ブレーデンスケールとは?褥瘡発生リスク6項目の評価方法、カットオフ値

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褥瘡は「できてから治す」よりも「できる前に防ぐ」ことが最も重要です。そのため医療・介護の現場では、経験や勘だけに頼らず、科学的根拠に基づいたリスク評価が求められています。そこで世界的に広く使われているのが ブレーデンスケール(Braden Scale) です。
ブレーデンスケールは、褥瘡発生の危険性を6つの観点から数値化し、客観的に評価できる指標です。介護施設で「どの利用者にエアーマットが必要か」「どのレベルから体位変換を強化すべきか」を統一基準で決める際にも非常に役立ちます。
ブレーデンスケールとは?
ブレーデンスケールは、アメリカのBranden博士と、Bergstrom博士が、褥瘡発生要因の構成概念について色々な文献を使って検討する中で開発されて、それを日本語に訳したものです。開発したブレーデン博士の名前をとって「ブレーデンスケール(Branden Scale)」と名付けられ、世界的にも使用頻度が高い、褥瘡の評価方法となっています。
ブレーデンスケールが有用とされる理由は、褥瘡発生の予測妥当性が優れており、褥瘡が発生した人の中で褥瘡発生を予測できた割合(感度)や、褥瘡が発生しなかった人の中で褥瘡発生しないと予測できた割合(特異度)が高いため非常に実用的であるからと評価されています。
急性期の場合には、褥瘡ができない人に対してもリスクが高いという点数になりやすいため、過度な対策をしてしまうケースが発生することがありますが、介護施設など生活期では、ブレーデンスケールを使用することで、褥瘡の発生率を低減できるため、褥瘡の発生を予防することを介護分野で考える時にはとても参考になる評価方法です。
ブレーデンスケールの目的と介護分野でのメリット
ブレーデンスケールは、褥瘡が発生しやすい利用者を早期に見つけ、予防的介入につなげることを目的とした評価方法です。アメリカで開発され、現在は病院、老健、特養、在宅医療など幅広い場面で活用されています。
介護現場では「動けないから危ない」「痩せているから危ない」といった印象評価になりがちですが、ブレーデンスケールを使えば、感覚・皮膚環境・栄養・ずれなど複数要因を総合的に評価でき、職員間の認識のばらつきを減らせます。
ブレーデンスケールの6項目の定義
ネット上でブレーデンスケールの評価方法や定義を探すと省略された内容が出てきますが、ここではまず6項目の定義を整理しておきましょう。言葉の意味や、評価する時も観点を知っておくと、ブレーデンスケールの評価を行う際の主観を減らすことができ、褥瘡リスクの予測精度を保つことができます。
知覚の認知
圧迫による不快感に対して適切に反応できるかどうかをみる項目。あるいはという表現で「意識レベル」と「皮膚の知覚」という2つの構成要素に分かれている。双方の得点が異なる場合は低い方の得点を採点する。
湿潤
皮膚が湿潤にさらされる頻度を見る項目。発汗やドレーン排液による湿潤も含む。寝衣・寝具にはオムツも含む。
活動性
行動範囲を示し、圧迫が取り除かれる時間をみるだけでなく、動くことにより血流の回復を図ることをみる項目である。元来の活動能力の有無にかかわらず、現状の動くことができる範囲を判断する。
可動性
体位変換できる能力を示し、骨突起部の圧迫を取り除くために位置を変える力と本人の動機を含む。看護師・介護者が体位交換を行うことは含まない。完全に体の向きを変えることと同様に、局所を浮かせたり位置を変えたりすることも含む。
栄養状態
普段の食摂取状態をカロリーとタンパクの摂取量でみる項目。他の項目と異なり1週間の初期接種状態を評価する。あるいはという表現で「経口栄養」と「経管(経腸)栄養または静脈栄養」という2つの構成要素に分かれている。栄養摂取経路を併用し、得点が異なる場合は、主となる経路の得点を採用する。
摩擦とズレ
摩擦とは、皮膚が寝衣・寝具にこすれることを、ズレとは筋肉と骨が外力によって引き伸ばされることを指す。両者を区別することは困難なため一つの項目として扱っている。
ブレーデンスケールの評価方法
ブレーデンスケールの評価項目は6項目で構成され、各項目を1~4点(摩擦・ずれのみ1~3点)で評価します。合計点は6点~23点です。点数が低いほどリスクが高いと判断します。
ブレーデンスケールの評価表
ブレーデンスケールの評価表は以下のようになっており、6項目に対しての評価方法が具体的に示されています。介護や看護の仕事をする中で、例えば、湿潤に対しては、背中などの皮膚がどれぐらい湿っているかについて、「各勤務時間中」という、働いている人側の捉え方で判定していけるので、深く悩まなくても点数をつけていけるのもブレーデンスケールの評価表が世界で広まっている理由の一つだと思います。
褥瘡発生の危険点(カットオフ値)
実際にブレーデンスケールの評価を行い、得点が何点なのか分かっても、どのラインから注意して褥瘡予防の対策をすべきか迷うと思います。ブレーデンスケールの一般的な目安としては以下のような考え方が多いです。
| 合計点 | リスクレベル |
|---|---|
| 19~23 | リスク低い |
| 15~18 | 軽度リスク(介護施設などでは17点くらいをリスクが高いため対策する対象とすることが多い。介護力や普段のケアのレベルによる部分はあります…) |
| 13~14 | 中等度リスク(病院では14点くらいをリスクが高いため対策する対象にすることが多い。) |
| 10~12 | 高リスク |
| 9以下 | 非常に高リスク |
介護・看護の実務で役立つポイント
ブレーデンスケールの6項目は、そのまま日常の観察視点になります。皮膚が湿っていないか、食事はとれているか、姿勢は安定しているか、ずれは起きていないかという確認は、褥瘡予防ケアの基本そのものです。
試験対策の知識にとどまらず、毎日のアセスメント項目として活用することで、褥瘡予防の質は確実に向上します。
介護看護の現場でのブレーデンスケールの活用方法
マットレス選定の目安としての活用
介護施設では、褥瘡のリスクが高そうな人が施設に入ってくると、「とりあえずエアマットにしよう」と感覚的にマットレスを選んでいる傾向があります。エアマットを使うべきかで施設内で揉めることまであります。そこで、ブレーデンスケールでリスクアセスメントして、あらかじめ施設内の基準を作っておくことで、エアマットや褥瘡予防のマットレスを使う対象者を判断する時のルールを作ることが可能です。
例えば、ブレーデンスコアが18点以下の利用者は褥瘡対策マットレスを検討、15点以下ではエアーマットを原則使用、12点以下では体位交換間隔の短縮と専門職への相談を行う、といった基準設定などはとても現実的で誰でも判断しやすくなります。
これにより「担当者の感覚」ではなく「施設の評価基準」に基づいた環境整備が可能になり、ご利用者に対しても公平な判断もできます。職員の中で「何であのご利用者はエアマットなのに、このご利用者は使わなくていいの?」などという不公平感や責任の押し付けなどを減らすこともできます。
体位変換の頻度を決める基準としての活用
体位変換の間隔は現場ごとに「2時間ごと」など慣例で決められていることが多いですが、ブレーデンスコアを使えば個別化が可能になります。
例えば、19点以上の低リスク者は通常の体位変換、15~18点では2時間ごと、13~14点では1~2時間ごと、12点以下ではより短時間間隔や体圧分散用具併用を原則とするなど、点数に応じたルールを施設全体で統一できます。
介護の現場では感覚的に体位交換が必要そうと判断して、体位交換対象のご利用者は全員2時間ごとに体位交換するというルールにするなど、主観的な判断になりやすいです。ブレーデンスケールを使用することで、体位交換の頻度や程度に客観性を持たせることができますし、定期的にブレーデンスケールで状態を確認していくことで、どのような状態になったら体位交換を止められるのかの判断にも使うことができます。
皮膚観察の重点対象者を決める基準
介護施設では看護師(看護職員)が少ないので、全利用者に毎回同じレベルの皮膚観察を行うのは難しいと思います。ブレーデンスケールを使えば「誰を重点的に見るべきか」が明確になります。
例えば15点以下の利用者は毎日、13点以下は体位変換ごと、12点以下は仙骨・踵などの褥瘡発生好発部位の皮膚チェックを必須とするなど、観察レベルを層別化できます。これにより褥瘡の早期発見につながり、「気づいた時には悪化していた」という事態を減らせます。
ご利用者にとっても良いことですが、施設の中でも、「何で○○さんの皮膚状態を確認しなかったのか」というような責任の押し付けや、介護リーダーや看護師に皮膚状態や褥瘡になっていないかの確認の報告対象者などを決められるので、仕事を進める上でやることがリスト化されていき進めやすくなると思います。
介護記録のアセスメント根拠としての活用
「褥瘡リスクが高いため対策を実施」という記録だけでは根拠が曖昧ですが、「ブレーデンスコア12点、可動性と栄養が低下」と記録すれば、客観的評価に基づいたケアであることが明確になります。
事故防止、家族説明、運営指導対応の場面でも、「主観」ではなく「標準評価スケールに基づく判断」と説明できる点は大きな強みです。
多職種連携の共通指標としての活用
ブレーデンスケールは看護・介護・リハ職・栄養士など多職種が理解できる指標です。ちょうどそれぞれの専門職の専門分野が入っているような評価スケールになっているので、多職種の理解や、チームでケアに当たる時の共通指標として非常に役立ちます。褥瘡のことは全部看護師が中心に…と介護現場でなりがちですが、湿潤や可動性の面では介護職の方が普段の介護を行う中で確認できる点や対策できる点も多いですし、栄養状態に関しては介護職が普段の食事量を正確に記録し、栄養士が適切な量や形態を検討するなど、多職種連携をしてケアしていくことがイメージしやすい評価方法になっています。
栄養項目が低ければ栄養士介入、活動性や可動性が低ければリハビリ強化、湿潤が問題なら排泄ケア見直しなど、点数の内訳から役割分担が明確になります。褥瘡を「看護の問題」ではなく「チームの課題」として共有できるツールです。
ずり落ちしそうになり介助したという場面がある場合、ただ単に転落事故予防というだけでなく、褥瘡のリスクとしてもチームで認識でき、視野の広い介護にもつながります。
褥瘡が発生してしまった後のアセスメント方法
ブレーデンスケールは、褥瘡の発生を予測するということが主な目的の評価スケールではありますが、褥瘡が発生した後も継続して評価することに意味があるものです。褥瘡が発生してしまった場合には、褥瘡そのものの評価も重要になってきます。
まとめ
ブレーデンスケールは、褥瘡発生リスクを6項目で数値化できる客観的評価ツールです。18点以下をカットオフとして対策を強化する施設も多く、マットレス選定や体位変換頻度の決定など実務に直結します。職員間のばらつきを減らし、科学的根拠に基づいた褥瘡予防を実現するために欠かせない評価法です。







