要介護者への離床センサー・見守りセンサーの種類・役割・課題

要介護者への見守り支援機器(離床センサー・見守りセンサーなど)の種類・役割・課題やケアプランに記載するときの例文、身体拘束にならないための注意点などについて紹介します。介護保険の居宅サービスの中では福祉用具貸与の制度を使ってセンサーマット等をレンタルすることができますが、目的やケアの方針についての説明と合意が重要です。

スポンサーリンク

見守り支援機器とは

見守り支援機器(介護施設)は、経済産業省と厚生労働省において、重点的に開発支援する分野として、重点分野「見守り支援機器(介護施設)」と位置づけられ、介護施設において使用する、センサーや外部通信機能を備えたロボット技術を用いた機器のプラットフォームと定義されています。その条件として、以下が挙げられています。

見守り支援機器の条件
①複数の要介護者を同時に見守ることが可能。 
②施設内各所にいる複数の介護従事者へ同時に情報共有することが可能。
③ 昼夜問わず使用できる。
④ 要介護者が自発的に助けを求める行動(ボタンを押す、声を出す等)から得る情報だけに依存しない。
⑤要介護者がベッドから離れようとしている状態又は離れたことを検知し、介護従事者へ通報できる。
⑥認知症の方の見守りプラットフォームとして、機能の拡張又は他の機器・ソフトウェアと接続ができる。
スポンサーリンク

見守り支援機器・介護で使われるセンサーの種類

介護施設や介護保険の居宅サービスの中の福祉用具レンタルなどで使われるセンサーには以下のような種類があります。福祉用具貸与の仕組みを使ってレンタルする場合には、どのセンサーが福祉用具貸与の対象になるかなどを福祉用具貸与の業者・福祉用具専門相談員に相談して確認してください。

マットセンサー、ベッド柵センサー

マットセンサー、ベッド柵センサーは、対象者の荷重がかかると働くものです。

シートセンサー

シートセンサーは、対象者の荷重が無くなると働くものです。

クリップセンサークリップセンサー

クリップセンサー

クリップセンサーは、対象者の対象者が一定範囲動くものです。

赤外線センサー赤外線センサー

赤外線センサー

赤外線センサーは、対象者の体温を検知して働くものです。

映像解析・映像通知型センサー映像解析・映像通知型センサー

映像解析・映像通知型センサー

対象者の動きを検知し、介護者や介護スタッフのスマートフォンなどに通知するタイプのものです。

見守り支援機器の効果と役割

センサーマットなどの見守り支援機器を適切に利用することにより、「介護者の負担軽減」「高齢者の自立支援」に向けて、以下のような効果が期待できます。

  • 高齢者の状況を把握し、安心・安全な生活を支援する。
  • 転倒・転落等によるケガや事故を予防できる。
  • 対応の優先順位や緊急度が判断できる。
  • 介入が必要なのタイミングを図ることができる。
  • 過剰な訪室を減らし、ケアにかかる時間が軽減できる。
  • データの履歴を活用することにより、転倒の原因把握や防止策の立案に繋げることができる。
  • 映像を記録する機能を有する機器では、映像を見ることで視覚化され、利用者・家族・職員間で客観的に情報を共有化できる。

見守り支援機器の中でもセンサーの機能のみのものは、単に高齢者の状態を常時把握し通知するだけです。通知があったら対応するというだけの使い方では、ただ単に介護者が今まで気づくことのなかったヒヤリハットに気づくだけになってしまいます。

アラームの発生時の状況を分析したり、蓄積されたデータを活用することで、現状のケアのタイミングや方法を見直す一助となります。高齢者の要介護状態を悪化させないために転倒予防することはとても重要なことですが、センサーが検知した時に介護者がサポートに入るということはマンパワーがかかりすぎ継続することは難しいです。

介護保険の福祉用具貸与としての認知症老人徘徊感知機器の位置づけ

こちらは在宅に生活する形が外出をする場合のセンサーについてですが、認知症老人徘徊感知機器は、介護保険の福祉用具貸与の対象の一つとして認められています。

給付対象種目を定める告示

11 認知症老人徘徊感知機器
介護保険法第五条の二に規定する認知症である老人が屋外へ出ようとしたとき等、センサーにより感知し、家族、隣人等へ通報するもの

見守り支援機器と身体拘束の関係性・課題

介護施設や高齢者向け住宅などで生活する要介護者に対して、自分で危機管理が難しくなっている認知症の方などの場合には介護職員などに危険を知らせるためにセンサーマットなどを導入するという方向性になることもあります。

介護施設の場合には身体拘束をできるだけしないという大前提があるため、見守り支援機器と身体拘束に当たらないかという狭間で迷う場合は多いです。

厚生労働省は、人体拘束ゼロの手引きの中で身体拘束の禁止の対象となる具体的な行為を以下のように示しています。

身体拘束禁止の対象となる具体的な行為

①徘徊しないように、車いすやいす、ベッドに体幹や四肢をひも等で縛る。
②転落しないように、ベッドに体幹や四肢をひも等で縛る。
③自分で降りられないように、ベッドを棚(サイドレール)で囲む。
④点滴、経管栄養等のチューブを抜かないように、四肢をひも等で縛る。
⑤点滴、経管栄養等のチューブを抜かないように、又は皮膚をかきむしらないように、手指の機能を制限するミトン型の手袋等をつける。
⑥車いすやいすからずり落ちたり、立ち上がったりしないように、Y字型抑制帯や腰ベルト、車いすテーブルをつける。
⑦立ち上がる能力のある人の立ち上がりを妨げるようないすを使用する。
⑧脱衣やおむつはずしを制限する為、介護衣(つなぎ服)を着せる。
⑨他人への迷惑行為を防ぐため、ベッドなどに体幹や四肢をひも等で縛る。
⑩行動を落ち着かせるために、向精神薬を過剰に服用させる。
⑪自分の意思で開けることのできない居室等に隔離する。

この具体的な身体拘束にあたる行為の中には、センサーマットや離床センサーが身体拘束にあたるとは書かれておりません。

センサーは、コンビニ来店があったら音が鳴るような仕組みと同じで動きを感知するだけのものですのでそれだけでは身体拘束にあたるとは考えられません。センサーが発報した後に、職員や介護者が抑えつけたり、縛り付けたり、ベットから出られないように囲いこんだりするということが①・②・③・⑪などの類似行為であり、身体拘束になる可能性があるのです。

センサーマットを導入する目的・ケアプランの位置付け

2009年(平成21年)に、離床センサー(認知症高齢者徘徊感知器)は、介護保険の福祉用具貸与の対象になりました。ベッドやマットに設置した感知部位からの情報で要介護者がベッドから離れたことを家族や隣人に音で知らせるものですが、身体には発信器などを取り付けず、工事の必要がないようなタイプのセンサーの一部は、転倒・転落の危険性や徘徊の危険性がある人が対象としています。

介護保険の福祉用具貸与の対象になっている目的からも、転倒・転落の危険性や徘徊の危険性がある人に対して、その方の生活上の課題に沿って必要性の根拠が明記されている必要があります。そのため、センサーマットを導入する目的・ケアプランの位置付けもこのようなケアの目的に沿っている必要があります。

サービス付高齢者向け住宅や自宅で家族が介護している中でセンサーマットを導入することを安易に考えると、高齢者住宅のスタッフが対応することになります。認知症があり夜中に自分の状態がわからずにベッドから起き上がってしまう方や、歩行が安定しないのに歩けるつもりで歩いてしまう状態などセンサーマットを設置するということが行われますが、センサーマットはあくまでもベットから床に足をついたことや離れたことを伝えるだけの役割です。

夜間に落ち着いて眠りたい、センサー以外の手段・知見も交えて検討を

夜間に離床してしまったり徘徊てしまう人の根本的な部分に戻って考えてみると、多くの人が夜間は落ち着いて眠りたいという気持ちだと思います。しかし、何かが理由で夜間に起きてしまう状態なのだと思います。

ケアプランでも、夜間に落ち着いて眠りたい、住み慣れた場所で安心して過ごしたいというニーズ・課題に対して、夜間のどのような時に何が理由で離床するのかなどを利用者と一緒に期間を決めて探っていくようなケアと提供方針は福祉用具貸与でセンサーをレンタルする目的にもあっていると思います。このようなニーズがある場合には、解決の手段としてはセンサーだけではありませんので、精神科の主治医やその他のサービス提供者などの専門的な知見を交えながら、ケアプランを組み立てていくことが望ましいと思います。

センサーの意味や目的を関係者みんなが理解しないと事故やトラブルになる

センサーの機能は動きを感知して発報することだけです。介護保険施設や介護保険サービスの中で夜間にセンサーを設置するという場合には、センサーを設置することで何ができるのか、また転倒や転落などを防ぐためのものではないこと、身体拘束にあたるような強制的な押さえつけはできないことなどをしっかりと、ご本人、ご家族やサービススタッフみんなで理解をし、合意できていないとなりません。センサーを設置する時にご本人を抜きで決めてしまうこともありますが、ご本人の意向も確認することを忘れないでください。センサーを設置しているのになぜ転倒事故が起きたのかと後から責任追求されるというトラブルはよく聞きます。説明と合意をしっかりと意識してケアの方針を決めていけると良いですね。

スポンサーリンク