ケアプランとは何かについて詳しく解説します。ケアプランとは何かわかるように、介護施設やサービスごとのケアプランの種類、ケアプラン作成の7つの基本原則、ケアプラン作成の流れ、通所介護や訪問介護などの介護サービス計画との関係、ケアプラン作成で注意したいことなどを整理したページです。
このページの目次
ケアプラン(介護サービス計画書)とは?
ケアプランとは、利用者が望む暮らしを実現するために、どんなことに課題があるかを整理し、目標や援助内容・利用するサービスの種類、サービスを提供を行う事業所、家族や地域の方にお願いする役割、ケア内容と期間などを記載し、利用者の介護や自立支援に関わるケアチームがそれぞれの役割などをまとめたものです。
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ケアプランの種類
ケアプランは主に「介護支援専門員(ケアマネジャー)」が作成者となり、以下のような種類があり、介護保険サービスや介護施設ごとにどの様式を基本として作成していくかを厚生労働省が示しています。
居宅サービス計画書
居宅サービス計画書は、居宅介護支援(ケアプランセンターなど)の介護支援専門員(ケアマネジャー)が作成するものです。居宅サービス計画は、在宅生活を送る要介護の認定を受けた利用者に対して作成され、利用者のニーズに合わせて訪問介護や通所介護・通所リハビリテーション、訪問看護や訪問リハビリテーション、福祉用具貸与などの居宅サービスなどでのケア内容を示していきます。居宅サービス計画には1表から7表があります。
施設サービス計画書
施設サービス計画書は、介護保険施設に入所している利用者に対して、施設に所属している介護支援専門員が作成します。施設サービス計画書を作成する主な介護施設は以下です。施設サービス計画の場合には、施設内の介護職員・看護職員・機能訓練指導員などが主な介護の提供者になるため、施設生活での目標や在宅復帰の目標などご利用者に合わせて設定し、その目標に向けてケアを提供していきます。
小規模多機能型居宅介護計画書
小規模多機能型居宅介護計画書、看護小規模多機能型居宅介護計画書は、通い、宿泊、訪問を一つの施設が提供するという形式であり、施設の安心を自宅でも可能にするという特性があるため、全国小規模多機能型居宅介護事業者連絡会が独自に「小規模多機能型居宅介護のケアマネジメントについて」というガイドを作成し、小規模多機能型居宅介護のサービスの強みを生かして、利用者の生活を支えられるようにしています。
介護予防ケアマネジメント(介護予防ケアプラン)
介護予防ケアマネジメント(介護予防ケアプラン)は、介護予防支援(地域包括支援センターなど)の職員が、要支援や総合事業対象者の認定を受けた利用者に対して作成します。
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ケアプラン作成の7つの基本原則
ケアプラン作成の基本原則としては以下のようなことがあります。
- ケアプランは、前段階で実施された利用者の生活全般のアセスメント結果に基づく
- 利用者・家族などがケアプランの作成過程で参加する
- ケアプランは、アセスメントで導き出した解決すべき課題(ニーズ)、目標実現する
- ケアプランは、継続的なものではなく、特定の期間の計画である
- ケアプランには、フォーマルサービスとインフォーマルサポートの両方が含まれる
- ケアプランは、利用者・家族の経済的要件を意識して作成される
- ケアプランの内容は、標準化された計画用紙に記載する
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ケアプラン作成の流れ
1受付
利用申込者からの相談などに応じるのが受付です。ケアマネジャーは、利用者の話を聞く前に必ず個人情報の取扱いを厳格に行うことを伝える必要があります。受付の際には利用申込者が介護保険の要介護等の認定を受けているか、また緊急性を要していて他の制度に繋ぐ必要があるかなどを判断する必要があります。
2初期面接相談(インテーク)・契約
初期の面接相談のことを「インテーク」といいます。実際に利用者の自宅などに訪き、利用者や家族から情報収集します。施設サービスなどの場合には支援相談員が同行することもあります。インテークの際には、重要事項説明書で事業所の治療内容や介護支援専門員の業務内容を説明した上で、利用者と事業所間で契約を結ぶことになります。契約を結ぶ前には利用者から情報収集ができません。利用者から収集する情報は「課題分析標準項目」として厚生労働省から示されています。
3解決すべき課題の把握(アセスメント)
アセスメントとは「利用者の情報の収集」「利用者の課題を分析」「解決すべき課題(ニーズ)を明らかにする」ことです。インテークの際には解決すべき課題を明らかにすることを想定して関係者の方から情報収集をし、利用者の全体像がわかるようにしておきます。
4ケアプラン原案の作成
アセスメントを行い、利用者の解決すべき課題が明らかになったら、その内容を踏まえて目標や援助内容・利用するサービスの種類、サービスを提供を行う事業所、家族や地域の方にお願いする役割、ケア内容と期間などを記載したケアプランを作成します。ケアプランの作成には以下の記事のような内容が参考になると思います。
ケアプランの長期目標・短期目標の例文
ケアプランでは、アセスメントを行なった上で、ニーズと利用者の希望や状況に応じて、長期目標・短期目標を設定しますが、以下のような目標例・文例が参考になるかと思います。
5サービス担当者会議
サービス担当者会議は、利用者や家族、ケアにあたるチームが一同に会して、利用者や家族の意向に対するケアプランの具体的な内容と役割分担を決定する場となります。ケアプラン上に位置づけられた課題と目標を、ケアに関わる全員が理解し、利用者や家族の合意を得てケアプランの原案が確定されることになります。この際には、利用者の意見も確認し、ご利用者がケアプランの原案の内容を希望し同意することが必要です。同意は一般的には署名をいただくという方法で行われていますが、その他の方法なども示されてはきており、詳しくは以下の記事で紹介しています。
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ケアプランと介護サービス計画の関係
ケアプランが確定すると、居宅サービス計画の場合には、通所介護や訪問介護などのサービス提供事業所がケアプランに沿って個別の介護サービス計画を立てなければなりません。各サービス提供事業者は改めて利用者のアセスメントを行います。訪問介護事業所ではサービス提供責任者が、その他の事業所では計画作成担当者が実施します。
例えば、訪問介護のサービス担当責任者は自宅を訪れて、排泄や生活援助などを行う上でケアプランの目標を意識して、それぞれの個別サービスによって達成する目標を定めて訪問介護計画を作成します。利用者家族は事業所ごとに契約を交わし、それぞれのサービス事業所が作成した個別サービス計画の説明を行い同意を得た上でサービス利用開始となります。
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ケアプラン作成で注意したいこと
ケアプランの作成で最も重要なのは「アセスメント」です。利用者の精神的・身体的な状態やか家族の状況、利用者・家族を取り巻く環境をしっかりとアセスメントしましょう。そして、利用者の価値観や人生観を尊重してプランニングしましょう。
どんなケアを提供するかについて、目標に向けてケアチームが進めていくことになりますが、目標設定の際にもアセスメントに基づいて一人ひとりに合った、ちょっと前向きにワクワクしてもらえるような目標が設定できると素敵ですね。
一方で、ケアマネジャーはたくさんの利用者を担当している状態なので、文例や過去の似た事例から目標などをコピペして機械的に作成してしまっているケースも珍しくはありません。ケアプランを作成するケアマネジャー自身で自分の作成しているケアプランが適切に作成されているかチェックするために「ケアプラン点検」なども行われています。
マネージャーとして、利用者を取り巻く家族やケアメンバー、地域の関係者などが共通認識を持って利用者の望む生活、自立支援に向けて役割分担して建設的なケアが提供されるベースになるのがケアプランなので、これらのことに注意して作成していきましょう。
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