介護老人保健施設とは、通称「老健施設(ろうけんしせつ)」と呼ばれる介護保険施設です。老健で受けられるリハビリテーション、入所費用の減額、特養との違いの比較表、長期間ずっと入所できるのかなども紹介します。
このページの目次
介護老人保健施設とは
介護老人保健施設とは、通称「老健施設(ろうけんしせつ)」と呼ばれる介護保険施設です。介護老人保健施設は、以下のような役割を持っています。
- 在宅復帰、在宅療養支援のための地域拠点となる施設
- リハビリテーションを提供する機能維持・改善の役割を担う施設
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介護老人保健施設の法律上の定義(介護保険法)
介護老人保健施設は、介護保険法で以下のように定義されています。
介護老人保健施設とは、要介護者であって、主としてその心身の機能の維持回復を図り、居宅における生活を営むことができるようにするための支援が必要である者に対し、施設サービス計画に基づいて、看護、医学的管理の下における介護及び機能訓練その他必要な医療並びに日常生活上の世話を行うことを目的とする施設。
介護保険法第8条第28項
介護老人保健施設の基準と基本方針
(基本方針) 第一条の二 介護老人保健施設は、施設サービス計画に基づいて、看護、医学的管理の下に おける介護及び機能訓練その他必要な医療並びに日常生活上の世話を行うことにより、入所者 がその有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるようにすることとともに、その者の 居宅における生活への復帰を目指すものでなければならない。
介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準(平成11年厚生省令第40号)
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介護老人保健施設(老健)の入所条件
老健の入所条件について詳しく説明します。
項目 | 内容 |
---|---|
要介護度 | 要介護1以上の認定が必要です。 |
年齢 | 基本的には65歳以上ですが、特定疾病により要介護認定を受けた40歳以上の方も入所可能です。 |
在宅復帰の意思 | 老健は在宅復帰を目指す施設であるため、利用者や家族に在宅復帰の意思があることが重要です。 |
医療ケアの必要性 | 医療管理が必要な場合でも、比較的安定している状態で、常勤の医師が対応できる範囲内の医療ケアが求められます。 |
その他の条件 | 施設ごとに細かい条件が設定されている場合がありますので、具体的な施設にお問い合わせいただくことをお勧めします。 |
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退院後や在宅生活で機能低下が見られる時などに入所してリハビリ
介護老人保健施設は、在宅生活を送る中で機能が低下してしまい在宅生活が難しくなってしまった時が、急な入院などにより体が弱ってしまった時などに、3か月ほどの期間入所してリハビリを受けることができる施設です。介護老人保健施設では、人員基準として医師が配置されており、リハビリテーション専門職である理学療法士・作業療法士・言語聴覚士も配置が必要となっており、個別リハビリテーションを受けることができます。
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介護老人保健施設で受けられるリハビリテーション
介護老人保健施設には施設に入所して受ける施設サービスだけでなく、通所リハビリテーションや訪問リハビリテーションの機能を持っている施設もあります。
施設に入所中に受けるリハビリテーションも、通所リハビリや訪問リハビリでのリハビリテーションも、医師の指示のもと、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士のいずれかが提供するものです。
介護老人保健施設にはそれぞれの施設で特色があり、自宅での生活を送るためのリハビリテーションに力を入れてる場合や、咀嚼や嚥下など口腔機能に障害を持っている人の経口摂取(口からご飯を食べる)に取り組んでいる場合、認知機能の低下がある場合にもできるだけ生活を送るためのリハビリに取り組んでいるなどがあります。
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介護老人保健施設の費用
介護老人保健施設の費用は要介護認定を受けている場合には介護保険で多くを賄われ、自己負担金は実際にかかる費用の1〜3割となっています。居住費・食費については自費がかかります。
しかし、介護老人保健施設は、特定入所者介護サービス費負担限度額認定証により費用負担の軽減を受けることができる施設であるため、所得や資産の状況に応じて、介護保険負担限度額認定証で減額対象となります。詳しくはこちらの記事で紹介しています。
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老健と特養の違い比較表
介護老人保健施設について調べていると、特別養護老人ホームとどう違うのかということが疑問になることが多いです。そこで、介護老人保健施設(老健)と特別養護老人ホーム(特養)の違いを比較した表を掲載します。
老健と特養の入居条件の違い
項目 | 介護老人保健施設(老健) | 特別養護老人ホーム(特養) |
---|---|---|
要介護度 | 要介護1以上 | 要介護3以上 |
年齢 | 65歳以上(特定疾病の場合は40歳以上) | 65歳以上(特定疾病の場合は40歳以上) |
その他条件 | 在宅復帰が目的 | 長期入所が目的 |
老健と特養の入居期間の違い
項目 | 介護老人保健施設(老健) | 特別養護老人ホーム(特養) |
---|---|---|
利用期間 | 原則3ヶ月ごとに在宅復帰の可否を検討 | 終身利用が可能 |
退所条件 | 在宅復帰が可能な場合、または状態が安定した場合 | 終末期ケアも含め、長期的な生活の場を提供 |
老健と特養のサービス内容の違い
項目 | 介護老人保健施設(老健) | 特別養護老人ホーム(特養) |
---|---|---|
介護サービス | 入浴、排泄、食事などの日常生活支援 | 入浴、排泄、食事などの日常生活支援 |
医療ケア | 医師常駐、看護師多数配置、リハビリ専門職員 | 医療機関との提携により緊急時対応 |
リハビリ | 充実したリハビリテーション | 機能訓練(施設により異なる) |
レクリエーション | 機能訓練の一環として行われることが多い | レクリエーションやイベント |
健康管理 | 日常的な健康管理と緊急対応 | 日常的な健康管理と緊急対応 |
看取りケア | まだ行わない施設が多いが、ケースや方針による | 看取りケアが可能 |
老健と特養の費用の違い
項目 | 介護老人保健施設(老健) | 特別養護老人ホーム(特養) |
---|---|---|
月額費用 | 月額6万〜15万円程度、リハビリ費用が加算 | 月額6万〜15万円程度、日常生活費と介護費用 |
入居一時金 | 不要 | 不要 |
老健と特養の設備・居室の違い
項目 | 介護老人保健施設(老健) | 特別養護老人ホーム(特養) |
---|---|---|
居室タイプ | 従来型:4名以下8㎡~、ユニット型個室:10.65㎡~ | 従来型・ユニット型ともに10.65㎡~ |
共同利用設備 | 食堂、トイレ、浴室、リハビリ室、診察室 | 食堂、トイレ、浴室、機能訓練室 |
老健は、主にリハビリテーションを重視し、在宅復帰を目指す施設です。そのため、医師やリハビリ専門職員が常駐し、リハビリを集中して行います。一方、特養は長期的な生活支援を目的とし、重度の介護を必要とする高齢者が入所する施設です。看取りケアも行われるため、終身利用が前提となっています。
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老健に1年以上ずっと入所はできる?
介護老人保健施設(老健)は、リハビリテーションを重視し、在宅復帰を目指す施設です。そのため、利用者が例えば1年以上など、長期間にわたり施設に滞在することは基本的には想定されていません。
老健の種類と在宅復帰
老健は「在宅復帰・在宅療養支援等指標」に基づき、以下の5種類に分類されます。
- 超強化型老健
- 在宅強化型老健
- 加算型老健
- 基本型老健
- その他型老健
各施設の方針によって在宅復帰を強化する体制や、長期入所が可能かどうかが異なります。特に「超強化型老健」や「在宅強化型老健」では、在宅復帰を積極的に支援するため、長期間の入所が難しい場合があります。
施設の運営と介護報酬
施設が利用者を長期間入所させると、施設の介護報酬が下がる仕組みが取り入れられています。これは、在宅復帰を促進し、老健の本来の役割を果たすための政策です。そのため、老健側としても利用者の長期入所を避ける傾向にあります。
やむを得ない事情と施設側の配慮
やむを得ない事情がある場合、どの施設でも一定期間の入所を配慮してもらえることは多いですが、長期間の入所を前提とする場合は、特別養護老人ホーム(特養)や有料老人ホームなど、長期入所を前提とした施設への転居を考える必要があります。老健の役割として、次の生活を在宅で送るのかそれとも施設への入所などを考えるのかという猶予期間のような施設ともいえるので、老健の支援相談員やリハビリテーションの職員などと相談しながら方向性を決めていきましょう。
今は、介護施設や老人ホームを検索するサイトがとても充実してきていて施設も探しやすくなっているので、とりあえず気になった施設や費用面で現実的な施設を探して資料請求などを行っておくことは重要です。
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まとめ
介護老人保健施設は、病院から退院するときの移行期間や、退院後在宅で生活を送る時に継続してリハビリテーションを受けたい場合などに利用するとメリットのある施設です。原則、要介護の認定を受けている人しか入所できませんが、ショートステイや通所リハビリテーションでは要支援の人も利用できる場合があります。地域のリハビリテーションの中核を担う施設なので、介護老人保健施設という介護保険施設があることを覚えておくとよいでしょう。
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