血尿スケールとは?色ごとの5段階グレード、介護で状態確認のポイント

血尿スケールとは?色ごとの5段階グレード、介護で状態確認のポイント
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在宅介護や施設介護の現場では、排泄介助の際に尿の色が普段と違うと気づくことがあります。「なんとなく赤っぽい」「薄いけど気になる」という場面で、どのくらいの変化を誰にどう報告すればよいのか、判断に迷うことも少なくありません。

そんなときに役立つのが「血尿スケール」です。訪問看護や介護施設の看護師の間では血尿の状態を伝えるときにスケールを用いて「スケールで3の血尿」などと表現していることもあります。それだけ聞くと、どれくらいの血尿なの?とパッとわからないこともありますので、スケールについてザックリ把握しておくと役立つと思います。

この記事では血尿の基本的な知識と血尿スケールの見方、在宅介護・施設介護の現場での観察ポイントについて整理します。

なお、この記事は介護分野で働く立場から介護現場での観察・報告に役立てることを目的に作成しており、医学的な診断や治療を目的としたものではありません。気になる症状がある場合は必ず医師や看護師にご相談ください。

血尿とは

血尿とは、尿の中に赤血球(血球)が混じった状態のことです。大きく2種類に分けられます。

肉眼的血尿は、目で見て赤みや変色がわかる血尿です。尿1L中に血液が1mL以上混じっているとされ、介護現場で気づきやすいのはこちらです。

顕微鏡的血尿は、見た目では気づかず、尿検査(尿潜血)をして初めてわかる血尿です。健診や定期受診で指摘されることが多く、在宅の現場では直接観察できません。

介護職員が日常のケアの中で気づけるのは肉眼的血尿であるため、ここでは肉眼的血尿を中心に解説します。

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血尿スケールとは

血尿スケールとは、肉眼で確認できる血尿の程度を色によって段階的に分類し、重症度を判定するための視覚的な基準です。医療・介護の現場で共通の言葉として使うことで、「どのくらいの色か」を客観的に伝えやすくなります。

一般的に以下のような5〜6段階に分類されています。

血尿スケール 5〜6段階に分類の色の目安
グレード色の目安状態
1段階淡いピンク色(薄い赤色)軽度の混血。正常尿との区別が難しい場合もある
2段階やや濃い赤色(ピンクがかった赤)血液の混入が明らかになってくる
3段階明るい赤色はっきりとした血尿。速やかな報告が必要
4段階濃い赤色(暗赤色)出血量が多い。緊急性が高く即座に報告
5段階暗い赤色、もしくは鮮やかな血の色重篤な出血の可能性。すぐに医師・看護師へ
6段階濃い茶色、もしくは黒ずんだ色古い血液や腎臓由来の出血が疑われる

一般的に2〜3段階以上の血尿は早急に医師や看護師に報告することが望ましいとされています。特に4段階以上の血尿は緊急性が高く、内科的・外科的な処置が必要な可能性があるため、ただちに報告する必要があります。

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血尿の主な原因

血尿の原因はさまざまです。介護現場では診断を行う必要はありませんが、どのような病気が背景にあり得るかを知っておくと、他の症状と合わせて報告する際の参考になります。

膀胱炎などの尿路感染症

細菌が膀胱に入って炎症を起こすことで血尿が出ることがあります。女性や高齢者に多く、排尿時の痛み・頻尿・残尿感などを伴うことが多いです。在宅介護の現場では比較的よく見られる原因のひとつです。適切な抗生物質治療で血尿は治まることが多いです。

尿路結石

腎臓・尿管・膀胱などに結石ができることで尿路に傷がつき、血尿が出ます。突然の激しい腰痛や腹痛、吐き気などを伴うことが多く、背中から腰にかけての強い痛みが特徴的です。男性に多く、男性の7人に1人が生涯に経験するともいわれています。

前立腺肥大症(男性)

男性高齢者に多い病気で、前立腺が大きくなることで尿道を圧迫し、血尿が出ることがあります。頻尿・残尿感・尿の出にくさなどを伴うことが多いです。

膀胱がん・腎がんなどの悪性腫瘍

高齢者の血尿で特に注意が必要なのが悪性腫瘍です。膀胱がん・腎盂尿管がん・腎がん・前立腺がんなどが原因となることがあります。痛みを伴わずに突然真っ赤な血尿が出て、しばらくすると自然に治まるということを繰り返す場合は、膀胱がんの可能性があるとして要注意とされています。自然に治まっても安心せず、必ず医師に伝えることが大切です。

抗血小板薬・抗凝固薬の影響

脳梗塞や心筋梗塞の既往がある方が服用している血液をサラサラにする薬(バイアスピリン・ワーファリン・エリキュースなど)は、出血しやすい状態を作ります。もともとわずかな出血が起きやすい状態の方が服薬することで、血尿として現れることがあります。利用者の服薬状況と合わせてアセスメントする必要があります。

腎炎などの腎臓の病気

腎臓の糸球体に炎症が起きる腎炎でも血尿が出ることがあります。褐色〜茶色の尿が出る場合は腎臓由来の出血が疑われます。

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血尿ではない尿の着色に注意

赤みや褐色がかった尿が出ても、血尿ではない場合があります。以下のような原因も考えられます。

  • ミオグロビン尿(筋肉の損傷などで筋肉内のタンパク質が尿に出る)
  • ヘモグロビン尿(赤血球が壊れてヘモグロビンが尿に出る)
  • ポルフィリン尿(代謝疾患による着色)
  • 紫色蓄尿バッグ症候群(腸内細菌の影響で蓄尿バックが紫色になる現象)
  • 薬剤性の着色(リファンピシン・フェナゾピリジンなど特定の薬による橙赤色の尿)
  • 食品の影響(ビーツ・赤いキャベツなど一部の食品で赤みがかることがある)

これらを含めてアセスメントした上で血尿スケールを活用することが大切です。「本当に血尿か」「何か思い当たる薬や食品はないか」を合わせて確認するようにしましょう。

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膀胱留置カテーテル・蓄尿バック使用者の血尿観察

膀胱留置カテーテル(バルーンカテーテル)を使用している方は、蓄尿バック(ウロバック)に尿がたまるため、排泄のたびに尿の状態を確認しやすい反面、血尿が出たときに家族や介護職員が気づいて不安になりやすい場面でもあります。

膀胱留置カテーテル・蓄尿バック使用者の血尿観察

カテーテル使用者の血尿には、カテーテルを使っていない方とは少し異なる原因や背景があります。

カテーテル留置中に血尿が出やすい理由

カテーテルが尿道・膀胱の粘膜に直接触れ続けているため、もともと出血が起きやすい状態です。次のような原因で血尿が出ることがあります。

  • カテーテルによる粘膜への刺激・損傷 体位変換・移乗・移動などでカテーテルが引っ張られたり、固定がずれたりすることで粘膜が傷つき、血尿が出ることがあります
  • カテーテル関連尿路感染症(CAUTI) カテーテル留置が長くなるほど細菌が定着しやすくなります。感染が起きると膀胱粘膜に炎症が生じ、血尿の原因になります。発熱・倦怠感・食欲低下・意識状態の変化など、通常の膀胱炎とは異なる非特異的な症状として現れることも多いため、血尿だけでなく全身状態の変化も合わせて観察することが大切です
  • カテーテル交換後の一時的な血尿 カテーテル交換直後に淡いピンク色の血尿が出ることがあります。粘膜への刺激によるもので、多くは短時間で色が薄くなりますが、濃い血尿が続く場合や量が増える場合は報告が必要です
  • カテーテルの閉塞・屈曲による膀胱内圧の上昇 チューブが折れ曲がったり、凝血塊(血のかたまり)が詰まって尿が流れにくくなると、膀胱内の圧力が上がって出血しやすくなります

蓄尿バックで確認したいポイント

蓄尿バックを確認する際は、色だけでなく以下の点も合わせて観察するようにしましょう。

  • 凝血塊(血のかたまり)が混じっていないか 凝血塊がある場合はカテーテルを詰まらせるリスクがあり、早めの報告が必要です
  • 尿量が急に減っていないか 血尿と同時に尿量が減っている場合は、カテーテルの閉塞や全身状態の悪化が疑われます
  • チューブに屈曲・閉塞がないか 尿がバックに流れていない場合、まずチューブのねじれや折れ曲がりがないかを確認しましょう
  • バックの位置が膀胱より高くなっていないか 蓄尿バックが膀胱より高い位置にあると逆流が起きて感染リスクが上がります

紫色蓄尿バック症候群(PUBS)に注意

カテーテルを長期間使用している高齢女性で、蓄尿バックやチューブが紫色に変色することがあります。これは「紫色蓄尿バック症候群(PUBS)」と呼ばれる現象で、便秘と尿路感染が重なることで腸内細菌がトリプトファンを代謝した結果、紫色の色素が産生されるとされています。

血尿とは異なり、バックやチューブが紫色になるのが特徴です。多くの場合は無症候性細菌尿が背景にあり、発熱などの症状がなければ抗菌薬の投与は不要とされています。ただし発熱がある場合は治療の対象となるため、看護師・医師への報告が必要です。

便秘が誘因になることが知られているため、排便状況の管理も予防の観点から大切です。

カテーテル使用者の血尿で報告を急ぐ場合

以下の状況はカテーテル使用者に特有の注意が必要なサインです。速やかに看護師・医師に報告してください。

  • 血尿の色が急に濃くなった、または量が増えた
  • 凝血塊が混じっている
  • 尿がバックにほとんど流れていない(閉塞の可能性)
  • 血尿と同時に発熱・意識の変化・強い倦怠感がある
  • カテーテル交換後に血尿が続いている、または悪化している
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在宅介護・施設介護での観察と報告のポイント

血尿スケールを活用する際の実務的なポイントをまとめます。

色だけでなく他の症状も合わせて確認する

血尿スケールの段階と同時に、以下の症状が出ていないか確認しましょう。これらを医師・看護師に伝えることで、原因の判断がしやすくなります。

  • 排尿時の痛み・灼熱感
  • 頻尿・残尿感
  • 腰痛・腹痛・背中の痛み
  • 発熱
  • 血圧の変動・めまい
  • 急に血尿が悪化した・長期間続いている

痛みがない血尿ほど要注意

痛みを伴う血尿は膀胱炎や尿路結石が原因であることが多く、治療で改善しやすい傾向があります。一方、痛みがないのに血尿が出る場合は膀胱がんなどの悪性腫瘍の可能性が高まるとされています。「痛くないから大丈夫」と判断せず、必ず報告するようにしましょう。

報告の目安

血尿スケールの段階を目安にした報告の考え方です。

  • 1段階 経過観察しながら記録に残す。繰り返す場合は報告する
  • 2〜3段階 速やかに担当看護師・医師に報告する
  • 4段階以上 即座に報告する。緊急処置が必要な可能性がある
  • 段階にかかわらず 急に悪化した場合・長期間続く場合・他の症状を伴う場合は早期に報告する
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まとめ

血尿スケールは、色だけでは判断が難しい血尿の程度を共通の基準で伝えるための道具です。大切なのは「何段階か」を伝えることではなく、他の症状と合わせて「いつ・どんな状態か」を正確に記録・報告することです。

在宅や施設の介護現場では、排泄介助の中で尿の状態を観察できる機会が自然にあります。血尿スケールを頭に入れておくことで、「何かおかしい」という気づきを言葉にしやすくなり、迅速な医療対応につなげることができます。

判断に迷ったときは、一人で抱え込まず早めに看護師や医師に相談するようにしてください。

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