拘縮とは 原因と予防方法・リハビリについて

要介護の状態や長期の入院などで動かない期間が続くと、関節が動かせない「拘縮」になることがあります。

廃用症候群の一つとしても知られる、拘縮について原因や予防、対応方法などについて詳しく紹介します。

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拘縮とは

拘縮とは、皮膚や筋肉などいろいろな原因により、関節の動きが制限されて正常な範囲を動かせない状態です。拘縮とは、関節が十分に動かず制限された状態なので、「関節可動域制限」と呼ぶこともあります。

拘縮の主な原因は、関節を動かさない状態が続き、関節の周囲の組織が固まってしまうことです。拘縮の状態になると、関節を動かせる範囲が制限され、日常生活にも支障が出ます。

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拘縮の原因と種類

拘縮になる原因

拘縮は関節が動かせなく状態のことですが、動かせなくなるきっかけはいろいろあります。

介護の分野で最も多い拘縮の原因は、長期臥床や不動の状態が続き、関節の周りの組織や筋肉などが固まってしまうことです。寝たきりの状態などの場合でも、組織が固まらないように適度に動かすことで予防ができます

そのほかの拘縮の原因としては、事故などで外傷を受け、関節や関節の周囲が傷つき、本来持っていた可動性を失ってしまうことや、関節の周辺を手術等で侵襲して、関節周囲の組織が癒着して可動性が乏しくなることなどがあります。

関節の動きを制限している原因による拘縮の種類

関節の機能が制限されたり、機能が失われたりして可動性が乏しくなった状態が拘縮ですが、その関節を構成する要素で可動性を阻害している原因によって5種類に分けられます。

  • 筋性拘縮
  • 神経性拘縮
  • 皮膚性拘縮
  • 結合組織性拘縮
  • 関節性拘縮

拘縮の原因の見つけ方

整形外科医や理学療法士などは、関節を曲げた時の引っかかりの感覚や、突っ張っている箇所の触診などで、拘縮の主原因は何かを探ります。関節を曲げたり伸ばしたりするときの最終域での引っかかりなどを確かめることをエンドフィールと言い、エンドフィールの状態から原因と改善に向けてどこの柔軟性を向上させるべきかなどの方針を考察していきます。また、重度の拘縮で関節の可動域を向上させなければ支障が大きい場合には、原因を特定するための詳しい検査をしたり、外科的な治療をする場合もあります。

拘縮が起きやすい部位

拘縮には生じやすい部位は、以下のような場所です。

・股関節
・膝関節
・頸部
・足関節
・手関節と手指
・肘関節

手・手指の拘縮と手の開き方のポイント

脳卒中の後遺症で運動麻痺で生じる、手の拘縮

脳卒中の後遺症で運動麻痺がある場合など、手や手首が動かせず拘縮を生じてしまうことがあります。手を握っている時間が長い場合には、手を握ったままで開きにくくなるという拘縮になります。

手を握ったまま開けなくなる拘縮の場合には、腕や肘の近くから手首・手の指などまで続いている手を握る筋肉が固まってしまっている場合も多いです。人の手はとても細やかな動きをするので、関節がたくさんありますし、その細やかな動きを作り出している筋肉も複雑にあります。

片麻痺

手の拘縮の注意点

手の指を曲げて握ったまま拘縮しているときには、なるべく開くようにして動かせる範囲を保つことが大切です。手を開くことは、動きそのものを保つだけでなく、手の蒸れを防ぎ不衛生な状態の対策になります。握った状態を放置してしまうと、指の爪が手のひらに食い込んでしまい傷を生じたり感染を起こしてしまう恐れもあるので注意が必要です。

手の拘縮の開き方・動かし方

拘縮している手を開くためのポイントとしては、指だけを引っ張って開こうとせず、まず肘を伸ばしたり、手首を動かしたりして、指が伸ばしやすい準備体操をすることが大切です。ご家族や介助者が手を開くリハビリを行うときの動かし方は、指の先だけを持つことは避けて、広い面でゆっくりと力を入れ過ぎずに伸ばしていきましょう。

血栓を予防するために血液をサラサラにする薬を内服している方もいるので、その場合などは特に注意して無理な圧迫などをせずに行うようにしましょう。

足関節の拘縮予防のポイント

足関節が硬く拘縮になると、ずっと爪先立ち姿勢をしているような状態になってしまうこともあるので、立位の介助等にもかなり影響がでます。

ベッド上では足関節が底屈した姿勢になりやすいので、足関節ができるだけ背屈位を保てるようにポジショニングしたり、褥瘡等には注意しながらベッドの足側の衝立に足底部をつけた姿勢にするなどは一定の効果があるかもしれません。
足関節の拘縮予防に一番良いのはやはり荷重をすることなので、適度に立位をとることや、腰掛け座位姿勢でも、かかとがつくように膝上から荷重するなどで足の可動域を保つことが大切です。

股関節・膝関節の拘縮予防もポイント

股関節を伸ばしにくい、開きにくいという拘縮と、膝を伸ばしにくいという拘縮は、併発していることが多いです。長い間寝ていると、自分で少しでも動こうと膝を曲げて踏ん張っておしりの圧を自分で抜いたり、麻痺で下肢を曲げたままの姿勢を自然ととってしまったりして気付いたときには足が伸ばせない状態になります。

脳梗塞などの後遺症で、ちょっとした刺激で下肢の力が勝手に入ってしまい力が抜けないというタイプの運動麻痺でも、股関節が開けない麻痺などを生じることが多いです。楽な姿勢をとれるようポジショニングしたり、定期的に足を伸ばしたりして動かせる関節可動域をしっかり動かす機会を作ることが大切です。

看取り介護の方の介入

麻痺の種類による拘縮の特徴と対策

手足が突っ張ってしまう筋緊張が亢進しやすい麻痺と拘縮の関係

拘縮になりやすい状態として、 脳卒中後の麻痺など、筋肉が収縮して力を入れるということと、筋肉を緩めて伸ばすということのバランスが取れなくなった状態などがあります。この状態のことを痙縮(けいしゅく)と言い、脳卒中の後遺症としてよく見られる症状です。(痙性と呼ぶこともあります。)

関節は骨と骨の間でつなぎ役になっている場所で、筋肉が縮んだり伸びたりすることでその関節を滑らかに動かしているのですが、 脳卒中の後遺症で痙縮が現れていると、ちょっとした刺激でも筋肉が縮み続けてしまいます。動かそうと頑張ると動かしたい場所以外の場所まで全体的に力が入ってしまったりして本来関節が動かせていた範囲より狭い範囲しか動かさない状態が増えます。動かせる範囲が狭まっている状態が続くと、関節の周りの皮膚や靭帯、関節包なども伸び縮みしなくなってきて固くなってしまい、 ますます関節の機能が失われて可動域が狭まってしまう状態になります。これが脳卒中後の麻痺により痙縮の症状が出ている場合に起きやすい拘縮とその特徴です。

力が入らない弛緩性麻痺と拘縮の関係

脳卒中の後遺症の中には、体の力が全く入らず動かせないという方もいます。このような麻痺を弛緩性麻痺と呼びます。 弛緩性麻痺の場合には、 自分の力では筋肉を動かせないので、 関節動かすことが大幅に減少します。動かせないので関節の周りの皮膚や靭帯、そして筋肉そのものも収縮性を失ってしまい硬くなり拘縮が進行します。

弛緩性麻痺の場合には、自身で動かせないため、拘縮の対策としては他動的に動かす機会をつくることが必要です。

車椅子座位での拘縮予防

車椅子での拘縮というのはよっぽど座り続けていない限りなかなか考えられないものなので、見るポイントとしては足関節が底屈した姿勢のまま長時間入ることはないか、 頸部や胸部が曲がったままの姿勢になってないか、骨盤が過度に後傾していないかなどが挙げられます。これらの点に注意して座位の姿勢を保っていただけると良いと思います。また、不動状態で拘縮ができやすいことと合わせて、車椅子座位でこのような姿勢になっていると、踵や仙骨などに褥瘡ができてしまうこともあるので合わせて皮膚状態や圧がかかってしまっている箇所がないかなども観察しましょう。
仙骨座りのイラスト

拘縮は治る?改善するためのリハビリ

拘縮の状態は関節の周りの腱・靭帯・皮膚・脂肪組織・血管などの筋軟部組織(柔らかい組織)が、全体的に硬くなってしまっているために可動域が狭まっています。これらの組織は一度硬くなるとなかなか柔らかくはなりづらいので、医師等に相談しながら焦らず続けていくことが必要です。温めながら行うと効果的な場合もあります。

拘縮を改善するためのリハビリとしては、関節の動きを制限している原因を意識しながら動かしたりストレッチしたりすることが中心になりますが、関節の構造などを考えて行わないと周辺の組織を傷つけてしまい違った障害を生じる可能性があります。改善を急ぎ過ぎず、今以上悪化させないよう今動かすことができる範囲を無理なく動かしながら予防していきましょう。

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