ケアプランデータ連携システムとは?仕組み・業務フロー・料金・2026年介護報酬改定との関係

居宅介護業界の業務効率化が進むと期待されている「ケアプランデータ連携システム」について、開始時期、仕組み・業務フロー、利用料金、課題、スケジュールなどについて紹介します。
2026年6月の介護報酬改定で処遇改善加算の上位区分(加算Ⅰロ・Ⅱロ)の取得要件として位置付けられたことで、これまで様子見だった事業所でも導入を検討する必要が出てきました。
ケアプランデータ連携システムとは
居宅介護支援事業所と介護サービス事業所の間で毎月やり取りされる居宅サービス計画書、サービス利用票(予定・実績)等について、事業所間でデータ連携するための標準仕様を作成・公開してきました。加えて安全な環境で効果的にデータ連携を可能とするため、公益社団法人国民健康保険中央会(国保中央会)が「ケアプランデータ連携システム」を構築し、2023年4月(令和5年4月)から本稼働しています。
ケアプラン連携システムリーフレット
ケアプランデータ連携システムの使い方や疑問点はサポートサイトへ
ケアプランデータ連携システムの使い方や疑問点については、ヘルプデスクサポートサイトが開設されています。こちらをご活用ください。
2026年介護報酬改定との関係 処遇改善加算の上位区分取得に必要になった
2026年(令和8年)6月の介護報酬改定で、ケアプランデータ連携システムの位置付けが大きく変わりました。処遇改善加算の上位区分である「加算Ⅰロ」「加算Ⅱロ」を算定するための「令和8年度特例要件」として、訪問・通所サービス等ではケアプランデータ連携システムへの加入と実績報告が要件の一つになっています。
| 類型 | 令和8年度特例要件(加算Ⅰロ・Ⅱロの取得要件) |
|---|---|
| 訪問・通所サービス等 | ケアプランデータ連携システムに加入し、実績報告を行う |
| 施設サービス等 | 生産性向上推進体制加算ⅠまたはⅡを取得し、実績報告を行う |
| 法人連携 | 社会福祉連携推進法人に所属している |
申請時点ではシステム加入の「誓約」での算定が可能とされています。ただし誓約で申請した場合は、令和9年3月末(2027年3月末)までに実際に加入・利用し、証跡を保存することが求められます。
訪問看護・訪問リハ・居宅介護支援など今回新たに処遇改善加算の対象になったサービスについては、最上位区分を取得するための2つのルートが用意されており、そのうちの一方がケアプランデータ連携システムの加入です。これまで「使ってみようかどうか悩んでいる」という段階だった事業所にとっても、加算率を最大化するために導入を検討せざるを得なくなっています。
2024年4月の介護報酬改定では、居宅介護支援費(Ⅱ)の要件にケアプランデータ連携システムの活用が実質的に組み込まれ、今回の2026年改定ではさらに処遇改善加算の上位区分にも関わってきます。ケアプランのデータ連携方法は国保中央会のシステムだけでなく民間にも存在する中で、特定のシステムの利用を要件に絡める方向性については、現場からの異論もあります。この問題については後述します。
ケアプランデータ連携システム活用による効果
事業所がケアプランを送付するために掛かる費用の削減が見込まれます。具体的には、人件費の削減・印刷費の削減・郵送費の削減・交通費の削減・通信費(FAX)の削減などが挙げられています。
介護保険最新情報「ケアプランデータ連携システム」の概要等の周知について(情報提供(Ver.2))2022年10月26日
データ連携による費用対効果を診断 かんたんシミュレーションツール
ケアプランデータ連携システムを導入することで得られる効果を簡単に調べることができるツールが公開されています。令和2年度老人保健健康促進事業「介護分野の生産性向上に向けたICTの更なる活用に関する調査研究」に基づいて算出しているため、シミュレーション数値は主に居宅介護支援事業所における概算値となっています。
ケアプランデータ連携システムのヘルプデスクサポートサイト
データ連携による費用対効果を診断 かんたんシミュレーションツールはこちら
ケアプランデータ連携システムの利用料金
ケアプランデータ連携システムの利用料金は、1事業所あたり年間21,000円(税込)となっています。
ただし、2025年6月1日からの1年間(2025年6月1日〜2026年5月31日)は、新規契約・更新契約・再契約のいずれの事業所も対象として無料キャンペーン(フリーパスキャンペーン)が実施されました。
参考:ケアプランデータ連携システム フリーパスキャンペーンについて(厚生労働省 2025年3月6日)
有料の場合の支払方法は、電子請求の証明書発行手数料と同様、国保連合会に請求する介護給付費からの差引きを可能とされています。
厚生労働省はICTの活用を進めようとしたり、働き方改革を促したりしている中で、効果が期待できると言われるケアプランデータ連携システムを介護事業所が使うためにお金を払うというのは不思議な形ですね。ケアプランデータ連携システムの活用でせっかく人件費や印刷費用を節約できるのに、年間2万円支払うシステムだとすると躊躇する事業者も出てくることが予測されます。本当にシステムの利用を促進していくならば、無料であるべきですし、データ集めに協力するのですから介護報酬に上乗せするくらいの配慮が必要なくらいですね。
ケアプランデータ連携システムの業務フロー
ケアプランデータ(予定)の連携 業務フロー
居宅介護支援事業所
① 介護ソフトにてケアプランデータ予定ファイルを作成、CSVファイルとして出力(保存)します。
② 出力(保存)したケアプランデータ予定ファイルをデータ連携クライアントにアップロードします。
③ ケアプランデータ連携クライアントからケアプランデータ連携基盤へ送信します。(※電子証明書は自動で付与されます。)
介護サービス事業所
④ ケアプランデータ連携クライアントを操作し、最新情報を確認し、ケアプランデータ連携基盤から受信します。
(※ケアプランデータ連携基盤からケアプランデータ連携クライアントの通信は暗号化されて通信が行われます。)
⑤ ケアプランデータ連携クライアントからケアプランデータ予定ファイルをダウンロードします。
⑥ ダウンロードしたケアプランデータ予定ファイルを介護ソフトに取り込み確認をします。
ケアプランデータ(実績)の連携 業務フロー
介護サービス事業所
⑦ 介護ソフトにケアプランに基づく実績を入力後、ケアプランデータ実績ファイルをCSVファイルとして出力(保存)します。
⑧ 出力(保存)したケアプランデータ実績ファイルをケアプランデータ連携クライアントにアップロードします。
⑨ ケアプランデータ連携クライアントからケアプランデータ連携基盤へ送信します。(※電子証明書は自動で付与されます。)
居宅介護支援事業所
⑩ ケアプランデータ連携クライアントを操作し、最新情報を確認し、ケアプランデータ連携基盤から受信します。
(※ケアプランデータ連携基盤からケアプランデータ連携クライアントの通信は暗号化されて通信が行われます。)
⑪ ケアプランデータ連携クライアントからケアプランデータ実績ファイルをダウンロードします。
⑫ ダウンロードしたケアプランデータ実績ファイルを介護ソフトに取り込み確認をします。
介護保険最新情報「ケアプランデータ連携システム」の概要等の周知について(情報提供(Ver.2))2022年10月26日
ケアプランデータ連携システムの情報連携の標準仕様(厚生労働省)
介護事業所における業務効率化を図るためには、紙による手渡しや、FAXなどで連携されていた情報を、データ連携で省力化することが有効です。異なる介護ソフト間でもデータ連携が可能とし、また居宅介護支援事業所と各サービス事業所との間でケアプランのデータ連携を行うことが出来るよう、項目やフォーマット等の標準的な仕様を定めています。
厚生労働省は「介護現場におけるICTの利用促進」のページで、ケアプランデータ連携システムの情報連携の標準仕様について、PDFファイルとエクセル形式のファイルを公開しています。
ケアプランデータ連携CSVファイルレイアウト定義書[Excel形式:964KB]
厚生労働省標準仕様が定められた内容
厚生労働省が定めた「居宅介護支援事業所と訪問介護などのサービス提供事業所間における情報連携の標準仕様」によって、ケアプランのデータに関する項目やフォーマット等が定められている様式です。
居宅サービス計画書(ケアプラン)第1表〜第7表の様式と書き方
ケアプランデータ連携システムをご利用するための準備
ケアプランデータ連携システムの導入は基本的にはどんなパソコンでも対応できますが、2026年度以降は加算の要件として実用が求められる場面も増えるため、日常業務で安定して使えるスペックの端末を用意しておくことが重要です。
ケアプランデータ連携システムを利用している事業所を確認する方法
「居宅介護支援事業所」および「ケアプラン標準仕様において連携対象とされている居宅サービス事業所」向けのページで、どの事業所が活用しているか確認できるようになりました。連携相手の事業所がシステムを利用しているかどうかを事前に確認できます。
「ケアプランデータ連携システム」利用事業所の「WAMNET」掲載先
ケアプランデータ連携システムの問題点・課題
2024年4月の介護報酬改定では、居宅介護支援事業所の居宅介護支援費(Ⅱ)の要件としてケアプランデータ連携システムの活用が実質義務化されました。そして2026年6月の改定では、処遇改善加算の上位区分取得要件にも絡んできます。やむを得ず利用する事業所が増えてきている状況です。
しかし、ケアプランのデータ連携方法は厚生労働省(国保連)のケアプランデータ連携システムに限らず民間にも存在する中で、特定のシステムの利用を介護報酬の要件に組み込み、利用料まで支払わせる構造は問題があると感じます。本来であればシステムの普及を進めるならば無料が前提であるべきですし、業界全体のデータ収集に協力するわけですから、介護報酬に上乗せするくらいの配慮があってもよいはずです。
また、送受信の双方がシステムに登録していないとデータのやり取りができないという制約があるため、取引のある事業所が登録していなければ導入メリットが薄くなるという課題もあります。2026年の改定で加算要件に絡んだことで普及は加速する見込みですが、全事業所が対応するには時間がかかる状況が続くと思われます。
ケアプランデータ連携システムについてよくある質問
データのやり取りを行うためには、送信側・受信側双方の事業所がケアプランデータ連携システムに利用登録する必要があります。片側だけの登録ではデータ連携できません。連携したい事業所が登録しているかどうかは、WAMNETの利用事業所一覧で確認できます。
地域包括支援センターにおいても介護サービス事業所とケアプラン等のやりとりが発生することから、様式等が標準仕様に則っている限りは、ケアプランデータ連携システムの対象となる想定です。ただし、居宅介護支援事業所に委託している場合については、ケアプランデータ連携システムの対象外となります。
厚生労働省では、「介護テクノロジー導入支援事業」「介護サービス事業者の生産性向上や協働化等を通じた職場環境改善事業」「介護現場デジタル改革パッケージ」といった補助事業を設けています。詳細は厚生労働省または各都道府県の担当窓口にご確認ください。
訪問・通所サービス等で処遇改善加算Ⅰロ・Ⅱロを取得する場合、令和8年度特例要件としてケアプランデータ連携システムへの加入と実績報告が要件のひとつになっています。ただし施設サービス等は生産性向上推進体制加算の取得でも要件を満たせますし、社会福祉連携推進法人に所属している場合も対象外の要件となります。申請時点では「誓約」での算定が可能ですが、令和9年3月末(2027年3月末)までに実際に加入・利用・証跡保存が必要です。全事業所で一律必須というわけではないため、自事業所のサービス種別と加算区分を確認してください。
まとめ
ケアプランデータ連携システムでデータのやり取りをするためには、送信側・受信側双方の事業所が本システムに利用登録する必要があります。2023年4月より本稼働していますが、2026年6月の介護報酬改定で処遇改善加算の上位区分取得要件に絡んだことで、これまで様子見だった訪問・通所サービスの事業所でも導入を判断する必要が出てきています。
年間21,000円の利用料金に対して「無料にすべき」という意見は依然としてありますが、加算要件への組み込みが進む以上、費用対効果を含めた判断が各事業所に求められています。取引のある事業所がすでに登録しているかどうかをWAMNETで確認した上で、導入するかどうかを検討してみてください。
2024年・2025年・2026年
介護保険・介護報酬改定の情報
令和8年度(2026年)障害福祉サービス等報酬改定の概要と変更点まとめ
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