褥瘡を適切に管理し、治癒に進めるためには、原因をアセスメントし、進行度や褥瘡のステージごとに対策を行っていくことが大切です。
介護や医療で、褥瘡を管理していく上で、カルテや介護記録に記録するに内容や薬、介護職員は実施できない医療行為の範囲などもまとめました。

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褥瘡とは

褥瘡(じょくそう)とは、体と支持面(多くはベッド)との接触局所で血行が不全となって、周辺組織に壊死を起こすこと。
一般的には床ずれと呼ばれます。医療機関、介護施設などでは、「デクビ」などの隠語が使われます。

仙骨にできた褥瘡(じょくそう、床ずれ)の写真

仙骨部にできた褥瘡の写真

褥瘡は、人の体で骨が出っ張っているところで起きる皮膚の圧迫やズレなどが長く続き、その場所の血行が不全となり壊死が起こり、その部分の欠損や潰瘍を生じた状態を言います。
褥瘡は英語で Bedsore, Pressure sore, Pressure ulcer、ラテン語で Decubitus ulcer と言います。褥瘡の業界用語としては、ラテン語のデクビタスの一部を使って「デクビ」と言うところもあります。

褥瘡などの状態を表す言葉 壊死と潰瘍の違い

壊死(えし)とは

壊死とは、血行不良等により、体の一部の細胞が死滅すること

潰瘍(かいよう)とは

潰瘍とは、皮膚等の表面に穴ができること

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褥瘡の原因

褥瘡は、自分では動けないこと、麻痺や認知面の問題などで体の一部が圧迫されていることが分からないことなどと、以下の原因が重なった時に起こりやすいと言われています。

褥瘡について環境にある原因

皮膚がつぶされ続けて、弾力が失われてしまった状態が続いている

皮膚と接触しているところの間に、摩擦やズレがある状態が続いている

褥瘡について身体にある原因

加齢、低栄養(特に血中のたんぱく質不足)、麻痺、乾燥肌、骨の突出などいろいろ。

褥瘡リスクアセスメントスケールの活用

医療分野や介護施設では、褥瘡リスクアセスメントツールとして、OHスケール、ブレーデンスケール、褥瘡危険因子評価表(DESIGN)を採用して、褥瘡の危険因子(リスクファクター)の抽出、エビデンスに基づいたケアなどが行われています。以下の記事で、それぞれの評価表の特徴や評価項目、採点方法をまとめています。褥瘡のリスクや観察項目、予後予測などにエビデンスを持たせるために有効です。

褥瘡の好発部位(できやすいところ)

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骨については、介護・医療でよく使う主要な骨の名前と特徴をご覧いただきイメージしてください。

あおむけの時の褥瘡好発部位 … 後頭部、肩甲骨、肋骨、背骨、仙骨、尾骨、かかと

横向きの時の褥瘡好発部位 … 側頭部、耳、肩の先、肩甲骨、肋骨、骨盤、大転子、腓骨、くるぶし

座っている時の褥瘡好発部位 … 尾骨、坐骨

褥瘡の予防の3つのポイント

  1. 力と面    除圧・減圧(支持面の調整と体位変換)
  2. 皮膚状態   皮膚面の保湿と保清(清潔)
  3. 栄養状態   栄養管理

褥瘡の予防(できそうな時)の対策方法

褥瘡の予防では、以下の点を複数の人の目で確認し、早期に発見・対処をしていく。

  1. 自分で寝返りなどの動きができるか、体の骨の出っ張っている部分が無いか
  2. 皮膚が赤くなっていないか、傷ができていないか、異変がないか
  3. ご飯は食べられているか、傷になりやすい病気などはないか

★ これらのことについて観察した結果を記録しておき、以下のような方法で対策します。

体圧分散寝具の使用や、好発部位や褥瘡発生部の圧迫や摩擦を減らす工夫をする

  • 褥瘡予防の体圧分散寝具は、マットレスの上に敷いたり、マットレスそのものをエアーマットレスに変えたりすることで適度な体圧分散効果が得られます。(介護保険での福祉用具貸与対象
  • 圧迫されてしまっている部位や、皮膚がずれて摩擦や剪断力がかかってしまっている部位に余計な圧やズレが生じないようにクッションなどを使用する。

定期的な体位交換を行う

  • 体位交換は、①どのくらい強い圧迫や皮膚のズレがあるか と ②身体・栄養状態 により最低限の間隔・頻度が違ってきます。
  • 基本は2時間と言われていますが、体圧分散寝具の使用や、自分で体が動かしやすい姿勢にするなどの配慮でそれ以上の間隔で行われることもあります。
  • 予告なく無理やり寝返らせるなどの体位交換は、かえって皮膚のズレを助長することもあるので注意が必要です。
  • 褥瘡予防のために好発部位を避けて体位交換することを続けていると、寝ている姿勢がねじれた姿勢や辛い姿勢になりがちです。体に拘縮がある時や、麻痺で筋肉が強張ってしまう時などには楽な姿勢になることが難しい場合もありますが、できる範囲でいい形を探っていきましょう。

 ご本人と、関わるみんなでその方にとっての良い方法を考えていきましょう!

毎回介入時に、皮膚の状態を確認する

失禁がある、汗をかきやすい、むくんでいるなど、皮膚がふやけやすい状態は特に褥瘡の悪化に注意が必要です。
 本人に辛さが無いかなどをお聞きしながら、皮膚を目視で確認するようにしていきましょう!

ご飯があまり食べられてないときには、特に皮膚の状態に注意する

 ご飯が食べられない理由や、栄養状態を改善する対策法を考えていきましょう!

褥瘡の進行度分類(重症度分類)と記入例

褥瘡の重症度は、褥瘡の深さによってⅠ度からⅣ度に分類されます。

I

傷害が表皮にとどまっている状態。
局所の発赤(紅斑)、表皮剥離(びらん)である。

 褥瘡ステージ1度
Ⅱ度

傷害が真皮に及び、真皮までの皮膚欠損(=皮膚潰瘍)が生じている状態。水疱が形成されることもあり、壊死組織の付着や細菌感染が生じやすい。

 褥瘡ステージⅡ度
Ⅲ度

皮下組織に達する欠損が生じている状態。

 褥瘡ステージⅢ度
Ⅳ度

筋肉や骨まで損傷された状態。骨が壊死して腐骨(ふこつ)となったり、骨髄炎や敗血症を併発することもある。

 褥瘡ステージ4度

褥瘡の状態の記録項目、伝達項目の例

① 発生部位 ② 大きさ(長径×短径) ③ 進行度分類  他:液の量、むくみ、縁の色など

褥瘡の対策方法の記入

① 体位変換の方法と回数 ② 予防用具 ③ 栄養のとり方 ④ 局所のケア方法

褥瘡の治療薬の紹介

褥瘡の治療薬については、医師が処方して使用方法などを指示してもらいます。どのような薬があり、どの症状・治癒過程でどのような効果を狙って使っていくかについては、「褥瘡(じょくそう)の治療薬の種類と使い方」の記事で薬剤師のoyasuさんに解説していただきました。

褥瘡がある場合の入浴と洗浄方法

褥瘡部の洗浄は基本的には石鹸や消毒薬は使用せずに、水道水で十分と言われています。
洗浄をする人は、プラスチック手袋などをして、水道水(温水シャワー)などを当てながら、創部分を優しくなでるくらいが良いと言われています。
入浴については、在宅の場合と施設の場合でやや対応が異なります。
在宅の場合は、まずはシャワーで綺麗に創を洗い、綺麗なお湯の入った浴槽に入ってもほとんどの場合大丈夫だと言われています。(上述しているような重度の場合は医療的判断が必要です)
また、施設で多数が同じ浴槽で入浴する場合には、湯船に入る時はフィルムなどで密閉しておき、浴槽から出てからフィルム等をはがしてシャワーで洗浄する方が良いと言われています。
ただし、いずれの場合も感染等の予防のためにお湯や浴槽を消毒したりした方が良いようです。(こちらも担当者や医師、施設衛生管理の指導に従って)

褥瘡の処置は医療行為になる場合も

介護職員が行える褥瘡の衛生管理について

褥瘡の管理を行っていくうえで、介護職員が担う業務は多いです。介護職員が行える褥瘡の処置については以下の記事で。

治せる褥瘡が多いけど・・・治らない褥瘡も・・・

治せない褥瘡は存在します。例えば末期がんのケースで生じた深い褥瘡は治癒にいたれないケースもあります。
老衰で死期が迫り、寝返りができなくなった患者に褥瘡ができたとしても、治癒を期待できないこともあります。
必ずしも褥瘡ができることが悪いわけではありませんが、状況や本人の意思に合わせて、チームでケアにあたることが良いケアだと思います。

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