リハビリテーションの意味 QOLとの関係 

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看護や介護、リハビリテーションの分野では「QOL」が重視されており、いろいろな場面でQOLという言葉を聞きます。

リハビリテーションとQOL(クオリティ・オブ・ライフ;生活の質)の関係性

リハビリテーションは、その人が当たり前に持っていたこと・当たり前だった生活を営むことの復権、加齢や障害により生じてしまった苦痛からの開放であり、この概念自体がQOL(クオリティ・オブ・ライフ;生活の質)に直結するものです。リハビリという言葉をよく耳にしますが、リハビリについて本当の意味を考えて。

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リハビリテーションとは

リハビリテーションについては様々な意見がありますが、「その人が当たり前に持っていたこと・当たり前だった生活を営むことの復権、加齢や障害により生じてしまった苦痛からの開放」のようなものととらえています。

リハビリテーションの考え方

リハビリテーションを考えるとき、その患者・利用者の全体像を考えます。加齢や障害にともなって、行えることが少なくなっていますが、日々の生活やその人らしい在り方へ再び近づくために、いろいろな背景を考えていきます。

その原因は、 身体の問題かもしれませんし 精神的な面の問題かもしれませんし 環境の問題かもしれませんし 社会的な面の問題かもしれません。

環境が変われば、体が原因だと思っていた苦痛が取り除かれるかもしれないです。
孤独などの社会的な問題が解決したら、意欲などの精神的な面が改善するかもしれないです。

このように、対象者の全体像をみて、その人らしさを取り戻していくことが本当のリハビリです。

このような考えでその方の生活機能をアセスメントする方法として、体系的にまとめたものが「ICF(国際生活機能分類)」といい、特に介護保険の分野で取り入れられ始めています。

QOLの構成要素とリハビリテーションの関係

前項でリハビリテーションの考え方を紹介し、それがWHOでも提唱されているICFの考え方に繋がっているということを紹介しました。

①身体の状態

②精神的な状態

③環境の状態

④社会的な状態

実はこの4つの状態は、WHOの提唱する「QOL-26」というQOLを評価する指標の構成項目でもあります。幸せや快適な状態というのは、いろいろなことの関係性の中でその人の気持ちとして現れます。

現在の「リハビリ」の意味

リハビリという言葉をよく耳にしますが、本当の意味を聞いた人は少ないと思うので、深いものだとおもったのではないでしょうか。

しかし、現代ではリハビリについて幅広い解釈がなされており、得に介護分野では健康増進・筋トレ=リハビリだという誤認が広まってしまっています

リハビリの専門職としては困惑していますが、体の筋力が向上することがリハビリテーションの全てではありませんので覚えていただき、共通認識ができたらと思います。

なお、よくリハビリテーションの専門家と言われる理学療法士や作業療法士の定義や仕事については、こちらの記事で紹介しています。

QOLを意識した介入をすることが多い作業療法士協会の「作業療法の定義」で紹介している考え方もとても参考になります。

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リハビリ視点でのQOLの捉え方

QOLとは、「生活の質」「生活の潤い」と日本語訳されることが多いです。生活の質そのものを表す言葉であり、実際の場面での使い方はこんな感じになります。

末期癌の状態でなかなか食事が難しいですが、QOLの観点からもご本人が好きだったあんこの味を嗜めるような方法を検討したいです。

その人らしさを取り戻していくことがQOL(クオリティ・オブ・ライフ;生活の質)向上につながります。

そのヒントを身体や心や社会や環境、その人の背景などから見つけ出すために、常に「情報収集」と「アセスメント」をしていきます。

理学療法士はこのわけ方をしたときに、特に身体の問題を主として対応することが多い専門職です。
身体面を中心に捉えますが、目指すところは「その人がイキイキと」というところに繋がっています。
高齢者の介護や医療では、廃用症候群という言葉をよく聞きます。運動不足=廃用症候群だと思われがちですが、頭や心や体などすべて活用できていない要素は衰退する可能性があります。
リハビリテーションでは、病期や怪我があるとその疾病に注意が行き、大切なQOLを見失う可能性もあります。そのために、ICF評価などその人の生活の全体から課題を探していくことが取り入れられています。

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介護では「その人の望む生活」を重視し、エビデンスに基づいたQOL追求の方針

近年、ケアマネジャーのケアプランの研修などでも、課題(ニーズ)のことを「その人の望む生活」と訳し、QOLにつながるような短期長期目標をこなしていきQOL向上を目指すという計画を目指すように指導されています。

介護職員のPDCAサイクルと言われる「介護過程の展開」では、ご利用者の課題である事柄について向上や修正ができる見込みが立つかを「アセスメント(評価)」します。
可能性が低いときは、別のポイントへのアプローチはどうかと、その人がその人らしくあるためにを行います。
本人や家族のニーズ、客観的・主観的なデータをもとに、その人の欲求や活動の制限に影響していて、かつ、変化したらそれが満たされる可能性が大きいものから順に優先順位をつけて問題点としていきます。
問題点を解決して、どう改善させるかの時期と目標を立て、実際にプランやプログラムを実行していきます。
これらのことを繰り返していきます。介護は人の生活を支えることであり、その支えは押し付けではなく、本人の希望に沿ったものであるべきです。しかし、明らかに道理に外れている幸せも存在していたり、疾患や老化でどう考えてもその望む幸せな状態を導けないこともあります。

リハビリテーションも介護職も、その他の仕事をする人もみんなプロセスが大事!

医療業界では特に、エビデンスとプロセスが重視されています。
何を根拠にその行為を行うのか、その選択肢をあげた上でどのような理由でその方法をセレクトしたのか、それは現実的なのか…ということです。
更にそれは本人が望んでいるニーズ、家族や社会的ニーズに合致しているのかという点の考えていきます。
何よりも本人がその選択を理解し、リスクや期間なども含めて本当に望んでいるのかという点は常に確認していく必要があります。

チームケアが本人の希望の生活を探る鍵 QOLというキーワードは知恵や能力を引き出す!

介護や医療ではチームケアが意識されていますが、なかなかチームケアらしく機能することがありません。

QOLをキーワードにすると、驚くほどチームはチームらしくなります。介護でのチームケアでうまくいかないのは、チームの成果をあらかじめ設定しないことが大きいと思います。

ケアの方針や実際の関わりについては、ケアマネジャーを中心にサービス担当者会議やケアプランで定めますが、目の前の生活のこと中心でADLがどうとかになってしまいますよね。

もしもこの時に、本人の生活の根底にあるその人らしさや、この人の人生というところに触れて深めて話すことができたらチームは変わります。

例えば、魚釣り、旅行、ゴルフ、墓参り、大好きだったレストラン、孫の結婚式など、その人の人生のキーワードを取り上げて、それに基づいて自分たちにどんな関わりができるかというチームケアの進め方ができたら、介護職員もリハビリ専門職も看護職も医師も、「こんなこと知ってる!」「こんな方法がある!」「これができれば実現できる!」という活発な意見交換ができます。その人の本心やキャラがわからない初回の会議ではそこまではできないかもしれませんが、その人にとってのQOLを高めるようなキーワードはチームケアに火をつけます。

QOLを意識した関わりをチームで考え、それぞれが専門性や介入の機会を活かしてご利用者を支えるうちに、ご利用者のQOLも働いている人のQOLも高まります。

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QOLは自己イメージに対して、自分がどれくらい到達しているか

QOLについていろいろな理論が唱えられていますが、最もシンプルに考えると「自分の100点満点の理想に対してどれくらい合致しているか」ということです。
人によっては、毎日飯が食えるだけで幸せという人もいますし、高級車を乗りまわしているのが幸せという人もいます。
これらは個人差があり、更に時期によっても変わります。大津波が起きてすべて失ったら、どんなに裕福な生活をしていた人もご飯を食べて幸せを感じるかもしれません。
つまり、同じ人だとしても、QOLの感じ方は常に変化するということです。
WHOのQOL評価指標のひとつに「QOL26」というスケールがあります。QOL26による人の幸福状態の検査では、評価対象を2週間前までの生活としています。
(26問の質問でできています。26問でQOLを評価するということでかなり抽象的な質問ですが、世界の国・文化・年代・性別などで共通した使用ができることが確認されたQOL評価スケールです。)

QOL26評価表の詳しいことはこちらの書籍で

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QOLの向上のアプローチは常に変化する

QOL向上という言葉は綺麗な言葉ですが、「理想やその時点でのイメージ」と「現実的なその人の状態」でアプローチは変わります。
リハビリテーションは復権だと冒頭で紹介しましたが、「どこに戻るのか」ということについては日々変わるのです。

人は飛べません。人生、一歩一歩進んでいくのです。

世の中で流行っているコーチングなどの考え方では、とにかく成功や夢を叶えた自分をイメージすることや、自分はうまくいっているというような肯定的な言葉を唱えることなどが言われています。

スポーツ選手や現実的に努力でそこに近づけるならばそのような接し方もあるかもしれませんし、その目標に向けて努力しつつづけて最期を迎えるというのもその人らしさであり美徳です。

QOLという言葉は難しいですし、なかなか本心がわからない人の幸せを考えることはさらに難しいです。介護場面でQOLについて考えて迷ったときには、本人から聞き出した前向きな言葉の中で他の人に話したら「無理じゃないの」と言われるようなニーズを将来の目印(長期目標)に置き、その目印に向かって一歩でも歩みを進められる目標と行動をこなしていくことがQOL向上に寄与していると思うようにしています。

一歩進むにも、そのためには、本人の健康や安全、基礎的な心身の状態、家族との関係性、生活環境などの生活基盤のあらゆる要素が落ち着いているからこそ一歩進みます。

実際リハビリテーションを行っていても、本人が歩けるようになるという結果だけにコミットして関わっても、生活基盤が原因で望む生活としてのニーズはかなえられないことは多くあります。歩けることが本人にとって自信や可能性になることは確実ですが、QOLの向上を意識したときにはアセスメントしなければならないことは広くあり、アプローチも全く変わります。

それが人間の生活に関わる介護や医療の仕事のプロとしての楽しさであり、距離感や関わる深さの調整の難しいところです。
本人の理想をぼんやりとつかみながら、それに対してどのようなお手伝いができるのかということが自立支援であり、リハビリテーションの仕事だと思います。
ただし、リハビリテーションは「戻る場所(基準)」がある時にしか効力がない概念です。戻る場合はリハビリテーションですが、先天的な疾患など、今までに経験が無い状態を目指す時には、呼び方は「チャレンジド」や「美容」だったりします。

QOLを考えるときに、例えば先天性の疾患などの場合にはリハビリテーション的な考え方とはまた少し違います。

QOLの考え方をリハビリテーション的な視点から考えてきましたが、なかなかうまくまとまりませんね。

家族やご利用者のQOLを考えている人に少しでも役立てば幸いです。私も正解はわかりませんが、QOLやかかわり方で悩んだ時にはお問い合わせからご相談ください。

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