科学的介護推進体制加算とは 算定要件・評価項目・LIFEへの提出【2026年最新】

科学的介護推進体制加算は、科学的介護情報システム(LIFE)を通じて厚生労働省にデータを提出・フィードバックを活用するというPDCAサイクルを実践する介護保険事業所を評価する加算です。2024年に通所介護や介護保険施設の「科学的介護推進体制加算」の算定要件とLIFEへの提出項目が変更されました。さらに2026年5月からはLIFEの運営主体そのものが国保中央会に移管され、システムの移行作業が必要になっています。
最新の評価項目や様式、移行に伴う注意点を詳しく紹介します。
【重要】2026年5月からLIFEの運営主体が国保中央会に移管
2026年3月23日付の事務連絡(介護保険最新情報Vol.1484)により、科学的介護情報システム(LIFE)の運営主体が、2026年5月11日から厚生労働省から公益社団法人国民健康保険中央会(国保中央会)へ移管されることが公表されました。2026年4月1日に稼働した「介護情報基盤」とLIFEを接続させる一体改革で、単なるサーバーの引っ越しではなく介護DXのインフラ統合に向けた大きな転換点です。
科学的介護推進体制加算を継続して算定するためには、2026年5月11日から7月31日までの移行期間内に、厚労省運用LIFEから国保中央会運用LIFEへの移行作業を完了させる必要があります。
厚労省運用LIFEは2026年9月1日にサービスを完全停止する予定です。
移行で引き継がれるもの・引き継がれないもの
利用者情報や過去の様式情報は引き継がれないため、国保中央会運用LIFEへの移行後は利用者情報の再登録が必要です。利用者が多い事業所ほど作業量が増えるため、誰が担当するか・いつまでに行うかを早めに決めておくことをおすすめします。また、過去のフィードバック票はPDFで保存しておくと安心です。
移行作業の事前準備として、電子証明書の取得が必要かどうかの確認を最優先で行ってください。国保中央会運用LIFEでは個人情報をシステム上で保持するためセキュリティ面が強化されており、電子証明書をインストールした端末でしかログインができない仕組みになっています。
2026年5月以降にデータ提出の不具合やID発行の遅延など、事業所の責任ではない理由で提出期限(翌月10日)を過ぎた場合は、期限までに提出の意思があり復旧後速やかに提出することを条件に、5月分からの加算算定を認める柔軟な取り扱いも示されています。
詳しくは介護保険最新情報Vol.1484「科学的介護情報システム(LIFE)の運営主体の移管に係る周知について」、Vol.1495「LIFEの厚生労働省から公益社団法人国民健康保険中央会への移管に伴い事業所・施設で必要な対応について」をご確認ください。
科学的介護推進体制加算とは
科学的介護推進体制加算についてわかりやすくいうと、加算の算定を開始しようとする月から3か月ごとに厚生労働省のデータベース「科学的介護情報システム(LIFE)」に、利用者全員の指定された情報を提出していく体制を作れたことを評価する加算です。
科学的介護推進体制加算では、期限までに指定されたデータを提出するだけでなく、LIFEシステム上で確認できるフィードバックデータを活用することで施設のサービスや利用者のケアの質向上に活かすということも必要とされています。
科学的介護推進体制加算の算定要件
科学的介護推進体制加算は、原則として利用者全員を対象として、利用者ごとに要件を満たした場合に、当該事業所の利用者全員に対して算定できるものです。
科学的介護推進体制の単位数は、1月あたり40単位で、定められた頻度で情報の提出を行っていれば毎月算定することができます。
LIFEを用いて評価した情報の提出を行うこととされていて、以下の評価を行った翌月10日が提出期限に設定されています。
科学的介護推進に関する評価と情報提出の4つのタイミング
- 加算の算定を開始する月の利用者の状態
- 新規利用者の利用開始時の状態
- その他少なくとも6か月に1回以上 →2024年介護報酬改定後 少なくとも3か月に1回に変更
- サービスの利用を終了する月のときの状態
事業所は、ただ情報を提出するだけでなく、利用者に提供するサービスの質を常に向上させていくため、計画(Plan)、実行(Do)、評価(Check)、改善(Action)のサイクル(PDCAサイクル)により、質の高いサービスを実施する体制を構築するとともに、その更なる向上に努めることが重要とされています。
科学的介護推進体制加算の情報を翌月10日までに提出できない場合
利用者ごとに、上記の評価の翌月10日までに提出することが必要です。なお、情報を提出すべき月について情報の提出を行えない事実が生じた場合、直ちに訪問通所サービス通知第1の5の届出を提出しなければならず、事実が生じた月のサービス提供分から情報の提出が行われた月の前月までの間について、利用者全員について本加算を算定できないと示されています。(科学的介護情報システム(LIFE)関連加算に関する基本的考え方並びに事務処理手順例及び様式例の提示について、令和3年3月16日より)
2024年介護報酬改定後は、「例えば月末にサービスを開始した場合に、科学的介護推進体制加算のデータ提出期限に猶予期間を設けることで、評価やデータ提出のタイミングを揃えることを可能とする。一定の条件の下で、サービス利用開始翌月までにデータ提出することとしても差し支えない。ただし、その場合は利用開始月は該当の加算は算定できないこととする。」という方向性が示されています。(参考:令和6年度介護報酬改定における改定事項について、厚生労働省 老健局)
なお、2026年5月のLIFE移行期間中にシステムトラブル等で提出が困難であった場合は、その理由を介護記録等に明記し、トラブル解消後に速やかに提出することで、事業所全体として加算算定が可能とされています。
訪問通所サービス通知第1の5の届出とは
科学的介護推進体制加算の情報を翌月10日までに提出できない場合に届出を提出することが求められている「訪問通所サービス通知第1の5の届出」とは、以下の内容です。「訪問通所サービス通知第1の5の届出」は自治体に加算算定開始時期を届出るものであることから、算定ができない状態になった際には算定を中止する旨を届出するものと考えられます。以下が「訪問通所サービス通知第1の5の届出」の原文ですが、情報を提出すべき月について情報の提出を行えない事実が生じた場合の対応方法については、現実的には自治体に届出の有無やその後の対応方法などを相談し、届出等が必要と指示があれば対応するような流れになるのではないかと思います。
第1 届出手続の運用
1 届出の受理届出に係る加算等の算定の開始時期
指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(訪問通所サービス、居宅療養管理指導及び福祉用具貸与に係る部分)及び指定居宅介護支援に要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項について(平成12年3月1日老企第36号)(抄)
届出に係る加算等(算定される単位数が増えるものに限る。以下同じ。)については、適正な支給限度額管理のため、利用者や居宅介護支援事業者に対する周知期間を確保する観点から、届出が毎月15日以前になされた場合には翌月から、16日以降になされた場合には翌々月から、算定を開始するものとすること
科学的介護推進体制加算とLIFEの関係
科学的介護推進体制加算では、この記事で紹介している「科学的介護推進に関する評価」の項目の情報を提出していくことで原則全員に算定できます。
情報の提出先は、科学的介護情報システム「LIFE」です。2026年5月11日からは国保中央会運用LIFEが新しい提出先となり、URLや新規利用登録の方法も変更されています。すでに利用している事業所も、移行期間中に必要な手続きを行う必要があります。
科学的介護推進体制加算では、LIFEに以下の項目の情報を提出していきます。
科学的介護推進体制加算のLIFEへの情報の提出方法

介護ソフトからCSVファイルを出力してLIFEに情報提出する場合は、LIFEに対応している介護ソフトに入力してある提出しなければならない情報をダウンロードし、LIFEにログインしてファイルのアップロードを行い提出します。

評価結果を直接LIFEに打ち込んで情報提出する場合は、評価した結果をLIFEにログインして一人一人の入力フォームに打ち込んだり、選択項目を選択したりしていきます。
科学的介護推進体制加算の評価項目を示した様式(厚労省資料より)
※施設・事業所が加算において様式の作成を求めるものではなく、LIFEへの登録項目を示すためのイメージとしての様式です。2026年度改定で変更された新様式は、国保中央会運用LIFEへの移管と同時に対応しています。


科学的介護推進体制加算の評価項目・提出項目
科学的介護推進体制加算では、科学的介護推進に関する評価の項目を評価し、LIFEに提出することが必要です。アセスメントができず把握できない項目がある場合は、当該項目を空欄で提出して差し支えありません。「原則必須」と表示されている項目を空欄で提出する場合は注意喚起メッセージが表示されますが、OKを選択することで登録を継続できます。
評価日・前回評価日
・本様式に定める項目について一連の評価を実施した日をLIFEにデータ登録します。
・2回目以降の作成の場合、前回評価をLIFEにデータ登録します。
障害高齢者の日常生活自立度
調査対象者について、調査時の様子から下記の判定基準を参考に該当するものを選びます。
認知症高齢者の日常生活自立度
調査対象者について、調査時の様子から下記の判定基準を参考に該当するものを選びます。なお、全く障害等を有しない者については、自立とします。
既往歴(病名)
診療情報提供書等に記載された情報をデータ登録しましょう。入院等があった場合には、医療機関や介護支援専門員と連携して把握します。LIFEには国際疾病分類第10版(ICD-10)を用いてデータ登録します。
服薬情報
現在処方されている処方薬について、薬剤名、用量、処方期間をLIFEにデータ登録します。医療機関やかかりつけ医等から提供される診療情報提供書やお薬手帳を確認し入力するようにします。
同居家族、家族等が介護できる時間
同居家族の有無や同居している家族、家族等が介護できる時間をデータ登録します。
ADL(Barthel Index)
Barthel Indexは、日常生活活動を評価するための指標であり、10項目からなります。総計は最高100点、最低0点となり、点数が高いほど動作の自立度が高いことを表します。
在宅復帰の有無等
在宅復帰の状況について、該当する項目をLIFEにデータ入力します。
身長、体重
身長・体重を測定し入力します。
低栄養状態のリスクレベル
低栄養状態のリスクを、複数の指標を用いて評価します。
栄養補給法
栄養補給方法については、経口摂取(完全、一部)、経腸栄養法、静脈栄養法から選択します。
嚥下調整食の必要性、食事形態については常食または嚥下調整食(嚥下調整食の食形態学会分類2013)で食形態を選択します。
食事摂取量
食事全体、主食、副食のそれぞれにおいて、直近3日間において提供された食事をどれぐらい(何%)食べられたかを摂取率で評価します。
必要栄養量
管理栄養士が個々人の状態に合わせて必要栄養量(エネルギー、たんぱく質)を計算します。
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」策定検討会報告書(2019)で推定することも可能とされています。
提供栄養量
直近3日間の食事について、管理栄養士が提供栄養量(エネルギー、たんぱく質)を計算します。
血清アルブミン値
血清アルブミン値は、栄養状態を表す検査値のひとつであり、低栄養状態であると低値を示します。
血清アルブミン値を測定している場合は「有り」、測定していない場合は「無し」を選択し、ありの場合には、検査値(○g/dl)をLIFEにデータ登録します。
褥瘡の有無
過去3か月以内に持続する発赤(褥瘡危険因子評価表(DESIGN)d1)以上の褥瘡があった場合は「有り」を選んでください。
口腔の健康状態
口腔の健康状態では、歯・入れ歯が汚れているか、歯が少ないのに入れ歯を使っていない、むせやすいという点を評価します。利用者の直近3日間の状況を踏まえて評価します。
誤嚥性肺炎の発症・既往
初回の入力時には誤嚥性肺炎の既往、2回目以降の入力時は前回の評価後、誤嚥性肺炎が発症したかで評価します。大まかな発症時期しかわからない場合、例えば発症したのが月の上旬であれば「5日」、中旬であれば「15日」等と入力してください。
認知症の診断
医師意見書の記載を確認し、認知症の診断有無を選択します。診断ありの場合、診断日及び認知症の種別を選択し、診断がない場合にはなしとします。
生活・認知機能尺度(2024年追加)
簡易式生活・認知機能尺度は、介護現場で利用者の認知機能と生活機能を手軽に評価するために開発された重要な指標です。最近1週間の様子を基に、全項目の合計点数で認知機能を評価し、得点が高いほど機能が高いことを示します。
Vitality Index
Vitality Index(バイタリティインデックス)とは、虚弱高齢者を対象とする、起床、意思疎通、食事、排泄、リハビリテーションの5項目の日常生活動作に関する「意欲」についての客観的機能評価法です。Vitality Indexの得点範囲は0〜10点で、得点が高いほど生活意欲が高いことを示しています。
DBD13
認知症行動障害尺度(Dementia Behavior Scale)DBD13は、認知症の周辺症状(行動・心理症状)を簡潔に感知できる評価指標です。
ICFステージング(2024年追加)
ICFステージングでは、従来の介護の手間として「見守り」や「一部介助」などを評価者の主観で規定する方法ではなく、利用者ご本人の普段行っている事実を、国際生活機能分類(ICF)に基づいて設定されたステージから選択することで客観評価するための評価方法です。
科学的介護情報システム(LIFE)のフィードバック活用方法
LIFEに入力されたデータは、厚生労働省内で全国のデータが集められて分析されるため、そのフィードバックをもとに介護の質向上に向けてPDCAサイクルを推進することが求められています。
令和6年度介護報酬改定における改定事項について、厚生労働省 老健局
LIFEに情報提出したデータをもとに作成されるフィードバック票は、LIFEのサイト画面上で所定のボタンをクリックすると表示することができます。自事業所・利用者のアセスメント結果に関する過去からの推移や、要介護度等が同程度の施設・利用者との比較が可能です。2026年5月の移行後は過去のフィードバック票が引き継がれない場合があるため、必要なものはPDFで保存しておきましょう。
まとめ
科学的介護推進体制加算では、利用者の状態について幅広い情報を提出します。利用者の様々な情報を収集してデータ提出をすることは大変かもしれません。
しかし、超高齢社会を乗り越えるためには、省力で効果的な介護を提供して、状態の維持や改善を行えることが求められています。そのために、どのようなサービスを受けていると状態が維持改善されやすいのかなどを縦断・横断的にデータを取り、フィードバックを得て次に生かしていくというサイクルが重要です。
科学的介護推進体制加算はまだ単位数は少ないですが、今後重要度が増すことが予想されます。2026年5月からのLIFE移行作業はやることが多く感じられますが、介護ソフトからのファイル出力を活用したり、職員間で評価や入力・移行作業を分担したりして、計画的に体制を整えていけるといいですね。

















