介護計画書などから署名サイン欄削除 署名押印の代替手段とは
 

2021年4月の介護報酬改定で、介護事業所で使われる書類について、書面で交付や押印・署名などでやり取りを行うものに関して、事前に利用者または家族の承諾を得た上で、書面に代えて、電磁的記録により行うことができるようになりました。

実際に、2021年4月の介護報酬改定に伴って示された居宅サービス計画書(ケアプラン)や各種介護計画書類からは、署名欄(サイン)が削除されています。介護計画への同意などに伴う押印・署名が不要とされたのは、介護現場の革新、事務負担の軽減に向けた施策の一環ではあるのですが、ただ単に今までの介護計画や契約書などから署名を無くしてよいという言うわけありません

交付・同意・承諾・締結などについて、署名や押印以外の電磁的方法による代替手段を使った場合にのみ署名ではなくても良いという条件なので注意が必要です。代替手段については、「押印についてのQ&A (令和2年6月 19 日内閣府・法務省・経済産業省)」を参考に対応することとされています。

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介護計画書などの押印はもともと不要

ケアプラン等への同意は、利用者から文書により同意を得ることが介護保険の基準として示されています。
家族がキーパーソンになっていることも有りますが、書字が不可能もしくは判断が困難な場合以外は、本人の選択を尊重する意味でご本人に署名をしていただくことが理想です。

ケアプランや介護計画などは、介護計画に対して利用者の意向を確認したことを証明するために「同意の署名」をいただきます。これは、「○年○月○日に計画の説明を受け、その計画を私も同意して希望します」という意味の署名(サイン)であり、あくまでも本人の意向を確認したことを示すものです。介護現場では、署名をいただく意味についてはあまり考えられていなかったり、指導を行う自治体などからも署名と押印をもらう必要があるなどというリードがあったりして署名と押印が必ず必要だと誤認されていますが、本人の意向を確認したことの確認の手段であるため、押印まではもともと求められていませんでした。

2021年介護報酬改定で計画書様式例から署名欄(サイン欄)がなくなった書類の例

2021年介護報酬改定に合わせて、新しい様式が示された書類もありますが、例えば以下のような書類から署名欄(サイン欄)が削除されています。

  • 居宅サービス計画
  • リハビリテーション実施計画書
  • 通所介護計画書
  • 個別機能訓練計画書
  • 栄養ケア・経口移行・経口維持計画書
  • 栄養ケア計画書
  • 口腔機能向上サービスに関する計画書

2021年介護報酬改定の基準改定で「署名」が不要になるわけではなく、他の手段も認められるようになるだけ

厚生労働省は2021年の報酬改定で事務負担軽減を目指し押印や署名をなくすと介護給付費分科会での議論など様々な場面で話し合ってきており話題になっていたので「介護計画書などに、押印・署名・サイン不要」という印象が一般に広がっています。2021年4月以降は介護計画書やケアプランなどに本人の意向の確認も署名も不要になるという解釈している方も多いと思います。

しかし、2021年介護報酬改定の基準改定では「書面における署名(サイン)」で計画への同意や承諾をすることが不要になるわけではなく、署名という手段の他に電磁的方法も認められるようになるだけなので正しい理解が必要です。指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(いわゆる運営基準)では、以下のように記載されています。

電磁的方法について

事業者等は、交付、説明、同意、承諾、締結等について、事前に利用者又はその家族等の承諾を得た上で、次に掲げる電磁的方法によることができる。
イ 電磁的方法による交付は、指定居宅サービス基準第8条第2項から第6項までの規定に準じた方法によること。
ロ 電磁的方法による同意は、例えば電子メールにより利用者等が同意の意思表示をした場合等が考えられること。なお、「押印についてのQ&A(令和2年6月 19 日内閣府・法務省・経済産業省)」を参考にすること。
ハ 電磁的方法による締結は、利用者等・事業者等の間の契約関係を明確にする観点から、書面における署名又は記名・押印に代えて、電子署名を活用することが望ましいこと。なお、「押印についてのQ&A (令和2年6月 19 日内閣府・法務省・経済産業省)」を参考にするこ と。
ニ その他、指定居宅サービス基準第 217 条第2項において電磁的方法によることができるとされているものに類するものは、イからハまで に準じた方法によること。ただし、この通知の規定により電磁的方法 の定めがあるものについては、当該定めに従うこと。
ホ また、電磁的方法による場合は、個人情報保護委員会・厚生労働省 「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」、厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」等を遵守すること。

その他
イ この通知に定めるほか、単位数の算定に当たって押印を要する文書については、押印を不要とする変更等が行われたものとみなして取り扱うものとすること。この場合において、「押印についてのQ&A(令 和2年6月 19 日内閣府・法務省・経済産業省)」を参考にすることとし、変更の主な方法は、様式中の「印」等の表記を削るものとすること。
ロ 単位数の算定に当たって事業者に書類の提出を求める場合にあっては、事業者に過度な負担が生じないよう配慮し、必要以上の添付書 類等を求めないものとすること。

介護計画書やケアプランの署名押印の代替手段の具体例

2021年に新たに厚生労働省から示された各種書類から署名欄が削除されるなど、署名を用いない方法での同意等の確認が介護業界でもスタンダードになりそうな空気はありますが、署名押印などによる立証の具体的な代替手段と示されているのは「メール」と「電子署名」です。つまり、もしも書面での署名をなくす場合には、メールの送受信などにより同意のやり取りなどが確認できることや、電子署名により説明や同意をした人と日時などが確認できる状態ができるている必要があるのです。指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(いわゆる運営基準)では、「押印についてのQ&A (令和2年6月 19 日内閣府・法務省・経済産業省)」を参考に対応となっていますが、以下のような方法が示されています。

問6.文書の成立の真正を証明する手段を確保するために、どのようなものが考えられるか。
次のような様々な立証手段を確保しておき、それを利用することが考えられる。
①継続的な取引関係がある場合
取引先とのメールのメールアドレス・本文及び日時等、送受信記録の保存(請求書、納品書、検収書、領収書、確認書等は、このような方法の保存のみでも、文書の成立の真正が認められる重要な一事情になり得ると考えられる。)
② 新規に取引関係に入る場合
契約締結前段階での本人確認情報(氏名・住所等及びその根拠資料としての運転免許証など)の記録・保存本人確認情報の入手過程(郵送受付やメールでの PDF 送付)の記録・保存文書や契約の成立過程(メールや SNS 上のやり取り)の保存
③ 電子署名や電子認証サービスの活用(利用時のログイン ID・日時や認証結果などを記録・保存できるサービスを含む。)

上記①、②については、文書の成立の真正が争われた場合であっても、例えば下記の方法により、その立証が更に容易になり得る
と考えられる。また、こういった方法は技術進歩により更に多様化していくことが想定される。
(a) メールにより契約を締結することを事前に合意した場合の当該合意の保存
(b) PDF にパスワードを設定
(c) (b)の PDF をメールで送付する際、パスワードを携帯電話等の別経路で伝達
(d) 複数者宛のメール送信(担当者に加え、法務担当部長や取締役等の決裁権者を宛先に含める等)
(e) PDF を含む送信メール及びその送受信記録の長期保存

介護計画などの書類から署名(サイン)がなくなっても交付などは書面、減らない事務作業

事業者等は、交付、説明、同意、承諾、締結等を「メール」や「電子署名」を使うことで書面での署名(サイン)がなくてもよくなります。まず介護事業所を行う中で事業所間のやり取りでさえメールを使っているケースはほぼ無い中で、利用者との間でメールでやり取りすることは現実的ではありません。仮に同意や契約などに関して、介護ソフトやそのほかの電子署名サービスを活用して署名を排除したとしても、利用者への計画書などの交付はメールなどで行うことは現実的ではなく書面での交付という手間は残ります。

このような状況なので、署名が不要になり事務負担が軽減するという厚生労働省のアイデアでは、現実的にはほぼ業務量は変わりそうにありません。

ご利用者の意向を確認することは大切だと思いますが、署名でない代替手段をもっと現実的に示してくれない限り事務負担は減りません。難しいところですね。

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