ケアプラン有料化とは?2027年4月施行・登録施設介護支援の創設と対象・負担額・ケアマネへの影響

ケアプラン(居宅サービス計画)の作成費は、介護保険制度が始まった2000年以来ずっと利用者負担ゼロが続いてきました。しかし2026年5月26日の衆議院本会議で、ケアプランの一部有料化を盛り込んだ「社会福祉法等の一部を改正する法律案」が可決・通過し、参議院に送付されました。
このサイトでも住宅型有料老人ホームのケアマネジメント有料化が本当に囲い込み対策になるのかについて、考察記事を出したことがありました。
そして、このことについて実際に衆議院で法案が可決され、参議院での議論はあるものの原則として2027年(令和9年)4月1日の施行が予定されています。
ただし「ケアプランがすべて有料化される」わけではありません。今回の改正で有料化されるのは、新たに登録制度が設けられる一部の住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅の入居者に限られます。
この記事では、法案の概要・対象の範囲・利用者負担の仕組み・ケアマネジャーへの影響・議論の背景について整理します。
なお、この記事は2026年5月末時点の情報をもとに作成しています。参議院での審議・修正の状況によっては内容が変わる可能性があるため、最新の動向は厚生労働省の公表資料でご確認ください。
2027年(令和9年)の改正でケアプランが有料化されるのはどこか
2027年(令和9年)の法改正で創設されるのは「登録施設介護(予防)支援」という新しいケアマネジメントの類型です。
対象となるのは、新たに都道府県等への登録制度が設けられる「登録施設」の入居者です。
登録施設とは、要介護3以上の入居者が一定割合を超えている住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)など、実態として介護付き有料老人ホームに近い状態で運営されている施設を指します。
現在の介護保険制度では、介護付き有料老人ホーム(特定施設入居者生活介護)の入居者はケアプラン作成費が基本報酬に含まれており、実質的に利用者が負担しています。
一方、住宅型有料老人ホームの入居者は、同様の状態でありながらケアプラン作成費が全額保険給付(自己負担ゼロ)という不均衡な状態が続いていました。今回の改正はこの公平性の是正を目的としています。
ただし「公平性の是正」という説明には少し違和感もあります。
介護付き有料老人ホームの基本報酬にケアプラン代が含まれているのは事実ですが、そもそも介護付きと住宅型では提供するサービスの構造が異なります。
「同じような状態の人がいるから同じ負担を」という論理は、制度の設計の違いを後付けで埋めようとしているように見えます。
ケアプラン有料化の対象と自己負担の目安
登録施設介護支援の利用者は、ケアプラン作成費について原則1割の利用者負担が生じる見込みです。
登録施設介護(予防)支援については、おそらく現行の居宅介護支援費よりは報酬が少ない形になるとは思いますが、現行の居宅介護支援費をもとに試算すると、1割負担の方で月額1,000〜1,500円程度の自己負担が発生する見込みとされています(所得によって2割・3割負担の方は相応に高くなります)。
区分支給限度額の枠外での管理となり、他の介護サービスの支給限度額には影響しません。
対象にならない利用者(現行の居宅介護支援は有料化されない)
重要な点ですが、一般的な在宅の利用者・通常の居宅介護支援については今回の改正では有料化されません。
有料化されるのは上記の「登録施設」の入居者のみです。
在宅で介護サービスを利用しているケアマネジャーの利用者への影響は今回ありません。
登録施設介護支援ではケアマネの業務も変わる
登録施設介護支援として対応する利用者を持つケアマネジャーには、ケアプランの作成に加えて施設の生活相談員等と連携した相談支援の実施が義務付けられます。
居宅介護支援事業所では、従来であれば利用者負担がないので、介護保険の請求は国保連に請求をすれば済んでいました。しかし、登録施設介護支援が始まった場合には、対象利用者が1人でも担当に入れば、毎月の国保連への請求業務に加えて、利用者からの一部負担金の徴収事務が新たに発生します。費用や支払いに関することが追加されるので、対象者への重要事項説明書は作り直して説明が必要になりますし、ご利用者に請求と支払いについての説明をして、口座振替なのか現金払いなのかなどの手続きをして、毎月入金を確認するといった手間も発生します。
自社の法人で住宅型有料老人ホームと居宅介護支援事業所を運営しているケースでは、既存の請求・入金管理の仕組みに組み込みやすいため、外部ケアマネに比べれば対応しやすい面はあります。ただし利用者への一部負担金の請求・徴収自体は法人内でも必要な手続きです。
入金管理のルートが増えるというのは業務上かなり負担の大きいものになると思います。
ケアプランの有料化についての議論の経緯と背景
ケアプランの有料化は2023年に閣議決定された「社会保障の改革工程」の中で、2027年度に改定する介護保険事業計画の開始までに結論を出すと明記されていた論点でした。
介護保険制度が始まった2000年以来ずっと利用者負担がゼロだったケアプラン作成費は、他の介護サービスと異なる扱いとして以前から見直し論の対象になってきましたが、利用控えへの懸念などから何度も先送りされてきた経緯があります。
2025年11月20日の第129回介護保険部会でケアマネジメントの有料化について具体的な検討が始まりました。
厚生労働省はこの場で、他の介護サービスと同様に幅広い利用者に利用者負担を求める方向性と、住宅型有料老人ホームの入居者を有料化の対象とする案を示しました。
賛成意見として出た主な意見
慎重・反対意見として出た主な意見
2025年12月15日の第131回介護保険部会では、厚生労働省から「登録制の住宅型有料老人ホーム等に対して新たなケアマネジメントの類型を設け、特定施設入居者生活介護との均衡を考慮して定額の報酬を設定した上で原則1割の利用者負担を求めてはどうか」という具体案が示されました。
同年12月22日の第132回介護保険部会でとりまとめの意見案が大筋で了承され、全利用者への一律有料化は見送られたものの、登録施設の入居者に限った形での有料化が方向として固まりました。
2026年4月3日の閣議決定を経て同年5月26日に衆議院を通過しています。
なお有料化の対象を住宅型有料老人ホームの入居者に絞ったことで、当初議論されていた在宅の一般利用者への有料化・2割・3割負担者への適用拡大については今回は見送られた形です。ただし部会の議論を通じて「今回の住宅型限定は第一段階に過ぎず、将来的な在宅への拡大への布石ではないか」という見方は審議会でも示されており、引き続き注視が必要な論点です。
そもそも論では、国・厚生労働省の方針としては、地域包括ケアシステムの中で、まるでサービス付き高齢者向け住宅や住宅型有料老人ホームのようなモデルを理想のように語り、推し進めてきた経緯もあるのですが、いざ出来上がってみると囲い込みを問題視して報酬を下げたり運営しづらくする方向に舵を切るという梯子外し的な進め方に感じます。
今回の法改正全体の主な柱
「社会福祉法等の一部を改正する法律案」には、ケアプランの有料化(登録施設介護支援の創設)以外にも複数の重要な改正が含まれています。
施行のスケジュール
| 内容 | 施行時期 |
|---|---|
| 登録施設介護支援の創設(ケアプランの一部有料化)・登録制度の導入等 | 2027年(令和9年)4月1日(原則) |
| 介護被保険者証の電子化等 | 公布後3年以内に政令で定める日 |
| ケアマネジャー更新制の廃止・法定研修の見直し | 公布後3年以内に政令で定める日 |
| 身寄りなし高齢者支援事業(一部) | 公布後2年以内に政令で定める日 |
| 地域権利擁護相談支援センター等(一部) | 公布日 |
ケアマネジャーの更新制廃止についても注目
今回の改正のもう一つの大きなポイントが、ケアマネジャーの更新制の廃止です。
現在は5年ごとの更新研修が義務付けられていますが、これが廃止されます。ただし研修体系そのものがなくなるわけではなく、研修受講と資格更新をリンクさせる仕組みが見直されるものです。施行は公布後3年以内に政令で定める日となっており、2027年4月より後になる可能性があります。
現場と利用者への影響をどう見るか
今回の有料化の対象が「登録施設」の入居者に限定されたことで、一般の在宅ケアマネジャー・利用者への直接の影響は今回の改正では生じません。ただし、住宅型有料老人ホームやサ高住に関わるケアマネジャーには制度理解と運営準備が必要です。
利用者側から見れば、これまで無料だったケアプラン作成費に月1,000円前後の自己負担が生じることで、一部の方には経済的な影響が出ます。特に低所得の入居者への配慮をどう設計するかは、報酬告示・省令の整備段階で詳細が決まることになります。
参議院での審議を経て成立した後、厚生労働省による省令・告示・Q&Aの整備が進んでいきます。2027年4月の施行までに報酬額・算定要件・届出手続きなどが順次公表される見込みです。
まとめ
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