杖の役割や選び方、種類や部位の名称が図解でよくわかる!介護の分野で働いていると歩行の時に杖でついて歩く高齢者の方が多くいます。しかし杖について、その種類や部位の名前、杖の正しい選び方や使い方についてはあまり周知されていないのが現状です。この記事では高齢者のお供としてよく見る「杖」について専門的な観点からお伝えしていきたいと思います。
人が歩くということは、人が動く時に最も手っ取り早い方法です。人は歩くことで目的地へ行くことができますし、歩くことを通して筋力が体力など様々な運動能力を維持向上させたり、内臓を活性化させたり健康にも大きく寄与しています。
しかしご高齢になってきて筋力や体力、立位バランス能力などが低下してきてしまうと、歩行することが危険なことに変わってきます。この時に役立つのが「杖」です。
このページの目次
杖を使用する目的
杖は、歩行能力に不安があり転倒などが心配な状態の時に、筋力や体力、バランス能力などの身体能力の不足分を補完することを目的に使用することが多いです。
- 下肢の筋力が低下してしまっている場合には下肢の筋力を補うための支えとして使用します。
- 体力が落ちてきている方にとっては疲れてきた時にバランスが崩れやすいので支えるために使います。
- 立位バランス能力が低下した人にとっては2本の足ではバランスが取れないので3ヶ所目の支持面として使われます。
- 視力が低下している方も杖を使用することがありますがこれらの支えの意味ではなく、行き先を探る意味があるので一般的な杖よりも長く目的は異なっています。
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杖の種類
一本杖、T字杖
ロフストランドクラッチ
多点杖、4点杖(クアッドケイン)
松葉杖、腋下杖
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T字杖の選び方・適切な長さの判断方法
T 字杖の長さの合わせ方には色々な方法がありますが、その中の一つの選び方としては、杖を使う側の足の小指から「外側に15cm」「前方に15cm」出した点で杖のグリップを握り、握った側の肘が150度(肘関節屈曲30度)になるような長さにすると良いという選び方があります。
杖の長さがわずかに違うだけでも歩行に悪影響を与えてしまうこともありますので、慎重に調整していくことが必要です。選び方の一つとして上記のようなことを紹介しましたが、体の状態や環境に合わせて長くしたり短くしたりするなどの微調整は必要です。理学療法士などが確認する時には歩行分析や動作分析を行いその結果を含めて安定した歩行ができるよう杖を選んでいきます。もちろんご本人の使い心地ということもとても大切です。
松葉杖の選び方・適切な長さの判断方法
松葉杖、腋下杖についても合わせ方は様々な方法がありますが、松葉杖、腋下杖の合わせ方はひじ関節を30°ほど曲げた時の親指の付け根と地面までの長さにするということが目安になります。全体の長さは、足の小指から外側に15cm離した位置で床に杖をついている状態で、脇の下と杖の支えの「脇あて」の位置に5cm程度の空きを作る状態が良いと言われています。
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杖の部位の名称
握り(グリップ)
握りの部分は、形状が重要です。体重をかけやすい、バランスを補助しやすい握りやすさが求められます。
長さ調節機能
杖の長さ調整は、切って調整するものもありますが、主流は有段階調節というもので、1.5cmや2cmおきに穴が開いており簡単に調整できます。
杖ストラップ・杖の転倒防止器
杖を持っている手でドアノブを開けるときなどに杖を置かずに手にひっかけておけるように紐がついています。T字杖の場合には立てかけて置いておくと杖が倒れやすいですが、
杖先ゴム
杖の機能を保つ重要なポイントとして地面との接点部分である次先の形状や材質が挙げられます。杖先ゴムは摩耗により凹凸がなく滑りやすくなっていることも多いので定期的に点検しましょう。また雪道などでも滑らないような滑り止め防止の杖先も市販されているので環境に応じて適切なものを選択しましょう。
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立位の評価やバランスの能力、歩行動作の評価も丁寧に
杖は人が歩くために重要な役割を担う自助具です。この記事で紹介したように杖の種類や杖の長さの調整方法などをしっかりと行いその方に合った適切なものを選択できると、筋力や体力、バランス能力などを補助し立位姿勢を保ちながら歩行をスムーズに行うことができる可能性も高いです。その意味で立位の評価やバランスの能力、歩行動作を適切に把握することも杖の選択には重要です。
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杖の選定と合わせて、足の状態、靴の状態、補装具の確認も
歩行に関して言えば足の状態や靴の状態、下肢の装具の状態の確認なども重要です。
移動手段としては杖を使用すること以外の方法も色々ありますが、その方の状態に合わせて移動に関する福祉用具を選択できると良いですね。居宅サービスを利用している場合には、福祉用具貸与の制度でケアマネジメントを経て移動に必要な福祉用具をレンタルすることもできます。
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歩行時の杖以外にも、自立支援に役立つ福祉用具はいろいろ
今回は歩行する時の杖の記事でしたが、日常生活を送る上では食事などでも自助具や福祉用具にはいろいろなものがあり、その方にあった福祉用具や自助具を使用することで自立度が大きく変わりご本人も快適な場合も多いですので、是非自立支援の観点でいろいろな生活上の活動について検討してみてください。
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