令和7年度 介護従事者全般に月1万円、半年分の賃上げ措置の完全ガイド
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2025年(令和7年)11月21日に閣議決定された、強い経済を実現する総合経済対策の一つとして、「令和7年度介護分野の職員の賃上げ・職場環境改善支援事業(介護保険事業費補助金)」の詳細が厚生労働省から通知されました。

この補助金は、今まで介護分野の職員の処遇改善を行ってきましたがまだ他の産業と差があり人材不足が厳しい状況にあるため、他の仕事と遜色がない処遇改善に向けて令和8年度介護報酬改定において必要な対応を行うこととし、行うその介護報酬改定の時期を待たず緊急的な対応として賃上げ職場環境改善の支援を行うというものです。

この緊急的な補助金について、対象者や補助額・交付率、支払い・給付方法、いつ事業者に振り込まれて、従業員がもらえるのかなどについて、申請書などの様式も含めて現時点で公表されている情報をもとにまとめます。

令和6年度介護人材確保・職場環境改善等事業との違い

厚生労働省は2025年(令和7年)2月10日に「令和6年度介護人材確保・職場環境改善等事業の実施について」を通知し、「常勤の介護職員一人当たり5万4千円相当の補助を実施する」という名目のもと、各自治体では2025年(令和7年)4月前半くらいに申請書・計画書の受付期間を設けて似たような事業が行われました。その時の内容は以下の記事です。

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令和7年度介護分野の職員の賃上げ・職場環境改善支援事業(2026年 介護保険事業費補助金)のポイント

毎度のことではありますが、介護職員の処遇を改善するための補助金については、ただ単に介護職員などの従業員に直接お金を振り込むわけではなく、介護事業者がいろいろな要件を満たし、さらに計算・申請・審査を受け、その後に事業者にまとめて支払われるというものです。

ここからは令和7年12月25日 厚生労働省老健局長発「令和7年度介護分野の職員の賃上げ・職場環境改善支援事業の実施について」の内容をもとにまとめていきます。

これがポイント!

  • この補助金は、「介護従事者全般に月1万円、半年分の賃上げを措置する」という表現で広報されていますが、令和7年12月のその事業所の介護報酬額(売上)を基準に補助額を算出するため、事業者に振り込まれる金額が、全ての従業員に1万円を出せる金額になっているかは分かりません
  • 令和7年12月を基準として、事業所の体制などに応じて6か月間の介護報酬のうち1~3割程度分を上乗せして出すので、そこから従業員の賃上げをしてくださいというものです。
  • 令和8年度の介護報酬改定を待たず、緊急的にこの補助金を準備したとは言われていますが、今回も手続き的には従来と同じように書類などの事務的な作業が多く、実際に職員の口座に補助金が振り込まれるまでには相応の時間がかかることが想定されます。
  • 特に、ケアプランデータ連携システムに加入をしないと給付率が下がるというところが特徴的で、厚生労働省がチャンスだと思って入れてきた印象です。
  • 厚生労働省から各自治体に、正式な形で実施要項の内容が通知されたのが2025年12月25日なので、その後に各自治体で受付体制やオペレーションなどを整備してから、申請時期が決まってくることになります。
  • 2025年4月頃に行われた介護職員への補助金のスケジュール感や申請期間を考えると、2026年の初頭ごろに、おそらく申請期間は数週間という短い期間での受付になることが予測されます
  • 職員からの期待が大きい補助金で、令和7年度中(2026年3月までに)には各自治体(都道府県)から申請の告知があります。申請が始まったらすぐに対応できるように準備しておく方が良いと思います。
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事業の内容

介護従事者に対して幅広く賃上げ支援を実施し、生産性向上や協働化に取り組む介護サービス事業所又は介護保険施設(介護予防・日常生活支援総合事業を含む。)の介護職員に対して賃上げ支援を上乗せするとともに、介護職員について、職場環境改善に取り組む介護サービス事業所等の支援を行う。

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補助対象経費

この補助金は、補助金の使い道をあらかじめ「介護分野の職員の賃上げ・職場環境改善支援事業計画書」で定めた上で届け出する形式です。補助金は以下の経費にしか使うことができないという定めがあります。

賃金改善経費

賃金改善の方法

介護従事者の賃金(基本給、手当、賞与等(退職手当を除く。以下同じ。)をいう。)の改善を実施しなければならない。介護職員への配分を基本とするが、介護サービス事業者等の判断により、介護職員以外の職種への配分も含め、事業所内で柔軟な配分を認めることとする。

賃金改善は、基本給、手当、賞与等のうち対象とする賃金項目を特定した上で行うものとする。その際、介護サービス事業者等は、特定した賃金項目を含め、補助金の交付対象期間において、前年同時期と比較し、賃金改善の対象とした職員の平均的な賃金水準を低下させてはならない。また、安定的な処遇改善が重要であることから、基本給による賃金改善が望ましいが、介護サービス事業所等の判断により、その他の手当、一時金等を組み合わせて実施しても差し支えない。

ただし、例えば、一部の職員に加算を原資とする賃金改善を集中させることや、同一法人内の一部の事業所のみに賃金改善を集中させることなど、職務の内容や勤務の実態に見合わない著しく偏った配分は行わないこと。

その他

賃金改善方法の周知について

本補助金を申請する介護サービス事業者等は、対象となる介護サービス事業所等における賃金改善を行う方法等について、申請書を用いるなどにより職員に周知するとともに、就業規則等の内容についても介護従事者に周知すること。
介護従事者から本補助金に係る賃金改善に関する照会があった場合は、当該職員の賃金改善に係る内容について、書面を用いるなど分かりやすく回答すること。

労働法規の遵守について

介護サービス事業者等は、本補助金の目的等を踏まえ、労働基準法等の労働法規を遵守しなければならない。

職場環境改善等経費

職場環境改善等経費には、介護助手等を募集するための経費及び職場環境改善等(例えば、処遇改善加算の職場環境等要件の更なる実施)のための様々な取組を実施するための研修費等の経費が含まれる。ただし、介護テクノロジー導入・協働化等支援事業の対象経費(介護テクノロジー等の機器購入費用)に充当することはできない。

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対象事業所

対象事業所は、(介護予防)福祉用具貸与、特定(介護予防)福祉用具販売、(介護予防)居宅療養管理指導 以外のすべての介護保険サービス事業所です。これらのサービス種別以外の介護保険事業所で働く介護職員などが対象になります。

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補助額・交付率・要件

基準月は令和7年12月とし、原則、令和7年12月のサービス提供による報酬額から、6か月分の補助額を算出することとされています。

補助額 = 令和7年12月のサービス提供による報酬額 × 交付率

(1円未満の端数は切り捨て)

 

交付率については、サービス種別によって違いがあるだけでなく、設定された条件を満たしているかどうかで交付率に差があります。

別紙1表1に記載されている介護サービス事業所(訪問介護、訪問入浴介護、通所介護、通所リハビリテーション)の交付率

別紙1表1 介護保険事業費補助金(介護分野の職員の賃上げ・職場環境改善支援事業)対象サービス

サービス区分 ①+②+③
(うち賃金改善経費分)
①+③
(うち賃金改善経費分)

(うち賃金改善経費分)
(参考)② (参考)③
訪問介護 26.4%(21.6%) 20.4%(15.6%) 15.6%(15.6%) 6.0% 4.8%
夜間対応型訪問介護 20.4%(17.4%) 16.2%(13.2%) 13.2%(13.2%) 4.2% 3.0%
定期巡回・随時対応型訪問介護看護 20.4%(17.4%) 16.2%(13.2%) 13.2%(13.2%) 4.2% 3.0%
(介護予防)訪問入浴介護 20.4%(17.4%) 16.2%(13.2%) 13.2%(13.2%) 4.2% 3.0%
通所介護 19.2%(16.2%) 15.6%(12.6%) 12.6%(12.6%) 3.6% 3.0%
地域密着型通所介護 24.6%(21.0%) 20.4%(16.8%) 16.8%(16.8%) 4.2% 3.6%
(介護予防)通所リハビリテーション 16.8%(14.4%) 13.8%(11.4%) 11.4%(11.4%) 3.0% 2.4%
(介護予防)認知症対応型通所介護 34.8%(28.8%) 27.6%(21.6%) 21.6%(21.6%) 7.2% 6.0%

実施要綱の、別紙1表1に記載されているサービス種別の場合、以下の3つの条件のうち、いくつの条件を満たしているかによって交付率が異なります。

① 基準月において、処遇改善加算を算定していること。

② 基準月において、生産性向上や協働化に係る取組として以下のいずれかの取組を行っていること。

 ケアプランデータ連携システムに加入 もしくは 法人が社会福祉連携推進法人に所属

③ 職場環境改善等に向けて、以下の(ア)~(ウ)のいずれかの取組の実施を計画又は既に実施していること。

(ア)介護職員等の業務の洗い出しや棚卸しなど、現場の課題の見える化
(イ)業務改善活動の体制構築(委員会やプロジェクトチームの立ち上げ又は外部の研修会の活動等)
(ウ)業務内容の明確化と職員間の適切な役割分担の取組

 

別紙1表2に記載されている介護サービス事業所(特定施設入居者生活介護、小規模多機能型居宅介護、認知症対応型共同生活介護、介護福祉施設、介護保健施設、短期入所生活介護、介護医療院)の交付率

別紙1表2 介護保険事業費補助金(介護分野の職員の賃上げ・職場環境改善支援事業)対象サービス

サービス区分 ①+②+③
(うち賃金改善経費分)
①+③
(うち賃金改善経費分)

(うち賃金改善経費分)
(参考)② (参考)③
(介護予防)特定施設入居者生活介護 21.0%
(17.4%)
16.8%
(13.2%)
13.2%
(13.2%)
4.2% 3.6%
地域密着型特定施設入居者生活介護 21.0%
(17.4%)
16.8%
(13.2%)
13.2%
(13.2%)
4.2% 3.6%
(介護予防)小規模多機能型居宅介護 24.0%
(19.2%)
18.6%
(13.8%)
13.8%
(13.8%)
5.4% 4.8%
看護小規模多機能型居宅介護 18.0%
(15.0%)
14.4%
(11.4%)
11.4%
(11.4%)
3.6% 3.0%
(介護予防)認知症対応型共同生活介護 27.0%
(21.6%)
20.4%
(15.0%)
15.0%
(15.0%)
6.6% 5.4%
介護福祉施設サービス 23.4%
(19.2%)
18.6%
(14.4%)
14.4%
(14.4%)
4.8% 4.2%
地域密着型介護老人福祉施設 23.4%
(19.2%)
18.6%
(14.4%)
14.4%
(14.4%)
4.8% 4.2%
(介護予防)短期入所生活介護 23.4%
(19.2%)
18.6%
(14.4%)
14.4%
(14.4%)
4.8% 4.2%
介護保健施設サービス 15.6%
(13.2%)
12.6%
(10.2%)
10.2%
(10.2%)
3.0% 2.4%
(介護予防)短期入所療養介護(老健) 15.6%
(13.2%)
12.6%
(10.2%)
10.2%
(10.2%)
3.0% 2.4%
介護医療院サービス 10.8%
(9.6%)
9.0%
(7.8%)
7.8%
(7.8%)
1.8% 1.2%
(介護予防)短期入所療養介護(病院等・医療院) 10.8%
(9.6%)
9.0%
(7.8%)
7.8%
(7.8%)
1.8% 1.2%

実施要綱の別紙1表2に記載されているサービス種別の場合、以下の3つの条件のうち、いくつの条件を満たしているかによって交付率が異なります。

① 基準月において、処遇改善加算を算定していること。

② 基準月において、生産性向上や協働化に係る取組として以下のいずれかの取組を行っていること。

 (ア)生産性向上推進体制加算Ⅰ又はⅡを算定していること。

 (イ)ケアプランデータ連携システムに加入していること(2025年12月時点で加入していなくても、申請時に加入、もしくは、加入を制約して実績報告で報告でも可能)

 (ウ)介護サービス事業所等が所属する法人が、社会福祉連携推進法人に所属していること。 

③ 職場環境改善等に向けて、以下の(ア)~(ウ)のいずれかの取組の実施を計画又は既に実施していること。

(ア)介護職員等の業務の洗い出しや棚卸しなど、現場の課題の見える化
(イ)業務改善活動の体制構築(委員会やプロジェクトチームの立ち上げ又は外部の研修会の活動等)
(ウ)業務内容の明確化と職員間の適切な役割分担の取組

 

表2 介護保険事業費補助金(介護分野の職員の賃上げ・職場環境改善支援事業)対象サービス(6(2)に該当するサービス)

別紙1表3に記載されている介護サービス事業所(訪問看護、訪問リハビリテーション、居宅介護支援、介護予防支援)の交付率

別紙1表3

サービス区分 交付率
(うち賃金改善経費分)
(介護予防)訪問看護 13.2%
(13.2%)
(介護予防)訪問リハビリテーション 10.8%
(10.8%)
居宅介護支援、介護予防支援 15.0%
(15.0%)

 

実施要綱の、別紙1表3に記載されているサービス種別の場合、以下の①又は②のいずれかを満たすことが条件となっています。

① 基準月において、生産性向上や協働化に係る取組として以下のいずれかの取組を行っていること。

 (ア)ケアプランデータ連携システムに加入していること。(2025年12月時点で加入していなくても、申請時に加入、もしくは、加入を制約して後に報告でも可能)

 (イ)介護サービス事業所等が所属する法人が、社会福祉連携推進法人に所属していること。 

② 基準月において、処遇改善加算Ⅳの算定に準ずる(ア)から(ウ)までの要件を全て満たすこと。

(ア)任用要件・賃金体系の整備等次の一から三までを全て満たすこと。

 一 職員の任用の際における職位、職責、職務内容等に応じた任用等の要件(職員の賃金に関するものを含む。)を定めていること。

 二 一に掲げる職位、職責、職務内容等に応じた賃金体系(一時金等の臨時的に支払われるものを除く。)について定めていること。

 三 一及び二の内容について就業規則等の明確な根拠規程を書面で整備し、全ての職員に周知していること。

 ※常時雇用する者の数が 10 人未満の事業所等など、労働法規上の就業規則の作成義務がない事業所等は、就業規則の代わりに内規等の整備・周知により上記三の要件を満たすこととしても差し支えない。2025年12月時点で整備できていなくても、申請時に整備、もしくは、整備を誓約して後に実績報告で報告でも可能。

(イ)研修の実施等

次の一及び二を満たすこと。

一 職員の職務内容等を踏まえ、職員と意見を交換しながら、資質向上の目標及びa又はbに掲げる事項に関する具体的な計画を策定し、当該計画に係る研修の実施又は研修の機会の確保をしていること。

a 資質向上のための計画に沿って、研修機会の提供又は技術指導等(OJT、OFFJT 等)を実施するとともに、職員の能力評価を行うこと。
b 資格取得のための支援(研修受講のための勤務シフトの調整、休暇の付与、費用(交通費、受講料等)の援助等)を実施すること。

二 一について、全ての職員に周知していること。2025年12月時点で整備できていなくても、申請時に整備、もしくは、整備を誓約して後に実績報告で報告でも可能。

(ウ)職場環境等要件

別紙1表5に掲げる「入職促進に向けた取組」、「資質の向上やキャリアアップに向けた支援」、「両立支援・多様な働き方の推進」、「腰痛を含む心身の健康管理」及び「やりがい・働きがいの醸成」の区分ごとに1以上の取組を実施し、「生産性向上 (業務改善及び働く環境改善)のための取組」のうち2以上の取組を実施すること。

別紙1表5 職場環境等要件

入職促進に向けた取組

①法人や事業所の経営理念やケア方針・人材育成方針、その実現のための施策・仕組みなどの明確化
②事業者の共同による採用・人事ローテーション・研修のための制度構築
③他産業からの転職者、主婦層、中高年齢者等、経験者・有資格者等にこだわらない幅広い採用の仕組みの構築(採用の実績でも可)
④職業体験の受入れや地域行事への参加や主催等による職業魅力度向上の取組の実施

資質の向上やキャリアアップに向けた支援

⑤働きながら介護福祉士取得を目指す者に対する実務者研修受講支援や、より専門性の高い介護技術を取得しようとする者に対するユニットリーダー研修、ファーストステップ研修、喀痰吸引、認知症ケア、サービス提供責任者研修、中堅職員に対するマネジメント研修の受講支援等
⑥研修の受講やキャリア段位制度と人事考課との連動
⑦エルダー・メンター(仕事やメンタル面のサポート等をする担当者)制度等導入
⑧上位者・担当者等によるキャリア面談など、キャリアアップ・働き方等に関する定期的な相談の機会の確保

両立支援・多様な働き方の推進

⑨子育てや家族等の介護等と仕事の両立を目指す者のための休業制度等の充実、事業所内託児施設の整備⑩職員の事情等の状況に応じた勤務シフトや短時間正規職員制度の導入、職員の希望に即した非正規職員から正規職員への転換の制度等の整備
⑪有給休暇を取得しやすい雰囲気・意識作りのため、具体的な取得目標(例えば、1週間以上の休暇を年に●回取得、付与日数のうち●%以上を取得)を定めた上で、取得状況を定期的に確認し、身近な上司等からの積極的な声かけを行っている
⑫有給休暇の取得促進のため、情報共有や複数担当制等により、業務の属人化の解消、業務配分の偏りの解消を行っている

腰痛を含む心身の健康管理

⑬業務や福利厚生制度、メンタルヘルス等の職員相談窓口の設置等相談体制の充実
⑭短時間勤務労働者等も受診可能な健康診断・ストレスチェックや、従業員のための休憩室の設置等健康管理対策の実施
⑮職員の身体の負担軽減のための介護技術の修得支援、職員に対する腰痛対策の研修、管理者に対する雇用管理改善の研修等の実施
⑯事故・トラブルへの対応マニュアル等の作成等の体制の整備

生産性向上(業務改善及び働く環境改善)のための取組

⑰厚生労働省が示している「生産性向上ガイドライン」に基づき、業務改善活動の体制構築(委員会やプロジェクトチームの立ち上げ、外部の研修会の活用等)を行っている
⑱現場の課題の見える化(課題の抽出、課題の構造化、業務時間調査の実施等)を実施している
⑲5S活動(業務管理の手法の1つ。整理・整頓・清掃・清潔・躾の頭文字をとったもの)等の実践による職場環境の整備を行っている
⑳業務手順書の作成や、記録・報告様式の工夫等による情報共有や作業負担の軽減を行っている
㉑介護ソフト(記録、情報共有、請求業務転記が不要なもの。)、情報端末(タブレット端末、スマートフォン端末等)の導入
㉒介護ロボット(見守り支援、移乗支援、移動支援、排泄支援、入浴支援、介護業務支援等)又はインカム等の職員間の連絡調整の迅速化に資するICT機器(ビジネスチャットツール含む)の導入
㉓業務内容の明確化と役割分担を行い、職員がケアに集中できる環境を整備。特に、間接業務(食事等の準備や片付け、清掃、ベッドメイク、ゴミ捨て等)がある場合は、いわゆる介護助手等の活用や外注等で担うなど、役割の見直しやシフトの組み換え等を行う。
㉔各種委員会の共同設置、各種指針・計画の共同策定、物品の共同購入等の事務処理部門の集約、共同で行うICTインフラの整備、人事管理システムや福利厚生システム等の共通化等、協働化を通じた職場環境の改善に向けた取組の実施

やりがい・働きがいの醸成

㉕ミーティング等による職場内コミュニケーションの円滑化による個々の職員の気づきを踏まえた勤務環境やケア内容の改善
㉖地域包括ケアの一員としてのモチベーション向上に資する、地域の児童・生徒や住民との交流の実施
㉗利用者本位のケア方針など介護保険や法人の理念等を定期的に学ぶ機会の提供
㉘ケアの好事例や、利用者やその家族からの謝意等の情報を共有する機会の提供

 

介護保険事業費補助金(介護分野の職員の賃上げ・職場環境改善支援事業)非対象サービス

(介護予防)福祉用具貸与、特定(介護予防)福祉用具販売、(介護予防)居宅療養管理指導 は非対象です。

サービス区分 交付率
(介護予防)福祉用具貸与、特定(介護予防)福祉用具販売、
(介護予防)居宅療養管理指導
0%

 

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都道府県知事への届出・実際の様式

介護分野の職員の賃上げ・職場環境改善支援事業計画書を、次の2つの事項を記入し、別紙様式により作成の上、都道府県知事に提出します。

  • 補助金の支給要件
  • 補助金の充当経費

別紙様式2-1(処遇改善加算対象サービス 総括表)

別紙様式2-1(処遇改善加算対象サービス 総括表)別紙様式2-2(処遇改善加算対象外サービス 総括表)別紙様式2-2(処遇改善加算対象外サービス 総括表)

 

別紙様式2-3(個票)

参考1 (ア)・(イ)(任用要件・賃金体系の整備等、研修の実施等)の概要

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実績報告書等の様式・作成・提出

実績報告書を、次の4つの事項を記入し、別途様式により作成の上、都道府県知事に提出し、2年間保存することとされています。

  1. 補助金の総額
  2. 補助金の総額のうち賃金改善経費の総額
  3. 賃金改善の所要額
  4. 職場環境改善の所要額

 

別紙様式3-1(補助金) 介護分野の職員の賃上げ・職場環境改善支援事業 実績報告書

(確認用)提出前のチェックリスト

別紙様式3-2(補助金) 介護分野の職員の賃上げ・職場環境改善支援事業実績報告書(施設・事業所別個表)

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届出内容を証明する資料の保管および提示

補助金の交付を受けようとする介護サービス事業者等は、計画書の提出に当たり、計画書のチェックリストを確認するとともに、記載内容の根拠となる資料及び以下の書類を2年間保管し、都道府県知事から求めがあった場合には速やかに提示しなければならない。

イ 労働基準法(昭和 22 年法律第 49 号)第 89 条に規定する就業規則(賃金・退職手当・臨時の賃金等に関する規程を就業規則と別に作成している場合には、それらの規程を含む。)

ロ 労働保険に加入していることが確認できる書類(労働保険関係成立届、労働保険概算・確定保険料申告書等)

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補助金の支払い・振込について

補助額の介護サービス事業者等に対する支払(振込)については、原則として、法人ごとに一つの口座に対して行われます。その際、振込先口座は、原則として、介護サービス事業者等が各都道府県国民健康保険団体連合会(国保連)に介護給付費等の振込先口座として登録している口座です。

支払いの時期については、各都道府県において可能な限り早期に支払いになるように適切な運用に努めるようにと示されています。(つまり、支払い時期は2025年12月時点では決まっていません)

まとめ

ここまで紹介しましたように、「令和7年度 介護従事者全般に月1万円、半年分の賃上げ措置」の内容は、無条件に介護職員の給与1万円アップを急いで行ったというだけでなく、厚生労働省側が困っている「ケアプランデータ連携システム」を使わせる誘導をしたり、研修や職場改善などの要件を課すなど、ちゃんと交換条件のようなものも付けられているものです。

また、この補助金で賃金改善した分は、介護報酬における処遇改善加算の賃金改善額には含めないというルールになっているため、次の改定でも「処遇改善加算」という形式での介護職員などへのお手当てになるとしたら、事業者側は給与の計算がかなり複雑になることも想定されます。

介護職員の給与をあげるために、事業者は社会保険労務士や事務員に色々な計算や事務作業をしてもらわないといけないというのは本末転倒なので、もう少しシンプルな形で、「お金あげるからあれもこれも・・・」というように、条件や事務負担をつけすぎない形の給付が行われていくことを願います。

 

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