サルコペニアとは何か、診断基準・定義、原因・症状と、似た言葉である「フレイル」との関係性や悪化しないための対策について紹介します。サルコペニアは、握力や歩行速度、身体測定などの情報をもとに診断を進めていきます。高齢となり虚弱になってしまう状態になると、サルコペニア・フレイルに陥りやすくなりますので、それぞれの関係性を理解して予防しましょう。
このページの目次
サルコペニアとは
サルコペニアとは、加齢に伴い筋肉が衰えてしまい、筋肉が細くなってしまった結果、全身の筋肉量が減少する状態のことを言います。英語だと「sarcopenia」です。
一般的な高齢者のサルコペニア有病率は、20%程度と言われています。しかし、入院が必要な状態であったり、何かの手術を行なったりした場合には、有病率は50%程度まで上がります。さらに長い期間介護を受けている方は、100%サルコペニアになっていると言われています。有病率を見ると、意外と身近な問題であることがお分かり頂けると思います。
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サルコペニアの原因と対策
サルコペニアの原因は、いくつか考えられます。
原発性サルコペニア
原発性サルコペニアとは、原因は年齢を重ねたことだけで、病気や栄養状態など、他の要因が考えられない場合です。
2次性サルコペニア
2次性サルコペニアとは、年齢以外にも原因がある場合を指します。2次性サルコペニアには、いくつかの種類があります。
活動低下によるサルコペニア
活動低下によるサルコペニアは、活動量が低下してしまうことが原因で、筋肉量が減少してしまう場合です。自宅に引きこもりの状態や、自宅内でも極端に動く範囲が狭くなってしまい、寝ている時間が多くなってきた場合などが該当します。生活習慣や運動習慣、社交の見直しが対策となります。
栄養によるサルコペニア
栄養によるサルコペニアは、栄養不足が原因で、筋肉量が減少してしまう場合です。筋肉の材料はタンパク質ですが、高齢になると歯が抜けてしまったり、摂食嚥下能力が低下して飲み込みにくくなってしまったりします。そのため、十分な栄養をとることができず、サルコペニアに移行していくことが考えられます。医師や栄養士の助言などを参考にしつつ、栄養状態の改善や適切な食事摂取方法を取り入れることなどが対策となります。
疾患によるサルコペニア
疾患によるサルコペニアには、整形外科疾患や内科疾患、がんなど様々な疾患が該当します。手術や病気などの影響で炎症が起きてしまったり、筋肉が痩せていってしまったりする病気など、様々なことが考えられます。主治医の指示のもと、全身状態や原疾患の療養を進めつつ、栄養改善や運動の機会を保っていくような対策が取られます。
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サルコペニアの診断基準・定義
では、サルコペニアはどのように診断されるのでしょうか?
サルコペニアは、握力や歩行速度、身体測定などの情報をもとに診断を進めていきます。
診断方法は以下の通りです。
診断方法
サルコペニアの診断では、握力と歩行速度を計測し、サルコペニアの可能性をスクリーニングします。
握力や歩行速度で基準値を下回った場合、身体測定を行い、筋肉量を推定します。
筋肉量が少ないと判断されれば、必要に応じてCTやMRIなどで筋肉量を精査します。
基準値は以下の通りです。
握力
男性:26kg以下、 女性:18kg以下
歩行速度
0.8m/秒 よりも遅い(0.8m/秒を下回ると、1回の信号で横断歩道を渡りきれなくなる可能性が出てきます。)
身体測定
ふくらはぎの太さ:男性34cm未満 女性32cm未満
BMI(体重kg ÷ (身長m)²) が18.5未満
これらは診断の流れは一例です。ご紹介した方法以外にも、複数の検査を組み合わせたテストや、立ち上がりのテスト、歩行の耐久性を見るテストなど様々なものが用いられています。検査機関により設備なども異なるため、どのようなテストで筋肉量を測定していくのかが異なります。
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サルコペニアの症状
サルコペニアは筋肉が落ちてしまうため、運動機能の低下が目立ってきます。
具体的には、以下のような症状が挙げられます。
- 筋肉が痩せ、足が細くなってきた。
- 腰痛や膝痛などにより生活に支障が出てきた。
- 横断歩道を渡り切るのがギリギリになってきた。
- ビンの蓋やペットボトルを開けることが困難になってきた。
- つまずきやすく転倒しそうになることが多くなってきた。(転倒するようになってきた)
この運動機能の低下に伴い活動性が低下していき、外出が億劫になり、引きこもりがちになることも考えられます。また、動く量が減るため、食事の摂取量も減少してしまう可能性があります。
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フレイルとサルコペニアの関係
フレイルとは、体重の減少や疲れやすさなど、全身の状態が様々なことが原因で、虚弱になってしまうことを指す言葉です。サルコペニアは筋肉の量の減少に着目して使われる言葉なので、フレイルの方が、大きな視点で体の衰えを表しているイメージです。
サルコペニアの状態になると、抗重力筋などの体を支えている筋肉量が減少、歩行速度が低下し、活動性が低下します。その結果、お腹があまり空かず、栄養の摂取量が減少します。栄養を摂取する量が減少すると、体を動かすエネルギーが不足したり、筋肉の材料になるタンパク質が不足したりするため、筋肉が痩せやすくなります。すると、さらに歩行速度は減少し、活動性が低下をするという、負のサイクルに入っていきます。
このように、何らかの原因でサルコペニアの状態になると、フレイルの負のサイクルに入ってしまう可能性があります。フレイルとサルコペニアは、関係性が深いため、筋肉が弱くなりフレイルのサイクルに入らないように、サルコペニアを予防していくことが重要です。
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サルコペニア・フレイルを防ぎ、健康寿命の延伸を
高齢となり虚弱になってしまう状態になると、サルコペニア・フレイルに陥りやすくなります。筋肉が弱る状態、栄養摂取が減少する状態、活動が減少する状態という悪循環に入ってしますと、老化が進み、要介護状態になってしまうこともあります。逆に、サルコペニアやフレイルになりそうな状態に早期に気付き、対策ができれば健康に生活を送れる期間、即ち「健康寿命」が延伸できるのです。
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