看取りとは 死と看取り介護の課題と厚労省ガイドライン

看取りとは何か、死や看取りの課題レポート、看取りケアのプロセス、介護保険施設での看取り介護加算の算定要件などを紹介します。

この記事を読むと、近年の死の迎え方の歴史や課題感、今後どのような看取りを目指されていて、看取り介護では何をするのかなどが厚生労働省のデータも用いながら把握できると思います。

厚生労働省は、看取り介護や看取り医療について「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」を定めて公表しています。このガイドラインの中では、看取りに関する基本的な考え方、判断のプロセス、最終的な意思決定の手続きについての指針が示されています。

看取りとは

看取りとは、医師が一般に認められている医学的知見に基づき回復の見込みがないと診断した上で、亡くなるまでの介護計画について患者と医療ケアチームで話し合い説明を受け同意し、介護を受けることです。

看取りの読み方は「みとり」です。

看取りとは

看取り介護の課題・あり方

高齢社会、地域包括ケアシステム、高齢者の尊厳の重視、延命治療の倫理問題など、いろいろな思想・社会情勢が重なり、医療・介護の仕事と「死」は再び身近なものになってきました。世帯の分離、医療が発達する前には、大家族で家で弱った親や老人を看病し、寿命でお迎えが来たら家で死ぬということが当たり前でした。しかし、近年は医療が発達して延命治療が行えるようになったり、死なないようにケアを提供することが可能となったことで、点滴や経管栄養、人工呼吸器などを駆使して「生かされている状態」が当たり前になりつつありました。

人口動態調査レポートを厚労省が編集した「死亡の場所別にみた年次別死亡数百分率」のグラフを見ていただくと、在宅での死亡から病院での死亡に大きくシフトしてきたことがわかると思います。

「死亡の場所別にみた年次別死亡数百分率」のグラフ

2006年3月に富山県射水市民病院において、延命治療を行っていた患者の意思・尊厳を尊重し、医師が人工呼吸器取り外した事件が報道され、「尊厳死」のルール化の議論が活発化しました。厚生労働省は2007年に「終末期医療の決定プロセスのあり方に関する検討会」を設置するとともに、再び、人は、どこで、どのように死を迎えるべきか、社会としても個人としても考えられるようになってきました。2006年ころには8割以上が病院で亡くなるという状態でしたが、その後、議論な活発化や看取りガイドラインの整備、地域包括ケアシステムの推進などもあり、病院で死亡する割合は減少傾向になっています。

世界の看取りの状況、どこで死ぬのか

こちらは2000年時点の調査データですが、ヨーロッパの国々では、病院での死亡は全体の約半数であるのに対し、日本での病院での死亡は8割を超えており、国際的にみても、日本は病院での死亡率が高い状態です。

看取りに関わる状況 死亡の場所の割合(各国比較)

厚生労働省の看取り介護のガイドライン・マニュアル

人生の最終段階における医療・ケアについては、医療従事者から適切な情報提供と説明がなされたうえで、本人による意思決定を基本として、いろいろな専門職から構成される医療・介護チームとして方針の決定を行うことが大切です。

厚生労働省では、人生の最終段階を迎えた本人や家族などと、医療・介護チームが、最善の医療・看取りケアを作り上げるための合意形成のプロセスを示すものとして、「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」を策定しています。また、意思決定支援についての事例集も公表されています。

人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン(厚生労働省)

人生の最終段階における意思決定支援事例集(日本能率協会総合研究所・厚生労働省)

看取り介護のガイドライン「方針決定の流れ」

看取り介護のガイドラインにおいても、人生の最終段階における医療およびケアについては、医師等の医療従事者から適切な情報の提供と説明がなされ、それに基づいて患者が医療従事者と話し合いを行い、患者本人による決定を基本として進めることが最も重要な原則となっています。

「人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン」 方針決定の流れ(イメージ図)

介護保険施設の「看取り介護加算」とは(看取り加算)

ここまで紹介してきたように、死や看取りへの向き合い方が整備され、ガイドラインや意思決定確認のプロセスなどを踏まえて、介護保険施設では、一定の看取りケアを行う場合に「看取り介護加算(看取り加算)」の算定ができるよう制度設計されています。「看取り介護加算(看取り加算)」算定にあたっては人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドラインに沿った対応を行うこととされています。この記事では、看取り介護加算の概要をつかむために算定要件の一部を取り上げます。

看取り介護加算が設定されている介護保険サービス

利用者基準

  • 医師が一般に認められている医学的知見に基づき回復の見込みがないと診断した者であること。
  • 入所者の介護に係る計画について、医師等のうちその内容に応じた適当な者から説明を受け、当該計画について同意している者であること。
  • 指針に基づき、入所者の状態等に応じ随時、介護記録等を活用し行われる介護について説明を受け、同意して介護を受けている者であること。

施設基準

  • 常勤看護師を配置し、看護職員との連携による24時間連絡できる体制を確保すること。
  • 看取りに関する指針を定め、入所の際に、内容を説明し、同意を得ていること。
  • 医師、看護・介護職員等による協議の上、適宜指針の見直しを行うこと。
  • 看取りに関する研修を行っていること。
  • 看取りを行う際に個室又は静養室の利用が可能となるよう配慮を行うこと。

看取り介護で大切なことまとめ

日本は超高齢社会で、死を見聞きすることは増えていきます。しかし、死ぬことや死に様に触れるという機会が増えるかわかりません。関わった人たちが死に際に接して、命のバトンをつなげていくことが看取りの一つの意義です。

看取り介護で大切なこととして、尊厳を守ること、QOLを高められること、人と繋がりを継続することなどが挙げられます。本人や家族も看取りケアに入ったということを理解しているため、ケアに関わるときにも一日一日がとても大切に思えると思います。

看取り介護という場合には、看取りについて話し合いが行われて本人の意思も尊重されたケア方針となります。計画の確認や説明なども適時コミュニケーションとりながらその方の意思を尊重し、その人らしい生活の維持、その人の楽しみや生き方の継続、孤立することなく人とのかかわりあいの中で穏やかに過ごせるということが大切です。