ICFステージングとは?評価項目や判定基準を詳しく解説!

 

ICFステージングの評価項目や5段階の判定基準を徹底解説。要介護高齢者の状態を把握し、ご利用者のADLや生活状況を判断する評価方法について詳しく説明します。介護従事者必見の内容です。

ICFステージングとは?

ICFステージングでは、従来の介護の手間として「見守り」や「一部介助」などを評価者の主観で規定する方法ではなく、利用者ご本人の普段行っている事実を、国際生活機能分類(ICF)に基づいて設定されたステージから選択することで客観評価するための評価方法です。各項目に対してステージ小さな変化もICFステージングによる「わかりやすく、使いやすい介護のものさし」というキャッチコピーでケアマネジメントや科学的介護情報システム(LIFE)などでも利用が進んでいます。

ICFステージングの開発背景

ICFステージングの開発背景には、介護支援が単に障害の穴埋めを行う「旧自立支援(障害穴埋め型介護)」から、利用者の能力をサポートする「新自立支援(能力サポート型介護)」へと進化する必要性がありました。WHOが1998年に発表したICF(国際生活機能分類)に基づき、全国老人保健施設協会はICFステージングを開発しました。このステージングは、要介護高齢者の生活機能の変化をより精密に把握し、介護サービスの質向上を目指すもので、医療と介護の共通言語としても機能します。また、ステージングは簡単に使用できるように設計されており、国内外での利用を想定しています。これにより、介護現場における日常的な評価とケアプラン作成が、利用者の状態に応じてより適切に行えるようになりました。

ICFとは?

WHOは、ICFのことを、人の生活機能と障害について、「心身機能・身体構造」、「活動」、「参加」の3つの次元、および、関連する「健康状態」、「環境因子」、「個人因子」の各構成要素が双方向的な関連をもつ相互作用モデルであると提唱しています。ICFの正式名称は「International Classification of Functioning, Disability and Health」で、日本語では「国際生活機能分類」と訳されています。

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ICFステージングの全評価項目一覧

2.基本動作 □5

□4

□3

□2

□1

両足での立位保持を行っている

立位の保持は行っていないが、座位での乗り移りは行っている

座位での乗り移りは行っていないが、座位(端座位)の保持は行っている

座位(端座位)の保持は行っていないが、寝返りは行っている

寝返りは行っていない

3a.歩行・移動 □5

□4

 

□3

 

□2

□1

公共交通機関等を利用した外出を行っている

公共交通機関等を利用した外出は行っていないが、手すりに頼らないで安定した階段の昇り降りを行っている

手すりに頼らない安定した階段の昇り降りを行っていないが、平らな場所での安定した歩行は行っている

安定した歩行は行っていないが、施設内の移動は行っている

施設内の移動を行っていない

4a.認知機能 オリエンテーション(見当識) □5

□4

□3

□2

□1

年月日がわかる

年月日はわからないが、現在いる場所の種類はわかる

場所の名称や種類はわからないが、その場にいる人が誰だかわかる

その場にいる人が誰だかわからないが、自分の名前はわかる

自分の名前がわからない

4b.認知機能 コミュニケーション □5

□4

□3

□2

□1

複雑な人間関係を保っている

複雑な人間関係は保っていないが、書き言葉は理解している

書き言葉は理解していないが日常会話は行っている

日常会話は行っていないが、話し言葉は理解している

話し言葉の理解はできない

4c.認知機能 精神活動 □5

□4

□3

□2

□1

時間管理ができる

時間管理はできないが、簡単な算術計算はできる

簡単な算術計算はできないが、記憶の再生はできる

記憶の再生はできないが、意識混濁はない

意識の混濁があった

5a.食事 嚥下機能 □5

□4

□3

□2

□1

肉などを含む普通の食事を、噛んで食べることを行っている

肉などを含む普通の食事を噛んで食べることは行っていないが、ストローなどでむせずに飲むことは行っている

むせずに吸引することは行っていないが、固形物の嚥下は行っている

固形物の嚥下は行っていないが、嚥下食の嚥下は行っている

嚥下食の嚥下を行っていない(食べ物の嚥下を行っていない)

5b.食事 食事動作および食事介助 □5

□4

□3

□2

□1

箸やフォークを使って食べこぼしせず、上手に食べることを行っている

箸やフォークを使って上手に食べることは行っていないが、食べこぼししながらも、何とか自分で食べることを行っている

自分で食べることを行っていないが、食事の際に特別なセッティングをすれば自分で食べることを行っている

食事の際に特別なセッティングをしても自分で食べることを行っていないが、直接的な介助があれば食べることを行っている

直接的な介助をしても食べることを行っていない(食べることを行っていない)

6a.排泄の動作 □5

□4

□3

□2

□1

排泄の後始末を行っている

排泄の後始末は行っていないが、ズボン・パンツの上げ下ろしは行っている

ズボン・パンツの上げ下ろしは行っていないが、洋式便器への移乗は行っている

洋式トイレの移乗が自分で行えないため、介助が必要、または普段から床上で排泄を行っている

尿閉(膀胱瘻を含む)や医療的な身体管理のために膀胱等へのカテーテルなどを使用している

7a.入浴動作 □5

□4

□3

□2

□1

安定した浴槽の出入りと洗身を行っている

安定した浴槽の出入りと洗身は行っていないが、第三者の援助なしで入浴を行っている

第三者の援助なしで入浴することは行っていないが、一般浴室内での坐位保持は行っている。その他、入浴に必要なさまざまな介助がなされている

浴室内での座位保持を行っておらず、一般浴での入浴を行っていないが、入浴(特浴など)は行っている

入浴は行っていない

8a.整容 口腔ケア □5

□4

□3

□2

□1

義歯の手入れなどの口腔ケアを自分で行っている

義歯の手入れなどの口腔ケアは自分では行っていないが、歯みがきは自分でセッティングして行っている

自分でセッティングして歯を磨くことは行っていないが、セッティングをすれば、自分で歯みがきを行っている

歯みがきのセッティングをしても自分では歯みがきを行っていないが、「うがい」は自分で行っている

「うがい」を自分で行っていない

8b.整容 整容 □5

□4

□3

□2

□1

爪を切ることを自分で行っている

爪を切ることは自分で行っていないが、髭剃りやスキンケア、整髪は自分で行っている

髭剃りやスキンケア、整髪は自分で行っていないが、洗顔は自分で行っている

洗顔は自分で行っていないが、手洗いは自分で行っている

手洗いを自分で行っていない

8c.整容 衣服の着脱 □5

□4

□3

□2

□1

衣服を畳んだり整理することは自分で行っている

衣服を畳んだり整理することは自分で行っていないが、ズボンやパンツの着脱は自分で行っている

ズボンやパンツの着脱は自分で行っていないが、更衣の際のボタンのかけはずしは自分で行っている

更衣の際のボタンのかけはずしは自分で行っていないが、上衣の片袖を通すことは自分で行っている

上衣の片袖を通すことを自分で行っていない

9a.社会参加 余暇 □5

□4

□3

□2

□1

施設や家を1日以上離れる外出または旅行をしている

旅行はしていないが、個人による趣味活動はしている

屋外で行うような個人的趣味活動はしていないが、屋内でする程度のことはしている

集団レクリエーションへは参加していないが、一人でテレビを楽しんでいる

テレビを見たり、ラジオを聴いていない

9b.社会参加 社会交流 □5

□4

□3

□2

□1

情報伝達手段を用いて交流を行っている

通信機器を用いて自ら連絡を取ることは行っていないが、援助があっての外出はしている

外出はしていないが、親族・友人の訪問を受け会話している

近所づきあいはしていないが、施設利用者や家族と会話はしている

会話がない、していない、できない

合計点数      点

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ICFステージングの評価項目と評価方法

ICF ステージングの評価では、利用者の状態のうち、普段行っているもっとも難しい ICF ステージングの動作を選択します。この際、「できるか否か」ではなく、「普段から行っているか」を基準に判断します。詳しい状態や判定基準は以下です。

2.基本動作

ステージ 状態 判定基準
5 両足での立位の保持を行っている ・ 一定の時間(3分間程度)つかまらずに立位を保っている場合は、ステージ5と判断します。
・ リハビリテーション室など特殊な状況で、監視下でのみ行っている場合は、ステージ5と判断せず、ステージ4とします。
4 立位の保持は行っていないが、座位での乗り移りは行っている ・ ステージ4は、立位の保持は行っていないが、いすと車いすの間や、いすとベッドの間の移乗を普段から行っている場合です。
・ それよりもやや難易度の高い立位からベッドへの移乗を行っている場合は、立位保持の状態でステージ5かどうか、で判断します。
3 座位での乗り移りは行っていないが、座位端座位)の保持は行っている ・ 座位での移乗は行っていないが、背もたれがない状態の座位保持を行っている場合(端座位)がステージ3です。
・ リハビリテーション実施時のみ、監視下で行える場合はステージ2と判断します。
2 座位(端座位)の保持は行っていないが、寝返りは行っている ・ 端座位も、座位での移乗も行えず、床上での寝返りを行っている場合が、ステージ2です。
・ 円背や亀背などで、寝返りが行えなくても、たとえば座位での移乗を行っている場合は、ステージ4となります。その他の状態と併せて判断をしましょう。
1 寝返りは行っていない ・ 寝返りを普段から行っておらず、体位変換を他者に頼っている場合がステージ1です。

・移動状況ではなく、同じ場所で行っている動作について評価します。歩行状態は評価しません。
・視覚障害者で付き添いが必要な場合は、歩行状態や外出状況に基づいて、その行為を行っているかどうかで判断します。
・認知症の行動障害への見守りも、歩行の機能に対する見守り出なければ、歩行動作のみを評価します。

3a.歩行・移動

ステージ 状態 判定基準
5 公共交通機関等を利用した外出を行っている ・ 普段から公共交通機関を利用し、外出している場合です。
・ 例外的に、公共交通機関が近くにない場合は、階段の昇り降りに加えて買い物などを自家用車等を用いて行っているような場合に、ステージ5と判断します。
4 公共交通機関等を利用した外出は行っていないが、手すりに頼らないで安定した階段の昇り降りを行っている ・ 1人で公共交通機関による外出はできないが、屋内の階段であれば5段程度自分で昇り降りを、普段から行っている場合が該当します。
・ リハビリテーション実施時などで一時的に、階段昇降を監視下で行っているような場合は、これには該当しません。
3 手すりに頼らない安定した階段の昇り降りを行っていないが、平らな場所での安定した歩行は行っている ・ ステージ3は、階段は昇れないが、屋内平面は杖や装具を使用してでも歩いている場合です。
・ 施設内の手すりは用いずに歩いている場合とします。
2 安定した歩行は行っていないが、施設内の移動は行っている ・ 安定した歩行は行っていないけれども、車いす、歩行器、手すりなどのすべての補助手段を用いて屋内平面の移動を行っている場合を、ステージ2と判断します。
1 施設内の移動を行っていない ・ 車いすや、その他の移動手段を使っても、自分で普段から施設内の平面の移動を行っていない場合は、ステージ1と判断します。

・ 歩行・移動に関して、普段行っている最もステージの高い活動を選択します。
・ 普段歩行や移動の際に使用している補助具があるかどうか、事前に把握しておくとよいでしょう。
・ 視覚障害者で付き添いが必要な場合は、歩行状態や外出状況に基づいて、そのステージの行為を行っているかどうかで判断します。
・ 認知症の周辺症状への見守りも、歩行機能に対する見守りでなければ、歩行動作のみを評価します。

4a.認知機能 オリエンテーション(見当識)

ステージ 状態 判定基準
5 年月日が分かる ・ 年月日がプラスマイナス1日の誤差でわかっているかどうか確認します。
・ 日によって、わかったりわからなかったりする場合は、わかると判断してかまいません。
4 年月日は分からないが、現在いる場所の種類はわかる ・ 年月日がわからない場合、現在いる場所の種類がわかるかどうかで判断します。たとえば、自宅か、老健施設か、病院かの3つの選択肢を与えて、正確であればわかると判断します。
3 場所の名称や種類はわからないが、その場にいる人が誰だかわかる ・ 場所の種類がわからない場合、目の前でこの調査を行ったり、世話をしている人が、家族か、施設の職員か、あるいは友人かがわかるかどうか確認します。家族、施設職員、友人の3つの選択肢を与えて、正確であればわかると判断します。
2 その場にいる人が誰だかわからないが、自分の名前はわかる ・ 目の前の人が誰かわからない場合、自分の名前が言えるかどうか判断します
1 自分の名前がわからない ・ 自分の名前が言えない場合が該当します。

・ 「できるかどうか」に焦点を当てて判断します。
・ より高いステージの設問と、下位の設問の回答はできても、真ん中が回答できない場合は、より上位のステージとして判断します。そのうえで、特記事項に、その状況を記入することが望ましいです。
・ せん妄などにより、時間によって意識障害が変動するような場合は、意識状態が良好な時間の状態を基本として判断し、特記事項に意識状態の変化がある旨を記入します。
・ 聴覚障害や運動失語などで、言葉は理解するが表現できない場合は、言葉以外の表出によって判断してもかまいません。
・ 感覚失語などで、言葉を理解していない場合は「できない(わからない)」と判断します。

4b.認知機能 コミュニケーション

ステージ 状態 判定基準
5 複雑な人間関係を保っている ・ 施設内で、他の利用者や、介護職員、医師などと、それぞれの役割を理解し、感情や衝動を抑え、トラブルを起こさず生活できている場合を、ステージ5とします。
4 複雑な人間関係は保っていないが、書き言葉は理解している ・ 新聞や本などはもちろん、壁に張り出してあるスケジュールや、各種の案内等を理解しているかどうかに基づいて判断します。
3 書き言葉は理解していないが日常会話は行っている ・ 普段から、簡単な日常会話を、職員あるいは他の利用者と行っているかどうかに基づいて判断します。
・ 話を聞くだけではなく、自らも話をしている場合が、ステージ3です。
2 日常会話は行っていないが、話し言葉は理解している ・ 普段会話は成立しないが、職員や他の利用者の話は理解している場合は、ステージ2と判断します。
1 話し言葉の理解はできない ・ 話し言葉の理解ができない場合が該当します。
・ 感覚失語等で言語が理解できない場合も、このステージになります。

・ 日常的な周囲の人との対応を普段から「行っているかどうか」、行っている場合は、その際の言語活動の状態などをもとに判断します。
・ 感覚失語などで、言葉を理解していない場合はステージ1、視覚障害により、書き言葉が理解できないが複雑な人間関係の理解保持ができる場合はステージ5と判断します。
・ 複雑な人間関係の理解ができない場合は、日常会話の状態について判断します。

4c.認知機能 精神活動

ステージ 状態 判定基準
5 時間管理ができる ・ たとえば入浴や食事、リハビリの時刻になると、自らその準備をするなど、普段から時間を理解して、管理ができているかどうかに基づいて判断します。
4 時間管理はできないが、簡単な算術計算はできる ・ 時間管理ができない場合に、単純な加算ができるかどうか、約7割程度正解できれば、できるとします。
3 簡単な算術計算はできないが、記憶の再生はできる ・ 簡単な算術計算ができない場合、長期記憶について聞き取りを行います。たとえば、最終学歴や、結婚など数十年前に起きたと考えられることについて、スムーズに記憶を再生することができるようであれば、ステージ3と判断します。
2 記憶の再生はできないが、意識混濁はない ・ 過去の自伝的な記憶について、正しく再生することができない場合、意識混濁があるかどうかに基づいて判断します。
・ せん妄等で一時的な意識混濁があるかどうかは、ここでは判断せず、通常の利用者の状態で判断します。
1 意識の混濁があった ・ ステージ1の場合、せん妄や重度の認知症のため、意識混濁がある場合を含みます。

・ 「できるかどうか」に焦点を当てて判断します。

5a.食事 嚥下機能

ステージ 状態 判定基準
5 肉などを含む普通の食事を、噛んで食べることを行っている ・ 固めの食事(肉など)を含む普通の食事を、噛んで食べているかどうかを判断します。
・ 義歯(入れ歯)の使用の有無は問いません。義歯が破損していて、最近は咬断を行っていない場合は、この項目は「行っていない」と判断し、より下位のステージを選択します。
・ 固めの食べ物を噛み切ることを判断基準とします。
4 肉などを含む普通の食事を噛んで食べることは行っていないが、ストローなどでむせずに飲むことは行っている ・ ストロー、吸い飲み等を使用して水分・流動物をむせずに飲むことを、普段から行っているかどうかで判断します。
・ 固いものは噛み切れないが、やわらかいものを口の中で粉砕でき、かつ吸引ができるような場合はステージ4とします。
3 むせずに吸引することは行っていないが、固形物の嚥下は行っている ・ 咬断や吸引はできないけれど、口の中に十分やわらかい食べ物を入れれば、飲み込みを行う場合がステージ3です。
・ 口腔内に食べ物を溜め込まず、嚥下を行っているかどうかで判断します。
・ 水分やとろみがついた食事のみ嚥下を行っている場合は、ステージ2と判断します。
2 固形物の嚥下は行っていないが、嚥下食の嚥下は行っている ・ やわらかいもののみ、口腔内に食べ物を溜め込まず、嚥下を行っているかどうかで判断します。
・ 嚥下食であれば飲み込みができる場合は、ステージ2と判断します。
1 嚥下食の嚥下を行っていない(食べ物の嚥下を行っていない) ・ やわらかいものであっても(たとえば嚥下食)飲み込みができず、普段から行っていない場合、あるいは、誤嚥の危険性が高く嚥下をおこなっていない場合は、ステージ1と判断します。
・ 胃ろうの使用は、ステージ1と判断します。

・ 状態が日によって異なる場合は、その中でもよりよい状態を基本として判断します。

5b.食事 食事動作および食事介助

ステージ 状態 判定基準
5 箸やフォークを使って食べこぼしせず、上手に食べることを行っている ・ ステージ5は、提供された食べ物を箸やフォーク、スプーン、ナイフ等を使用して、上手に食べているかどうかで判断します。
・ 食べこぼし等があったり、食べ物を小さく加工したり工夫をして食べている場合は、ステージ5未満のいずれかとして判断します。
・ 食べこぼし等があり、普段から介助により周囲をきれいに保っているような場合は、ステージ4と判断します。
4 箸やフォークを使って上手に食べることは行っていないが、食べこぼししながらも、何とか自分で食べることを行っている ・ 提供された食べ物を、食べこぼし等はあるが、なんとか自分で食べている場合は、ステージ4と判断します。
3 自分で食べることを行っていないが、食事の際に特別なセッティングをすれば自分で食べることを行っている ・ 食事の際、本人の姿勢や食べ物の位置の調整などが必要かどうかで判断します。
・ 皿の位置の工夫や、特別な補助具の準備などの特別なセッティングを行わなくても食べている場合は、ステージ4以上と判断し、それ以外は食べこぼしの状態などで判断します。
・ 特別なセッティング(皿の位置の工夫や、特別な補助具の準備など)を行って食べている場合は、ステージ3と判断します。
2 食事の際に特別なセッティングをしても自分で食べることを行っていないが、直接的な介助があれば食べることを行っている ・ 食事の準備だけでなく、食べる動作にも介助を行っている場合は、ステージ2です。この場合、食事途中からの介助を含みます。
1 直接的な介助をしても食べることを行っていない(食べることを行っていない) ・ 食事の動作に対する直接介助を行っても食べることができない場合は、ステージ1と判断します。

・ 状態が日によって異なる場合は、その中でもよりよい状態を基本として判断します。
・ 食べるときに、どの程度の動作を自分で行っているか、あるいは、食べる動作を行っている際にどれほど介助が行われているかどうかを観察し、判断しましょう。

6a.排泄の動作

ステージ 状態 判定基準
5 排泄の後始末を行っている ・ 排尿後の後始末も含めて、排尿動作が自立している場合、ステージ5と判断します。
・ 判断基準は、排尿後に、拭く、水洗を流す等の後始末を行っている場合です。
4 排泄の後始末は行っていないが、ズボン・パンツの上げ下ろしは行っている ・ ステージ4は尿意の意識に対応してトイレに行き、自分でズボンの上げ下ろしまで行っているかどうかを判断します。
・ ナースコールを押し介助者がトイレまで連れていけば、その後は介助なしにズボンの上げ下ろしを行っている場合は、ステージ4と判断します。
3 ズボン・パンツの上げ下ろしは行っていないが、洋式便器への移乗は行っている ・ ステージ3は、洋式便所への移乗は自立している場合が含まれます。
・ トイレまでの移動は介助が必要であっても、トイレ内での移乗を自分で行っている場合が該当します。
・ 洋式トイレがなく和式トイレのみであり、この活動を行っていない場合は、行っていないと判断します。その際にズボンの上げ下ろし等を自分で行っている場合は、ステージ4となります。
2 洋式トイレの移乗が自分で行えないため、介助が必要、または普段から床上で排泄を行っている ・ 洋式便所への移乗に、介助を要する場合が該当します。
・ トイレ内の移動の際、姿勢の保持を自分で行っていないような場合は、ステージ2となります。
・ ポータブルトイレを含めて移乗ができず、洋式トイレ(ポータブルを含む)を利用していない場合は、行っていないと判断します。
1 尿閉(膀胱瘻を含む)や医療的な身体管理のために膀胱等へのカテーテルなどを使用している ・ 床上での排泄において、尿閉(膀胱瘻を含む)や医療的な身体管理のために、膀胱等へのカテーテルを使用している場合、人工肛門やおむつを使用している場合は、ステージ1に該当します。

・ 排泄機能は、排泄の動作、用いている器具および尿意・便意を評価します。
・ 排尿の頻度が排便の頻度より多いため、尿のコントロールを中心に聞き取りを行います。排便について、何か特記すべきことがあれば、特記事項に記入しましょう。
・ たまに失敗するような場合は、普段の生活でよりよいステージを基本として判断します。

7a.入浴動作

ステージ 状態 判定基準
5 安定した浴槽の出入りと洗身を行っている ・ 普段使用している浴槽で、洗身を含め入浴動作全般を行っている場合を、ステージ5とします。
4 安定した浴槽の出入りと洗身を行っていないが、第三者の援助なしで入浴を行っている ・ 日ごろの入浴はなんとか自分で行っているが、不十分であることが認識されている場合、普段1人でシャワーのみしか使用していない場合で、かつ洗浄が不十分である場合が該当します。
・ 地域性などから入浴を行わない場合は、洗い残しの程度から判断します。
・ 見守りのみの援助が行われているような場合は、ステージ4となります。
3 第三者の援助なしで入浴を行っていないが、一般浴室内での座位保持は行っている。その他、入浴に必要なさまざまな介助がなされている ・ 浴室内での座位保持は安定しているが、見守り・指示・手を添える・洗身の不十分なところを手伝う程度の第三者の援助で入浴している場合が該当します。
・ ステージ4との違いは、ステージ4が普段から自分で行っている場合で、ステージ3は普段から介助がなされている場合です。
2 浴室内での座位保持を行っておらず、一般浴での入浴を行っていないが、入浴(特浴など)は行っている ・ ステージ3と比較して、浴室内で座位保持を行っていない場合が、ステージ2となります。
1 入浴は行っていない ・ ステージ1は、入浴を行っていない場合です。

・ 普段の状態に基づいて判断します。
・ 転倒等の危険を理由に、ふだんから浴槽に出入りをしていない場合は、行っていないと判断します。

8a.整容 口腔ケア

ステージ 状態 判定基準
5 義歯の手入れなどの口腔ケアを自分で行っている ・ 普段から口唇の乾燥を防ぐことや、義歯の手入れなど、口腔ケアについては自分で行っている場合に、ステージ5と判断します。
4 義歯の手入れなどの口腔ケアは自分では行っていないが、歯みがきは自分でセッティングして行っている ・ 口唇の乾燥を防ぐことや義歯の手入れなどの口腔ケアは自分では行っていないが、歯みがきは普段から自分で行っている場合が該当します。
・ 上肢の麻痺などがあり自分で行っていない場合は、ステージ3以下となります。
・ 総義歯の場合は、総義歯の手入れを自分で行っていればステージ5、行っていない場合はステージ3、その他、うがいの状態でステージ2、または1と判断します。
3 自分でセッティングして歯を磨くことは行っていないが、セッティングをすれば、自分で歯みがきを行っている ・ 普段から自分でセッティングして歯を磨くことは行っていないが、セッティングをすれば、自分で歯みがきを行っている場合が該当します。
2 歯みがきのセッティングをしても自分では歯みがきを行っていないが、「うがい」は自分で行っている ・ 歯みがきのセッティングをしても、自分では歯みがきを行っていないけれども、「うがい」のように口をすすぐことだけであれば自分で行っている場合をステージ2と判断します。
1 「うがい」を自分で行っていない ・ 「うがい」のように口をすすぐことも自分で行っていない場合で、口腔ケア全般に介助を必要とする場合は、ステージ1と判断します。

・ 視覚障害等で、セッティングや誘導が必要な場合は、自分でそのステージの行為を行っているかどうかで判断します。

8b.整容 整容

ステージ 状態 判定基準
5 爪を切ることを自分で行っている ・ 普段から爪切りを使って手足の爪を切ることを自分で行っている場合は、ステージ5と判断します
4 爪を切ることは自分で行っていないが、髭剃りやスキンケア、整髪は自分で行っている ・ 普段から手足の爪を切ることは自分では行っていないが、髭剃り(男性)やスキンケア(女性)、髪の毛を整えることは普段から自分で行っている場合が該当します。
3 髭剃りやスキンケア、整髪は自分で行っていないが、洗顔は自分で行っている ・ 普段から自分で髭剃り(男性)やスキンケア(女性)、髪の毛を整えることを行っていないが、洗面台で洗顔することや、あるいは濡れタオルで顔を拭くことは、普段から自分で行っている場合が該当します。
2 洗顔は自分で行っていないが、手洗いは自分で行っている ・ 洗面台で洗顔することや、あるいは濡れタオルで顔を拭くことを、普段から自分で行っていないが、手洗いは普段から自分で行っている場合は、ステージ2と判断します。
・ 寝たきりであっても、普段からたらいや洗面器に汲んだ水で手洗いを行っている場合は、ステージ2と判断します。
1 手洗いを自分で行っていない ・ 普段から手洗いも自分で行っていない場合で、整容全般に介助を必要とする場合は、ステージ1と判断します。

・ 普段行っている最もステージの高い活動を選択します。

8c.整容 衣服の着脱

ステージ 状態 判定基準
5 衣服を畳んだり整理することは自分で行っている ・ 普段から衣服を畳んだり、脱いだ衣服を整理することを自分で行っている場合は、ステージ5と判断します。
4 衣服を畳んだり整理することは自分で行っていないが、ズボンやパンツの着脱は自分で行っている ・ 普段から衣服を畳んだり、脱いだ衣服を整理することは自分では行っていないが、ズボン・パンツ等の着脱を普段から自分で行っている場合が該当します。
・ 立位保持ができない場合、床に座った状態でもズボン・パンツ等の着脱を行っている場合は、ステージ4と判断します。
3 ズボンやパンツの着脱は自分で行っていないが、更衣の際のボタンのかけはずしは自分で行っている ・ 普段からズボン・パンツ等の着脱は自分で行っていないが、更衣の際の上着のボタンのかけ外しや、ジッパーを上げ下げすることは自分で行っている場合が該当します。
・ マジックテープの衣服を普段から用いている場合も、マジックテープの着脱を自分で行っている場合は、ステージ3と判断します。
2 更衣の際のボタンのかけはずしは自分で行っていないが、上衣の片袖を通すことは自分で行っている ・ 更衣の際の上着のボタンのかけ外しや、ジッパーを上げ下げすることは、普段から自分で行っていないが、上衣の片袖を通すことは、普段から自分で行っている場合は、ステージ2と判断します。
1 上衣の片袖を通すことを自分で行っていない ・ 普段から上衣の片袖を通すことを自分で行っていない場合で、衣服の着脱全般に介助を必要とする場合には、ステージ 1 と判断します。

・ 普段行っている最もステージの高い活動を選択します

9a.社会参加 余暇

ステージ 状態 判定基準
5 施設や家を1日以上離れる外出または旅行をしている ・ 施設からの一時帰宅ではなく、普段から施設や家を1日以上離れる外出や旅行を自分で行っている場合は、ステージ5と判断します。
4 旅行はしていないが、個人による趣味活動はしている ・ 普段から施設や家を1日以上離れる外出や旅行を自分で行っていないが、屋外で行うような趣味活動を自分でしている場合が該当します。
・ 転倒等の危険があるため、趣味活動の際に支援や介助を受けている場合でも、自分の意思でしている場合は、ステージ4と判断します。
3 屋外で行うような個人的趣味活動はしていないが、屋内でする程度のことはしている ・ 普段から屋外で行うような趣味活動を自分でしていないが、施設内で行う集団体操など、屋内で行う集団でのレクリエーションに自ら参加する程度のことはしている場合が該当します。
2 集団レクリエーションへは参加していないが、一人でテレビを楽しんでいる ・ 施設内で行う集団体操など、屋内で行う集団でのレクリエーションに自ら参加することは、ふだんから行っていないが、施設内や家でひとりでテレビを楽しむことはしている場合は、ステージ2と判断します。
1 テレビを見たり、ラジオを聴いていない ・ 普段から施設内や家でひとりでテレビを楽しむことをしない場合で、テレビを見たり、ラジオを聴いて楽しむことをしていない、出来ない場合には、ステージ1と判断します。

・ 普段行っている最もステージの高い活動を選択します。

9b.社会参加 社会交流

ステージ 状態 判定基準
5 情報伝達手段を用いて交流を行っている ・ 普段から電話をかけたり、手紙やメールなどの情報伝達手段を用いて交流を自分で行なっている場合は、ステージ5と判断します。
4 通信機器を用いて自ら連絡を取ることは行っていないが、援助があっての外出はしている ・ 普段から電話をかけたり、手紙やメールなどの情報伝達手段を用いて交流を自分で行っていないが、親族・知人等を訪ねる目的で外出している場合が該当します。
・ 転倒等の危険があるため、外出の際に支援や介助を受けている場合でも、自分の意思で外出している場合は、ステージ4と判断します。
3 外出はしていないが、親族・友人の訪問を受け会話している ・ 普段から外出はしていないけれど、施設職員や家族以外の親族・友人・知人の訪問を受け、会話している場合が該当します。
2 近所づきあいはしていないが、施設利用者や家族と会話はしている ・ 施設職員や家族以外の親族・友人・知人の訪問を受け、会話することは、普段から行っていないが、同じ施設の入所者や職員、家族との会話はしている場合は、ステージ2と判断します。
1 会話がない、していない、できない ・ 普段から同じ施設の入所者や職員、家族と会話することを行っていない場合で、会話などの社会交流をしていない、出来ない場合には、ステージ1と判断します。

・ 普段の状態に基づいて判断します。
・ 転倒等の危険を理由に、普段から外出等をさせていない場合は、していない・行っていないと判断します。

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ICFステージングのダウンロード

ICFステージングは全国老人保健施設協会が開発したものなので、詳細なマニュアルや資料は全老健にあります。「R4システム」の一部にも組み込まれています。

また、厚生労働省の科学的介護情報システム(LIFE)への情報提出項目にも採用されたことから、厚生労働省のホームページやLIFEのマニュアルにも評価シートや評価方法等の記載があります。

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ICFステージングと科学的介護推進体制加算でのLIFEへのデータ提出

令和6年(2024年)から科学的介護推進体制加算を算定している介護老人保健施設ではICFステージングの評価をLIFEにデータ提出することが必須となりました。

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まとめ

ICFステージングは、従来の介助量をベースとした評価方法ではなく、している活動をわかりやすい4つの指標で5段階に絶対値・客観評価する指標として開発されたものです。ICFステージングを用いることで、利用者の状態がわかりやすく評価できるため、利用者の変化やできること・していることを的確にかつ誰ても評価できるようになります。

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