令和8年度介護報酬改定 介護職員の給与を最大月1.9万円賃上げの内容

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令和7年12月24日に行われた予算大臣折衝を踏まえ、令和8年度の介護報酬改定の内容が示されました。
今回の改定では、介護人材の確保と定着を強く意識した内容となっており、介護職員の処遇改善を中心に、報酬全体の引き上げが行われます。ここでは、令和8年度介護報酬改定のポイントを、賃上げの内容を軸に整理します。
2025年1月21日に、厚生労働省老健局老人保健課が発出した「介護分野の職員の賃上げ・職場環境改善支援事業に関するQ&A(第1版)」の内容も追記いたしました。
令和8年度(2026年)介護報酬改定はなぜ行われる?
介護報酬改定は3年ごとに行われるため、定期的な介護報酬改定としては次は2027年(令和9年度)ですが、介護分野の職員の処遇が低く人材確保・定着が困難化しているため介護従事者を対象に処遇改善を行うことと、物価上昇に合わせて食費の基準に費用額を引き上げることに関して、臨時の介護報酬改定が令和8年度介護報酬改定として行われます。

令和8年度介護報酬改定の改定率とポイント
令和8年度介護報酬改定の改定率は、全体でプラス2.03%とされています。
このうち大部分を占めるのが、介護分野における職員の処遇改善です。
介護分野の職員の処遇改善分として、プラス1.95%が確保されており、これは令和8年6月から施行されます。
今回の改定では、介護従事者全体を対象に、幅広い賃上げを実現する仕組みが整えられています。
令和7年度 介護従事者全般に月1万円、半年分の賃上げ措置との違い
令和7年度 介護従事者全般に月1万円、半年分の賃上げ措置では、令和7年12月を基準として、事業所の体制などに応じて6か月間の介護報酬のうち1~3割程度分を上乗せして出すので、そこから従業員の賃上げをしてくださいと一時的なものです。
それに対し令和8年度介護報酬改定として処遇改善加算の制度が変わる形で恒久化されるため、令和9年度介護報酬改定に向けて今後も続く介護従事者への処遇改善となります。

介護従事者の賃上げ内容と水準
今回の処遇改善措置により、介護従事者を対象として、月額1.0万円、率にして約3.3%の賃上げが実現されます。
これに加え、生産性向上や協働化に取り組む事業者に所属する介護職員については、さらに月額0.7万円、約2.4%の上乗せ措置が講じられます。
処遇改善加算Ⅰロ、Ⅱロという形で、従来の処遇改善加算よりも上乗せされた加算が新設される見通しです。
これらの措置を合計すると、定期昇給分である月額0.2万円を含め、介護職員については最大で月額1.9万円、率にして約6.3%の賃上げが実現する仕組みとなっています。
現場で働く介護職員にとって、これまでの報酬改定と比べても、比較的大きな賃上げ幅となる点が特徴と言われていますが、定期昇給分である2,000円まで含めて改定率に含むような書き方をしているのはちょっとどうかと思いますね。。。
参考:介護職員等処遇改善加算(令和7年度分)算定要件と厚労省Q&A

処遇改善加算の見直しと対象拡大
今回の賃上げを実現するため、処遇改善加算の制度自体にも見直しが行われています。
まず、処遇改善加算の対象が、従来の「介護職員」のみから、「介護従事者」へと拡大されます。介護施設など、処遇改善加算がある事業所だとしても、介護職員を中心として処遇改善手当が支払われることが多く、相談員、看護職員や機能訓練指導員などは手当の対象外となることが多かったですが、現場で介護サービスに関わる幅広い職種が処遇改善の対象となります。
また、生産性向上や事業者間の協働化に取り組む事業者を評価するため、新たに上乗せとなる加算区分が設けられます。単なる人員確保にとどまらず、業務効率化やICT活用を進める事業者を後押しする制度設計となっています。
さらに、これまで処遇改善加算の対象外とされていた訪問看護、訪問リハビリテーション、居宅介護支援(居宅ケアマネ)などについても、新たに処遇改善加算が創設されます。これにより、在宅系サービスを中心とした職種にも処遇改善の波が広がることになります。
厚生労働省Q&A(第1版)2025年1月21日追加
以下のQ&Aは、2025年1月21日に、厚生労働省老健局老人保健課が発出した「介護分野の職員の賃上げ・職場環境改善支援事業に関するQ&A(第1版)」からの引用です。
各書類の提出受付開始時期・提出期限については、各都道府県において、事業スケジュールを踏まえ、適切に設定することとしている。
令和8年3月末までに補助金の支給を受けた場合、令和7年 12 月から令和8年3月末までの間に賃金改善や職場環境改善を行う必要がある。令和8年4月以降に補助金の支給を受けた場合、令和7年 12 月から各自治体が定める実績報告書の提出の期限までの間に行う必要がある。
なお、賃金改善は、介護サービス事業所等に対する緊急支援という補助金の趣旨を鑑み、可能な限り速やかに実施していただきたい。
本事業は、原則、令和7年 12 月にサービスを提供している介護サービス事業所等を対象とし、これらの事業所等における基準月は、原則、令和7年 12 月とする。
その上で、都道府県の事業実施スケジュールによっては、以下の例外的な取扱いが可能となる場合がある。
・ 令和7年 12 月にサービスを提供している介護サービス事業所等について、大規模改修や感染症まん延等のやむを得ない事情により令和7年 12 月の報酬が著しく低い場合や、令和7年 12 月サービス提供分が月遅れ請求となった場合、介護サービス事業所等の判断で令和7年 12 月から令和8年3月までのいずれかの月を基準月として選択すること。
・ 令和8年1月から3月までに新規開設された介護サービス事業所等を事業の対象とすること。この際、基本的に初回サービス提供月を基準月とすることを想定しているが、初回サービス提供月のサービス提供日数が著しく少ない等の場合には、介護サービス事業所等の判断で初回サービス提供月から令和8年3月までの間の別の月を基準月として選択することは差し支えない。
なお、これらの例外な取扱いにより、令和8年1月から令和8年3月までのいずれかの月を基準月とする場合においても、申請事務の円滑化のため、その際、都道府県にその事由を届けることは不要とする。
上記のとおり、都道府県により対応が異なる場合があるため、各都道府県の実施要綱等を確認されたい。
事業実施スケジュール等は都道府県により異なるため、都道府県の実施要綱等を確認されたい。
各要件への対応状況について、一律資料を提出することは求めない。
ただし、各介護サービス事業所等において、根拠資料を用意し、都道府県の求めがあった場合には、速やかに提出することとする。根拠資料の保存期間は2年間とする。
| 要件 | 根拠資料の例 | |
| 1 | 基準月において、処遇改善加算を算定していること | 基準月を含む処遇改善加算の計画書 |
| 2 | 実績報告書の提出までに処遇改善加算を算定していること | 実績報告書の提出月を含む処遇改善加算の計画書 |
| 3 | 処遇改善加算Ⅳの算定に準ずる要件を満たしていること | 任用要件・賃金体系の整備については、就業規則等の根拠規定。研修の実施については研修計画等、職場環境等要件については、取組の実施を証明する資料 |
| 4 | 基準月において、ケアプランデータ連携システムに加入していること | 使用画面のスクリーンショット(撮影時点がわかる形で撮影されたものに限る。) |
| 5 | 実績報告書の提出までにケアプランデータ連携システムに加入していること | 同上 |
| 6 | 基準月において、介護サービス事業所等が所属する法人が、社会福祉連携推進法人に所属していること | 社会福祉連携推進認定を受けるに当たって提出し、受理された社会福祉連携推進認定申請書 |
| 7 | 基準月において、生産性向上推進体制加算Ⅰ又はⅡを算定していること | 体制届出 |
| 8 | 実績報告書の提出までに、生産性向上推進体制加算Ⅰ又はⅡを算定していること | 体制届出 |
| 9 | 令和6年度介護人材確保・職場環境改善等事業による補助金の交付を受けていること | 令和6年度介護人材確保・職場環境改善等事業の実績報告書 |
法人本部の職員については、補助金の対象である介護サービス事業所等における業務を行っていると判断できる場合には、賃金改善や職場環境改善の対象に含めることができる。補助金の対象となっていない介護サービス事業所等の職員は、本補助金を原資とする賃金改善や職場環境改善の対象に含めることはできない。
賃金改善は、従業員への基本給等への支給に充てるものであるが、当該賃金改善に伴い生じる法定福利費等の事業主負担の増加分を含めることも可能である。
介護サービス事業所等の事務負担を軽減する観点から、「補助金の総額のうち賃金改善経費の総額」の値は、介護サービス事業所等が交付を受けた補助額に、介護サービス事業所等が交付を受けた補助額の交付率を分母とし、交付率のうち賃金改善経費分の交付率を分子とした割合を乗じて算出した額(1円未満の端数は四捨五入。)をもって確認することとする。
なお、各サービスにおける交付率と、そのうち賃金改善経費分の交付率については、実施要綱別紙1表1から表3までに記載されているとおり。上記方法により算出された「補助金の総額のうち賃金改善経費の総額」の値が、別紙様式3-2の「①+②(賃金改善経費分)」の欄に表示される。
「居宅介護支援費に係るシステム評価検討会」において、ケアプランデータ連携システムと同等の機能とセキュリティを有するシステムとして認められたシステムを指す。
令和8年1月 21 日現在、カナミッククラウドサービス(株式会社カナミックネットワーク)、ケアプランデータ連携サービス(株式会社富士通四国インフォテック)及び「でん伝虫」データ連携サービス(株式会社コンダクト)が該当しているが、最新の認定状況については、ホームページにてご確認されたい。
貴見のとおり。
対象は介護現場で働く幅広い職種(※)を指す。
※ 介護職、医師、歯科医師、薬剤師、保健師、看護師、准看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、機能訓練指導員(看護師、准看護師、柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師、はり師・きゅう師等)、精神保健福祉士、介護支援専門員、計画作成担当者、社会福祉士、生活相談員・支援相談員、管理栄養士、栄養士、歯科衛生士、調理員、その他の事務職等が想定される。
当該センターの設置者が、介護予防支援事業者として指定を受けている場合、補助金の対象となる。
研修に要する費用として切り分けられるものであれば、対象経費として充当できる。この際、職場環境改善に資する研修であれば幅広に対象とすることができるが、基準上取り組むことが義務づけられているものであって、かつ、職場環境改善とは趣旨が異なる研修に要する費用について、本補助金を充てることは、補助金の趣旨とは異なると考えられる。
主な使途として、求人広告に係る費用や、求人チラシを印刷する費用等を想定しているが、人材紹介会社の紹介手数料についても、対象経費とすることが可能。ただし、すべて介護助手等の募集に係る経費に限る。
職場環境改善経費については、介護助手等を募集するための経費又は職場環境改善等のための様々な取組を実施するための研修費に充当することを基本とするが、補助金の要件としている「介護職員等の業務の洗い出しや棚卸しなど、現場の 課題の見える化」、「業務改善活動の体制構築(委員会やプロジェクトチームの立ち 上げ又は外部の研修会の活動等)」又は「業務内容の明確化と職員間の適切な役割 分担(介護助手の活用等)の取組」に関する取組を実施するために要する費用のうち、介護テクノロジー等の機器購入費用ではないもの(専門家の派遣費用、会議費等)に充当することも可能である。その他の職場環境改善に要する費用全般に充当することは想定していない。
貴見のとおり。
本補助金の補助対象のうち、職場環境改善のための経費は、職場環境改善全般の取組を対象とするものではなく、介護助手等を募集するための経費と職場環境改善のための様々な取組を実施するための研修費等としている。その上で、問 16に記載のとおり、本補助金の補助対象に介護テクノロジー等の機器購入費用を充当することはできないため、PC 端末等の機器の購入費用は対象経費として適当ではない。
本補助金は、全額を賃金改善又は職場環境改善に充当することとする補助金であり、債権譲渡することは適当ではない。このため、債権譲渡等により、国保連合会に登録されている口座に本補助金を振り込むことが適当でない介護サービス事業所等に対する本補助金の支払いについては、債権譲渡を行っていない介護サービス事業所等の介護給付費等の振込先口座又は介護サービス事業者等の口座に直接支払(振込)を行うこととする。
補助金の申請は介護サービス事業所等が所在する都道府県ごとに行う必要がある。同一都道府県内に所在する介護サービス事業所等について、同一の計画書を用いて、法人単位で申請することができる。都道府県ごとに振込先の指定方法等が異なる場合もあることから、補助金の計画書は各都道府県から示されたものを用いること。
事業計画書の提出時点で休廃止することが明らかになっている介護サービス事業所等については、本補助金の交付対象外とする。ただし、事業計画書の提出時点では見通せなかった事情等により介護サービス事業所等が休廃止することになった場合については、休廃止することが明らかになった時点で速やかに都道府県に届け出ることとする。
当該介護サービス事業所等の職員に変更がないなど、介護サービス事業所等が実質的に継続して運営していると認められる場合は可能である。その際は、実施要綱8(4)の記載のとおり、都道府県に届出を行うこと。
貴見のとおり。既に計画書を都道府県に提出しており、計画書提出時点で想定していた使途をやむを得ず変更する必要がある場合であっても、事務負担を鑑み、都道府県への計画書の再提出を一律に求めないこととする。
同じ経費について、複数の補助金による補助を受けることは認められないが、両方の活用(※)は可能。
※ 例えば、本事業による賃上げ等の金額への上乗せや、本事業の支援対象者や対象経費を広げる横出しとして交付金を活用するといった方法が考えられる。
令和9年度介護報酬改定に向けた考え方
令和8年度改定に続き、令和9年度の介護報酬改定についても、一定の方向性が示されています。国としては、介護分野における賃上げの継続、事業経営の安定、離職防止、人材確保を引き続き重要な課題として位置づけています。
そのため、「介護事業経営実態調査」などを通じて、介護サービス事業者の経営状況を丁寧に把握した上で、物価や賃金の上昇を適切に反映した対応を行う方針です。一方で、介護保険制度の持続可能性を確保する観点から、介護給付の効率化や適正化にも同時に取り組む必要があるとされています。
今般進められている有料老人ホームに関する制度改正の内容も踏まえつつ、サービスの提供形態ごとに、どのような評価が適切かについて検討が進められる予定です。
処遇改善加算の算定要件に関する補足
新たに処遇改善加算の対象となる訪問看護、訪問リハビリテーション、居宅介護支援などについては、加算Ⅳに準ずる要件、具体的にはキャリアパス要件Ⅰ・Ⅱおよび職場環境等要件を満たすことで算定が可能となります。
また、令和8年度については特例要件による算定も認められる予定です。
生産性向上や協働化の取り組みについては、令和7年度補正予算案を前提とした現時点での想定として、訪問・通所サービス等ではケアプランデータ連携システムへの加入、もしくは加入見込みであることが求められます。施設系や居住系サービス、多機能サービス、短期入所サービスなどでは、生産性向上推進体制加算ⅠまたはⅡの取得、あるいは取得見込みであることが要件とされています。


