ケアプラン点検とは ケアマネの実地指導対策チェックリスト

 

居宅介護支援事業所の介護支援専門員(ケアマネジャー)の実地指導対策、ケアプラン点検のチェックリストを紹介します。このケアプラン点検のチェックリストでは、運営基準で必須の事項と、ケアマネジメント(ケアプラン作成、サービス担当者会議、利用者・家族に対する説明同意、モニタリング)で重要な点について一覧表にしています。実地指導対策だけでなく、法人内での内部監査などでもこのような観点でチェックしていくと良いのではないかと思います。

ケアプラン点検とは

ケアプラン点検とは、支援専門員が作成するケアプランについて、ケアマネジメントプロセスを踏まえて自立支援に向けた適切な内容になっているかを、区市町村の介護保険課の職員などが介護支援専門員と一緒に検証・確認し、より良い内容を追求したり、給付の健全化を図ることなどを目的に行われるものです。自治体が指導する形で行われるケアプラン点検もありますが、 地域や法人が企画して、自主的にケアプラン点検を行う場合もあります。

自治体は何を指針に実地指導を行っているのか

介護保険法に基づく介護保険施設及び事業者に対する指導監督については、「介護保険施設等の指導監督について」(平成 18 年 10 月 23 日老発第 1023001号当職通知)を参考に都道府県または市町村により行われてきましたが、社会保障審議会介護保険部会「介護分野の文書に係る負担軽減に関する専門委員会」における意見等を踏まえ、実地指導における標準化・効率化に資する取り組み等を推進する観点から、2022年3月31日に、新たに、「介護保険施設等指導指針」を定め、厚生労働省から公表されました。実地指導の全体像が見えると、心配も少し減るのではないでしょうか?

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ケアプランとは?

ケアプランとは、利用者が望む暮らしを実現するために、どんなことに課題があるかを整理し、目標や援助内容・利用するサービスの種類、サービスを提供を行う事業所、家族や地域の方にお願いする役割、ケア内容と期間などを記載し、利用者の介護や自立支援に関わるケアチームがそれぞれの役割などをまとめたものです。

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ケアプラン点検に用いる書類の例

区市町村で行われるケアプラン点検については、事前に点検対象になった事業所に連絡が入り、 以下のような書類の提出を求められるケースが多いです。

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ケアプランを自主点検する場合のチェック項目

ケアプランについて自主点検する場合に、意識した方が良い観点は2つあります。

介護支援専門員が作成するケアプランの内容については、適切なケアマネジメントを行い、尊厳の保持、自立支援、重度化防止などの観点からも利用者が望む生活を達成するために過不足なく計画が立てられているか、適切にモニタリングや検討が行われているかということを確認していきます。

また、居宅介護支援事業所として介護保険のルール(運営基準)を守り、必要な手続きを適切に実施できているかを確認することも重要です。

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ケアプラン点検の運営面のチェックリスト

運営面のチェックリストについては、一般的な居宅介護支援の運営基準に沿って以下のリストを作成していますが、実際は各自治体の条例等で追加されている項目や重視している観点などが異なるので、各自治体作成の自主点検表を検索して自主点検することをお勧めします。

確認項目 チェックポイント 確認
サービス提供方法等の説明 居宅介護支援の提供にあたって、利用者又はその家族に対して、サービス提供方法等について理解しやすいように説明を行っているか

同意日はサービス開始前になっているか

認知症の利用者などは、家族の同意も

総合的な居宅サービス計画の作成 居宅介護支援の提供にあたって、介護給付等対象サービス以外の保険医療サービス又は福祉サービス、地域住民による自発的な活動によるサービス等の利用も含め居宅サービス計画に位置付けているか
利用者自身によるサービスの選択 居宅サービス計画の作成開始にあたって、利用者がサービスの選択ができるように、地域の居宅サービス事業者等に関するサービスの内容、利用料等の情報を適正に利用者又はその家族に提供しているか
課題分析の実施(アセスメントの実施) 居宅サービス計画の作成開始にあたっては、利用者の居宅を訪問し利用者の有する能力及び利用者が現に抱えている問題点を明らかにし、利用者が自立した日常生活を営むことができるように支援する上で解決すべき課題を把握しているか
サービス担当者会議等による専門的見地からの意見聴取 サービス担当者会議の開催により、利用者の状況等に関する情報を担当者と共有し、該居宅サービス計画の原案の内容について、担当者から専門的な見地からの意見を求めているか
計画原案に係る説明及び同意 居宅サービス計画の原案の内容について、利用者又はその家族に説明し、文書により利用者の同意を得ているか
居宅サービス計画の交付 居宅サービス計画を利用者及び担当者に交付しているか
居宅サービス計画 の実施状況の把握及び評価等 居宅サービス計画の実施状況の把握(利用者についての継続的なアセスメントを含む。)を行い、必要に応じて居宅サービス計画の変更、サービス事業者等との連絡調整を行っているか
モニタリングの実施 少なくとも1月に1回、利用者の居宅を訪問し、利用者に面接し、利用者の状況を確認し、モニタリングの結果を記録に残しているか
サービス担当者会議の開催 サービス担当者会議の開催、やむを得ない場合は担当者に対する照会等により意見を求めているか

  • 居宅サービス計画を新規に作成した場合
  • 要介護認定を受けている利用者が要介護更新認定を受けた場合
  • 要介護認定を受けている利用者が要介護状態区分の変更の認定を受けた場合
  • 居宅サービス計画の変更を行う場合
介護保険施設への紹介その他の情報提供 利用者が介護保険施設への入院又は入所を希望する場合には、介護保険施設への紹介その他の便宜の提供を行っているか
介護保険施設との連携 介護保険施設等から退院又は退所しようとする要介護者から依頼があった場合には、居宅における生活へ円滑に移行できるよう居宅サービス計画の作成等の援助を行っているか
主治の医師等の意見等 利用者が訪問看護、訪問リハビリテーション等の医療サービスの利用を希望している場合は、利用者の同意を得て主治医等の意見を求めて支援経過等に記録しているか(主治医意見書での判断だけでの判断では認められない)
福祉用具貸与の居宅サービス計画への反映 居宅サービス計画に福祉用具貸与を位置付ける場合は、妥当性を検討し、必要な理由を記載するとともに、必要に応じてサービス担当者会議を開催し、継続の必要性を検証し、継続する場合は理由を居宅サービス計画に記載しているか
記録の整備と保管 利用者に対する居宅介護支援の提供に関する記録を整備し、その完結の日から条例等で指定された期間保存しているか(5年程度の自治体が多いので要確認)

ケアプラン点検のケアマネジメントのチェックリスト

チェックポイント 確認
利用者の自立した日常生活の支援を効果的に行うため、利用者の心身
又は家族の状況等に応じ、サービスの提供が行われるようにしているか
利用者、家族の要望や困りごとを単にそのまま記載していないか
第1表、第2表、第3表の記載内容は連動したものになっているか
主治医の意見やサービス担当者会議の意見を反映しているか
課題分析により抽出された「生活全般の解決すべき課題(ニーズ)」に対して、チーム(本人、家族、近隣住民、ケアマネジャー、各種サービス事業者等)がどのようなチームケアを行うのか記載してあるか
あらかじめ発生する可能性が高い緊急事態が想定されている場合には、利用者及び家族と相談したうえで対応機関や連絡先等についても記載しているか
生活全般の解決すべき課題(ニーズ)は、緊急性の高いものや、利用者及び家族が優先的に解決したいと思う課題から記載しているか
施設入居者のケアプランについては、介護保険サービスと施設サービスを明確に分けて表記できているか
短期目標は、長期目標を達成するための具体的な「活動の目標」になっているか
目標は、支援者側の目標ではなく、利用者自身の目標になっているか
医療ニーズの高い利用者には、医療系サービスもケアプランに位置付けているか(運営面では医療系サービスを利用する場合には主治医等の意見も必要)
居宅サービス計画と、各事業所の個別サービス計画の整合性を確認しているか
サービス利用状況、週単位以外のサービス(短期入所、福祉用具、医療等)を第3表等にわかりやすく記載しているか
モニタリングは短期目標ごとに評価をしているか
サービス提供が居宅サービス計画どおり実施されているか確認しているか
サービス担当者との連携内容について支援経過などに記載しているか
ケアマネジメント業務(アセスメントの実施・サービス担当者会議開催など)の記録を残しているか

居宅介護支援事業所のケアマネがよく実地指導で指摘される事項

居宅介護支援事業所の実地指導でケアマネがよく指導されのは、これまで紹介したケアプラン点検のチェックシートの内容が多いです。実地指導では居宅介護支援事業所としての運営基準を守れているかどうかという観点と、介護支援専門員の専門性やケアマネジメントの質についての観点から点検が行われ、良いところはそのまま続き、改善の余地がある点については改善に向けた助言が行われたりします。ケアプランの第1表や第2表をチェックすることはもちろんですが、そのケアプランを作る根拠となるアセスメントどのように行ったか課題整理総括表などを見てどう考えたのかなどをヒアリングすることもあります。介護保険サービスの性質上、考えを確認するだけではなくて記録に残っているかどうかも重要になりますので、アセスメントした内容やモニタリングした事項などについては事業所で決めた記録様式に時系列や発信者などがわかりやすいようにまとめておきましょう。

まとめ

ケアプラン点検は実地指導の時に行うだけでなく法人内などで定期的に行われる方が良い循環を生みます。ケアマネジャーが一人一人について考えたことややりとりしたことを簡潔にわかりやすく記録を残し、誰が見ても理解できる状態にしておくことは重要なことです。居宅介護支援事業所のケアマネージャーは担当が多く、限られた時間の中で大変だとは思いますが、今回紹介したケアプラン点検のチェックポイントを重点に、やるべきことの優先度を考えながら適切に対応していきましょう。

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