2024年(令和6年)6月からの「介護職員処遇改善加算」では、月額賃金改善要件Ⅱ(旧ベースアップ等加算相当の賃金改善)を満たすことが、介護職員等処遇改善加算Ⅰ、介護職員等処遇改善加算Ⅱ、介護職員等処遇改善加算Ⅲ、介護職員等処遇改善加算Ⅳの算定要件となっています。
この記事では、「介護職員処遇改善加算」に必要な「月額賃金改善要件」の内容について深堀して解説します。
このページの目次
2024年(令和6年)「介護職員処遇改善加算」の算定要件
2024年(令和6年)「介護職員処遇改善加算」の算定要件・各サービスごとの加算割合の詳細は以下の記事で紹介しています。
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令和6年度中の新加算Ⅰ~Ⅳ及び新加算Ⅴ(経過措置区分)の算定要件早見表(賃金改善以外の要件)
①月額賃金改善要件Ⅰ | ②月額賃金改善要件Ⅱ | ③キャリアパス要件Ⅰ |
④キャリアパス要件Ⅱ | ⑤キャリアパス要件Ⅲ | ⑥キャリアパス要件Ⅳ | ⑦キャリアパス要件Ⅴ | ⑧職場環境等要件 | 表2-3に掲げる旧3加算の算定状況 | ||||
新加算Ⅳの1/2以上の月額賃金改善 | 旧ベア加算相当の 2/3以上の新規の月額賃金 改善 |
任用要 件・賃金体系の整備等 | 研修の実施等 | 昇給の仕組みの整備等 | 改善後の賃金要件 (8万円又は440万円一人 以上) |
介護福祉士等の配置要件 | 職場環境全体で1 | 職場環境区分ごと 1 | HP掲載等を通じた見える化 | |||
介護職員等処遇改善加算Ⅰ | - | (○) | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | - | ○ | ○ | - | |
介護職員等処遇改善加算Ⅱ | - | (○) | ○ | ○ | ○ | ○ | - | - | ○ | ○ | - | |
介護職員等処遇改善加算Ⅲ | - | (○) | ○ | ○ | ○ | - | - | ○ | - | - | - | |
介護職員等処遇改善加算Ⅳ | - | (○) | ○ | ○ | - | - | - | ○ | - | - | - | |
介護職員等処遇改善加算Ⅴ(1) | - | - | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | - | ○ | ○ | ○ | |
介護職員等処遇改善加算Ⅴ(2) | - | - | ○ | ○ | - | ○ | ○ | - | ○ | ○ | ○ | |
介護職員等処遇改善加算Ⅴ(3) | - | - | ○ | ○ | ○ | ○ | - | - | ○ | ○ | ○ | |
介護職員等処遇改善加算Ⅴ(4) | - | - | ○ | ○ | - | ○ | - | - | ○ | ○ | ○ | |
介護職員等処遇改善加算Ⅴ(5) | - | - | ○ | ○ | - | ○ | ○ | - | ○ | ○ | ○ | |
介護職員等処遇改善加算Ⅴ(6) | - | - | ○ | ○ | - | ○ | - | - | ○ | ○ | ○ | |
介護職員等処遇改善加算Ⅴ(7) | - | - | どちらか1つを実施 | ○ | ○ | - | ○ | ○ | ○ | |||
介護職員等処遇改善加算Ⅴ(8) | - | - | ○ | ○ | ○ | - | - | ○ | - | - | ○ | |
介護職員等処遇改善加算Ⅴ(9) | - | - | どちらか1つを実施 | - | ○ | - | - | ○ | ○ | ○ | ||
介護職員等処遇改善加算Ⅴ(10) | - | - | どちらか1つを実施 | - | ○ | ○ | - | ○ | ○ | ○ | ||
介護職員等処遇改善加算Ⅴ(11) | - | - | ○ | ○ | - | - | - | ○ | - | - | ○ | |
介護職員等処遇改善加算Ⅴ(12) | - | - | どちらか1つを実施 | - | ○ | - | - | ○ | ○ | ○ | ||
介護職員等処遇改善加算Ⅴ(13) | - | - | どちらか1つを実施 | - | - | - | ○ | - | - | ○ | ||
介護職員等処遇改善加算Ⅴ(14) | - | - | どちらか1つを実施 | - | - | - | ○ | - | - | ○ |
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月額賃金改善要件Ⅰ(月給による賃金改善)
新加算Ⅳの加算額の2分の1以上を基本給又は決まって毎月支払われる手当(以下「基本給等」という。)の改善に充てること。
また、事業所等が新加算ⅠからⅢまでのいずれかを算定する場合にあっては、仮に新加算Ⅳを算定する場合に見込まれる加算額の2分の1以上を基本給等の改善に充てること。なお、加算を未算定の事業所が新規に新加算ⅠからⅣまでのいずれかを算定し始める場合を除き、本要件を満たすために、賃金総額を新たに増加させる必要はない。
したがって、基本給等以外の手当又は一時金により行っている賃金改善の一部を減額し、その分を基本給等に付け替えることで、本要件を満たすこととして差し支えない。
また、既に本要件を満たしている事業所等においては、新規の取組を行う必要はない。
ただし、この要件を満たすために、新規の基本給等の引上げを行う場合、当該基本給等の引上げはベースアップ(賃金表の改訂により基本給等の水準を一律に引き上げること)により行うことを基本とする。
月額賃金改善要件Ⅰについては、令和6年度中は適用を猶予する。そのため、令和6年度の新加算の算定に当たり、本要件を満たす必要はないが、令和7年度以降の新加算の算定に向け、計画的に準備を行う観点から、令和6年度の処遇改善計画書においても任意の記載項目として月額での賃金改善額の記載を求めることとする。
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月額賃金改善要件Ⅱ(旧ベースアップ等加算相当の賃金改善)
令和6年5月31日時点で現に旧処遇改善加算を算定しており、かつ、旧ベースアップ等加算を算定していない事業所が、令和8年3月31日までの間において、新規に新加算ⅠからⅣまでのいずれかを算定する場合には、初めて新加算ⅠからⅣまでのいずれかを算定し、旧ベースアップ等加算相当の加算額が新たに増加する事業年度において、当該事業所が仮に旧ベースアップ等加算を算定する場合に見込まれる加算額の3分の2以上の基本給等の引上げを新規に実施しなければならない。
その際、当該基本給等の引上げは、ベースアップにより行うことを基本とする。
また、令和6年5月以前に旧3加算を算定していなかった事業所及び令和6年6月以降に開設された事業所が、新加算ⅠからⅣまでのいずれかを新規に算定する場合には、月額賃金改善要件Ⅱの適用を受けない。
本要件の適用を受ける事業所は、初めて新加算ⅠからⅣまでのいずれかを算定した年度の実績報告書において、当該賃金改善の実施について報告しなければならない。
したがって、例えば、令和6年5月31日時点で現に旧処遇改善加算を算定しており、かつ、旧ベースアップ等加算を算定していない事業所であって、令和6年6月から新加算Ⅰを算定した事業所は、令和6年6月から旧ベースアップ等加算相当の加算額の3分の2以上の基本給等の引上げを新規に実施し、令和6年度の実績報告書で報告しなければならない。また、同様の事業所が、令和6年6月から新加算Ⅴ⑴(旧ベースアップ加算相当の加算率を含まない)を算定し、令和7年4月から新加算Ⅰを算定する場合は、令和7年4月から旧ベースアップ等加算相当の加算額の3分の2以上の基本給等の引上げを新規に実施し、令和7年度の実績報告書で報告しなければならない。なお、実績報告書においては、事業者等の事務負担を軽減する観点から、月額賃金改善要件Ⅱの判定に用いる旧ベースアップ等加算に相当する加算額は、新加算ⅠからⅣまでのそれぞれの加算額に、別紙1表3に掲げる新加算ⅠからⅣまでの加算率と旧ベースアップ等加算の加算率の比(小数第4位以下を切捨て)を乗じて算出した額とする。
表3 新加算Ⅰ~Ⅳと旧ベースアップ等加算の比率(月額賃金改善要件Ⅱ)
介護職員等処遇改善加算Ⅰ | 介護職員等処遇改善加算Ⅱ | 介護職員等処遇改善加算Ⅲ | 介護職員等処遇改善加算Ⅳ | |
訪問介護 | 9.7% | 10.7% | 13.1% | 16.5% |
夜間対応型訪問介護 | 9.7% | 10.7% | 13.1% | 16.5% |
定期巡回・随時対応型訪問介護看護 | 9.7% | 10.7% | 13.1% | 16.5% |
(介護予防)訪問入浴介護 | 11.0% | 11.7% | 13.9% | 17.4% |
通所介護 | 11.9% | 12.2% | 13.7% | 17.1% |
地域密着型通所介護 | 11.9% | 12.2% | 13.7% | 17.1% |
(介護予防)通所リハビリテーション | 11.6% | 12.0% | 15.1% | 18.8% |
(介護予防)特定施設入居者生活介護 | 11.7% | 12.2% | 13.6% | 17.0% |
地域密着型特定施設入居者生活介護 | 11.7% | 12.2% | 13.6% | 17.0% |
(介護予防)認知症対応型通所介護 | 12.7% | 13.2% | 15.3% | 18.8% |
(介護予防)小規模多機能型居宅介護 | 11.4% | 11.6% | 12.6% | 16.0% |
看護小規模多機能型居宅介護 | 11.4% | 11.6% | 12.6% | 16.0% |
(介護予防)認知症対応型共同生活介護 | 12.3% | 12.9% | 14.8% | 18.4% |
介護老人福祉施設 | 11.4% | 11.7% | 14.1% | 17.7% |
地域密着型介護老人福祉施設 | 11.4% | 11.7% | 14.1% | 17.7% |
(介護予防)短期入所生活介護 | 11.4% | 11.7% | 14.1% | 17.7% |
介護老人保健施設 | 10.6% | 11.2% | 14.8% | 18.1% |
(介護予防)短期入所療養介護 (老健) | 10.6% | 11.2% | 14.8% | 18.1% |
(介護予防) 短期入所療養介護(病院等(老健以外)) | 9.8% | 10.6% | 13.8% | 17.2% |
介護医療院 | 9.8% | 10.6% | 13.8% | 17.2% |
(介護予防)短期入所療養介護(医療院) | 9.8% | 10.6% | 13.8% | 17.2% |
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介護職員等処遇改善加算等 処遇改善計画書への月額賃金改善要件の記載
介護職員等処遇改善加算を算定する場合には、介護職員等処遇改善計画書、介護職員処遇改善計画書、介護職員等特定処遇改善計画書及び介護職員等ベースアップ等支援計画書を、別様式2-1、別紙様式2-2、別紙様式2-3及び別紙様式2-4に定める様式により作成し、当該事業年度において初めて新加算等を算定する月の前々月の末日までに、新加算等を算定する介護サービス事業所等の所在する都道府県知事等に対して提出し、根拠資料と併せて2年間保存する必要があります。
令和6年4月及び5月の旧3加算の算定並びに令和6年6月以降の新加算の算定に係る処遇改善計画書の提出期日は、令和6年4月 15 日です。令和6年6月に算定する新加算に係る処遇改善計画書について、都道府県知事等は、令和6年6月 15 日まで、介護サービス事業者等が行った変更を受け付けることとされています。
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実績報告書等の作成・提出
各事業年度における最終の加算の支払があった月の翌々月の末日までに、都道府県知事等に対して提出し、根拠資料と併せて2
年間保存することとされています。
令和6年度介護報酬改定では、4月に変更となる内容と、6月に変更になる内容があります。例えば、訪問介護費の場合、基本報酬部分は4月から、処遇改善加算等は6月から変更という2段階での変更が生じることがあります。詳細は各記事に添付している厚生労働省のサイトからご確認ください。 補足給付(負担限度額認定)に関わる見直しは、以下のとおりです。 令和6年8月1日施行 基準費用額の見直し 令和7年8月1日施行 多床室の室料負担 2024年4月・6月介護報酬改定の情報
令和6年~8年 地域区分(介護)区市町村の等級一覧(2024年4月~)
介護保険区分支給限度基準額一覧(要支援・要介護)
2024年介護報酬改定後の介護保険サービスごとの介護報酬・単位数
介護保険の居宅サービス介護給付費単位数(対象:要介護)
地域密着型サービスの単位数改定内容
介護予防サービス(対象・要支援)
介護予防・日常生活支援総合事業費(要支援・事業対象者)の改定内容
施設サービス等介護給付費単位数の改定内容
2024年(令和6年)介護報酬改定で特徴的な加算・制度
利用者負担軽減の仕組みの改定
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