有給の理由を聞かれる?理由は原則不要、違法やパワハラに注意

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有給休暇を取得することは従業員の権利ですが、有給希望の理由を毎回聞いたり書かせたりしている場合によっては違法、パワハラ・モラハラになる可能性があります。
介護施設や介護サービス事業所に勤める従業員が有給休暇を取得するときに理由を必ず書かなくてはいけないということはありませんか?

介護職員や管理者など誰にでも有給休暇が権利として存在する

有給休暇が発生するルールについては、一般の職員や管理職、パートやアルバイトだとしても一定のルールに従って発生するものです。

近年、年に5日は時季を指定して有給を取得させるということが義務化されましたので、有給の取り扱いについても敏感になっている法人が多いと思います。有給のルールについてはこちらの記事で詳しく紹介していますので従業員の方も管理職の方もしっかりと理解しておいた方が良いでしょう。

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希望した有給休暇の日程は理由不要で権利として原則受け付けるのがルール

有給休暇の取得は基本的には従業員からの申し出があったら拒否せずに権利として受け入れる事になっています。有給休暇を取得するにあたって雇用主は特に理由を聞かなくてはいけないなどの決まりはなく、有給休暇はライフワークバランスを保つためにリフレッシュするためのプライベートな時間という意味合いも強いため、有給休暇を取得するための理由を聞くことは原則タブーです。

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繁忙期など時期にだけ有給取得時期をずらす要請ができる「時季変更権」

例えば、介護業界であれば介護報酬改定があり書類の業務で繁忙になることが予測される時期や、会社の決算の時期など期間限定で繁忙期など忙しい時期がある場合や、有給休暇を希望する日程が重複してしまいどうしてもシフトの調整が必要などの場合に限り、希望の日程から時期をずらさせてもらうということを従業員に要請することができるというルールがあります。このルールを「時季変更権」と言い、このような状況の場合のみ従業員から申し出のあった有休を雇用主が変更することができます。

雇用主は、繁忙期や有給や希望休が重なって場合に限っては、従業員に有給の理由を聞き優先度を判断して優先度の低い従業員の方に時期をずらすように要請をすることをはルール上も可能となっています。

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有給管理表などに毎回理由を必須で書かせる運用は違法の可能性も

介護施設などではよくありますが、有給希望管理表などの用紙に、有給を取得するための理由を必ず書かなくてはいけないという形式をとっている場合があります。

基本的には従業員としても雇用主としても有給の理由を書かなければならない根拠はないので「私用のため」と記入してあっても全く問題ないのですが、法人によっては有給の理由を「私用のため」と書くことを認めないというケースがありますがこれは違法と判断されたり、パワハラと判断される可能性もある行為です。

いまは人事労務のクラウド型サービスを利用しているケースが増えてきていますが、年次有給管理簿を紙運用している場合にも、有給の理由欄は不要です。

有給の理由は聴取する義務も記入しなければいけない義務もない

もし、有給取得希望の理由として「趣味の活動」や「デート」のためなどと理由を書いた時に、「趣味のために休むなんて」 「デートで仕事休むの?」などと上司が発言して圧をかけたら、パワハラ・モラハラにあたる可能性も十分あります。

「時季変更権」を使うとき以外には、有給取得の理由を聞くことは不適切ですので、 お互いのためにも基本的には有給取得の理由を確認しないことにつきます。

有給の取得は権利なので、取得する日のその人の過ごし方まで踏み込んで介入することは不適切です。

従業員に「有給の理由はなんて書いたらいいかなぁ・・・?」、ネットで有給の理由の記入例を調べたら「家事理由?歯医者?親の介護?」などそれっぽい理由が出てきたけど、書いていないと上司に何か言われてしまうかなぁと余計な心配をさせることは健全ではありません。

特例として紹介した、繁忙期や休みの希望が重なってしまい運営ができない状態になるなどの理由がある場合のみ、有給を取得する理由を聞いてそれぞれの従業員に休暇の日をずらしてもらえないか相談するために行われるものなのでこのような場合に限って相談すれば済むことです。

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有給を取得している日に会議に絶対参加させるということも不適切

介護施設や介護保険サービスの事業所では、職員全員が同じ日に同じ時間に集まって会議を開いたりすることが難しいですが、有給を取得している日に会議に参加させるということも不適切です。本来は会議も労働なのですが、有給休暇を取得してる日については既に給与が発生しているため会議に出ても休日出勤手当は割増賃金などを発生させることができません。有給休暇の取り方については例えば半日だけ取るなどのことも法人が決めれば認められますので、会議などがある場合には半日だけ有給で半日を出勤などの形にして対応するなどの方法を探り、労働時間の管理や有給の取得について適切な管理ができるようにしてもらいましょう。

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あらゆるリスクに備えて法令順守した労務管理を

介護施設や介護保険サービスの事業所では、小規模な法人や人情で成り立っているような関係性もあるので労務管理がおろそかになりやすいです。良い人間関係で上手くいってる時には問題になりませんが、働いてる人の不満が爆発した時には労務関係のツッコミどころで労働基準監督署に相談して今までの時間外労働を一気に支払うように交渉を持ちかけられたりすることもあります。有給を取得できなかったり、有給の日に会議に参加させられたりして休むことができなかったことなども労働基準監督署は労働基準法に照らして判断すると違法に値するとなる事例もあります。また、当然ながら休みを取り上げるという行為は従業員の健康を害すリスクの大きいことですので良いことは全くありません。

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有給取得やタイムカードなど、ソフトやクラウドサービス導入で安心

法人の規模や今までの管理体制にかかわらず、この際に有給休暇の取得を含め労務管理について見直してみることもお勧めします。厚生労働省は有給管理について、上記のような「年次有給休暇管理台帳」で管理することを推奨していますが、このシートを紙管理することは面倒なだけです。人事労務管理はクラウドサービスやソフトウエアで管理することで手書きなどの手続きもなくなり法令順守が自動的にできるなどのメリットも大きいので、有給取得やタイムカードなどを含めて管理方法をIT化することも有効な一手です。

 

従業員の方も自分が働く時の武器として労働基準法や有給のルールなどをしっかりと把握しておき、悪い言い方ですが都合よく使われすぎないように気をつけて行くことをお勧めします。

管理者の方も、管理者の姿勢や知識が従業員へ影響しますので、権利は権利としてあると認識し、正しく労務管理されるようにしていけると良いですね!

 

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