ケアマネ(介護支援専門員)は国家資格?2026年国会答弁で厚労省が正式見解

「ケアマネは国家資格ではない」という誤解はなぜ広まるのか
介護支援専門員(ケアマネジャー)の資格取得を目指している方や、すでに現場で働いているケアマネの方から、こんな声をよく耳にします。
「ケアマネって国家資格じゃないんですよね?」
「都道府県の資格だから国家資格とは違う、と言われました」
実際、SNSや介護現場でも「ケアマネは国家資格ではない」という説明が広がっており、履歴書に国家資格と書いてよいのか迷う人も少なくありません。
結論から言えば、介護支援専門員(ケアマネ)は介護保険法に規定された国家資格です。
2026年5月22日の衆議院厚生労働委員会でも、厚生労働省は「法律に規定された国家資格として位置づけている」と明言しました。
一方で、登録主体や更新制度などが他の国家資格とは異なるため、現場では長年混乱が続いてきました。
この記事では、ケアマネの法的位置づけとその根拠、誤解が生まれた背景、そして今後の課題について詳しく解説します。
そもそも介護支援専門員(ケアマネ)とはどんな資格か
介護支援専門員は、2000年の介護保険制度の創設と同時に誕生した資格です。
要介護者やその家族の相談に応じながら、適切な介護サービスの利用計画(ケアプラン)を作成・管理する専門職として位置づけられており、介護保険制度の「要」ともいわれて持ち上げられています。
資格取得には、医療・介護・福祉分野での実務経験(原則5年以上)を経たうえで、介護支援専門員実務研修受講試験(ケアマネ試験)に合格し、さらに実務研修を修了する必要があります。
近年はケアマネ不足が課題になっているためか、試験の合格率は上昇して生きているものの、それでも合格率20%程度であり、試験対策なしで取得できる資格ではありません。
それにもかかわらず、「国家資格なのかどうか」で長年議論され続けてきた背景には、ケアマネ独自の制度設計があります。
介護支援専門員の法的位置づけは「介護保険法に規定された国家資格」
結論から言えば、介護支援専門員は介護保険法に規定された資格であり、政府は「法律に規定された国家資格として位置づけている」と明確に述べています。
介護保険法第69条の2以降に介護支援専門員の資格や登録に関する規定が設けられており、資格の根拠が法律(国会で制定される法律)にあることは揺るぎない事実です。
つまり、民間資格や業界資格とはまったく異なり、法律に基づいて設けられた公的資格制度です。
一方で、医師・看護師・社会福祉士といった資格との違いとして、登録や介護支援専門員証の交付が都道府県知事によって行われる点があります。これが「都道府県の資格」という誤解を生む大きな原因のひとつとなっています。
2026年5月22日 衆議院厚生労働委員会での答弁
2026年5月22日、衆議院厚生労働委員会において、中道改革連合の沼崎美子議員が介護支援専門員の資格位置づけについて正面から質問しました。
沼崎議員は次のように問いかけました。
「介護支援専門員は法律上国家資格という位置づけなのか、それとも都道府県が登録を行う公的資格という位置づけなのか」
これに対し、厚生労働省黒田老健局長は次のように答弁しました。
「介護保険法に介護支援専門員の資格として位置づけられておりますので、私ども、法律に規定された国家資格として位置づけているという風にお答えをしているところでございます」
国会の場で政府が改めて「国家資格である」と明言したことは、長年にわたる現場の混乱を整理するうえで非常に重要な答弁といえます。
なぜ「国家資格ではない」という誤解が広まってしまったのか
答弁の中でも黒田局長が認めているように、ケアマネの社会的認知には課題があります。その背景には複数の要因があります。
①登録・証の交付が都道府県単位
医師免許や看護師免許は厚生労働大臣名で交付されますが、介護支援専門員証は都道府県知事名で交付されます。この違いが「都道府県の資格」という印象につながっています。
②試験・研修も都道府県が実施
ケアマネ試験は都道府県ごとに実施され、合格後の実務研修や更新研修も都道府県(多くは委託を受けた介護支援専門員協会)が担っています。
制度運営が地域単位で行われているため、「国の資格」というイメージを持たれにくい構造になっています。
③国家資格なのに更新研修制度がある
ケアマネは国家資格でありながら、一定期間ごとに更新研修や法定研修が必要となる特殊な制度になっています。
現場では、「国家資格なのに更新研修の負担が重い」「資格更新をしなければ実務に就けない」「主任ケアマネ制度も含め複雑すぎる」という声も少なくありません。
こうした制度の特殊性が、「一般的な国家資格とは違う」という印象につながっている面があります。
④一般市民への認知不足
厚生労働省黒田老健局長も「一般の方々に広く知っていただくことが課題」と述べており、医療介護関係者の間ではケアマネの存在と役割は広く認知されている一方、一般市民レベルでの認知はまだ十分とはいえません。
履歴書には「国家資格」と書いてよいのか
結論から言えば、介護支援専門員は法律に基づく国家資格であり、履歴書等で国家資格として扱って差し支えありません。
ただし、履歴書だとわざわざ国家資格と記載することは少なく、「介護支援専門員」と記載すること多いです。資格登録番号や主任介護支援専門員資格の有無などをあわせて記載するケースもあります。
実際には、介護・医療・福祉分野では国家資格として認識されていますが、一般企業などでは制度を十分理解していない場合もあるため、必要に応じて説明できるようにしておくと安心です。
資格管理の全国一元化へ、今後の方向性
今回の国会審議では、現状の課題に対する今後の対応方針も示されました。
黒田局長は、現在都道府県で管理されているケアマネの資格や法定研修の受講状況について、都道府県をまたいで統一的に把握できる仕組みの構築を検討していると述べました。
これは、ケアマネ更新制度や法定研修制度の見直しに伴い、受講状況を全国で一元的に管理できる情報システムを整備するものです。
これにより、例えばケアマネが都道府県をまたいで転居・転職した場合にも、研修受講状況の確認が容易になることが期待されています。
また、沼崎議員からは「厚生労働大臣の指定という形がより国家資格らしい位置づけになるのではないか」という提案も行われました。
現時点では、厚労省側から免許交付主体そのものを変更する具体的な答弁はありませんでしたが、資格の社会的認知向上は重要な課題として共有されています。
ケアマネの社会的地位向上に向けた課題
法的には国家資格でありながら、社会的認知が追いついていないことは、ケアマネの地位向上を妨げる要因のひとつとなっています。
現場からは「国家資格であることをもっと広く知ってほしい」「役割に見合った処遇改善をしてほしい」という声も少なくありません。
今回の委員会でも、沼崎議員はケアマネについて「利用者全体の生活の見立て、医療・介護・福祉サービスの調整を担う中核的専門職」と指摘しました。
高齢化が進む日本社会において、ケアマネは今後さらに重要性が高まる専門職です。一方で、人材不足や更新研修負担、主任ケアマネ制度など、多くの課題も抱えています。
今回の答弁で「国家資格である」という政府認識が改めて公式に確認されたことは、こうした議論の土台となる重要な一歩といえるでしょう。
まとめ
なお、ケアマネ更新研修や法定研修制度については、2026年法改正により大きな見直しが進められています。更新制度や研修負担の今後については、別記事で詳しく解説しています。
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