転倒予防・転倒リスク評価「転倒スコア:Fall Risk Index(FRI)」で5つの質問で簡易スクリーニングできます。
高齢者の転倒は、骨折や頭部外傷などにつながる問題としてリスクとして取り扱われています。
しかし、転倒の危険因子は列挙されていても、転倒のリスクを予測するという部分では不十分な現状です。
一般的に転倒のリスクを高めると言われている「段差」「階段」「坂道」などは生活空間にあってもなくてもそれほど転倒には関与しないというデータも出てきています。
この記事は「高齢者の転倒予防ガイドライン」を参考に、FRIという簡単な転倒リスク評価を紹介します。
転倒とは
転倒とは、絶妙に体をコントロールして重心位置を保っていた状態が失われ、重量の位置が支持面外に出てしまい制御できず、運動の慣性に合わせて倒れてしまうということが転倒であると言えます。
Fall Risk Index(FRI)の質問調査項目
過去1年に転んだことはありますか | はい | 5点 |
歩く速度が遅くなったと思いますか | はい | 2点 |
杖を使っていますか | はい | 2点 |
背中が丸くなってきましたか | はい | 2点 |
毎日お薬を5種類以上飲んでいますか | はい | 2点 |
5項目で手軽に転倒リスクを把握
対象者にいろいろな検査や測定をするのは大変です。
鳥羽研二先生らがいろいろな問診項目やリスクファクターについての調査から採択した5項目を用いると簡単に転倒リスクを把握できます。
通所介護(デイサービス)、通所リハビリテーション(デイケア)などの機能訓練や、健康教室・地域支援事業などで、高齢者の体力測定などの身体面の測定と合わせると転倒リスクの精度が増します。
6点を超えると転倒の危険性が高いと判断
よく、転倒歴があるとまた転倒するものだと言われますが、転倒歴はその後の転倒リスクに強い関連があることが示されました。
過去1年に転んだことがあるかという項目は、あれば5点を採点します。
歩行速度、杖の使用、背中の丸さ、服薬量の項目で1つでも当てはまれば転倒リスクが高いと判断できます。
ガイドラインではFall Risk Index(FRI)と他の測定検査方法の関連検証も
「高齢者の転倒予防ガイドライン」では、歩行速度、timed up and go test(TUG)、握力、片足立ち時間、タンデム歩行、ファンクショナルリーチテストの方法や転倒との相関などを検証しています。
冒頭で紹介したFRIは5項目ですが、21項目の質問項目のFRI-21も掲載されており、こちらには具体的に横断歩道が渡り切れるかや、1キロ歩けるかなどの質問もあります。
21項目の方は、身体機能、老年症候群、環境要因を網羅していてリスクファクターの把握にも役立ちます。
転倒予防についての考え方、問題把握に奥行きと根拠(エビデンス)がもてる、リハビリテーション職、機能訓練指導員等には役立つガイドラインだと思います。