社会福祉法人とは メリット・デメリット、監査指導、退職金
 

社会福祉法人とは何か、社会福祉法人のできる事業・収益の使い方のルール、メリット・デメリット、監査指導の仕組みや頻度、社会福祉法人で働く職員が退職する場合の退職金の制度など、社会福祉法人にまつわることをまとめて紹介します。社会福祉法人とはどんな法人なのかを知っておくと、働くときにも、施設に入所したりするときにも役立つと思いますので、こちらでサクッと確認してみてください。

社会福祉法人とは

社会福祉法において社会福祉法人とは社会福祉事業を行うことを目的として、この法律の定めるところにより設立された法人」と定義されています。社会福祉法人は、社会福祉事業の他、公益事業と収益事業を行うこともできます。

社会福祉事業とは

社会福祉事業とは、地域社会の一員として自立した日常生活を営むことを支援する事業です。

社会福祉事業は、社会福祉を目的とする事業のうち、規制と助成を通じて公明かつ適正な実施の確保が図られなければならないものとされています。社会福祉事業には、第1種社会福祉事業と第2種社会福祉事業があります。

第1種社会福祉事業

特別養護老人ホームなどの事業の確実公正な運営を確保するために、第1種社会福祉事業の経営主体は原則として国、地方公共団体もしくは社会福祉法人に限定されており、(社会福祉法第60条)それ以外の主体が行う場合には、都道府県知事(政令指定市及び中核市は市長)の許可が必要となります(社会福祉法第62条第2項)。

第2種社会福祉事業

第2種社会福祉事業は、その事業が行われることが社会福祉の増進に貢献するもので、第1種社会福祉事業ほど強い規制、監督が必要とされない事業です。第2種社会福祉事業の経営については届出制となっています。

詳しくは以下の記事で紹介しています。

社会福祉法人のメリット

社会福祉法人は、株式会社に比べて、特別に受けられる補助・税制面の優遇・社会的信用などのメリットがあります。

補助金

社会福祉法人の場合、法人としても、社会福祉事業や施設などの運営に関しても、受けられる補助・融資の種類が多いです。国や都道府県などが主となって補助や助成を行っていることも、社会福祉法人の重要性を表しています。

社会福祉法人は法人税がかからない

社会福祉法人は、公益事業を目的とした法人であり、原則として法人税はかからないことが特徴です。
しかし、例外として、一般の営利法人と同じような事業である、収益事業を行った場合にのみ、その事業から発生した所得に対して、法人税が課税されます。

信頼性

社会福祉法人は、公益性の高い事業をおこなっていること、利潤を追求する仕組みでないことや、定期的に監査があることなど、法人として社会的な信頼性が高いです。

社会福祉法人のデメリット

社会福祉法人として社会福祉事業を行う場合には、いろいろなメリットがあることを紹介しましたが、社会福祉法人を設立し、社会福祉事業を行う際には、社会福祉法や老人福祉法などの各種の法令・通知の要件を充たすこと、介護保険事業支援計画や介護保険事業計画など、国や都道府県などの事業方針に合致する必要がありますので、関係機関の指導に従うことが必要です。そのため、社会福祉法人の事業の自由度は制限されることはデメリットかと思います。
また、介護保険制度の下で質の高い介護サービスを提供するためには、実施しようとする事業について、自ら各種の法令・通知を理解することが必要です。

社会福祉法人として行うことができる事業に制限がある

社会福祉法人は、社会福祉事業の他に、公益事業及び収益事業を行うことは認められていますが、それ以外の利潤追求をするような性質の事業は制限されています。

公益事業とは

公益事業とは、社会福祉と関係のある公益を目的とする事業で、介護保険の居宅サービスや、有料老人ホームの経営などです。

収益事業とは

収益事業とは、法人の所有する不動産を活用して行う貸ビル、駐車場の経営などの事業で、社会福祉事業または一定の公益事業に充てることが条件となっています。

資金調達手段が制限されている

株式会社などの場合には、株式を発行して資金調達が一般的ですが、社会福祉法人の場合は寄付金、補助金、独立行政法人福祉医療機構等の借入金などでしか資金調達ができないため、資金繰りに工夫が必要です。

利益の使い道が制限されている

社会福祉法人では、社会福祉事業や収益事業を行いますが、それらで得た収益は社会福祉事業または一定の公益事業に充てることが条件となっているため、利益の使い道が限られているということもデメリットであると言えます。

社会福祉法人に対する指導監査

業務や財産の状況については、運営実態の確認が行われます。社会福祉法人に対する指導監査は、適正な法人運営と社会福祉事業の健全な経営の確保を図ることを目的として、厚生労働省の作成した統一基準(社会福祉法人指導監査実施要綱)などに従って、定期的に行われます。

一般的な指導監査の流れ

  1. 指導監査実施計画の作成
  2. 社会福祉法人に対して、指導監査実施通知
  3. 指導監査の実施
  4. 指導監査結果の通知
  5. 社会福祉法人からの是正改善報告書の受理
  6. 是正状況の確認

社会福祉法人に対する指導監査の周期・頻度

一般監査

状況 監査の頻度の目安
運営に大きな問題がなく、外部監査を実施または法人活動に積極的な取組(第三者評価事業の受審等)が認められる場合 4年に1回
運営に大きな問題がない 2年に1回
運営に大きな問題がある 1年に1回または随時

特別監査

特別監査は、運営に重大な問題がある場合に実施されます。

社会福祉施設職員等退職手当共済制度 退職金が2つある

社会福祉法人で働く人には、法人からの退職金だけでなく「社会福祉施設職員等退職手当共済制度」を利用した社会福祉施設等職員のための退職手当金制度があるため、もしも法人としても退職金の制度がある場合には、退職するときに2つの退職金を受け取れます。

 

社会福祉施設職員等退職手当共済制度

① 共済契約の申込みを行う社会福祉法人は、「福祉医療機構」に共済契約の申込みを行い、「福祉医療機構」の
承認により申込みの日から契約が成立し、効力を生じます。
② 共済契約を締結した共済契約者(施設経営者)は、施設区分・職員数に応じた掛金額を「福祉医療機構」に納
付します。
③ 職員が退職した場合は、退職者と共済契約者から「被共済職員退職届」並びに「退職手当金請求書」若しくは「合
算制度利用申出書」を「業務委託先(都道府県社会福祉協議会等)」を経由して「福祉医療機構」に提出していた
だきます。
④ 「福祉医療機構」は退職した職員(請求者)の口座に退職手当金を直接振込みます。
※お支払い頂いた掛金は全て退職手当金の支給にあてられます。

社会福祉施設職員等退職手当共済制度のご案内 2020年度 独立行政法人福祉医療機構

社会福祉施設職員等退職手当共済制度の退職金の目安はいくらくらい?

独立行政法人福祉医療機構(WAM)のホームページによると、退職手当金支給額の目安は以下のように示されています。

退職手当金支給額の例(普通退職の場合)

● 5年間勤務して退職(退職時本俸月額20万円) ………… 49万5900円
●10年間勤務して退職(退職時本俸月額22万円) ………… 114万8400円
●15年間勤務して退職(退職時本俸月額26万円) ………… 269万7000円
●20年間勤務して退職(退職時本俸月額28万円) ………… 572万4600円

退職手当共済事業 社会福祉施設職員等退職手当共済制度について 独立行政法人福祉医療機構(WAM)

福祉の重要性

自分の力だけでは解決することが難しい生活上の問題がある場合に、社会福祉事業の存在はとても大きいです。福祉は、すべての人が、幸せや豊かさを自分で選択できるというもので、みんなお世話になる可能性があるものです。福祉の在り方についても考えていってみましょう。

まとめ

社会福祉法人とは何か、社会福祉法人のできる事業・収益の使い方のルール、メリット・デメリット、監査指導の制度、社会福祉法人で働く職員が退職する場合の退職金の制度など、社会福祉法人にまつわることをまとめて紹介してきました。

児童養護施設や特別養護老人ホーム、障害者支援施設など、福祉を支えるための事業を主に行う法人であるため、いろいろなルールがあります。法人の役割や意義から福祉を考えるという切り口も大切です。