介護保険 特定福祉用具購入費支給とは 年10万円まで対象の仕組みと9品目一覧【2026年最新】

特定福祉用具購入費支給は介護保険制度上、要介護・要支援認定者ともに年10万円までと定められています。ポータブルトイレ、シャワーチェア、バスボード等が対象です。購入費用の全額支給というわけではなく、介護保険自己負担割合分は原則自己負担が発生します。
この記事を最初に書いたのは2016年で、当時は対象品目が5品目でした。その後の制度改正で品目が追加され、2024年(令和6年)4月時点では9品目になっています。2026年6月の介護報酬改定では特定福祉用具販売の対象品目自体に変更はありませんが、関連する制度の動きも含めて改めてまとめます。
福祉用具購入費支給限度基準額
福祉用具購入費支給限度基準額とは、要介護・要支援の状態になったとき、要介護度に応じて定められている居宅サービスの区分支給限度基準額とは別に、特定福祉用具の購入に関して設定されている支給基準額です。
特定福祉用具の品目が5品目から9品目に増えた経緯
介護保険がスタートした2000年(平成12年)から長らく、特定福祉用具の対象品目は5品目でした。その後、時代の変化と福祉機器の技術進歩に合わせて段階的に追加されてきました。
| 追加時期 | 追加された品目 |
|---|---|
| 2000年(平成12年)介護保険制度開始時 | 腰掛便座・自動排泄処理装置の交換可能部品・入浴補助用具・簡易浴槽・移動用リフトのつり具部分(5品目) |
| 2022年(令和4年)4月 | 排泄予測支援機器(1品目追加→6品目) |
| 2024年(令和6年)4月 | 固定用スロープ・歩行器(歩行車を除く)・単点杖(松葉づえを除く)・多点杖(3品目追加→9品目)※貸与との選択制として追加 |
2022年に追加された排泄予測支援機器は、膀胱内の尿量をセンサーで計測して排尿タイミングを知らせる機器で、排泄の自立支援・介護負担軽減を目的とした新しいカテゴリです(令和3年厚生労働省告示第80号)。
2024年に追加されたスロープ・歩行器・単点杖・多点杖の4品目は「貸与と販売の選択制」として加わったもので、もともと福祉用具貸与(レンタル)の対象品でしたが、利用者が購入を選ぶことができるようになりました(後述)。
福祉用具購入費支給対象の9品目一覧(2024年4月現在・2026年も変更なし)

毎年4月1日から3月31日までで10万円まで
福祉用具購入費支給限度基準額は、毎年4月1日から3月31日までで10万円までと設定されています。支給限度基準額の範囲内であれば、実際の購入額の9割が償還払いで支給されます(一定以上所得者の場合は8割または7割)。負担割合の判定は介護保険負担割合証に記載されている割合と同じです。
償還払いとは
償還払いとは、利用者がいったん全額を支払った後、費用の9割(所得によって8割・7割)が介護保険から払い戻される仕組みです。
同一年度に同一品目は原則1回
福祉用具の購入費の支給は、同一年度に1種目につき1回に限られます。ただし、福祉用具が破損したり、利用者の介護の程度が大きく変化したりした場合には、保険者である市町村が認めれば再び同一種目の福祉用具の給付を受けることもできます。毎年4月1日から3月31日までが1区切りなので、その期間が過ぎると原則リセットされます。
なお2024年改定で追加されたスロープのように、複数個の利用が想定される種目については複数個の購入も可能とされています。
2024年から始まった「貸与と販売の選択制」とは
2024年(令和6年)4月から、固定用スロープ・歩行器(歩行車を除く)・単点杖(松葉づえを除く)・多点杖の4品目については、福祉用具貸与(レンタル)と特定福祉用具販売(購入)のどちらかを利用者が選べる仕組みになりました。
従来は「他人が使用したものを再利用することに心理的抵抗感があるもの」「使用によって元の形態・品質が変化するもの」だけが販売対象でしたが、比較的低価格で購入できてコスト負担が軽減できる品目については選択制が導入されたのです。
選択にあたっては、ケアマネジャーや福祉用具専門相談員から貸与・販売それぞれのメリット・デメリットの説明を受け、医師や専門職の意見、利用者の身体状況を踏まえた提案が行われます。選択制の対象については、購入後も使用状況の確認や使用方法の指導、修理等をなるべく行うよう努めることが事業者に求められています。
参考:排泄関連用具(ポータブルトイレ・尿器)のニーズ・長期目標・短期目標と選定理由の例文集
2026年10月から福祉用具貸与の新65品目の価格情報が公表
特定福祉用具購入費の対象品目自体に2026年の変更はありませんが、貸与と選択制の対象になっている品目に関連する動きとして、2026年10月貸与分から新たに65品目の福祉用具について、厚生労働省が全国平均貸与価格・上限価格を公表しています。福祉用具専門相談員は利用者への説明義務があり、上限価格を超える貸与価格では介護報酬を算定できなくなる点に留意が必要です。福祉用具貸与費の単位数一覧もあわせてご確認ください。
特定福祉用具販売の対象種目(厚生労働省告示より)
腰掛便座
自動排泄処理装置の交換可能部品
入浴補助用具
座位の保持、浴槽への出入り等の入浴に際して補助を目的とする用具であって次のいずれかに該当するものに限ります。
入浴時の転倒事故防止に役立つ福祉用具については入浴の福祉用具・介護用品とお風呂の安全対策もご参照ください。
簡易浴槽
空気式または折りたたみ式等で容易に移動できるものであって、取水または排水のための工事を伴わないもの
移動用リフトのつり具部分
身体に適合するものであって、移動用リフトに連結可能なものであること
排泄予測支援機器(2022年追加)
膀胱内の状態を感知し、排尿の機会を居宅要介護者又はその介護を行う者に通知するもので、要介護者が自ら使用できるもの、または介護者が容易に使用できるもの。センサーで膀胱に尿がたまった状態を検知してスマートフォン等に通知するタイプが代表的です。
固定用スロープ(2024年追加・貸与との選択制)
段差解消を目的とする可搬型でないもので、主に敷居等の小さな段差の解消に使用するもの。頻繁な持ち運びを要しない設置型のものに限られ、持ち運びができる可搬型は除きます。なお、住宅の構造に対して工事を伴う段差解消については住宅改修費の支給の対象になります。
歩行器(2024年追加・貸与との選択制)
脚部が全て杖先ゴム等の形状となる固定式または交互式歩行器に限られます。車輪・キャスターが付いている歩行車は含みません。
単点杖・多点杖(2024年追加・貸与との選択制)
単点杖は松葉づえを除くもの。多点杖はカナディアン・クラッチ、ロフストランド・クラッチ、プラットホームクラッチおよび多点杖に限ります。ロフストランドクラッチなどは複数個の利用が想定されるため、複数個の購入が可能です。
アマゾンなどの通販で特定福祉用具を購入しても対象になる?
アマゾンの販売では、アマゾンが直接販売するものと、アマゾンを通して一般小売店が販売するものが同じような画面で並んでいます。しかし、それらを判別するのは難しく、介護保険を利用しての特定福祉用具購入について、アマゾンとしては以下のように注意喚起しています。
Amazon.co.jpが販売する介護用品は、介護保険の適用対象外です。Amazon.co.jp以外の出品者から特定福祉用具の購入を検討されている方は、ご購入前に出品者へ介護保険の適用可否のご確認をお願いします。また、一部の商品は介護保険の適用を受けることができない場合がありますので、管轄する市区町村の介護保険窓口等にお問い合わせ下さい。
引用:Amazon 介護用品・福祉用具・シニアサポート通販
というわけで、ネットでの購入はかえって手間で不確実なので、ケアマネジャーや利用している施設などから情報を得て、身近な取扱店で購入する方が安心です。
福祉用具購入費支給の対象は、都道府県の指定を受けた事業者だけ
福祉用具購入費支給が適用されるのは都道府県の指定を受けた事業者だけです。専門の相談員が身体の状態などに合わせて適切な福祉用具の選定をアドバイスをしたり、購入後も不具合の調整などのアフターフォローをします。事業者の登録情報はTAISコードで管理されています。
シャワーチェアは対象だけど、滑り止めマットは適用対象になる?
入浴用いすであるシャワーチェアは条件を満たせば福祉用具購入費支給対象になります。しかし、よく同時に購入を検討する「滑り止めマット」は福祉用具購入費支給の対象にはなりません。
参照:どんなサービスがあるの? 特定福祉用具販売 | 介護サービス情報公表システム(厚生労働省)
ケアプランとの関係
特定福祉用具の購入は、ケアプラン上で位置づけられたサービスとして実施されます。福祉用具を選定した理由・利用者の目標などは、ケアプラン第1表〜第7表や長期目標・短期目標に反映させ、自立支援の視点から本当に必要な福祉用具かどうかを検討することが大切です。


