福祉用具貸与制度のレンタル品目一覧 介護保険の要介護・要支援
 

介護保険の福祉用具貸与(福祉用具レンタル)サービスのレンタル品目一覧を紹介します。介護保険の要介護認定を受けている方で福祉用具貸与(福祉用具レンタル)サービスを利用している方は多くいます。福祉用具貸与の費用額は全国で約3,000億円であり、市場規模を拡大してきました。

介護保険の福祉用具貸与は、適切なケアマネジメントにより生活上必要とされた物品を、指定された福祉用具貸与事業者から貸与し使用することができる制度で、その品目は、厚生労働大臣が定める福祉用具貸与及び介護予防福祉用具貸与に係る福祉用具の種目 (平成11年3月31日・厚生省告示第93号)で定められています。

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介護保険の福祉用具貸与の品目ごとのレンタル料金

平成30年10月からは福祉用具貸与価格の上限設定等が行われ、介護保険の福祉用具貸与に指定されている約2800商品に対して、メーカー・商品名・型番ごとに全国平均貸与価格をもとに上限価格が設定されます。現行では福祉用具の商品のレンタル料金は、各事業者ごとに料金を設定することができています。

福祉用具をご利用の方によっては平成30年10月の上限料金の設定により、レンタル利用料の引き下げになるケースもあるかもしれません。

介護保険の福祉用具貸与の仕組み

介護保険の福祉用具は、要介護者等の日常生活の便宜を図るための用具及び要介護者等の機能訓練のための用具であって、利用者がその居宅において自立した日常生活を営むことができるよう助けるものについて、保険給付の対象としています。

福祉用具貸与とは、車いす・特殊ベッド・移動用リフト・歩行支援具などの福祉用具を、指定を受けた福祉用具貸与事業者から借りることができる介護保険のサービスです。

介護保険の福祉用具貸与では、利用者の身体状況や要介護度の変化、福祉用具の機能の向上に応じて、適時・適切な福祉用具を利用者に提供できるよう、貸与を原則としています。

貸与になじまない性質のもの(他人が使用したものを再利用することに心理的抵抗感が伴うもの、使用によってもとの形態・品質が変化し、再利用できないもの)、具体的にはポータブルトイレや入浴補助具など特定福祉用具に指定される物品を購入する場合に購入費が支払われるものもあります。

福祉用具貸与の流れ

福祉用具貸与及び特定福祉用具販売については、要介護者等の自立の促進・介助者の負担の軽減を図り、利用者の状態に応じた福祉用具の選定を行うため、福祉用具貸与事業者及び特定福祉用具販売事業者は、利用者ごとに個別サービス計画(福祉用具サービス計画)を作成することとしています。これらは、居宅介護支援事業所のケアマネジャー等の作成する居宅サービス計画(ケアプラン)に基づく必要があります。また、福祉用具貸与に関しては、福祉用具貸与事業者はレンタルサービス開始後もモニタリングを行い、要介護者等の自立の促進及び介助者の負担の軽減に適切な状態かどうかを確認していくこととされています。

福祉用具貸与事業者が作成する「福祉用具サービス計画」に記載される事項

福祉用具サービス計画には、利用者の希望、心身の状況及びその置かれている環境を踏まえ以下の内容を記載します。

  • 利用目標
  • 利用目標を達成するための具体的なサービス内容
  • 福祉用具の機種と当該機種を選定した理由
  • 関係者間で共有すべき情報(福祉用具使用時の注意事項等) 等

福祉用具の全国平均貸与価格及び貸与価格の上限価格一覧(平成30年10月)

福祉用具については、平成30年10月から貸与価格の上限料金の設定が行われます。
厚生労働省ホームページで、商品ごとの全国平均貸与価格及び貸与価格の上限の一覧が入力されたエクセルファイルが公表されていますのでご確認ください。

福祉用具の全国平均貸与価格及びレンタル料金の上限一覧(平成30年10月)

参考: 福祉用具の全国平均貸与価格及び貸与価格の上限一覧(平成30年10月), 厚生労働省- 福祉用具

要支援・要介護認定を受けた方が対象の福祉用具貸与品目

要介護認定を受けて、自立支援や介助者の負担軽減のために必要な福祉用具貸与品目については居宅サービス計画でニーズに沿う品目をレンタルすることができます。

ただし、要支援1・2・要介護1など、一般的には歩行に大きな問題がない方の車椅子介護予防福祉用具貸与のによっては対象とならないものもあります。

軽度者(要支援1、要支援2、要介護1)で福祉用具貸与レンタルが認められる状態とその判断

軽度者(要支援1、要支援2、要介護1)の方の福祉用具貸与費については、利用者の状態像から使用が想定しにくい、車いす・車いす付属品、特殊寝台・特殊寝台付属品、床ずれ防止用具・体位変換器、認知症老人徘徊感知機器、移動用リフト(つり具の部分を除く)は、原則として算定することができません。自動排泄処理装置(尿のみを自動的に吸引する機能のものを除く)については、原則要介護4、要介護5の方のみが対象になっています。要介護区分により対象外種目がありますが、ケアマネジャーや地域包括支援センター職員が区市町村へ必要書類(必要性が気刺しされたケアプランや主治医の意見書など自治体ごとに指定している書類)を提出することにより例外的に算定が認められる場合があります。

軽度者でも、介護保険被保険者証中の「認定審査会の意見及びサービスの種類の指定」欄に福祉用具貸与の必要性が記載されている場合や、各区市町村で定めている軽度者への福祉用具貸与の例外給付条件の基準に該当している場合などは手続きが簡略化されることもあります。

福祉用具貸与の 手すり(工事を伴わないもの)

介護保険の福祉用具貸与 手すり

介護保険の福祉用具貸与でレンタルできる手すりは、取付けに際し工事を伴わないものに限ります。

  1. 居宅の床に置いて使用すること等により、転倒予防若しくは移動又は移乗動作に資することを目的とするものであって、取付けに際し工事を伴わないもの。
  2. 便器又はポータブルトイレを囲んで据え置くことにより、座位保持、立ち上がり又は移乗動作に資することを目的とするものであって、取付けに際し工事を伴わないもの。

廊下や浴室などの壁などに直接取り付け工事を行う手すりの設置は、介護保険の住宅改修費の支給の対象になることがあります。

福祉用具貸与の スロープ(工事を伴わないもの)

介護保険の福祉用具貸与でレンタルできるスロープとは、段差解消のためのものであって、取付けに際し工事を伴わないものに限ります。

福祉用具貸与の対象は取り外しできる段差解消のためのスロープですが、浴室や玄関などの段差部を解消する工事は介護保険の住宅改修費の支給の対象になることがあります。

福祉用具貸与の 歩行器

介護保険の福祉用具貸与でレンタルできる歩行器とは、歩行が困難な者の歩行機能を補う機能を有し、移動時に体重を支える構造を有するものであって、次のいずれかに該当するものに限ります。

  1. 車輪があるものについては、体の前や左右を囲む形で手で握ったり、肘を載せるためのフレーム、ハンドグリップ類があるもの。
  2. 四脚を有するものにあっては、上肢で保持して移動させることが可能なもの(ピックアップ歩行器)

福祉用具貸与の 歩行補助つえ

介護保険の福祉用具貸与でレンタルできる歩行補助杖とは、松葉づえ、カナディアン・クラッチ、ロフストランド・クラッチ、プラットホームクラッチ及び多点杖に限ります。

福祉用具貸与の 車いす

介護保険の福祉用具貸与でレンタルできる車椅子は、自走用標準型車椅子、普通型電動車椅子、介助用標準型車椅子に限ります。

軽度者(要支援1、要支援2、要介護1)の方は、車椅子の福祉用具貸与費については原則算定できません。

車椅子の特徴や詳しい機能については、「車椅子の種類・機能を図で確認 跳ね上げ・前開き・背張り調整」で写真を使って解説しています。

福祉用具貸与の 車いす付属品

介護保険の福祉用具貸与でレンタルできる車椅子付属品とは、クッション、電動補助装置、テーブル、ブレーキなどで、車椅子と一体的に使用されるものに限ります。

軽度者(要支援1、要支援2、要介護1)の方は、車椅子付属品の福祉用具貸与費については原則算定できません。

福祉用具貸与の 特殊寝台(ベッド)

介護保険の福祉用具貸与でレンタルできる特殊寝台とはベッドのことです。サイドレールが取り付けてあるもの、取り付けることが可能なもので、次のいずれかを有するものとされています。

  1. ベッドの背部または脚部の傾斜角度が調整できる機能
  2. ベッドの床板の高さが無段階に調整できる機能

軽度者(要支援1、要支援2、要介護1)の方は、特殊寝台(ベッド)の福祉用具貸与費については原則算定できません。

福祉用具貸与の 特殊寝台付属品

介護保険の福祉用具貸与でレンタルできる特殊寝台付属品とは、サイドレールとマットレスなどのことで、特殊寝台と一体的に使用されるものに限ります。

「サイドレール」とは、利用者の落下防止に資するものであるとともに、取付けが簡易なものであって、安全の確保に配慮されたものに限られます。

軽度者(要支援1、要支援2、要介護1)の方は、特殊寝台(ベッド)の付属品の福祉用具貸与費については原則算定できません。

特殊寝台付属品のサイドレール

特殊寝台付属品のサイドレールとは、具体的には特殊寝台の側面に取り付けることにより、利用者の落下防止に資するものであるとともに、 取付けが簡易なものであって、安全の確保に配慮されたものに限ります。

特殊寝台付属品のマットレス

特殊寝台付属品のマットレスとは、具体的には特殊寝台の背部又は脚部の傾斜角度の調整を妨げないよう、折れ曲がり可能な柔軟性を有するものに限ります。

特殊寝台付属品のベッド用手すり

特殊寝台付属品のベッド用手すりとは、具体的には特殊寝台の側面に取り付けが可能なものであって、起き上がり、立ち上がり、移乗等を行うことを補助するものに限ります。

特殊寝台付属品のテーブル

特殊寝台の上で使用することができるものであって、門型の脚を持つもの、特殊寝台の側面から差し入れることができるもの又はサイドレールに乗せて使用することができるものに限ります。

スライディングボード・スライディングマット

滑らせて移乗・位置交換するための補助として用いられるもので、滑りやすい素材又は滑りやすい構造であるものに限ります。

介助用ベルト

居宅要介護者またはその介護を行う方の身体に巻き付けて使用するもので、起き上がり、立ち上がり、移乗等を容易に介助することができるものに限ります。ただし、購入告示第三項第七号に掲げる「入浴用介助ベルト」は除かれます。

福祉用具貸与の 床ずれ防止用具

介護保険の福祉用具貸与でレンタルできる床ずれ防止用具とは、送風装置もしくは空気圧調整装置を備えた空気マット(エアマットレス)、水、エア、ゲル、シリコン、ウレタン等によって減圧による体圧分散効果をもつ全身用のマットに限ります。褥瘡の予防のために、体位交換や臥床姿勢・離床方法など一日の生活を通して適切なものをケアマネジャー、福祉用具専門相談員、看護職、理学療法士・作業療法士などのリハビリテーション専門職などと相談して導入することが望ましいです。

軽度者(要支援1、要支援2、要介護1)の方は、床づれ防止用具の福祉用具貸与費については原則算定できません。

福祉用具貸与の 体位変換器

介護保険の福祉用具貸与でレンタルできる体位変換器とは、空気パッド等を身体の下に挿入することにより、要介護者等の体位を容易に変換できる機能を有するものに限り、体位の保持のみを目的とするものを除くものとされています。

軽度者(要支援1、要支援2、要介護1)の方は、体位変換器の福祉用具貸与費については原則算定できません。

福祉用具貸与の 認知症老人徘徊感知機器

介護保険の福祉用具貸与でレンタルできる認知症老人徘徊感知機器とは、認知症である老人が屋外へ出ようとした時等、センサーにより感知し、家族、隣人等へ通報するものとされています。

軽度者(要支援1、要支援2、要介護1)の方は、認知症老人徘徊感知機器の福祉用具貸与費については原則算定できません。

福祉用具貸与の 移動用リフト(つり具の部分を除く)

介護保険の福祉用具貸与でレンタルできる移動用リフトとは、床走行式、固定式もしくは据置式で、身体をつり上げたり、体重を支えるもので、自力での移動が困難な要介護者の移動を補助する機能を有するものとされています。取付けに住宅の改修を伴うものは福祉用具貸与対象ではありません。

軽度者(要支援1、要支援2、要介護1)の方は、認知症老人徘徊感知機器の福祉用具貸与費については原則算定できません。

福祉用具貸与の 自動排泄処理装置

介護保険の福祉用具貸与でレンタルできる自動排泄処理装置とは、尿・便が自動的に吸引されるもので、尿や便の経路となる部分を分割することが可能な構造を有するもので、居宅要介護者やその介護を介護者が簡単に利用できるものとされています。

自動排泄処理装置の交換可能部品(レシーバー、チューブ、タンク)は、介護保険の特定福祉用具購入費支給の対象となっています。

福祉用具・補装具・自助具などを効果的に利用して自立支援と介護負担軽減

介護保険の福祉用具貸与は、自立支援とそのための機能訓練、介護負担軽減を目的としてその人の状態とニーズに最も合致した品目・商品を選択して生活で利用していきます。

要介護の状態では人の手による介護も必要になりますが、福祉用具や補装具、自助具などをうまく活用することで自立度を高めた生活を営めるかもしれません。

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