介護現場でのハラスメント事例や対策方法、研修資料・動画

 

介護現場でのハラスメントの問題として、利用者・家族から職員へのハラスメントも問題になっています。

ハラスメント発生までの経緯やその後の対応、事例から学べる対策等を整理した事例集が厚生労働省で作成されました。介護現場におけるハラスメント対策について、地方公共団体や介護現場で利用できるコンテンツを用意していますので、積極的にご活用くださいと厚生労働省は周知をしています。厚生労働省のハラスメント対策についての特設ページは以下です。

厚生労働省 介護現場におけるハラスメント対策

この記事では、厚生労働省の介護現場におけるハラスメント対策ページ内にある資料などを引用、参考にしながらポイントを紹介していきます。

ハラスメントとは

ハラスメントについて明確な定義はありませんが、介護分野でのハラスメントの研究を厚生労働省から委託されて実施してきた三菱総合研究所の介護現場におけるハラスメント事例集によると、以下のような事柄をハラスメントと総称しています。

ハラスメントについて、確定した定義はありませんが、この事例集では、身体的暴力、精神的暴力及びセクシュアルハラスメントをあわせて、介護現場におけるハラスメントとしています。具体的には、介護サービスの利用者や家族等からの、以下のような行為を「ハラスメント」と総称しています。

※利用者や家族等の「等」とは、家族に準じる同居の知人または近居の親族を意味します。
1)身体的暴力
身体的な力を使って危害を及ぼす行為。
例:コップを投げつける/蹴られる/唾を吐く

2)精神的暴力
個人の尊厳や人格を言葉や態度によって傷つけたり、おとしめたりする行為。
例:大声を発する/怒鳴る/特定の職員にいやがらせをする/「この程度できて当然」と理不尽なサービ
スを要求する

3)セクシュアルハラスメント(以下「セクハラ」という)
意に添わない性的誘いかけ、好意的態度の要求等、性的ないやがらせ行為。
例:必要もなく手や腕を触る/抱きしめる/入浴介助中、あからさまに性的な話をする

介護職員から利用者へのハラスメントは虐待が疑われることも

利用者や家族からのハラスメントの問題が取り上げられていますが、同様に深刻な問題となっているのが介護職員から利用者へのハラスメントや虐待です。

介護でのハラスメントの種類

介護現場でのハラスメントは、密室や単独な状態など見えない形で行われてしまうことと、職員も我慢してしまったりするためにあまり問題に上がりません。しかし、実際には嫌な思いをした経験は介護現場の職員の多くにあるはずです。以下のようなことがハラスメントにあたります。

利用者や家族からの身体的な攻撃

介護場面でのハラスメントとしてわかりやすいのが、身体的な暴力です。服をつかんだり、手を払ったり、武器を向けるなどはハラスメントにあたります。

利用者や家族からの精神的な攻撃

介護場面では利用者からの精神的な攻撃も多いです。嫌いなペットを近づけてくる、性的な行動をする、嫌がるものを見せてくる、怒鳴ったり大声をあげたりするなどです。

セクシャルハラスメント

介護場面でのセクシャルハラスメントはいろいろありますが、必要もなく手や腕を触る、抱きしめる、性的な話をする、家族が性的行動をしてきたり、性的なことを求めてくるなどです。

利用者や家族からの過大な要求

介護保険サービスの中ではできることが限られているのですが、精神的な攻撃と交えて過大な要求をしてくるというハラスメントも見られます。

介護現場でのハラスメント対策マニュアル

マニュアルを参考に、介護事業者におかれては、実態の把握、ハラスメント対策の検討・実施、事業所内の研修の実施をしていきましょう。

ハラスメント対策マニュアルには、身体的暴力・精神的暴力・セクシュアルハラスメントなどについて職員間や職員から利用者へのハラスメントだけでなく、利用者や家族から職員へのハラスメントが全国的な問題になっていることなどにも触れており、契約書や重要事項説明書により、どのようなことがハラスメントに当たるのか、ハラスメントが行われた際の対応方法、場合によっては契約解除になることを適切に伝えていくことの実用的な知識・手段等も示されています。また、行政や他職種・関係機関との連携により、地域ケア会議等でケースワークとして取り上げることなどの対処方法なども示されており、実用的な内容となっています。

介護現場でのハラスメント事例

作成されたマニュアルや手引きの解説への理解を深めるため、介護現場でのハラスメント等の発生までの経緯やその後の対応、事例から学べる対策等を整理してあります。事例を参考にハラスメントの予防や対策に向けた取組の検討、推進や見直し(改善)等を行いましょう。

事例集では、以下のような事例が紹介されていますので、介護に関わる方は自分にもあり得ることとして目を通しておくことをおすすめします。

  • 利用者による精神的暴力 特定の職員が、利用者から暴言、嫌がらせを受けた事例
  • 利用者によるセクハラ 職員が利用者から性的な発言、威圧的な言動を受けた事
  • 利用者によるセクハラ 同性介護が必要な利用者に対し、やむを得ず異性介護を行った結果、セクハラを受けた事例
  • 利用者によるセクハラ 事業所内での対応策が不明確な状況下で、利用者からセクハラが繰り返された事例
  • 利用者によるセクハラ 過去に問題行動を起こしていた利用者が、再度職員に対し性的な言動を行った事例
  • 家族による精神的暴力 事故後の対応から、家族の責任追及が高まり、暴言に至った事例
  • 家族による精神的暴力 家族介護の困難さを背景として、事業所のミスから暴言に発展してしまった事例
  • 家族による精神的暴力 職員が家族から暴言を受けた他、家族の理解・協力が得られず、利用者への適切な介護が提供できなくなった事例
  • 家族による精神的暴力 事故発生時の対応方針が守られなかった結果、家族からの苦情、ハラスメントの疑いを含む言動につながった事例
  • 家族による精神的暴力 家族の、ルールにそぐわない行動の容認や要望への対応が長期間続いた結果、サービスの継続が困難になった事例
  • 家族による精神的暴力 家族介護の困難さから、職員に対する暴言のみならず、家族から利用者への虐待に発展してしまった事例
  • 家族による精神的暴力 家族による暴言に地域包括支援センターと対応した事例
  • 家族による精神的暴力 介護保険制度への理解不足をきっかけに、家族による暴言へと発展した事例
  • 家族によるセクハラ 家族によるカメラの設置に対し、セクハラの可能性を危惧してサービス提供に支障を来した事例

介護現場でのハラスメント研修の手引き

介護事業のハラスメント対策についての契約書・重要事項説明書の記載

利用者・家族等に対し、介護現場での職員へのハラスメントが全国的な問題になっていること、ハラスメントを防止することが、介護サービスを継続して円滑に利用できることに繋がることを伝えます。契約書や重要事項説明書により、どのようなことがハラスメントに当たるのか、ハラスメントが行われた際の対応方法、場合によっては契約解除になることを適切に伝えていくことが重要です。

利用者・家族等に対し、介護現場での職員へのハラスメントの対応・対策方法

介護現場での職員へのハラスメントの対応・対策方法としては、利用者や家族に対して、あらかじめどんなことがハラスメントであり、ハラスメントがあった場合には、契約解除もできるといことを説明しておくことが重要です。

  利用者・家族等に対し、介護現場での職員へのハラスメント対策方法

介護職員向ハラスメント研修動画(厚生労働省作成)

令和元年度厚生労働省老人保健健康増進等事業(介護現場におけるハラスメントに関する研修・相談支援のあり方に関する調査研究事業)(実施団体:株式会社 三菱総合研究所)において、介護現場におけるハラスメントの予防・対策を進め、介護人材の確保・定着を図るため、本動画が作成されました。介護事業者の管理者等が職員向けに実施する研修にご活用ください。

介護現場におけるハラスメントに関する研修(YouTube)[23分36秒]

法人での方針決定、ハラスメントマニュアルの策定や研修で対策を

施設・事業所におけるハラスメントの予防や対策は、法人や事業所単位で行うことと合わせて、ケアマネジャーや地域包括支援センターなども実態を把握して支援していく必要があります。ハラスメントの予防や対策に向け、自分たちを守るための書類での事前周知や研修などに取り組まれ、介護現場で働く人たちの安心・安全だけでなく、職員が継続的に働ける労働環境の整備につながるよう向き合っていきましょう。

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