた重要論点の一つとして位置づけられています。国としても利用者・家族にとっても、費用があまりかからない形で何でもやってくれる事業所の方が都合が良いんですよね。小規模多機能型居宅介護方式で1か月で定額みたいなモデルが理想なのだと思いますがなかなか事業者が増えないので増えすぎている通所介護をうまく誘導するという流れなのではないでしょうか。

厚生労働省「2040年に向けたサービス提供体制等のあり方検討会」での議論

さらに大きな文脈として、厚生労働省は2025年(令和7年)1月に「2040年に向けたサービス提供体制等のあり方検討会」を立ち上げ、中長期的な視点から介護サービスの将来像についての議論を進めています。

この検討会では、地域性に応じた検討の方向性として、①中山間・人口減少地域→「需要減に応じた計画的なサービス基盤確保」②都市部→「需要急増に備えた新たな形態のサービス」③それ以外の地域(一般市等)→「現行の提供体制を前提に需要増減に応じたサービス基盤確保」という3類型が示されており、地域ごとに異なるアプローチが必要との考え方が示されています。

そして2025年(令和7年)7月、この検討会が報告書をとりまとめました。大都市部については、1人暮らしや認知症の高齢者、老老世帯などの急増を想定し、24時間365日の見守りを前提として、緊急時やニーズが生じた際に機動的に応えるサービスモデル、訪問+通所の包括的なサービスモデルなども俎上に載せるとしたとのことで、都市部では複合型サービスの必要性が改めて論点として浮上しています。

厚労省・老健局長は会合で「今回の取りまとめを審議会に報告し、より具体的な検討を進めていく」と説明し、今後、2027年度の制度改正・報酬改定の施策でどこまで踏み込めるかが焦点となっています。

通所介護事業所をめぐる多機能化の方向性

以上の議論を整理すると、通所介護事業所に期待される多機能化の方向性は、地域の状況によって大きく二つに分かれることがわかります。

中山間・人口減少地域では、今回の補正予算支援策のように「訪問介護事業所が存在しない地域における訪問機能の追加」という現実的・緊急的な対応が先行して進んでいます。

一方、都市部では、増加し続ける在宅要介護者のニーズに対応するため、訪問と通所を組み合わせた包括的なサービスモデルの制度化が、2027年改正に向けて検討される見通しです。

いずれの方向性においても、通所介護事業所が「地域における在宅介護のインフラ」として機能を拡充していくという大きな流れは共通しており、今後の制度改正の動向を注視する必要があります。

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まとめ

通所介護事業所等の多機能化(訪問機能の追加)の推進支援についての内容をまとめると以下のとおりです。

  • 令和7年度補正予算「医療・介護等支援パッケージ」の一環として令和7年(2025年)12月1日の介護保険部会で明らかになった施策
  • 訪問介護事業所が存在しない中山間地域等の通所介護事業所が、新たに訪問機能を追加する際の費用を国が支援するもの
  • 支援は「導入前(アドバイザーによる伴走支援)」「導入時(初期費用の助成)」「導入後(定額補助)」の3段階
  • 「訪問機能導入支援アドバイザー」として、訪問介護の管理者経験者等が都道府県・市区町村に配置され伴走支援を行う
  • 補助率は国3/4・都道府県または市区町村1/4、令和7年度補正予算案の計上額は11億円
  • 申請手続きの詳細は各都道府県・市区町村の案内を確認する必要がある

訪問介護の空白地帯が生じている地域に所在する通所介護事業所にとっては、訪問機能の追加という大きな経営判断を後押しする仕組みです。自事業所が対象となるかどうか、管轄の都道府県・市区町村に確認されることをお勧めします。

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参考資料

社会保障審議会 介護保険部会(第130回)参考資料3「令和7年度厚生労働省補正予算案の概要(老健局関係)」(令和7年12月1日)
介護保険最新情報 Vol.1444(令和7年11月28日)
介護保険最新情報 Vol.1448(令和7年12月17日)

2024年・2025年・2026年
介護保険・介護報酬改定の情報

 令和6年(2024年)障害福祉サービス報酬改定情報はこちら

令和6年~8年 地域区分(介護)区市町村の等級一覧(2024年4月~)

介護保険区分支給限度基準額一覧(要支援・要介護)

2024年介護報酬改定後の介護保険サービスごとの介護報酬・単位数

令和6年度介護報酬改定では、4月に変更となる内容と、6月に変更になる内容があります。例えば、訪問介護費の場合、基本報酬部分は4月から、処遇改善加算等は6月から変更という2段階での変更が生じることがあります。詳細は各記事に添付している厚生労働省のサイトからご確認ください。

 介護保険の居宅サービス介護給付費単位数(対象:要介護)

地域密着型サービスの単位数改定内容

介護予防サービス(対象・要支援)

介護予防・日常生活支援総合事業費(要支援・事業対象者)の改定内容

施設サービス等介護給付費単位数の改定内容

      2024年(令和6年)介護報酬改定で特徴的な加算・制度

      利用者負担軽減の仕組みの改定

      補足給付(負担限度額認定)に関わる見直しは、以下のとおりです。

      令和6年8月1日施行 基準費用額の見直し

      令和7年8月1日施行  多床室の室料負担

       

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