転倒とは?転倒の定義・意味、原因や起こりやすい場所
 

転倒とは何か定義、転倒という事象が運動学などの観点からどのようなものと捉えられるか、転倒の原因や転倒する場所として多いところはどこかなどを詳しく解説します。また、転倒リスクを低下させるためにどのような対策が行えるかについても触れていきたます。

転倒の定義とは

1987年に高齢者の転倒予防に関するKellogg国際ワークグループより発表されたGibsonの転倒の定義によると「unintentionally coming to the ground or some lower level and other than as a consequence of sustaining a violent blow, loss of consciousness, sudden onset of paralysis as in stroke or an epileptic seizure 」とされており、日本語訳すると「激しい打撃、意識の喪失、脳卒中またはてんかん発作のような突然の麻痺の発症以外の結果として、意図せずに地面またはより低い面に倒れること」という定義となります。

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転倒の意味とは、地面に倒れること

人間は二足歩行で歩くため、重心位置が高く支持面は狭いと言う転倒しやすい姿勢の生き物です。

もしも4本足の生物でしたら、4本の脚で広い支持基底面を確保し、素早く走りながらいきなり回るなどの重心移動を制御できないような動きをしない限り、地面に倒れてしまうということはあまり起きないものです。

転倒しない状態のことを運動学や解剖学の観点から考えてみると、立位姿勢で転倒せずにいるということはまず足部が地面に接し、脚関節・膝関節・股関節、体幹、頭部などが絶妙なバランスで働き、重心位置を支持基底面内に保持するというとことで転倒しない状態が得られています。反対に、転倒する状態とは、絶妙に体をコントロールして重心位置を保っていた状態が失われ、重量の位置が支持面外に出てしまい制御できず、運動の慣性に合わせて倒れてしまうということが転倒であると言えます。

転倒の原因

転倒予防の原因にはいろいろありますが、大きく分けると体の機能の問題、認知機能や注意力の問題、環境の問題などがあります。

転倒の原因 身体機能の問題

転倒の原因としてまずは体の機能の問題が挙げられます。体の機能の問題とは、立位の状態を保つ機能として求められる要件のことです。例えば立位バランスを保つためにどのような機能が必要なのか、立位という姿勢を保つためにどのような筋力を使うのか(抗重力筋)、姿勢が崩れそうな時に体が反応するかなどをチェックして、機能低下している部分など揉んだがある場合には補う等が考えられます。

転倒の原因 認知機能や注意力の問題

転倒の原因として対策が難しくしかし見落としがちなこととしては、認知機能や注意力の問題があります。特に注意力については脳卒中の後遺症で注意がしにくい高次脳機能障害がある場合や、性格的におっちょこちょいで不注意により段差や滑りやすい場所で転んでしまうなどもあります。認知機能や注意力の問題に対しては練習などをしてもなかなかアップできるものではないため次に紹介するような環境の部分で転倒リスクを下げていくという考え方になっていきます。

転倒の原因 環境の問題

転倒予防のために運動が大切であるということは世の中でも常識となりつつありますが、合わせてどんなところで転倒することが多いのかという転倒した環境についても興味深いものです。東京消防庁は、高齢者の事故を減らそうという取り組みの中で、救急搬送された転倒事故の発生場所のデータを公表しています。

 東京消防庁<安全・安心情報><日常生活における事故情報><STOP!高齢者の「ころぶ」事故 > 

東京消防庁のデータにあるように転倒の多くは住宅などの居住場所で起きているということがわかります。

転倒と関連する環境要因

転倒に関連する環境要因は大きく分けると、屋内環境、屋外環境、行動要因、その他に分けられます。

今回は、東京消防庁のデータとしても転倒数が多かった、屋内の環境要因として転倒と関連する内容の例をピックアップしてみます。環境面を工夫することで転倒のリスクを下げるためにはこのような観点をチェックして考えていく必要があります。ただし環境の要因だけで転倒が防げるわけではなく、身体機能などとの関係性を考えながら両側面で捉えていく必要があります。

屋内環境要因

リビングや寝室など

  • 滑りやすい敷物や座布団
  • 床にあるケーブルやコードなど
  • 床に置かれている新聞紙や雑誌など
  • カーペット
  • 低い位置に置かれているもの
  • 暗い照明
  • 不安定な家具
  • 急な階段
  • 手すりがない

玄関

  • 滑りやすい玄関マット
  • 段差の大きい上がり框
  • 手すりがない
  • 整頓されていない靴や掃除道具

キッチン・台所

  • 背伸びやしゃがみ動作をしないとならない収納や置き場
  • 調理器具や家電などのコード

トイレ・風呂

  • 便座が低い、手すりがない
  • 寝室は居間からトイレが遠い
  • 入り口の段差
  • お風呂場にすべり止めマットや手すりはない
  • 風呂場にあるスリッパ

転倒リスクをマネジメントすることの重要性

リスクマネジメントとは、これから起きるかもしれない事故に対して事前に対応しておこうという予防活動です。緊急の事態が発生する前・後の全ての時期を扱う言葉として国際的にも使用されている用語です。転倒に関しては介護事項としても重大なもので、当事者の心身の機能の向上と合わせて下記のリスクマネジメントの記事で紹介しているように不安全状態と不安全行動・ヒヤリハットなどを書き出して、リスクの大きさ・優先度順に、改善対策を実施することで転倒リスクをコントロールすることにつながります。

 

 

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