離設事故とは 発生時の対応と責任の所在、事故防止の対策

 

介護施設では「離設」という事故が起きることがあり耳にしたこともあるのではないでしょうか?

離設の意味は「不意に利用者が無断で施設から出て行ってしまうこと」で、「りせつ」という読み方をします。施設から出るという意思をもって利用者が施設外に出ていってしまうこともありますし、認知症のために場所などを勘違いして不意に出て行ってしまうこともあります。

離設とは 無断で利用者が外に出てしまう事故

利用者が老人ホームから無断で施設外に出てしまうことを介護業界用語で「離設(りせつ)」といい、介護施設側からすると事故扱いにすることが多いです。利用者や家族、施設の職員もみんなが一人で無断で外出することを承知していて、介護計画上も自由に出入りするということになっていれば事故ではありませんが、そのような自立した高齢者は見守りが必要な介護施設にはほとんど入所していないため、多くのケースで計画外の普段とは違った悪い出来事として「事故」扱いになります。

介護施設としては老人ホームから出て行く可能性があるかどうかを予め予測しておき、出来る限りの対策はしている中で気づいた時にはいなくなってしまったという出来事が離設です。

介護施設では見守りを行ったり、目の届きにくい場所に施錠をしたりして対策をしていますが、離設中に交通事故や転落事故などが起きたりした事例もあり、介護施設側の責任を問われることもあります。

利用者が離設してしまった時の対応方法

介護施設から入居者が離設してしまった場合、施設の対応としては躊躇せずに警察に相談することが先決です。

驚く職員の画像

できるだけおおごとにしたくないなぁ・・・
すぐ見つかるでしょ・・・

介護施設側では、現実逃避でいい方に考えたくなると思いますが、介護施設にいる職員で探しに行くのでは施設の中の入居者の見守りや介護が手薄になりますし、万が一のことが起きる前に一秒でも早く入居者を探し出さなくてはなりません。

特に、介護施設から不意に外に出て行ってしまう方の多くは、認知機能が低下していたり、自分が施設にいることが分からなくなってどこかに閉じ込められているのかと思って、自分の家を目指して歩き出していたりすることもあります。このような離設の場合、本当にどこに行くかわかりません。

ご本人は自分の家を目指して歩いているつもりかもしれませんし、もしかすると戦時中のこと思い出してどこかに身を潜めているかもしれません。離設事故にはこのような事例もありますので、離設してしまった場合には、警察に相談して助けを求めた上で、家族などのキーパーソンに状況などを報告して進めていくことになります。また、周辺の住民などとも、いざというとき助けてもらえるような良好な関係性を築いておくことも大切です。

予期せず利用者が離設してしまった場合には、状況や対応を記録し再発防止を検証するためにも事故報告書を作成しましょう。

離設事故の責任を問われた裁判の事例

介護施設から入居者が出て行ってしまい見失ってしまった場合、警察に相談してなるべく早く身元の安全を確保することが大切ですが、離設後に交通事故や転倒などで怪我をしてしまったりして発見されることもあります。その場合の責任の所在は介護施設側にあると判断された事例もあります。

実際にあった離設後に出先で死亡した事故の裁判事例
実際にあった裁判で、介護施設から入居者が窓を上って出て行ってしまい、出て行った先で死亡してしまったと言う事故がありました。
施設の外に出てしまった離設事故について刑事裁判になった場合は、介護施設側に責任が問われる範囲は、通常の人であれば予見にできる損害の範囲に限定されると言われています。家族としては安心して施設に親を預けていたつもりでしたが、予想外の施設外での事故ということで精神的な苦痛があったと慰謝料と損害賠償の請求が行われたということがありました。 こちらは民事裁判になるため、実際の事故にあった入居者の認知機能や判断能力の状況や、施設の予防策の状況などを加味して判断されますが、家族が受けた精神的苦痛という点で損害の賠償が命じられたという事例もあります。

離設事故対策のポイント

認知機能が低下している状態で新しい環境に入ると予想外な行動に出る入居者も多いので、離設する可能性も踏まえて対策が必要です。初めて介護施設に入った時に、ホテルに泊まりに来てると思っている人もいますし、どこか知らない所に連れてこられて閉じ込められていると考える人もいます。また、家族が在宅介護は限界で、嘘をついて施設に預けてしまったということもあり、とにかく脱出しなければと考える人もいます。認知機能が低下した認知症の方などだと、その方の行動は自分がどのような環境に置かれていると認識したかで変わってきます。

認知機能低下がある利用者の行動範囲で確認しておきたい施設設備

離設事故をあらかじめ予知して対策するために、認知機能の低下が見られる場合にはこのような対策も確認したほうが良いでしょう。

  • お部屋の窓が数センチしか開かないようになっている
  • 施設の玄関を出る時には職員に一声かけないと玄関の自動ドアが開かないようになっている
  • エレベーターなどは電子キーで職員だけが操作できるようになっている

各階を行き来する階段にも電子キーが付いていて職員だけが持っている名札の IC カードや鍵を使わないと入れない施設側としてはこのような設備面での対策をする他、ご利用者に頻繁に声をかけて安心していただくことなどを取り組んでいきます。

離設になりそうだったヒヤリハットの記入・共有も大切

離設の事故には至らずギリギリで発見されたものの、離設していてもおかしくない一歩手前の事例があったときには、職員全体で認知して対策ができるようにヒヤリハットを自然と記入して定期的に対策を検討できる雰囲気作りが事故防止に有効です。離設に関するヒヤリハットとは、例えば「裏口のドアをガシャガシャしているところを発見した」「面会者が来てドアを開けた時に利用者が外に出ようとした」「非常口からベランダに出ようとしているところを発見した」などがあります。このようなヒヤリハットは、もし発見していなかったら離設していることになりえるので、事例として挙げて対策を話し合っておくことが大切です。

まとめ

自立度が高い方が入居することを想定している住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅などでは、そもそも入居者を外に出さないように保護するという義務も制限もないという運営方法のところもあります。前提として認知症などが無く、利用者の判断で外出しても危険がないという入居者が多い場合にはそもそも外出することは想定通りですし、離設事故などはありません。

介護施設特別養護老人ホームや介護付き有料老人ホームなどでは、入居者の自由な行動を抑制してしまうことは、身体拘束と言う自由を奪ってしまう問題として扱われてしまうこともあります。介護施設は、高齢者の持つ人権を大切にしなくてはなりませんし、体や移動の自由を犯すことはできません。 最大限に高齢者の自由を確保しつつ、高齢者の予期せぬ行動にも対策を打っておかなくてはならないというきわどい立場にあるのですが、みんなで意見を出し合い、利用者の特性を共有して無理なく離設事故を防げる体制を作れると良いですね。

離設のリスクが高い場所については、施設で施錠や定期確認をマニュアル化するなどの対策も役立ちます。

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