居宅介護業界の業務効率化が進むと期待されている「ケアプランデータ連携システム」について、開始時期、仕組み・業務フロー、利用料金、課題、業務フロー、スケジュールなどについて紹介します。
このページの目次
ケアプランデータ連携システムとは
居宅介護支援事業所と介護サービス事業所の間で毎月やり取りされる居宅サービス計画書、サービス利用票(予定・実績)等について、事業所間でデータ連携するための標準仕様を作成・公開してきました。加えて安全な環境で効果的にデータ連携を可能とするため、公益社団法人国民健康保険中央会(国民健康保険中央会)が「ケアプランデータ連携システム」を構築し、2023年4月(令和5年4月)から本稼働することとなりました。
ケアプランデータ連携システムの使い方や疑問点はサポートサイトへ
ケアプランデータ連携システムの使い方や疑問点については、ヘルプデスクサポートサイトが開設されています。こちらをご活用ください。
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ケアプランデータ連携システム活用による効果
事業所がケアプランを送付するために掛かる費用の削減が見込まれます。
具体的には、人件費の削減・印刷費の削減・郵送費の削減・交通費の削減・通信費(FAX)の削減などが挙げられています。
介護保険最新情報「ケアプランデータ連携システム」の概要等の 周知について(情報提供(Ver.2))2022年10月26日
データ連携による費用対効果を診断 かんたんシミュレーションツール
ケアプランデータ連携システムを導入することで得られる効果を簡単に調べることができるツールが公開されています。
令和2年度老人保健健康促進事業「介護分野の生産性向上に向けたICTの更なる活用に関する調査研究」に基づいて算出しているため、シミュレーション数値は主に居宅介護支援事業所における概算値となっています。
データ連携による費用対効果を診断かんたんシミュレーションツールはこちら
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ケアプランデータ連携システムの利用料金
ケアプランデータ連携システムの利用料金は、1事業所あたり年間21,000円(税込)となることが公表されました。
支払方法は、電子請求の証明書発行手数料と同様、国保連合会に請求する介護給付費からの差引きを可能とされています。
厚生労働省はICTの活用を進めようとしたり、働き方改革を促したりしている中で、とても効果が期待できるケアプランデータ連携システムを介護事業所が使うためにお金を払うというのは不思議な形ですね。ケアプランデータ連携システムの活用でせっかく人件費や印刷費用を節約できるのに、年間2万円支払うシステムだとすると躊躇する事業者も出てくることが予測されます。本当にシステムの利用を促進していくならば、補助金なども検討されていきそうですね。
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ケアプランデータ連携システムの業務フロー
ケアプランデータ(予定)の連携 業務フロー
居宅介護支援事業所
① 介護ソフトにてケアプランデータ予定ファイルを作成、CSVファイルとして出力(保存)します。
② 出力(保存)したケアプランデータ予定ファイルをデータ連携クライアントにアップロードします。
③ ケアプランデータ連携クライアントからケアプランデータ連携基盤へ送信します。(※電子証明書は自動で付与されます。)
介護サービス事業所
④ ケアプアンデータ連携クライアントを操作し、最新情報を確認し、ケアプランデータ連携基盤から受信します。
(※ケアプランデータ連携基盤からケアプランデータ連携クライアントの通信は暗号化されて通信が行われます。)
⑤ ケアプランデータ連携クライアントからケアプランデータ予定ファイルをダウンロードします。
⑥ ダウンロードしたケアプランデータ予定ファイルを介護ソフトに取り込み確認をします。
ケアプランデータ(実績)の連携 業務フロー図
介護サービス事業所
⑦ 介護ソフトにケアプランに基づく実績を入力後、ケアプランデータ実績ファイルをCSVファイルとして出力(保存)します。
⑧ 出力(保存)したケアプランデータ実績ファイルをケアプランデータ連携クライアントにアップロード します。
⑨ ケアプランデータ連携クライアントからケアプランデータ連携基盤へ送信します。( ※電子証明書は自動で付与されます。)
居宅介護支援事業所
⑩ ケアプランデータ連携クライアントを操作し、最新情報を確認し、ケアプランデータ連携基盤から受信します。
(※ケアプランデータ連携基盤からケアプランデータ連携クライアントの通信は暗号化されて通信が行われます。)
⑪ ケアプランデータ連携クライアントからケアプランデータ実績ファイルをダウンロードします。
⑫ ダウンロードしたケアプランデータ実績ファイルを介護ソフトに取り込み確認をします。
介護保険最新情報「ケアプランデータ連携システム」の概要等の 周知について(情報提供(Ver.2))2022年10月26日
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ケアプランデータ連携システムの情報連携の標準仕様(厚生労働省)
介護事業所における業務効率化を図るためには、紙による手渡しや、FAXなどで連携されていた情報を、データ連携で省力化することが有効です。異なる介護ソフト間でもデータ連携が可能とし、また居宅介護支援事業所と各サービス事業所との間でケアプランのデータ連携を行うことが出来るよう、項目やフォーマット等の標準的な仕様を定めています。
厚生労働省は「介護現場におけるICTの利用促進」のページで、ケアプランデータ連携システムの情報連携の標準仕様について、PDFファイルと、エクセル形式のファイルを公開しています。
ケアプランデータ連携CSVファイルレイアウト定義書[Excel形式:964KB]
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厚生労働省標準仕様が定められた内容
厚生労働省が定めた「居宅介護支援事業所と訪問介護などのサービス提供事業所間における情報連携の標準仕様」によって、ケアプランのデータに関する項目やフォーマット等が定められている様式です。
- 第1表 居宅サービス計画書
- 第2表 居宅サービス計画書
- 利用者補足情報
- サービス利用票(第6表)
- サービス利用票別表(第7表)
- サービス提供票(予定・実績)
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ケアプランデータ連携システムのスケジュール
介護保険最新情報「ケアプランデータ連携システム」の概要等の 周知について(情報提供(Ver.2))2022年10月26日
ケアプランデータ連携システムは、2022年5月より設計開発を開始し、2023年4月より本稼働を予定です。本稼働後も必要となる機能を随時追加していく予定であり、徐々に利用する介護事業者が増える想定です。介護給付費の請求を委託している事業所の委任状況を鑑みて、追って代行業者が利用できるように機能を追加する予定です。
2023年2月中旬より、先行稼働を予定しており、先行稼働のパイロットとなる参加事業所(自治体)の選定を11月末までに行い、12月末までに先行稼働参加事業所(自治体)との交渉、調整をする予定です。
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ケアプランデータ連携システムをご利用するための準備
- 介護事業所の利用者は、ケアプランデータ連携システムのWEBサイトより、利用申請をします。
- 介護事業所の利用者は、「ケアプランデータ連携クライアント」ソフトを国保中央会のWEBサイトよりダウンロードし介護事業所のパソコンにインストールをします。
- ケアプランデータを送信するためには、電子証明書が必要となります。(介護報酬の電子請求受付システムの利用有無を確認します。)
ケアプランデータ連携システムの導入は基本的にはどんなパソコンでもできますが、人工知能搭載パソコンなどパソコンの進化が進んでいるのでパソコンのレ
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ケアプランデータ連携システムを利用している事業所を確認する方法
「居宅介護支援事業所」及び「ケアプラン標準仕様において連携対象とされている居宅サービス事業所」向けのページで、どの事業所が活用しているか確認できるようになりました。
「ケアプランデータ連携システム」利用事業所の「WAMNET」掲載先
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ケアプランデータ連携システムの実質義務化の問題点・課題
2024年4月の介護報酬改定では、居宅介護支援事業所の居宅介護支援費(Ⅱ)の要件としてケアプランデータ連携システムの活用が実質義務化されてしまったため、やむを得ず利用する事業所が増えてくるものと思います。しかし、ケアプランのデータ連携方法は厚生労働省(国保連)のケアプランデータ連携システムに限らず民間にも存在する中で、事業者に利用料を支払わせてこのシステムを実質的に義務化して使わせる、そしてそうしないと居宅介護支援事業所の介護報酬が上げられないという暴挙に出たことは問題であると感じます。
ケアプランデータ連携システムについてよくある質問
データのやり取りを行うためには、送信側・受信側双方の事業所がケアプランデータ連携システムに利用登録する必要があります。
地域包括支援センターにおいても介護サービス事業所とケアプラン等のやりとりが発生することから、様式等が標準仕様に則っている限りは、ケアプランデータ連携システムの対象となる想定です。ただし、居宅介護支援事業所に委託している場合については、ケアプランデータ連携システムの対象外となります。
厚生労働省では、「介護テクノロジー導入支援事業」「介護サービス事業者の生産性向上や協働化等を通じた職
場環境改善事業」「介護現場デジタル改革パッケージ」と言った補助事業を設けているそうです。
現時点まとめ
ケアプランデータ連携システムでデータのやり取りをするためには、送信側 ・受信側双方の事業所が本システムに利用登録する必要がありますので、2023年4月より本稼働されていますが、本格的に多くの事業所が活用し始めるまでにはしばらくかかりそうですね。
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