
介護保険の個別機能訓練加算(Ⅰ)の算定要件や単位数について詳しく解説します。
通所介護(デイサービス)の個別機能訓練加算(Ⅰ)「イ」と「ロ」の人員配置と単位数の違い、特定施設入居者生活介護・介護老人福祉施設(特養)の個別機能訓練加算(Ⅰ)の人員配置や算定要件など、同じ個別機能訓練加算(Ⅰ)という名前でもサービス種別によって人員基準も算定要件も違っているのでそれらの違いを明確にしつつ、本来の算定要件についてまとめます。
通所介護(デイサービス)の個別機能訓練加算(Ⅰ)
個別機能訓練加算は、専ら機能訓練を実施する理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護職員、柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師、はり師またはきゅう師(なお、はり師およびきゅう師については、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護職員、柔道整復師またはあん摩マッサージ指圧師の資格を有する機能訓練指導員を配置した事業所において、6か月以上機能訓練指導に従事した経験を有する者に限ります。以下「理学療法士等」といいます。)を配置し、機能訓練指導員等が共同して、利用者ごとに心身の状態や居宅の環境を踏まえた個別機能訓練計画を作成し、その計画に基づいて計画的に機能訓練を実施することで、利用者の生活機能(身体機能を含みます)の維持・向上を図り、住み慣れた地域にある居宅で、可能な限り自立して暮らし続けることを目指して設けられた制度です。
通所介護(デイサービス)の個別機能訓練加算の目的と内容
専ら機能訓練を実施する理学療法士等を配置し、機能訓練指導員等が共同して、利用者ごとに心身の状態や居宅の環境をふまえた個別機能訓練計画を作成し、当該計画に基づき計画的に機能訓練を行うことで、利用者の生活機能の維持・向上を図り、住み慣れた地域で居宅において可能な限り自立して暮らし続けることを目指すために設けられたものです。
通所介護の個別機能訓練加算(Ⅰ)の種類
通所介護(デイサービス)の個別機能訓練加算(Ⅰ)には、イとロがあります。
個別機能訓練加算(Ⅰ)「イ」と「ロ」の人員配置と単位数の違い
2024年の介護報酬改定で個別機能訓練加算(Ⅰ)ロ は機能訓練指導員の配置条件が緩和されました。
ロを算定する場合、従来は機能訓練指導員のうちの1名は常勤専従が条件でしたが、2024年の報酬改定で機能訓練指導員として専従する人が2名以上いる時間に機能訓練指導員から直接訓練を受けた利用者に対してはロを算定できることになりました。(あらかじめいつの時間に2名体制なのか周知されていることが必要です)
個別機能訓練加算(Ⅰ)イ | 個別機能訓練加算(Ⅰ)ロ | |
単位数 | 56単位/日 | 76単位/日 |
機能訓練指導員の配置と算定 | 機能訓練指導員1名が機能訓練を実施するために必要な時間配置されている。 | 機能訓練指導員2名以上。 2名体制の時間に直接訓練を受けた利用者のみロを算定。 2名体制の時間は利用者やケアマネに周知されていることが必要。 |
通所介護の個別機能訓練加算(Ⅰ)イ・ロの算定要件・やること
個別機能訓練加算(Ⅰ)イ・ロの違いは、その時間に専従で配置されている機能訓練指導員の人数の部分だけで、その他の算定要件は基本的にはイもロも共通です。
目標設定・個別機能訓練計画の作成
(1) 利用者の社会参加状況やニーズ・日常生活や社会生活等における役割の把握、心身の状況の確認(生活機能チェックシート・興味関心チェックシート)
(2) 多職種協働での個別機能訓練計画の作成
ア 個別機能訓練目標の設定
イ 利用者又はその家族への説明と同意
ウ 介護支援専門員への報告
個別機能訓練の実施
個別機能訓練項目 | 利用者の生活機能向上に資するよう複数の種類の機能訓練項目を準備し、その項目の選択に当たっては、利用者の生活意欲の向上に繋がるよう利用者を援助すること。 |
訓練の対象者 | 同様の訓練項目を選択した5人程度以下の小集団又は個別 |
訓練の実施者 | 機能訓練指導員が直接実施 |
実施回数 | 概ね週に1回以上の実施が目安 |
個別機能訓練実施後の対応
- 個別機能訓練の目的に照らし、訓練項目・時間・効果等について評価を行う。
- 3月ごとに1回以上、利用者居宅を訪問し、生活状況を確認。また、利用者又はその家族に対して個別機能訓練の実施状況やその効果等を説明し記録する。
- 概ね3月ごとに1回以上、訓練の実施状況や効果等について、介護支援専門員等にも適宜報告・相談し、利用者又はその家族の意向を確認の上、個別機能訓練の目標の見直しや訓練項目の変更を行う。
通所介護(デイサービス)の個別機能訓練加算(Ⅱ)はLIFEの活用が要件
個別機能訓練加算(Ⅰ)の取り組みに加え、計画等の情報をLIFEの活用し厚生労働省に提出し、フィードバックを受けて利用者の状態に応じた個別機能訓練計画の作成、計画に基づく個別機能訓練の実施、評価、評価結果を踏まえた計画の見直しや改善の一連のサイクル(PDCAサイクル)によりサービスの質の管理を行うこと。個別機能訓練加算(Ⅱ)は、個別機能訓練加算(Ⅰ)の算定をすることが前提で、LIFEへの情報提出・フィードバックの活用を行ったことで上乗せして算定できる加算です。
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特定施設入居者生活介護・介護老人福祉施設(特養)の個別機能訓練加算(Ⅰ)
特定施設入居者生活介護・介護老人福祉施設(特養)の個別機能訓練加算(Ⅰ)の単位数
特定施設入居者生活介護・介護老人福祉施設(特養)の個別機能訓練加算(Ⅰ)は、1日につき12単位です。
特定施設・特養の個別機能訓練加算(Ⅰ)を人員配置要件
基本的な考え方 | 配置の例 | |
入所者100名以下の施設 | 常勤専従の理学療法士等を1名以上配置 | 入居者80名の施設→機能訓練指導員1名以上 |
入所者100名を超える施設 | 常勤専従の理学療法士等を1名以上配置し、かつ常勤換算方法で入所者の数を100で除した数以上の理学療法士等を配置していること。 | 入居者120名の施設→機能訓練指導員1.2名以上 |
特定施設・特養の個別機能訓練加算(Ⅰ)の算定要件・やること
項目 | 内容 |
全体像 | 機能訓練指導員、看護職員、介護職員、生活相談員その他の職種の者が共同して、入所者ごとに個別機能訓練計画を作成し、計画的に機能訓練を行う |
機能訓練指導員の配置 | 個別機能訓練を行うにあたっては、専ら機能訓練指導員の職務に従事する機能訓練指導員、看護職員、介護職員、生活相談員その他の職種の者を1名以上配置して行うものであること。 |
個別機能訓練計画の作成と評価 | 機能訓練指導員、看護職員、介護職員、生活相談員その他の職種の者が共同して入所者ごとにその目標、実施方法等を内容とする個別機能訓練計画を作成し、これに基づいて行った個別機能訓練の効果、実施方法等について評価等を行う。 |
3月ごとに1回以上の説明 | 個別機能訓練を行う場合は、開始時及びその3月ごとに1回以上入所者に対して個別機能訓練計画の内容を説明し、記録する。 |
記録と保管 | 個別機能訓練に関する記録(実施時間、訓練内容、担当者等)は入所者ごとに保管され、常に施設の個別機能訓練の従事者により閲覧が可能であるようにすること。 |
個別機能訓練加算(Ⅱ)・(Ⅲ) 20単位/月はLIFEの活用が要件
個別機能訓練加算(Ⅱ)・(Ⅲ)は、利用者ごとの個別機能訓練計画の内容等の情報を「科学的介護情報システム(LIFE)」を用いて提出し、サービスの質の向上を図るため、提出情報とフィードバック情報を活用し、PDCAサイクルによりサービスの質の管理を行うことが算定要件となっています。
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まとめ
施設形態によって個別機能訓練加算の算定要件や人員配置の基準は異なっています。個別機能訓練加算についての情報を調べると通所介護の情報が多く出てきて、有料老人ホーム(特定施設入居者生活介護)や特別養護老人ホーム(特養)などの個別機能訓練加算の算定要件についてはあまり詳細に掲載されていることが少ないです。それゆえに算定をしていない施設も多いことと思います。この記事では注意点まで含めて全てを網羅できているわけではありませんが、全体像を把握して詳しい部分は保険者・自治体にも確認しながら進めていきましょう。
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