居宅介護支援事業所のケアマネジャーの業務として、月1回のモニタリング訪問があります。令和6年(2024年)の介護報酬改定では、居宅介護支援でのオンラインモニタリングについての運営基準上も明記されました。厚生労働省からのQ&Aで詳細な解釈なども示されたため、オンラインモニタリングの条件を守らずにオンラインモニタリングで済ませていると、適切な運営ができず、報酬の返還等にもなりかねませんので、十分に確認しておきましょう。
このページの目次
ケアマネが行うモニタリングとは
介護支援専門員は、居宅サービス計画を立てた後も、利用者やその家族、主治医、居宅サービスを提供する事業者などと継続して連絡を取り合います。この連携を通じて、モニタリング(利用者の状況を定期的にチェックすること)を実施します。特に問題がない限り、少なくとも毎月1回は利用者に会って面談を行い、その結果を記録する必要があります。面談は基本的に、利用者の家を訪問して行います。
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居宅ケアマネのオンラインモニタリングの条件・要件の満たし方
令和6年(2024年)の介護保険改定に認められるオンラインでのモニタリングについて、どのようにすると条件を満たせるかをまとめると以下のようになります。この内容はわかりやすくまとめた表なので、詳細は後述する運営基準でご確認ください。
要件/条件 | 説明 |
---|---|
基準の満たし方 | オンライン面接は、特定の基準を満たした場合のみ可能です。 |
訪問頻度 | 2ヶ月に1回は実際に利用者の家を訪問し、その他の月はオンラインで面接します。 |
変更時の対応 | 利用者の状況に変化があった場合は、オンラインから実際の訪問に切り替えます。 |
プライバシーとセキュリティ | 個人情報の取り扱いやセキュリティに関するガイドラインを守ります。 |
利用者の同意 | 利用者からの文書による同意を得て、オンライン面接のメリットとデメリットを説明します。 |
利用者の状況確認 | オンライン面接でも、対面時と同等の応対が可能であることを確認します。操作は家族等の介助でも可。 |
情報の補完 | 画面越しでは確認できない情報は、サービス事業所からの提供により補完します。情報提供の負担を考慮します。 |
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居宅介護支援でのオンラインモニタリングについての運営基準上の記載
以下は運営基準上の内容で、令和6年(2024年)の介護保険改定で、テレビ電話装置等による面接について追加されました。
モニタリングの実施(第 14 号)
介護支援専門員は、モニタリングに当たっては、居宅サービス計画の作成後においても、利用者及びその家族、主治の医師、指定居宅サービス事業者等との連絡を継続的に行うこととし、当該指定居宅サービス事業者等の担当者との連携により、モニタリングが行われている場合においても、特段の事情のない限り、少なくとも1月に1回は利用者の居宅で面接を行い、かつ、少なくとも1月に1回はモニタリングの結果を記録することが必要である。また、「特段の事情」とは、利用者の事情により、利用者の居宅を訪問し、利用者に面接することができない場合を主として指すものであり、介護支援専門員に起因する事情は含まれない。さらに、当該特段の事情がある場合については、その具体的な内容を記録しておくことが必要である。なお、基準第 29 条第2項の規定に基づき、モニタリングの結果の記録は、2年間保存しなければならない。
ただし、基準第 13 条第 14 号ロ⑴及び⑵の要件を満たしている場合であって、少なくとも2月に1回利用者の居宅を訪問し、面接するときは、利用者の居宅を訪問しない月においては、テレビ電話装置等を活用して面接を行うことができる。なお、テレビ電話装置等を活用して面接を行う場合においても、利用者の状況に変化が認められた場合等においては、居宅を訪問することによる面接に切り替えることが適当である。また、テレビ電話装置等の活用に当たっては、個人情報保護委員会・厚生労働省「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」、厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」等を遵守すること。テレビ電話装置等を活用して面接を行うに当たっては、以下のイからホに掲げる事項について留意する必要がある。
イ 文書により利用者の同意を得る必要があり、その際には、利用者に対し、テレビ電話装置等による面接のメリット及びデメリットを含め、具体的な実施方法(居宅への訪問は2月に1回であること等)を懇切丁寧に説明することが重要である。なお、利用者の認知機能が低下している場合など、同意を得ることが困難と考えられる利用者については、後述のロの要件の観点からも、テレビ電話装置等を活用した面接の対象者として想定されない。
ロ 利用者の心身の状況が安定していることを確認するに当たっては、主治の医師等による医学的な観点からの意見や、以下に例示する事項等も踏まえて、サービス担当者会議等において総合的に判断することが必要である。
・ 介護者の状況の変化が無いこと。
・ 住環境に変化が無いこと(住宅改修による手すり設置やトイレの改修等を含む)
・ サービス(保険外サービスも含む)の利用状況に変更が無いことハ テレビ電話装置等を活用して面接を行うに当たっては、利用者がテレビ電話装置等を介して、利用者の居宅において対面で面接を行う場合と同程度の応対ができる必要がある。なお、テレビ電話装置等の操作については、必ずしも利用者自身で行う必要はなく、家族等の介助者が操作を行うことは差し支えない。
ニ テレビ電話装置等を活用して面接を行う場合、画面越しでは確認できない利用者の健康状態や住環境等の情報については、サービス事業所の担当者からの情報提供により補完する必要がある。この点について、サービス事業所の担当者の同意を得るとともに、サービス事業所の担当者の過度な負担とならないよう、情報収集を依頼する項目や情報量については留意が必要である。なお、サービス事業所の担当者に情報収集を依頼するに当たっては、別途通知する「情報連携シート」を参考にされたい。
ホ 主治の医師、担当者その他の関係者の合意を得る方法としては、サービス担当者会議のほか、利用者の通院や訪問診療への立会時における主治の医師への意見照会や、サービス事業所の担当者との日頃の連絡調整の際の意見照会も想定されるが、いずれの場合においても、合意に至るまでの過程を記録しておくことが必要である。また、「特段の事情」とは、利用者の事情により、利用者の居宅を訪問し、利用者に面接することができない場合を主として指すものであり、介護支援専門員に起因する事情は含まれない。さらに、当該特段の事情がある場合については、その具体的な内容を記録しておくことが必要である。なお、基準第 29 条第2項の規定に基づき、モニタリングの結果の記録は、2年間保存しなければならない。
指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準について
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オンラインモニタリングのルールについて厚生労働省Q&A
オンラインモニタリングについて、厚生労働省のQ&Aを紹介します。
訪問介護の提供に支障が生じない範囲で、例えば ICT 機器の On/Off 等の協力などを行うことは差し支えないが、具体的な実施方法や連携方法等は、あらかじめ指定居宅介護支援事業所と訪問介護事業所とで調整すること。また、協力・連携の範囲について、利用者の要望や目的によっては、適切ではない場合等もあると考えられるため、その必要性等については、状況に応じて判断する必要がある。
要件を満たしていれば可能であるが、居宅サービス計画等の実施状況を適切に把握する観点から、初回のモニタリングは利用者の居宅を訪問して行い、その結果を踏まえた上で、テレビ電話装置等を活用したモニタリングが可能かどうかを検討することが望ましい。
テレビ電話装置等を活用したモニタリングのみでは収集できない情報について、居宅サービス事業者等に情報収集を依頼する項目のみを記載すればよい。
情報連携シートは様式例であるため、必ずしもこの様式に限定されないが、介護ソフト・アプリの記録機能を活用する場合においても、情報連携シートの項目と照らし、指定居宅介護支援事業者と居宅サービス事業者等の連携に必要な情報が得られるかを確認すること。
該当しない。この場合は、利用者の居宅への訪問によるモニタリングに切り替えること。
利用者やその家族に対し、テレビ電話装置等を活用したモニタリングについて、そのメリット・デメリットを含め十分に説明した上で、チェック欄にチェックを入れることにより同意を得ることは差し支えない。
訪問によるモニタリングを行う月において、直後のテレビ電話装置等を活用してモニタリングを行う月の分もサービス利用票(控)を持参し確認を受ける方法や、電子メール等により確認を受ける方法等が考えられる。
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まとめ
令和6年の介護報酬改定で居宅介護支援のケアマネに関してはオンラインでモニタリングすることが一部認められるようにはなりました。しかし、原則は利用者の居宅を訪問することにより行うということも合わせて明記されています。実際にオンラインモニタリングだけで全てを済ませることはできず、様々な条件を満たさなければならないため、2ヶ月に1回のオンラインモニタリングでさえも、ごく限られた利用者に対してでしか実践できない可能性が高いです。今後厚生労働省からも様々なQ & A などが出てくると思いますが、ケアマネ、利用者・家族、関係者にとって負担が少なく目的を達成できるような形でまとまっていくと良いですね。
令和6年度介護報酬改定では、4月に変更となる内容と、6月に変更になる内容があります。例えば、訪問介護費の場合、基本報酬部分は4月から、処遇改善加算等は6月から変更という2段階での変更が生じることがあります。詳細は各記事に添付している厚生労働省のサイトからご確認ください。 補足給付(負担限度額認定)に関わる見直しは、以下のとおりです。 令和6年8月1日施行 基準費用額の見直し 令和7年8月1日施行 多床室の室料負担 2024年4月・6月介護報酬改定の情報
令和6年~8年 地域区分(介護)区市町村の等級一覧(2024年4月~)
介護保険区分支給限度基準額一覧(要支援・要介護)
2024年介護報酬改定後の介護保険サービスごとの介護報酬・単位数
介護保険の居宅サービス介護給付費単位数(対象:要介護)
地域密着型サービスの単位数改定内容
介護予防サービス(対象・要支援)
介護予防・日常生活支援総合事業費(要支援・事業対象者)の改定内容
施設サービス等介護給付費単位数の改定内容
2024年(令和6年)介護報酬改定で特徴的な加算・制度
利用者負担軽減の仕組みの改定
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