
特別養護老人ホームや特定施設入居者生活介護の個別機能訓練加算(Ⅱ)・(Ⅲ)について紹介します。
個別機能訓練加算には、(Ⅰ)・(Ⅱ)・(Ⅲ)という種類があり、算定要件が分かりにくく、解釈を間違えたまま請求を続けて過誤調整になる事例が多いです。通所介護の個別機能訓練加算は、単位数も大きく、いろいろなところで解説されているので理解が深まってきていると思いますが、特別養護老人ホームや特定施設の個別機能訓練加算については情報が少なく、運営管理者が算定要件を理解せずにそのまま請求だけしてしまっているというケースも中にはあります。今一度見直すためにこの記事をまとめました。
このページの目次
通所介護の個別機能訓練加算との違い
介護老人福祉施設や特定施設入居者生活介護、短期入所生活介護(介護予防含む)における個別機能訓練加算と、通所介護等における個別機能訓練加算とは、加算算定の目的、人員配置要件等が異なっていますが、加算算定にあたっての目標設定方法、個別機能訓練計画の作成、個別機能訓練の実施、個別機能訓練実施後の対応については一致する点も多いです。以下は違っている点をまとめた表です。
通所介護 | 施設系 | |
人員 | 機能訓練に必要な時間配置、兼務可能 | 常勤の理学療法士等を1名以上 |
評価 | 3月に1回、生活機能チェックが必須 | 3月に1回 |
実施 | 機能訓練指導員が直接実施 | 多職種で計画的に実施 |
個別機能訓練加算(Ⅰ) を算定できる日 |
機能訓練指導員が直接実施した日 | 多職種で計画的な機能訓練を実施している期間(機能訓練指導員が不在の日でも算定できる) |
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個別機能訓練加算(Ⅰ)12単位/日
まず個別機能訓練加算(Ⅰ)は、常勤の理学療法士等を1名以上配置(入所者100名を超える施設は常勤換算方法で入所者の数を100で除した数以上の理学療法士等を配置)して、入所者ごとに個別機能訓練計画を作成・説明を3月に1回以上行い、計画的な機能訓練を実施、個別機能訓練の効果・実施方法等について評価等を行い、それぞれ記録に残していることで算定できるものです。
個別機能訓練加算の目的は、各利用者の心身の状況に応じて、日常生活をいつ飲むのに必要な機能を改善し、またはその減退を予防することです。
通所介護の個別機能訓練加算(Ⅰ)の場合には、実施した日に対して加算を算定するのに対し、施設系の個別機能訓練加算(Ⅰ)は個別対応をした日だけでなく、多職種で計画的な機能訓練を実施している期間は算定できるものであるという点が異なります。
過去の個別機能訓練加算との違い
施設系の個別機能訓練加算については過去には機能訓練指導員を配置することに対して加算の算定ができるという体制加算の仕組みを採用していましたが、現在は多職種が共同して利用者ごとのアセスメントを行い、目標設定・計画の作成をした上で、機能訓練指導員が必要に応じた個別機能訓練の提供を行い、その結果を評価することというプロセスが必要になっています。
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個別機能訓練加算(Ⅱ)・(Ⅲ)はLIFEの活用が条件
個別機能訓練加算(Ⅱ)・(Ⅲ)は、利用者ごとの個別機能訓練計画の内容等の情報を「科学的介護情報システム(LIFE)」を用
いて提出し、サービスの質の向上を図るため、提出情報とフィードバック情報を活用し、PDCAサイクルによりサービスの質の管理を行うことが算定要件となっています。
個別機能訓練加算(Ⅱ)・(Ⅲ)の違い
個別機能訓練加算(Ⅱ)は個別機能訓練に関する情報をLIFEに提出、個別機能訓練加算(Ⅲ)は栄養マネジメント強化加算及び口腔衛生管理加算 (Ⅱ)を算定してそれらの情報もLIFEに提出が必要です。
個別機能訓練に関する情報 | 栄養マネジメント強化加算と 口腔衛生管理加算 (Ⅱ)の情報 |
|
個別機能訓練加算(Ⅱ) | 〇 | × |
個別機能訓練加算(Ⅲ) | 〇 | 〇 |
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個別機能訓練加算(Ⅱ) 1月につき20単位 LIFEへの情報提出期限・内容について
個別機能訓練加算(Ⅰ)を算定している場合で、かつ、個別機能訓練計画の内容等の情報を厚生労働省に提出し、機能訓練の実施に当たって、当該情報その他機能訓練の適切かつ有効な実施のために必要な情報を活用した場合は、個別機能訓練加算(Ⅱ)として、1月につき20単位を所定単位数に加算できます。
LIFEへの提出期限
- 新規に個別機能訓練計画の作成を行った日の属する月の翌月10日まで
- 個別機能訓練計画の変更を行った日の属する月の翌月10日まで
- 少なくとも3月に1回
LIFEへの提出項目・内容
別紙様式3―2(生活機能チェックシート)
(ア)評価日、職種
(イ)要介護度
(ウ)障害高齢者の日常生活自立度、認知症高齢者の日常生活自立度
(エ)ADL、IADL、基本動作
別紙様式3―3(個別機能訓練計画書)
(ア)作成日、要介護度、障害高齢者の日常生活自立度、認知症高齢者の日常生活自立度
(イ)健康状態・経過(病名及び合併症に限る。)
(ウ)任意 個別機能訓練の目標
(エ)個別機能訓練項目(プログラム内容、頻度及び時間に限る。)
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個別機能訓練加算(Ⅲ) 1月につき20単位 LIFEへの情報提出期限・内容について
個別機能訓練加算(Ⅲ)は、令和6年度介護報酬改定により新設された加算で、算定のためには口腔衛生管理加算(Ⅱ)及び栄養マネジメント強化加算を算定していることが必要です。
個別機能訓練加算(Ⅲ)の算定にあたっては、「リハビリテーション・個別機能訓練、栄養、口腔の実施及び一体的取組について」(令和6年3月15日付 老高発0315第2号・老認発0315第2号・老老発0315第2号)を基本的な考え方として参照し、関係職種間で必要な情報を相互に共有することが求められます。
個別機能訓練計画の内容等、個別機能訓練を適切かつ有効に実施するために必要な情報に加え、栄養マネジメント強化加算及び口腔衛生管理加算(Ⅱ)を算定していることが要件であるため入所者の口腔の健康状態や栄養状態に関する情報が含まれます。これらの情報は、同通知の様式1-4(栄養・摂食嚥下スクリーニング・アセスメント・モニタリング(施設))を参考とし、常に関係職種が閲覧可能な状態にしておく必要があります。また、必要に応じて個別機能訓練計画の見直しを行い、その内容についても関係職種間で適切に共有することが求められます。
LIFEへの提出期限
- 新規に個別機能訓練計画の作成を行った日の属する月の翌月10日まで
- 個別機能訓練計画の変更を行った日の属する月の翌月10日まで
- 少なくとも3月に1回
LIFEへの提出項目・内容
個別機能訓練加算(Ⅲ)の算定にあたっては、栄養マネジメント強化加算※および口腔衛生管理加算 (Ⅱ)を算定していることが必要です。そのため、LIFE でのデータ提出においては、個別機能訓練加算(Ⅱ)の提出項目に加え、栄養・口腔に係る項目の提出が必要です。
(※)栄養マネジメント強化加算は、原則として入所者全員を対象として入所者ごとに要件を満たした場合に、当該施設の入所者全員に対して算定できるもの
① 個別機能訓練加算(Ⅱ)の内容(生活機能チェックシート・個別機能訓練計画書)
個別機能訓練加算(Ⅱ)で提出すべき内容は提出する必要があります。
② 様式 栄養・摂食嚥下スクリーニング・アセスメント・モニタリング(施設)
③ 様式 口腔衛生管理加算(Ⅱ)
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LIFEへの情報提出・フィードバックの活用という事務的な面で利用者へのメリットが見えにくい加算
個別機能訓練加算(Ⅱ)・(Ⅲ)はLIFEの活用が条件となっている加算で、直接利用者に何かサービスが付加されたりするわけではないので、メリットが見えにくい加算ではあります。政府や厚生労働省は、科学的介護というエビデンスに基づいた介護の実現を掲げており、国民の健康増進や福祉のためにデータが活用されることと、利用者にとってもLIFEからのフィードバックから得られたデータをもとに新たな知見でより効果的なサービスの提供に活かすことができるということがメリットだと言われています。
ご利用者にとっては、わずかではありますが自己負担が増えるもので、費用と内容について十分に説明をして同意を得た上で加算の算定を始めるということが必要ですが、説明が難しい内容です。厚生労働省は何とかフィードバックの活用についての資料を出すなどして活用を促してはいますが、LIFEがスタートして数年経ちましたがフィードバックの質についてもまだ実際に活用できるレベルなのか課題が残る状態であると思います。
とはいえ、科学的介護を目指すという方向性を持ち出してしまった以上、厚生労働省がやっぱやめたということはないので、早急に始めないといけないわけではないですが、他の加算を算定し始める時などに合わせてご利用者に説明して進めていくのが良いかと思います。
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