立位バランスとは 検査の種類や訓練方法(リハビリ方法)

立位バランスを保つためにはどのような機能が必要で、立位バランスが低下し不安定な状態になった場合には、理学療法や作業療法としてどのような立位バランス訓練を設定してリハビリしていくと良いかなどについて解説していきます。

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立位バランスとは

立位バランスとは、立っている状態で体重を支えている面(支持基底面)の中に、身体重心を落とし続ける能力と言う事ができます。バランスとは便利な言葉で、様々な機能が関与して立っていることができています。
立位バランス
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立位バランスを保つために必要な機能

立位バランスを保つためには、様々な機能が必要になります。これらの立位のバランスを保つための機能がうまく働かないと立位バランスが不安定になる原因になります。

筋力

まずは、立ち姿勢を保つための筋力です。特に抗重力筋の筋力が重要になります。抗重力筋は、人が重力に逆らって立位姿勢などを保つときに欠かせない生きていく上で重要な筋肉の総称です。

感覚

次に、足の感覚です。立っていると、足の裏に荷重がかかっていることを感じると思います。何らかの理由により足の感覚が無くなってしまうと、立っていることを感じることができず、宙に浮いている感覚がしてしまったり、不安定になってしまったりしてしまいます。

神経系の働き

筋肉や腱には、引き伸ばされたのを感知するセンサーが付いており、自動的に姿勢を保持するように働いてくれます。足の捻挫などの怪我をしてしまうと、センサーの働きが不十分になってしまい、反応が遅くなることがあります。姿勢を保持する活動は、無意識で行われており、自分で細かく調整をしなくても、自動で姿勢調整されています。

この神経系の活動の補助をしてくれるのが、視覚情報だったり、三半規管からの情報だったりします。仮に、足の感覚が少し鈍くなっても、足意外の情報を頼りに、バランスを補正してくれます。しかし、このように足の感覚が鈍く、他の情報で補正をしている方は、暗い場所や目を閉じた状態では、視覚からの情報が不足するため、途端にバランスが悪くなってしまいます。
さらに、いくら足の感覚や視覚からの情報が正常でも、三半規管が障害されてしまうとバランスは悪くなります。三半規管が障害されると、並行がわからなくなってしまったり、めまいを感じてしまったりします。なので、耳が障害されている場合でも、立位バランスは悪くなります。

これらの立位バランスに関わる機能が全般的に低下しやすい高齢者は、立位バランスを保ちにくい状態にあると言えます。高齢者特有の老化による機能低下のことを老年症候群と呼ぶこともあります。

立位バランスの検査方法

ロンベルグ試験

ロンベルグ試験は、目を開けたままの立位バランスと、目を閉じた場合の立位バランスを比較する検査です。開眼・閉眼それぞれ30秒ずつ立位を観察し、閉眼で動揺が大きくなるようだったら、ロンベルグ徴候陽性と判断します。目を開いた状態でも閉じた状態でも立位バランスが保てなくなることは小脳障害の場合に特徴的です。

片脚立位テスト

片脚立位テストでは、片脚立ちの時間を計測します。5秒以上、片脚立位が保持できれば、転倒リスクが少ないとされています。(高齢者対象)
片脚立位テストの判定基準では、片脚立位時間が開眼で30秒以下、閉眼で10秒以下を異常とされています。
片脚立位

Berg Balance Scale(ベルグバランススケール)

Berg Balance Scale(ベルグバランススケール)は、14項目から成るバランス検査です。各項目が点数化され、転倒の可能性を点数で判断できます。56点満点の検査で、45点以下で転倒の可能性が高いとされています。各病院でこの点数の判断には差があり、屋内だけの歩行で良い場合は、もう少し低い点数でも転倒の可能性が低いと判断されることもあるようです。

Timed Up and Go test(TUG)

Timed Up and Go test(TUG)

Timed Up and Go test(TUG)は、椅子から立ち上がり、自分のペースで3m歩き、折り返して着座するまでの時間を計測するテストです。立位バランスと合わせ、歩行のテストとしても妥当性が示されています。基準は下記の通りとなっています。

Timed Up and Go test(TUG)の基準①

Cut-off値:Shumway-Cookは転倒経験者と非経験者を対比しcut off値を13.5秒とし、Bischoffは地域在住高齢者と施設利用者と対比しcut off値を12秒としている。また、2005年本邦で行われた介護予防事業では要支援の高齢者の平均値が12.2秒であった。以上の報告をもとに、介護予防の観点から運動器不安定症のcut off値は11秒と設定されている。

Timed Up and Go test(TUG)の基準②

Timed Up and Go test(TUG)は、バランス障害がない人は、10秒以内で終了できますが、30秒を超えると日常生活で転倒の可能性が高いです。

10秒未満:独歩可能
20秒未満:歩行可能
20~29秒:転倒の危険性あり 介助歩行
30秒未満:歩行不可能

Timed Up and Go test(TUG)についての詳細は以下の記事で紹介しています。

立位バランス訓練の方法(リハビリ方法)

立位バランスの訓練の方法を解説していきます。決まった方法はありませんが、理学療法や作業療法として立位バランス訓練のリハビリテーションに取り組んでいく場合には、順番や難易度はある程度決まっていますので、ご紹介いたします。

静的立位バランスと動的立位バランスとは

静的立位バランス訓練とは、 立った姿勢や片足立ちの姿勢など止まっている状態で立位のバランスをたもつ訓練をすることです。一方で動的バランス訓練とは、動きのある中でバランス機能を鍛えていく訓練のことをいいます。

立位バランス訓練の段階的な設定方法

止まっている姿勢でバランスを整えることができないと動いてのバランスも取ることができないので、段階的には静的バランス訓練から徐々に動的バランス訓練の訓練へと移行していきます。同時進行で、筋力などの基礎的な身体機能を向上させていきます。動的なバランスを保てるようになってきたら、足元が不安定な状態でも立位バランスを維持してパフォーマンスが発揮できるようレベルアップした訓練を実施していきます。

  1. 安定したところで静的なバランス練習(片脚立位など)
  2. 安定したところで動的なバランス練習(片脚立位でボール投げや輪投げなど)
  3. 不安定なところでバランストレーニング(エアスタビライザーやバランスクッションに乗るなど)
  4. 片脚ジャンプやクロスステップなど、実践的なバランス練習

エアスタビライザー(バランスクッション)エアスタビライザー(バランスクッション)エアスタビライザー(バランスクッション)の例

 

上記のような順番で、バランス練習を行なっていきます。より実践的なバランス能力を向上させるためには、バランスが必要とされる環境や動作を再現する必要があります。できる限り環境や動作などを聴取して、必要な動作を練習します。

立位バランスが低下している方の介助方法も要注意

立位バランスが低下している方は自分で自分の立っている姿勢を保持できない状態になっています。冒頭で紹介したように立位バランスを保つ機能としては筋力、感覚、神経系の働きなどがあり、普段の生活の中でこれらの機能を使っていけないと立位バランス能力はどんどん低下してしまいます。立位バランスを低下させやすい解除の方法として、例としては「両手引き歩行介助」が挙げられます。歩行の介助をする時には両方の手を支えてあげるという介助方法がありますが、ご本人のペースに合わせず両手を引っ張って介助すると重心は後ろに残っている状態で前に引っ張られると自分で立位バランスを保つ機能を使わずに引きずられるように歩いてしまうので自分で重心をコントロールできず立位バランス能力や歩行能力の低下に繋がることがありますのでご注意ください。
両手引き歩行介助

立位バランスを保つことの大切さ

今回の記事では、立位バランスについて解説してきました。立位バランスは、ただ筋力があれば良いというだけではなく、神経やセンサーなど、様々なものが関与してバランスを保っています。バランスは高度な能力だけに、障害されてしまうと、再獲得するためには様々な段階を経る必要があります。バランス検査もいろいろとあり、判断に迷うことが多いと思いますが、対象者の置かれている環境や今後の能力の伸びしろなどを考慮し、適切な環境設定や練習を取り入れていくことが必要です。

また、立位バランスが低下している場合に転倒を予防したり、歩行を安定させるために「杖」などの自助具を正しく使うことも重要です。こちらの記事で杖の正しい選び方について紹介しています。

良い立位姿勢とは

人それぞれ立位姿勢には特性があり、自分の状態などに合わせて重心を支持基底面内に収めて転倒しないように制御しています。

すべての人に当てはまるわけではないですが、特に疾患や変形などがない場合の「良い姿勢」を考えるとき、以下の記事のような点に注意して観察すると良いといわれています。

こちらもすべての人に当てはまるわけではないですが、良い姿勢をつくるために効果的なストレッチや筋トレについてもこちらの記事で解説しています。

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