要支援でも例外的に対象外種目の福祉用具貸与を使える状態の例

軽度者(要支援1、要支援2、要介護1)に対する福祉用具貸与については、その状態像から見て使用が想定しにくいとして、原則貸与対象外となる種目(対象外種目)が定められています。ただし、軽度者であっても、医学的な所見に基づき福祉用具の貸与が必要と認められる場合は、対象外種目についても例外的に給付することができます。

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「軽度者」とは

指定福祉用具貸与費の算定にあたっては、要介護1の者をいいます。ただし、自動排泄処理装置については、要介護1~3の者をいいます。

指定介護予防福祉用具貸与費の算定にあたっては、要支援1・2の者をいいます。

認定調査結果と軽度者に対する福祉用具貸与

軽度者に対する福祉用具貸与については、平成18年度介護報酬改定に伴い、保険給付の対象とならない仕組みへの改正が行われ、例外的に給付される状態像の判断方法として、認定調査結果を活用することとされました。

対象外種

対象外種目は、次のとおり定められています。

要支援1・2、要介護1の方

車椅子、車椅子付属品、特殊寝台、特殊寝台付属品、床ずれ防止用具、体位変換器、認知症老人徘徊感知器、移動用リフト(つり具の部分を除く。)

要支援1・2、要介護1~3の方

自動排泄処理装置(尿のみを自動的に吸引できる機能のものを除く。)

福祉用具貸与の算定可否の判断基準

軽度者の場合は、次の(1)から(3)のいずれかに該当する必要があります。

(1) 基本調査の結果で判断

基本調査の直近の結果を用い、その要否を判断するものとされています。

(2) 該当する基本調査結果がない場合の判断

「主治医から得た情報及び福祉用具専門員のほか、軽度者の状態像について適切な助言が可能な者が参加するサービス担当者会議等を通じて適切なケアマネジメント」により指定居宅介護(介護予防)支援事業者(以下「居宅介護支援事業者等」とする。)が判断することとなります。(市への確認は不要です。)

・算定根拠となる判断結果(サービス担当者会議録や関係書類等)は、必ず記録・保存してください。記録が確認できない場合、給付は認められません。
・利用者の身体状況等の変化により、福祉用具貸与が必要な理由に変更がある場合は、再度サービス担当者会議等を実施するなど、随時必要な理由の見直しを行ってください。

(3) 市町村の確認による判断

前(1)(2)に関わらず、「次のⅰ)からⅲ)までのいずれかに該当する旨が医師の医学的な所見に基づき判断」され、かつ、「サービス担当者会議等を通じた適切なケアマネジメントにより、福祉用具貸与が特に必要である旨が判断」されている場合にあっては、これらについて、市町村が書面等確実な方法で確認することにより、その要否を判断することができるとされています。
この場合において、医師の医学的な所見については、主治医意見書による確認のほか、医師の診断書又は担当の介護支援専門員(又は地域包括支援センターの担当職員。以下「担当ケアマネジャー等」とする。)が聴取した居宅(介護予防)サービス計画に記載する医師の所見により確認する方法でも差し支えありません。具体的な事例内容は表2のとおりです。

ⅰ)疾病その他の原因により、状態が変動しやすく、日によって又は時間帯によって、頻繁に告示で定める福祉用具が必要な状態に該当する者

ⅱ)疾病その他の原因により、状態が急速に悪化し、短期間のうちに告示で定める福祉用具が必要状態になることが確実に見込まれる者

ⅲ)疾病その他の原因により、身体への重大な危険性又は症状の重篤化の回避等医学的判断から告示で定める福祉用具が必要な状態に該当すると判断できる者

 

車いす・車いす付属品

厚生労働大臣が定める者のイ
(福祉用具が必要な状態像)
厚生労働大臣が定める者のイに該当する基本調査の結果
(あてはまれば例外的に利用できる)
(一)日常的に歩行が困難な者 基本調査1-7 「3.できない」
(二)日常生活範囲における移動の支援が特に必要と認められる者 基本調査に項目がないため、医師の所見を確認し、サービス担当者会議を開催の上、ケ
アマネジャーが必要性を判断すれば利用できる。 (外で使用する車いす)

特殊寝台・特殊寝台付属品

厚生労働大臣が定める者のイ
(福祉用具が必要な状態像)
厚生労働大臣が定める者のイに該当する基本調査の結果
(あてはまれば例外的に利用できる)
(一)日常的に起きあがりが困難な者 基本調査1-4 「3.できない」
(二)日常的に寝返りが困難な者 基本調査1-3 「3.できない」

床ずれ防止用具・体位変換器

厚生労働大臣が定める者のイ
(福祉用具が必要な状態像)
厚生労働大臣が定める者のイに該当する基本調査の結果
(あてはまれば例外的に利用できる)
次の(一・二)いずれかに該当する者

(一)日常的に寝返りが困難な者

基本調査1-3 「3.できない」
(二)日常生活範囲における移動の支援が特に必要と認められる者 基本調査に項目がないため、医師の所見を確認し、サービス担当者会議を開催の上、ケ
アマネジャーが必要性を判断すれば利用できる。 (外で使用する車いす)

認知症老人徘徊感知機器

厚生労働大臣が定める者のイ
(福祉用具が必要な状態像)
厚生労働大臣が定める者のイに該当する基本調査の結果
(あてはまれば例外的に利用できる)
次の(一・二)いずれにも該当する者

(一)意思の伝達、介護者への反応、記憶・理解のいずれかに支障がある者

基本調査3-1「1.調査対象者が意見を他者に伝達できる」以外 又は基本調査3-2~3-7のいずれか「2.できない」 又は基本調査3-8~4-15 のいずれか「1.ない」以外

その他、主治医意見書において、認知症の症状がある旨が記載されている場合も含む。

(二)移動において全介助を必要としない者 基本調査2-2 「4.全介助」以外

移動用リフト(つり具の部分を除く)

厚生労働大臣が定める者のイ
(福祉用具が必要な状態像)
厚生労働大臣が定める者のイに該当する基本調査の結果
(あてはまれば例外的に利用できる)
次の(一~三)いずれかに該当する者

(一)日常的に立ち上がりが困難な者

基本調査1-8 「3.できない」
(二)移乗が一部介助又は全介助を必要とする者 基本調査2-1「3.一部介助」又は「4.全介助」
(三)生活環境において段差の解消が必要と認められる者 基本調査に項目がないため、医師の所見を確認し、サービス担当者会議を開催の上、ケ
アマネジャーが必要性を判断すれば利用できる。 (段差解消機)

自動排泄処理装置(尿のみを自動的に吸引する機能のものを除く)

厚生労働大臣が定める者のイ
(福祉用具が必要な状態像)
厚生労働大臣が定める者のイに該当する基本調査の結果
(あてはまれば例外的に利用できる)
次の(一・二)いずれにも該当する者

(一)排便において全介助を必要とする者

基本調査2-6 「4.全介助」
(二)移乗において全介助を必要とする者 基本調査2-1 「4.全介助」

福祉用具が必要となる主な事例内容(概略)

状態の変化

必要となる福祉用具 事例内容
・特殊寝台
・床ずれ防止用具・体位変換器
・移動リフト
パーキンソン病で、内服加療中に急激な症状・症候の軽快・増悪を起こす現象(ON・OFF現象)が頻繁に起き、日によって、告示で定める福祉用具が必要な状態となる。
・特殊寝台
・床ずれ防止用具・体位変換器
・移動リフト
重度の関節リウマチで、関節のこわばりが朝方に強くなり、時間帯によって、告示で定める福祉用具が必要な状態となる。

急性増悪

必要となる福祉用具 事例内容
・特殊寝台
・床ずれ防止用具・体位変換器
・移動リフト
パーキンソン病で、内服加療中に急激な症状・症候の軽快・増悪を起こす現象(ON・OFF現象)が頻繁に起き、日によって、告示で定める福祉用具が必要な状態となる。

医師禁忌

必要となる福祉用具 事例内容
・特殊寝台 重度の喘息発作で、特殊寝台の利用により一定の角度に上体を起こすことで、呼吸不全の危険性を回避する必要がある。特殊寝台の必要性を医師からも指示されている。
・特殊寝台 重度の心疾患で、特殊寝台の利用により、急激な動きをとらないようにし心不全発作の危険性を回避する必要がある。特殊寝台の必要性を医師からも指示されている。
・特殊寝台 重度の逆流性食道炎(嚥下障害)で、特殊寝台の利用により、一定の角度に上体を起こすことで、誤嚥性肺炎の危険性を回避する必要がある。特殊寝台の必要性を医師からも指示されている。

(平成19年3月14日 厚労省「地域包括支援センター・介護予防事業担当者会議資料」より)

軽度者に対する福祉用具貸与の例外給付の確認の流れ

軽度者に対する福祉用具貸与の例外給付について、「市町村の確認による判断」で行う場合は、次の手順で事務を進めます。

(1) 利用者の状態の確認

担当ケアマネジャー等は、利用者の状態が、ⅰ)からⅲ)の状態像に該当する可能性があり、かつ、福祉用具の使用が利用者の自立支援に効果的であるかを確認します。

ⅰ)疾病その他の原因により、状態が変動しやすく、日によって又は時間帯によって、頻繁に告示で定める福祉用具が必要な状態に該当する者
ⅱ)疾病その他の原因により、状態が急速に悪化し、短期間のうちに告示で定める福祉用具が必要状態になることが確実に見込まれる者
ⅲ)疾病その他の原因により、身体への重大な危険性又は症状の重篤化の回避等医学的判断から告示で定める福祉用具が必要な状態に該当すると判断できる者

(2) 医師に対する意見照会

担当ケアマネジャー等は、利用者の状態の確認により福祉用具の貸与が適当と判断した場合は、次のいずれかの方法により、利用者の状態像の判断について医師の医学的な所見を求めます。

ⅰ)利用者が、自身の状態像の原因となっている疾病等の主治医から、「該当する状態像」が記載された診断書を取得し、担当ケアマネジャー等に提出します。
ⅱ)担当ケアマネジャー等が、利用者の診察に同行するなどして、利用者の「該当する状態像」を聞き取ります。
ⅲ)利用者が、主治医に対し、要介護認定の主治医意見書の「特記事項」に「該当する状態像」の記載を求めます。担当ケアマネジャー等は、その写しを長寿はつらつ課から情報提供等により入手します。

(3) サービス担当者会議の開催

担当ケアマネジャー等は、医師の医学的な所見を入手した後、サービス担当者会議等を開催し、医師の医学的な所見を参考に福祉用具の例外給付が利用者の自立支援に役立つか検討し、例外給付が必要と判断した場合に、ケアプランを作成します。また、医師の医学的な所見や医師名などについては、「サービス担当者会議の要点」又は「介護予防支援経過記録」に記載します。

(4) 市町村の介護保険へ確認依頼書提出

担当ケアマネジャー等はケアプラン作成後、次のとおり書類を整え、市町村の介護保険の窓口に提出します。
ただし、みなし(生保)2号被保険者の確認依頼書は、対象者が受給している福祉事務所が提出先となります(確認結果通知も、福祉事務所から送付されます)。

ⅰ)提出書類

ア 軽度者に対する福祉用具貸与に係る確認依頼書

イ 医師の医学的な所見を示す資料
・主治医意見書 ・医師の診断書 ・医師から聴取した所見の記録

ウ サービス担当者会議等にかかる資料
・要介護者の場合 → 居宅サービス計画書1、2及び4表
・要支援者の場合 → 介護予防サービス支援計画書及び介護予防支援経過記録(サービス担当者会議の要点)

ⅱ)提出期限

原則として、貸与開始前に提出してください。
ただし、末期がん患者の急な退院等により早急な対応が必要な場合など、やむを得ず貸与開始後遡及して提出する場合は、貸与開始日から概ね1か月以内に行ってください。

ⅲ)確認結果

確認依頼の提出を受けた後、内容を精査します。確認後は、担当ケアマネジャー等に結果通知を送付します。

(5) 必要に応じて見直し

利用者が更新(区分変更)申請により新たに認定を受けた場合は、サービス担当者会議の開催等により、居宅(介護予防)サービス計画の変更の必要性について検討することとされていることから、少なくとも、その時点において、一連の確認を再度行う必要があります。また、利用者の状態に変化があり、貸与種目の追加や変更の必要がある場合にも、同様に再度一連の確認を行う必要があります。

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