社会福祉施設職員等退職手当共済制度とは?退職金はいくらもらえる?勤続年数別の相場

社会福祉施設職員等退職手当共済制度とは?退職金はいくらもらえる?勤続年数別の相場
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社会福祉施設で働く職員のための退職金制度に「社会福祉施設職員等退職手当共済制度」があります。福祉医療機構(WAM)が運営しているため「WAM退職手当共済」とも呼ばれます。

この記事では、この制度で退職金がいくらもらえるのか、勤続年数別のおよその相場を紹介するとともに、どんな職員が対象になるのか、医療法人や株式会社・NPO法人が運営する施設で働く場合はどうなるのかまで、気になるところを整理して解説します。

社会福祉施設職員等退職手当共済制度とは

社会福祉施設職員等退職手当共済制度とは、社会福祉施設職員等退職手当共済法という法律に基づいて、社会福祉施設等で働く職員が退職したときに退職手当金(退職金)を支給する制度です。独立行政法人福祉医療機構(WAM)が運営しています。

制度の創設以来、延べ約256万人の職員に退職金を支給してきた長い歴史があり、令和7年4月現在で約88万人の職員が加入しています。福祉の職場で広く使われている、代表的な退職金制度です。

この制度の特徴は、退職金の財源が、「共済契約者(経営者)が負担する掛金」と、「国・都道府県からの補助金」でまかなわれる点にあります(ただし、後述する特定介護保険施設等の職員などは、原則として公費補助がありません)。職員自身が掛金を負担することはなく、それでいて法律に基づいて退職金が受け取れるため、職員の安心につながる制度とされています。

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対象になるのは「社会福祉法人が加入している場合」だけ

ここが最も重要で、そして誤解されやすいポイントです。社会福祉施設で働いていれば誰でも対象になる、というわけではありません。

この制度の対象になるのは、雇用主が「社会福祉法人」で、かつ、その社会福祉法人がこの共済制度に加入(共済契約)している場合に限られます。加入は法人単位で行うもので、法人が福祉医療機構と共済契約を結び、掛金を納めることで、そこで働く職員が「被共済職員」として対象になる、という仕組みです。

つまり、退職金がもらえるかどうかは、

①勤務先が社会福祉法人であること

②その法人が社会福祉施設職員等退職手当共済制度に加入していること

という2つの条件を満たすかどうかにかかっています。実際には、この制度の共済契約者の98%以上が社会福祉法人であり、社会福祉法人にとっては中心的な退職金制度になっています。

社会福祉法人という法人格については社会福祉法人とは メリット・デメリット、監査指導、退職金で詳しく解説しています。

対象となる施設の区分

対象となる施設・事業は、掛金や公費補助の扱いによって、大きく次の3つに区分されています。

  • 社会福祉施設等職員 保育所や障害者施設など。掛金に国・都道府県の公費補助がある
  • 特定介護保険施設等職員 特別養護老人ホームなど介護保険の対象施設。原則として公費補助がなく、掛金は法人負担(単位掛金額の3倍)
  • 申出施設等職員 法人の申し出により対象とする施設。こちらも原則公費補助なし(単位掛金額の3倍)

2006年(平成18年)の制度改正で、介護保険施設等の職員については公費補助が廃止され、法人が全額を負担する形になりました。このため、同じ社会福祉法人でも、保育所と介護施設では掛金の負担構造が異なっています。

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退職金はいくらもらえる?勤続年数別の目安額

いよいよ本題の、退職金がいくらもらえるかです。この制度の退職手当金は、国家公務員の退職手当に準じた制度設計になっており、退職時の本俸月額と、被共済職員期間(勤続年数)に応じて計算されます。勤続年数が長いほど、退職金額は大きくなる仕組みです。

福祉医療機構が公表している、普通退職(自己都合退職など)の場合の支給額の例を紹介します。

勤続年数退職時の本俸月額退職金額の目安
5年20万円約49万5900円
10年22万円約114万8400円
15年26万円約269万7000円
20年28万円約572万4600円

この例からわかるように、勤続年数が延びるほど退職金額の伸び方が大きくなります。5年で約50万円、10年で約115万円ですが、15年で約270万円、20年になると約572万円と、後半になるほど加速度的に増えていきます。長く勤めるほど有利になる、国家公務員の退職手当に似た設計になっているためです。

おおまかな相場観としては、給料が上がっていく標準的なモデルで、10年勤めて100万円台、15年で250万円前後、20年で500万円超、というのが一つの目安になります。ただし、これはあくまでモデルケースです。実際の金額は退職時の本俸月額によって変わり、本俸が高い人ほど、また勤続が長い人ほど多くなります。

退職理由でも金額が変わる

退職金額は、退職の理由によっても変わります。上の表は「普通退職」(自己都合退職など)の場合の金額です。これに対して、定年、業務上の傷病、事業の廃止など、一定の事由による退職の場合は、より高い支給率が適用され、同じ勤続年数でも金額が多くなります。

詳しい支給率や計算方法は、福祉医療機構のパンフレットや、勤務先の担当部署で確認するのが確実です。

受け取るには原則1年以上の加入が必要

退職手当金を受け取るには、被共済職員期間が原則として1年以上あることが必要です。また、被共済職員期間が1年以上あり、退職後3年以内に、この制度に加入している別の施設に再び勤務した場合には、期間を通算できる仕組みもあります。福祉業界内で転職する場合には、この通算制度を知っておくと有利です。

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医療法人・株式会社・NPO法人の施設で働く場合はどうなる?

「同じ介護の仕事なのに、勤務先の法人の種類で退職金制度が違うの?」という疑問は、とても大切なところです。結論から言うと、この社会福祉施設職員等退職手当共済制度に加入できるのは社会福祉法人だけで、医療法人・株式会社・NPO法人などは加入できません。

介護施設や事業所は、社会福祉法人だけでなく、医療法人、株式会社、NPO法人など、さまざまな法人が運営しています。特に、有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅、訪問介護、デイサービスなどは、株式会社が運営しているケースも多くあります。これらの法人で働く介護職員は、この共済制度の対象にはなりません。

では、社会福祉法人以外で働く人には退職金がないのかというと、そうではありません。それぞれの法人が、別の形で退職金制度を用意していることが一般的です。代表的なものを挙げます。

  • 中小企業退職金共済(中退共) 中小企業向けの国の退職金制度。株式会社やNPO法人などの介護事業者が利用していることが多い
  • 法人独自の退職金制度 その法人が独自に規程を定めて支給する退職金
  • 確定拠出年金(企業型DC)や確定給付企業年金(DB) 年金の形で積み立てる制度

大切なのは、退職金があるかどうか、どんな制度かは、法人の種類と勤務先の規程によって変わるということです。

社会福祉法人の介護施設に就職したから頑張って長く勤めれば退職金が出ると思い込んでいると、その法人が共催に加入していなかったら期待していた退職金制度はないかもしれません。

退職金があるかないかを重視している場合には、就職・転職・気になっている時には、求人票や就業規則で退職金制度の有無と内容を確認しておくことをおすすめします。介護職の転職で確認すべきポイントは介護職の転職前にチェック!ケース別おすすめ転職サイトも参考になります。

中退共とWAM退職手当共済は重複できない

知っておきたいのは、同じ職員について、この社会福祉施設職員等退職手当共済制度と中退共を重複して加入することはできない、という点です(社会福祉施設職員等退職手当共済法の規定による)。

つまり「WAMの共済と中退共の両方から退職金が二重にもらえる」ということは、基本的にはありません。ただし、都道府県の社会福祉協議会が運営する上乗せの共済(従事者共済会など)や、法人独自の退職金は、WAMの共済とは別に受け取れる場合があります。

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社会福祉法人でも加入していない場合はある?

「社会福祉法人で働いているから、当然この退職金がもらえるはず」と思いがちですが、ここも注意が必要です。

この退職手当等共済制度への加入は、法人が任意で行うものです。法律で社会福祉法人に加入が義務づけられているわけではありません。

実際には、社会福祉法人の多くがこの制度に加入していますが、加入していない社会福祉法人も存在します。加入していない法人では、代わりに中退共や法人独自の退職金制度を採用していることもあれば、退職金制度そのものが手薄なこともあります。

ですから、社会福祉法人だからといって自動的にこの制度が適用されると思い込まず、自分の勤務先が実際にどの退職金制度に加入しているのかを、就業規則や退職金規程、法人の担当部署に確認しておくことが大切です。特に転職を考えるときは、目先の給与だけでなく、退職金を含めた生涯の待遇で比較する視点も持っておきたいところです。介護職の給与水準については介護業界で働く人の平均月収給料一覧もあわせてご覧ください。

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退職金と、老後の生活設計

退職金は、退職後の生活費、転職期間中のつなぎ、老後資金、住宅ローンの返済など、人生の大切な場面を支える資金になります。社会福祉施設職員等退職手当共済制度は、職員が掛金を負担することなく、法律に基づいて退職金を受け取れる、福祉職員にとって心強い制度です。

一方で、これまで見てきたように、勤務先の法人の種類や加入状況によって、退職金の有無や金額は大きく変わります。退職金だけで老後のすべてをまかなえるわけでもありません。退職金の見込み額を把握したうえで、公的年金やその他の備えと組み合わせて、早めに生活設計を考えておくことが大切です。老後の年金がいくらもらえるかは老後の年金は平均いくらもらえる?で解説しています。

※本記事は制度の概要をまとめた一般的な情報です(金額はいずれも執筆時点の目安であり、税金等を考慮する前の額面です)。実際の退職金額の計算、加入状況、支給の手続きについては、勤務先の担当部署や、独立行政法人福祉医療機構(WAM)の公式情報をご確認ください。

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